1年高値9,820 円
1年安値2,618 円
出来高444 千株
市場マザーズ
業種情報・通信業
会計日本
EV/EBITDAN/A
PBR32.6 倍
PSR・会予44.7 倍
ROAN/A
ROICN/A
βN/A
決算6月末
設立日2012/7/9
上場日2019/12/17
配当・会予0 円
配当性向0.0 %
PEGレシオN/A
売上高(百万円)&収益性(%)
売上3y CAGR・予想:46.2 %
利益(百万円)
営利 CAGR・実績:N/A %
純利 CAGR・実績:N/A %
EPS(円) BPS(円)
配当(円)
健全性(%、倍)
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別利益率
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
会社の詳細

 

3 【事業の内容】

(1) ミッション

当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」(注1)をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。

大胆に、スピード感をもってアイデアを具現化することができるスモールビジネスは、様々なイノベーションを生むと同時に、大企業を刺激して世の中全体に新たなムーブメントを起こすことができる存在だと考えております。

一方、日本全体の労働生産性は先進国7ヶ国中最下位(注2)であり、なかでも中小企業の従業員一人当たり付加価値額は大企業の半分未満(注3)と、スモールビジネスの生産性は低い状況にあります。

当社グループは、AIを始めとする先進的なテクノロジーを用いてスモールビジネスにクラウドERPサービス(注4、5)を提供し、スモールビジネスの生産性向上と経営改善を支援してまいりました。

当社グループは、データとテクノロジーの活用が、スモールビジネスが大企業に対する弱みを克服する鍵であると捉え、スモールビジネスこそがデータとテクノロジーの最先端を活用できる世界を追求することで、より良い社会を実現してまいります。

(注) 1.本書における「スモールビジネス」とは、個人事業主と従業員が1,000名以下の法人を指す

2.公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2018」

3.中小企業庁「中小企業白書(2019年版)」

4.クラウドサービス:ソフトウェアやハードウェアを所有することなく、ユーザーがインターネットを経由してITシステムにアクセスを行えるサービス

5.ERP:Enterprise Resources Planningの略称。日本語では、企業経営において点在するあらゆる情報を一箇所に集め、一元管理を行うシステムを指して一般的に「ERP」「ERPパッケージ」と呼ばれる

 

(2) サービス概要

当社グループでは、スモールビジネスのバックオフィスの生産性向上に寄与するSaaS(注)サービスを開発・提供してまいりました。具体的には、2013年3月に「クラウド会計ソフトfreee」を、2014年10月に「クラウド給与計算ソフトfreee(現・人事労務freee)」をリリースしました。その後も、2015年6月に「会社設立freee」を、2016年10月に「開業freee」及び「申告freee」を、2020年4月に「プロジェクト管理freee」をリリースし、サービスの拡充に努めてまいりました。

また、当社は、金融サービスの展開に向けて、2018年10月にフリーファイナンスラボ株式会社(以下、「フリーファイナンスラボ」という。)を設立し、2019年6月には「資金繰り改善ナビ」をリリースしております。

なお、当社グループは当社と連結子会社2社の合計3社で構成されており、プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(注)SaaS: Software as a Serviceの略称。ユーザー側のコンピューターにソフトウェアをインストールするのではなく、ネットワーク経由でソフトウェアを利用する形態のサービス

 

(3) 統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由

当社グループが提供するサービスは、資本、人材に限りのあるスモールビジネスにおける利用を前提に設計・提供しており、独自性の高い統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトとして、下記の特長がユーザー企業(注)に支持されています。

(注)当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す

 

① カンタン、自動化

一般的な会計ソフトは、すべての取引を複式簿記形式の仕訳として手動で入力する必要があり、多くの手間を要するという課題があります。「クラウド会計ソフトfreee」においては、例えばクレジットカードや銀行の口座との同期(データ連携を指し、以下、「同期」という。)を行うことで、金融機関のトランザクションデータを自動的にサービス上に取り込み、AIにより自動で仕訳を行うことができます。これにより、ユーザー企業は手作業や手入力にかけてきた時間と工数を削減し、生産性を向上させることが可能です。

 

また、「クラウド会計ソフトfreee」は、簿記の知識がない人でも直感的に使用可能なユーザー・インターフェイスを提供しており、専門人材の確保が容易でないスモールビジネスが自社で財務会計(会計帳簿の作成)や管理会計までを実施することも可能にしております。

さらに当社グループでは、会計ソフト業界において早期よりモバイル対応の開発を行ってまいりました。「クラウド会計ソフトfreee」のモバイルアプリは、直感的に操作しやすいユーザー・インターフェイスを有し、簡単かつ効率的に業務を行うことができます。その結果、このモバイルアプリは、3万件超のユーザー評価をいただくなど、多くのユーザーに利用頂いていることに加えて、5段階評価で平均4.5の高評価(注)を獲得しております。

また、スモールビジネスにおいて、会計業務に次ぐ大きな負担となっていると当社グループが考えているのが、給与計算及び給与計算に関連する人事労務業務です。例えば、社会保険や源泉所得税などの専門的知識が要求される上に、勤怠情報や従業員の扶養状況などの詳細な把握が求められ、さらに、申告や様々な届け出が必要となります。

「人事労務freee」では、従業員が必要な情報を登録し、勤怠をつけるだけで、会社の給与計算やそれに付随する申告書類の作成などを自動化することができるため、専門的知識がなくても利用可能です。

(注)Apple社が運営するApp Storeにて「クラウド会計ソフトfreee」のiPhoneアプリが5段階評価で平均4.5のスコアを獲得。ユーザー評価数は3万件超(いずれも2020年8月末時点)

 

② バックオフィスオートメーション

一般的な単機能型会計ソフトが担う領域は経理業務全体の一部である記帳処理に留まり、上流工程である業務は別のソフトウェアやソリューションを使用する必要があります。例えば、販売業務に関連する請求書発行や入金消込、仕入業務に関連する購買申請や支払業務は、それぞれ会計ソフトとは異なるソフトウェアや、紙と印鑑などを使用したオペレーションが用いられていたため、各業務が分断され、非効率な業務構造となっています。加えて、同一の取引に係る情報について、会計ソフトへの転記作業を要し、さらに手入力ミスを防止するための確認作業を要するという課題があります。

「クラウド会計ソフトfreee」は、スモールビジネス向け統合型会計ソフトであり、請求書機能やワークフロー機能(注)を同一のソフトウェア上で提供しているユニークな設計を特長としており、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化にも寄与します。例えば、「クラウド会計ソフトfreee」上にて作成した請求書の情報は、売掛金として自動で帳簿に登録され、かつ債権管理台帳にも登録されます。その債権情報と、銀行のオンライン口座の入金情報との連携により、自動的に債権の消込が行われます。一方、仕入取引又は経費支払の場合も、受領した請求書をスキャンして取り込むと、買掛金や未払金として自動で会計帳簿及び債務管理台帳に登録されます。加えて、登録された債務は「クラウド会計ソフトfreee」の中から一括で振込指示を行うことができ、債務の消込も自動的に行われます。

このように、統合型会計ソフトである「クラウド会計ソフトfreee」のソフトウェア上で上流工程にあたる業務を行うことで自動的に会計帳簿が作成されるため、経理業務自体も大幅に効率化されます。

同様に、人事労務の領域においても、従来は、従業員基礎情報、勤怠管理、給与計算、保険・行政手続、マイナンバー等の人事関連の定型業務に係る情報のマスタ(データベース)が別個のソフトウェアに散逸し、マスタ間の転記及び整合性担保に手間とコストが生じているケースが見られました。

「人事労務freee」も統合型人事労務ソフトとしての性質を持ち、従業員基礎情報の構築から給与計算及び行政手続等に至るまでのデータを一元管理することで、人事労務に係る定型業務を単一のソフトウェア上で完結し、人事労務担当者の負荷を軽減するとともに、従来の転記に伴うミスを避けることが可能となります。これにより、人事労務に係る定型業務の大幅な効率化につながります。

(注)経費精算、支払依頼、各種稟議など、各種業務フローに係る申請・承認を行う機能

 

③ 経営者の意思決定をナビゲート

一般的な会計ソフトは、税務を中心とした制度会計のための財務諸表作成とそのための記帳を主な目的として利用されています。経理業務は、会計ソフトだけでなく、様々なソフトウェアや紙と印鑑によるオペレーションの組み合わせにより行われていることが多く、販売や仕入れなどの取引発生から会計処理の完了までのリードタイムは長期化しています。また、様々なソフトウェアやアナログ手法の組み合わせによって経理業務が行われていることで、取引の発生から財務諸表までのデータは断絶されています。

そのため、会計ソフトを、経営指標のモニタリングや、元取引及び証憑に遡って深掘りする目的に利用することは難しいのが現実です。

当社グループの「クラウド会計ソフトfreee」は統合型会計ソフトであるため、上流工程と会計帳簿を一体で扱うユニークな設計を有しており、リアルタイムに経営状況が記録され可視化されます。また、財務情報のみならず、財務諸表や各種レポートから、上流工程業務の証憑、取引先、部門等の情報を一元化して可視化し分析することができます。

例えば「予算・実績管理」機能を用いることで、予算と実績の差異について、財務諸表から個々の取引情報まで遡って分析することができます。さらに、蓄積された財務データを基に将来の資金繰りを示し、今後の経営の意思決定をサポートします。

人事労務ソフトの領域においても、従来は、従業員情報及び勤怠情報等のデータが別個のソフトウェアに散逸し、意思決定に有用なデータをリアルタイムで把握することが困難な状況が珍しくありませんでした。

当社グループの「人事労務freee」は、統合型人事労務ソフトであり、人事労務に係る情報を単一のソフトウェアに集約することで、適時に情報を把握することが可能となり、さらに「クラウド会計ソフトfreee」の各種機能と連携することでより経営の意思決定への活用が可能となります。

 

④ 組織全体での利用による効率化と内部統制整備

一般的な会計ソフトは、経理業務に携わる従業員のみがライセンスを有して使うことが想定されています。

「クラウド会計ソフトfreee」は、上述のワークフロー機能の提供を通じて、経理業務の枠組みを超えた企業のあらゆる事業活動において全従業員が活用することが可能な設計となっております。特に中堅規模以上の企業において、全従業員が利用することで「カンタン、自動化」「オペレーション効率化」の更なる追求につながる他、ワークフロー機能が有する承認プロセスの証跡を活用することで内部統制の整備にも貢献します。

また、「人事労務freee」と併せて利用することで、人事データ及び組織構造をリアルタイムにワークフローや経営分析に反映し、一層の業務効率化と高度な経営の可視化の両立を図ることが可能となります。

 

⑤ パブリックAPI(注1)による拡張性

従来のスモールビジネスでは、その企業特有の業務プロセスを自動化するために、独自のシステムを開発するしかありませんでした。しかし、独自のシステム開発は多額な開発コストとメンテナンスコストがかかり、IT投資の体力が限られるスモールビジネスにとって、大きな負担になっていました。また、そもそも独自のシステム開発自体が難しい規模の企業においては、市販のソフトウェアにアナログのプロセスを加えて補う運用がなされてきました。

このように自社開発された独自システムや、市販のソフトウェアと別のソフトウェア間でのデータ連携も容易ではなく、システム間のデータ連携はファイルの取り込み等の手作業によってなされ、工数が増大する上、転記ミス等の原因にもなっていました。

当社グループは、2013年に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステム(注2)の構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」当社グループのサービスとデータ連携を行うためのアプリケーション開発を行うことができます。

そのため、スモールビジネス向けの業務ソフトウェアを提供する企業が、当社グループのサービスとの連携機能を自発的に開発することが容易になります。このような他社製品との連携機能が多く提供されることにより、スモールビジネスが社内業務のための独自のシステムやソフトウェアを開発する負担を大幅に削減することができます。

また、もし独自要件を追加したい場合でも、パブリックAPIを活用すれば、ユーザー企業が自社の業務プロセスに合わせて、カスタマイズ開発を従来より簡単に行うことができます。

2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeのユーザー企業は、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させることができます。業務ソフトウェアを提供する企業にとっては、当社グループの顧客基盤にアクセスできる「freeeアプリストア」への掲載は、魅力的な販促手段となりえます。

(注) 1.組織内部のみでの利用を想定したAPIをプライベートAPIと呼び、他方で、組織外の主体にも利用を認めるものをオープンAPIと呼ぶ。オープンAPIの中でも、特定の提携企業のみでなく、幅広い外部企業が利用可能なものをパブリックAPIと呼ぶ

2.複数の企業同士が非排他的に提携することで、複数の企業が提供するサービスが共存共栄できる生態系のような環境を指す

 

以上の「選ばれる理由」を背景に、有料課金ユーザー企業数(注1)及びARPU(注2)の双方が伸長した結果、当社のARR(注3)は堅調に成長し、2020年6月期末には7,898百万円に到達するなど、事業は順調に拡大しております。

(画像は省略されました)


(注)1.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す。なお、2020年6月期第4四半期決算において、試用期間中の事業所や月額料金の全額がディスカウントされている期間にある事業所等についてカウントから除外するように変更するとともに、従来はメインプロダクトである会計freee、人事労務freeeの課金事業所のみカウントしていたものを、有料サブスクリプションサービス全て(例:会社設立freee上から申し込める電子公告サービス等のサブプロダクトを含む)の課金事業所をカウントするように変更。当該変更は、開示済みの過去数値についても遡及適用

2.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出

3.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。なお、2020年6月期第4四半期決算において、財務会計の先行指標となる管理会計指標(SaaS Metrics)について、先行指標としての正確性をより向上するべく定義の見直しを行っている。例えば、試用期間の間はARRを計上しない、ディスカウント期間はその分ARRも減少させるなど、財務会計上の売上に近い値になるよう変更。当該変更は、開示済みの過去数値についても遡及適用

 

 

(4) サービスラインナップ

①「クラウド会計ソフトfreee」

個人事業主及び法人向けに提供している統合型クラウド会計ソフトです。

銀行口座やクレジットカード等との連携、請求書発行から入金管理、各種稟議や支払依頼など日々行われる経理の上流工程業務との統合により、手入力によるミスを防ぎ、経理作業にかかる時間を大幅に削減することが可能となります。同時に、上流工程業務まで含めた日々のデータを活かして、リアルタイムでの経営指標のモニタリングや詳細かつ打ち手に繋がる経営分析を可能としております。

さらに、従業員に個別アカウントを付与し、ワークフロー機能を利用することで、更なる業務の効率化と内部統制の整備にも寄与します。なお、ワークフロー機能は、承認プロセスの証跡を有していることから、上場企業に求められる内部統制報告制度に対応しており、上場準備企業及び上場企業における利用も非常に効果的です。

また、個人事業主向けプランにおいては、所得税の確定申告までを完結することが可能です。

 

②「人事労務freee」

法人向けの統合型クラウド人事労務ソフトです。

人事労務業務は、給与計算、勤怠管理、保険・行政手続、マイナンバー管理等と多岐にわたり、かつ従来は業務毎で使用するツールが異なるなど、複雑に分断されているという課題がありました。

従業員一人一人が、「人事労務freee」の従業員用アカウントを用いて、個人情報や勤怠情報を入力することにより、給与計算や年末調整の自動化に加えて、労務の諸手続の自動化や従業員マスタとなるデータベースの構築を可能とします。

また「クラウド会計ソフトfreee」と「人事労務freee」を連携することで、給与情報を「クラウド会計ソフトfreee」に自動で転記できるほか、「クラウド会計ソフトfreee」にて申請した経費精算について「人事労務freee」にて計算した給与と一緒に支払うことが可能です。さらに、従業員マスタにおける役職や組織構造を反映したワークフローを、「クラウド会計ソフトfreee」において自動で運用することが可能です。

 

「プロジェクト管理freee」

「プロジェクト管理freee」は、システム受託開発業務や、コンサルティング業務等の案件型のビジネスを運営する事業者向けに提供しているクラウド型プロジェクト管理ソフトです。従来は、プロジェクト管理型ビジネスにおいては、日々の工数入力が手作業であったり、更にその入力したデータ集計が煩雑な管理業務になっていたり、あるいは案件ごとの経費をリアルタイムに補足することは難しくタイムリーに予実管理ができない等の課題がありました。一方、「プロジェクト管理freee」は、カレンダーツールと連携することで、日時と作業内容を提示し、作業工数の入力を素早く簡単に行うことが可能です。また、プロジェクト毎のメンバーの工数や予算消化状況等について容易に確認することができ、プロジェクト毎の収支管理が可能となります。

 

④「会社設立freee」「開業freee」

「会社設立freee」は会社設立時に、「開業freee」は個人事業主としての開業時に提出を求められる書類の作成を効率化できる無料のサービスです。

会社を設立したり、個人事業主として開業したりするには、各種書類の作成から、関係者の捺印、役所への提出手続など、手続が多岐にわたる上、同じ情報を複数の書類に記載する必要があるなど、多くの課題がありました。

「会社設立freee」及び「開業freee」は、会社設立や開業に係る知識がない場合でも、Q&A形式で必要な情報を入力していくことで、必要な情報を各種書類に転記し、必要なすべての書類を自動で作成することが可能です。

 

⑤「申告freee」

「申告freee」は、主に会計事務所向けに提供している、「クラウド会計ソフトfreee」とシームレスに連携したクラウド型税務申告ソフトです。従来の税務申告ソフトは、会計ソフトとは分断されていたことから、会計ソフトから出力したデータを税務申告ソフトに入力する必要があるなど、多大な労力や時間がかかるという課題がありました。

「申告freee」の利用により、これまでプロセスごとに分断されていた会計と申告の業務がシームレスに連携し、「クラウド会計ソフトfreee」に入力された財務情報をもとに税務申告書を自動的に作成することができ、更に、作成した申告書を電子申告することができます。

また、会計事務所は、顧問先とともに「クラウド会計ソフトfreee」を利用し、更に「申告freee」を利用することで、会計事務所における記帳業務、顧問先の決算、申告書類作成等の多岐にわたる業務について、ワンストップでクラウド上で効率的に管理することが可能となります。

 

⑥金融サービス

創業期の中小企業のうち60%が資金繰りに課題を感じており(注1)、倒産企業の約半数を黒字倒産が占めるなど(注2)、スモールビジネスにとって、資金繰りは大きな課題です。

当社グループは、スモールビジネスの資金繰り改善を企図した金融サービスとして、当社が「freeeカード」、フリーファイナンスラボが「オファー型融資」、「請求書ファイナンス」等を提供しております。

「freeeカード」は、従来クレジットカードを作成することが容易でなかった個人事業主や中小企業に特化した事業用クレジットカードです。経費精算や仕入れなどの現金取引のキャッシュレス化によりバックオフィス業務の効率化を、またクレジットカード明細を自動で「クラウド会計ソフトfreee」と同期することにより経営状況の可視化を実現します。なお、「freeeカード」は、当社との提携に基づきクレジットカード会社が発行しております。

「オファー型融資」は、フリーファイナンスラボと金融機関が連携して提供する融資サービスであり、融資を受けられる可能性の高い「クラウド会計ソフトfreee」のユーザー企業に対して、借入可能額や金利などの借入条件をフリーファイナンスラボが試算し、提示します。従来の金融サービスは、申込み後に審査に落ちてしまうリスクがあり、ユーザー企業にとって、金融機関に融資を申込むことへの精神的なハードルが存在していました。「オファー型融資」は、各金融機関と提携し、フリーファイナンスラボが事前に借入可否と条件を試算して提示することにより、ユーザー企業の融資申し込みへの精神的なハードルの解消を実現しております。

「請求書ファイナンス」は、「クラウド会計ソフトfreee」に登録されている売掛債権の情報に基づき、買取可能性の高い債権について「買取オファーリスト」として提示し、利用を希望する場合は、提携先の金融サービス企業が提供する請求書買い取りサービスに申し込むことで、オンラインで売掛債権を現金化することができるサービスです。

「資金調達freee」は、利用可能性の高い資金調達手段を検索・比較して申込ができるオンライン資金調達サービスです。審査通過の可能性が高い資金調達手段に限定して表示することで、従来は審査通過可能性がわからないまま金融機関窓口に出向き、審査に数週間要していた時間を有効活用できるとともに、経営者の精神的負担も軽減することができます。

これらの金融サービスは、資金繰りの実態を把握できる場所である会計ソフト上で、資金繰り改善のアクションまでを可能にするものであり、従来の会計ソフトからは一線を画した価値を提供するものです。

(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2017年版)」

2.株式会社東京商工リサーチ「全国新設法人動向」(2017年)

 

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

(画像は省略されました)


 

(注) 1.会計事務所を通じて導入されるサービスの利用者は矢印の先の「法人・個人事業主」です。「会計事務所」は単純な再販売ではなく、顧問先に対して当社サービスの導入支援サービスを提供します。

2.「申告freee」の主な利用者は「会計事務所」です。

3.「開業freee」及び「会社設立freee」の利用者は「法人・個人事業主」であり、当サービス自体の利用料は無料です。

4.連結子会社2社については、連結業績に与える影響は僅少であるため、事業系統図への記載は省略しております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

① 業績等の概要

当社グループは、スモールビジネス向けのクラウド会計ソフトとクラウド人事労務ソフトのTAM(注1)について、合計で約1.2兆円と推計(注2)しております。一方、従業員300人以下の中小企業における会計ソフトウェア利用率は54.1%、そのうちクラウド会計普及率は14.5%に留まるなど(注3)、クラウドERP市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」(注4)をミッションに掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」の実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。

当連結会計年度においては、当社グループは、ミッションの実現に向けて、ユーザー基盤の更なる拡大のために、ダイレクトセールスの組織の拡充を図ると共に、金融機関やパートナー企業との連携を強化するほか、新サービスである「プロジェクト管理freee」をリリースしました。また、顧客価値向上のため、主要サービスである「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の機能改善に向けた開発投資を実施すると共に、「freeeアプリストア」の掲載アプリの拡充に加えて、他社ソフトウェア・サービスとの連携を強化するほか、金融機関とのAPI連携を推進し、さらなるユーザビリティの改善につとめました。

この結果、当連結会計年度末におけるARR(注5)は前連結会計年度末比49.8%増の7,898百万円、有料課金ユーザー企業数(注6)は同40.0%増の224,106件、ARPU(注7)は同7.0%増の35,246円となりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比52.7%増の6,895百万円、調整後営業損失(注8)は2,587百万円(前連結会計年度は2,660百万円)、営業損失は2,681百万円(同2,830百万円)、経常損失は2,938百万円(同2,850百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,972百万円(同2,778百万円)となりました。

ARR、有料課金ユーザー企業数及びARPU推移

 

2016年6月期末

2017年6月期末

2018年6月期末

2019年6月期末

2020年6月期末

ARR(百万円)

811

1,720

2,986

5,273

7,898

有料課金ユーザー

企業数(件)

54,749

84,517

115,808

160,132

224,106

ARPU(円)

14,821

20,351

25,786

32,930

35,246

 

(注) 1.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料を基礎として、下記2.に記載の計算方法により、当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性があります。

2国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の全潜在ユーザー企業数の従業員規模別法人数(国税庁2017年調査、総務省2016年6月経済センサス活動調査) × 従業員規模別の「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の年間課金額)+(従業員規模別の想定平均従業員数(総務省 2017年労働力調査)× 1ID当たりの年間課金額 )

3株式会社MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査(2017年8月実施)」

4「スモールビジネス」とは、個人事業主と従業員が1,000名以下の法人を指す

5.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。なお、2020年6月期第4四半期決算において、財務会計の先行指標となる管理会計指標(SaaS Metrics)について、先行指標としての正確性をより向上するべく定義の見直しを行っている。例えば、試用期間の間はARRを計上しない、ディスカウント期間はその分ARRも減少させるなど、財務会計上の売上に近い値になるよう変更。当該変更は、開示済みの過去数値についても遡及適用

6.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す。なお、2020年6月期第4四半期決算において、試用期間中の事業所や月額料金の全額がディスカウントされている期間にある事業所等についてカウントから除外するように変更するとともに、従来はメインプロダクトである会計freee、人事労務freeeの課金事業所のみカウントしていたものを、有料サブスクリプションサービス全て(例:会社設立freee上から申し込める電子公告サービス等のサブプロダクトを含む)の課金事業所をカウントするように変更。当該変更は、開示済みの過去数値についても遡及適用

7.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出

8.調整後営業利益:営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用。なお、調整後営業利益については有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません

 

② 財政状態の状況

(資産)

連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比10,517百万円増加の17,898百万円となりました。これは主に、新株発行等による現金及び預金の増加9,783百万円によるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比1,172百万円増加の4,043百万円となりました。これは主に、前受収益の増加858百万円によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比9,344百万円増加の13,854百万円となりました。これは、東京証券取引所マザーズへの上場に伴う新株発行等により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ6,115百万円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、15,136百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は、1,380百万円(前連結会計年度は1,726百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,964百万円、前受収益の増加額858百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動により使用した資金は、1,306百万円(前連結会計年度は539百万円)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出500百万円、有形固定資産の取得による支出218百万円及び無形固定資産の取得による支出505百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

財務活動により獲得した資金は11,970百万円(前連結会計年度は6,484百万円)になりました。これは主に、東京証券取引所マザーズへの上場等に伴う株式の発行による収入12,186百万円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績

当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績は前連結会計年度比52.7%増の6,895百万円となりました。なお、当社グループはプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
 なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 経営成績の分析

(売上高)
 売上高は6,895百万円となりました。これは「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の有料課金ユーザー企業数の増加、ARPUの上昇によるARRの拡大を主因とした売上高の増加によるものであります。

(売上原価、売上総利益)
 売上原価は1,557百万円となりました。これは主に、サービスの利用ユーザー数の増加に伴い、サーバーに係る費用、カスタマーサポートに係る費用が増加したことや、ソフトウェア資産の減価償却費の増加によるものであります。この結果、売上総利益は同51.2%増の5,337百万円となりました。

(調整後販売費及び一般管理費、調整後営業損失)
 調整後販売費及び一般管理費は7,925百万円となりました。これは主に、人件費、マーケティング費用の増加によるものであります。この結果、調整後営業損失(注)は2,587百万円(前連結会計年度は2,660百万円の損失)となりました。
 (営業外収益、営業外費用、経常損失)
 営業外収益は7百万円となり、主な内容は為替差益であります。営業外費用は264百万円となり、主な内容は株式公開費用であります。この結果、経常損失は2,938百万円(前連結会計年度は2,850百万円の損失)となりました。

(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純損失)

特別利益として新株予約権戻入益3百万円を、特別損失として投資有価証券評価損29百万円を計上しております。また、法人税等合計は8百万円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,972百万円(前連結会計年度は2,778百万円の損失)となりました。

(単位:百万円)

 

2018年6月期

(単体)

2019年6月期

(連結)

2020年6月期

(連結)

売上高

2,414

4,516

6,895

売上原価

684

986

1,557

売上総利益

1,730

3,530

5,337

調整後販売費及び一般管理費

5,072

6,191

7,925

 うち調整後R&D(注1)

1,604

1,623

1,958

 うち調整後S&M(注2)

2,896

3,536

4,607

 うち調整後G&A(注3)

572

1,030

1,359

調整後営業利益(△)

△3,342

△2,660

△2,587

 

(注)1.Research and Developmentの略称。研究開発に係るエンジニアの人件費や関連する経費及び共通費等の合計

2.Sales and Marketingの略称。販売促進に係る広告宣伝費やセールス人員の人件費や関連する経費及び共通費等の合計

3.General and Administrativeの略称。コーポレート部門の人件費や関連する経費及び共通費等の合計

4.調整後R&D、調整後S&M、調整後G&A及び調整後営業利益の各数値については、 有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません

 

③ 財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析については、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動にかかる人件費や広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本としております。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(セグメント情報等)
【セグメント情報】

 当社グループの事業セグメントは、プラットフォーム事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2018年7月1日 至 2019年6月30日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2019年7月1日 至 2020年6月30日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

(2)有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
 

(1) 経営方針

当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」をコンセプトとしたサービスを提供しております。

 

(2) 当社グループの強み

① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション

国内企業の99.7%を占める中小企業(注1)は、大企業と比べて生産性が低く、テクノロジー活用には大きな成長ポテンシャルが存在しております。当社グループでは顧客ターゲットであるスモールビジネスを従業員規模別に区分した個人事業主、Small及びMidの3セグメントに対して、それぞれのニーズに即したソリューションを提供しております。(注2)

当社グループは、ビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAM(注3)について、合計で約1.2兆円と推計(注4)しております。また、従業員300人以下の中小企業等における会計ソフトの中でのクラウド会計ソフトの普及率は14.5%(注5)に留まり、そもそも会計業務にソフトウェアを活用している層が54.1%(注5)と少ないため、同市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。なお、現状の我が国における会計ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウド普及率は、下表のとおり、海外主要国と比較して低い水準にあり、我が国における普及余地が多分に存在するものと考えております。株式会社MM総研の調査では、設立1年未満の法人の53.1%が、既に会計ソフトとしてクラウドを選択するようになっており(注6)、今後の普及傾向の加速を示唆するものと考えております。

会計ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウド普及率の比較(注7)

 

日本

アメリカ

イギリス

オーストラリア

ニュージー

ランド

会計ソフト

14.3%

52.5%

34.8%

61.2%

68.0%

人事労務ソフト

19.0%

81.2%

55.1%

51.9%

59.1%

 

前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由」にて記載のとおり、当社グループの提供するサービスは、単に従来型の会計ソフト・人事労務ソフトをクラウド化したものとは異なる統合型のクラウド会計ソフト・人事労務ソフトであり、経費精算や請求書発行といった記帳業務の上流工程まで含めた一体的な設計により、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化、及び経営者の意思決定のナビゲーションにも寄与するものです。

こうしたユニークなサービス設計・顧客価値により、成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場において、当社グループのユーザー規模は創業以来順調に拡大しており、「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」はともに我が国における市場シェア1位を獲得(注8、9、10)するなど、マーケットリーダーとしてクラウド会計・クラウド人事労務業界を牽引しており、とりわけ「クラウド会計ソフトfreee」については新設法人、並びに「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の両者についてはIPO準備企業群にて多く使われております。

(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2019年版)」

2.個人事業主、Small及びMidにおける潜在企業数と出所は下表のとおり

 

潜在企業数

出所

個人事業主

4,522,381

国税庁2017年調査

Small(従業員が19名以下の法人)

1,549,342

総務省2016年6月

経済センサス活動調査

Mid(従業員が20名以上1,000名未満の法人)

319,800

 

 

3.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料を基礎として、下記4.に記載の計算方法により、当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性があります。

4.国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の全潜在ユーザー企業数の従業員規模別法人数(国税庁2017年調査、総務省2016年6月経済センサス活動調査) × 従業員規模別の「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」の年間課金額)+(従業員規模別の想定平均従業員数(総務省 2017年労働力調査)× 1ID当たりの年間課金額 )

5.株式会社MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査(2017年8月実施)」

6.株式会社MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査(2016年9月実施)」

7.International Data Corporation(IDC)「Semiannual Software Tracker Forecast 2014-2023 2018H2」 及び「Semiannual Cloud Services Tracker Forecast 2014-2023 2018H2」からクラウド化率の比較的高い国を抜粋。当該国には、ニュージーランドの同業プレーヤーであるXeroが進出しております。

8.クラウド会計ソフトの市場シェア:株式会社BCN「クラウド会計ソフトを導入している従業員数300名未満の企業又は個人事業主へのWeb調査(2017年9月実施)」

9.クラウド会計サービス主要3社におけるユニークユーザー数No.1(55%):株式会社ローカルフォリオ「クラウド会計主要3社のユーザ数推計」(2019年10月実施)。ユニークユーザー(UU)数とは、ログイン後トップページにアクセスしたユニークユーザー数をいう。UU数比較は、クラウド会計サービス各社におけるログイン後トップページのページビュー(PV)数とログイン後トップページのUU数の比率が一致するとの仮定に基づき、かつ各社のログイン後トップページのPV数を基礎とした推定(ローカルフォリオ(2019年10月)。調査期間は2018年6月-2019年5月)

10.クラウド給与計算ソフトの市場シェア:株式会社MM総研「日本におけるクラウド給与計算ソフトの利用状況調査に関するWeb調査(2016年3月実施)」

 

② スモールビジネス向けクラウドERP市場における更なるTAMの拡大

当社グループは、上記のとおり、従来の会計・人事労務ソフトの枠を超えて、バックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)を志向してサービスを提供しております。今後はさらに提供するサービスモジュールを広げ、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲拡大を目指してまいります。これは、上流工程から下流工程までを一貫してソフトウェア化するユニークな設計思想によって可能になるものです。

そのため、従来の会計・人事労務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)のTAMとして捉えた場合には、当社グループが狙うTAMは、上記①のスモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAM(合計で約1.2兆円)よりも、更に拡大したものとなりうると当社グループは考えております。

 

③ スモールビジネスの情報が蓄積されたビジネスプラットフォーム

「クラウド会計ソフトfreee」は、統合型会計ソフトであるため、経理財務情報のみならず、上流工程である個々の取引情報までを広くカバーしており、各ユーザー企業のトランザクションデータを保有しております。ECサイトや決済サービス等も同様にトランザクションデータを保有しておりますが、一つのユーザーが複数のECサイトや決済サービスを利用するのに対し、「クラウド会計ソフトfreee」は他のソフトと併用する必要はなく、すべてのトランザクションデータが集約される点が強みです。

また、「人事労務freee」には、人事労務の定型業務に係る情報が一元的に蓄積されており、従業員向けの付加サービスを提供する上での有力なプラットフォームになると考えております。

 

④ 高い安定性を誇る財務モデル

当社グループは、サービスの多くをサブスクリプション(継続課金)方式で提供しており、売上高合計に占めるサブスクリプション売上高の比率は90%超(注1)と、安定的かつ継続的な収益構造にあります。

顧客生涯価値(LTV)(注2)の長期的な最大化を企図し、機能改善の開発やカスタマーサクセス等に投資しております。その結果、2020年6月期における月次平均解約率(注3)は約1.6%となっており、大企業と比して廃業率が高く他のソフトウェアへの乗り換えが多い傾向にあるスモールビジネスを対象としたサービスとしては、低い解約率を実現しております。

 

(注) 1.サブスクリプション売上高(顧客から解約意思を示されない限り継続する自動更新契約から毎月得られる収益)を全売上高で除した比率(2020年6月期)

2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期間×MRR×売上総利益率によって算出

3.(当該月に有料課金ユーザーでなくなったユーザーに関連するARR÷前月末ARR)の過去12ヶ月平均。当社の全顧客セグメントを集計対象

 

 

⑤ 企業文化

「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションの実現に向け、当社グループは「マジ価値を届けきる集団」であると自己定義し、「本質的な価値(マジ価値)をユーザーに届けきること」を世の中へのコミットメントとして位置づけております。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする」という意味であり、当社グループが創業以来、大切にしている考え方です。同時に、これは届いてこそ意味があるという考えから、マジ価値を届ける共通基盤であり、全役員及び全従業員が持つべきマインドとして「マジ価値2原則」を、マジ価値をチームとして届けるために大切にしたい行動として「マジ価値指針」を全役員及び全従業員で議論し浸透させております。

当社グループは、ミッションやコミットメントに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感・カルチャーを持つ組織を実現しています。

マジ価値2原則

・「社会の進化を担う責任感」:社会をよい方向へ進化させる責任を有するという自負をもって、あきらめずに挑戦する姿勢。また、世の中を変えうるよい事例は率先してつくるという姿勢

・「ムーブメント型チーム」:目指すべき世の中の方向性に共感し、自律的にアクションを起こす姿勢

マジ価値指針

・「理想ドリブン」:理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける

・「アウトプット⇒思考」:まず、アウトプットする。そして考え、改善する

・「Hack Everything★」:取り組んでいることや持っているリソースの性質を深く理解する。その上で枠を超えて発想する

・「ジブンゴーストバスター」:新しいことに挑戦し続けるために、自分が今向き合いたいジブンゴースト(過去の経験から形成された思い込み・行動の癖)を言語化し、それに対するフィードバックを貪欲に求め、立ち向かっていく

・「あえて共有」:人とチームを知る。知られるよう共有する。オープンにフィードバックをしあうことで一緒に成長する

 

 

(3) 経営環境 

我が国は、少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口は2018年から2040年にかけて20.5%の減少が見込まれております(注1)。また、2017年3月に政府が「働き方改革実行計画」を発表、労働環境の規制が強化されています。加えて、最低賃金も直近10年で28.6%上昇する(注2)など、労働生産性の向上が益々要求される局面を迎えております。生産年齢人口が減少する一方で、新設法人数や副業者数は増加傾向にあります(注3、4)。こうした独立を志向した生き方に対するニーズが時代に合わせて大きくなることで、スモールビジネスの裾野は広がりを見せております。

当社グループでは、このような環境下において、スモールビジネスは労働力への依存から脱却し、テクノロジーに代替可能な作業を積極的に置き換える必要があるほか、アイデアやパッションやスキルがあれば誰でもが挑戦できる社会をつくり、新しい生き方のニーズに対応することが重要であると認識しており、スモールビジネスが強くスマートになることに貢献するサービスの開発、提供を目指してまいります。

(注) 1.総務省「情報通信白書 平成30年版」

2.厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧 平成30年度」。東京における最低賃金

3.株式会社東京商工リサーチ「全国新設法人動向(2008年、2018年)」。新設法人数は2008年から2018年にかけて27.5%増加

4.総務省統計局「平成29年就業構造基本調査結果」。副業者及び追加就業希望者数は2012年から2017年にかけて14.9%増加
 

(4) 中長期的な経営戦略

① ユーザー基盤の更なる拡大

当社グループの2020年6月末における有料課金ユーザー企業数(注1)は224,106件であり、創業以来順調に拡大し続けております。創業当初はWebマーケティングやSNS(注2)を通じて流入したユーザー企業による自発的なユーザー登録が中心でしたが、インサイドセールス(注3)チームやフィールドセールス(注4)チームを立ち上げたほか、会計事務所向けセールス組織を強化するなど、スモールビジネスへのタッチポイントを拡充してきました。

さらに、ユーザー基盤の拡大が多様化する中で、既存ユーザー企業からの紹介も増えてまいりました。

今後もスモールビジネスへのタッチポイントの深化、多様化を進めることで、ユーザー基盤の更なる拡大を進めてまいります。

有料課金ユーザー企業数推移

 

2016年6月期末

2017年6月期末

2018年6月期末

2019年6月期末

2020年6月期末

有料課金ユーザー

企業数(件)

54,749

84,517

115,808

160,132

224,106

 

(注)1.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す。なお、2020年6月期第4四半期決算において、試用期間中の事業所や月額料金の全額がディスカウントされている期間にある事業所等についてカウントから除外するように変更するとともに、従来はメインプロダクトである会計freee、人事労務freeeの課金事業所のみカウントしていたものを、有料サブスクリプションサービス全て(例:会社設立freee上から申し込める電子公告サービス等のサブプロダクトを含む)の課金事業所をカウントするように変更。当該変更は、開示済みの過去数値についても遡及適用

2.SNS:Social Networking Serviceの略称。登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス

3.インサイドセールス:メールや電話等を活用し、非対面で実施する営業活動

4.フィールドセールス:見込み顧客を直接訪問し、対面で実施する営業活動

 

 

② 顧客価値の最大化

当社グループは継続的に新規サービスをリリースしてきたほか、既存サービスの機能改善などにより、顧客価値の向上に努めてまいりました。また、中堅規模の企業においても活用可能なプランのリリース等を通じて高価格帯の顧客割合が増加し、結果としてユーザー企業のARPU(注1)の上昇を実現してまいりました。

今後は、従来注力してきたバックオフィス業務周辺のサービスに加えて、関連モジュールを強化し、スモールビジネスの業務の効率化と可視化をより多くの範囲で実現し、経営課題を解決するプラットフォームを構築する予定です。

真にスモールビジネスに必要とされる既存サービスの改善や新規サービスのリリース(注2)等を通じて、顧客価値の最大化を目指してまいります。

年間ARPU推移

 

2016年6月期末

2017年6月期末

2018年6月期末

2019年6月期末

2020年6月期末

年間ARPU

(円)

14,821

20,351

25,786

32,930

35,246

 

(注)1.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出

2.調達・在庫管理、CRM、プロジェクトマネジメント、法務、POS/Payment、タレントマネジメント、決済等の分野におけるサービスを想定しておりますが、これらは将来リリースする可能性のあるサービスの例示であり、本書提出日現在で具体的に決定しているものはありません。

 

③ オープンプラットフォームの充実

当社グループは、2013年10月に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステムの構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」当社グループのサービスとデータ連携を行うためのソフトウェア開発を行うことができます。

また、2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeユーザーは、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させ、利用開始できます。

今後も公開するfreeeAPIを拡張し、アプリストアに掲載されるソフトウェアのラインナップの充実化を図ることで、多様なニーズを有するスモールビジネスの業務効率化及び経営の可視化に貢献してまいります。

 

④ 金融サービスの拡大

当社グループは、金融サービスを展開する子会社として、2018年10月にフリーファイナンスラボを設立し、2019年6月に「資金繰り改善ナビ」としてオファー型融資サービス等をリリースしました。

今後もスモールビジネスにとって大きな課題である資金繰りに対して、これらの改善を進めるとともに、データとテクノロジーの力を活用することで、最終的に、あらゆる経営課題に対処する人工知能CFO(注)のようなサービス開発及び提供を目指してまいります。

(注)人工知能が個々のスモールビジネスのデータを分析することで、自動で経営アドバイスを行い、CFOとしての役割を果たすようなコンセプト

 

⑤ 取引プラットフォームの進展

「クラウド会計ソフトfreee」において提供している「スマート請求書」は、freeeユーザー同士がクラウド上でスマート請求書を送受信することにより、受領した請求書の情報をワンクリックで会計帳簿に反映することが可能です。本機能はユーザー単体の請求書管理に係る工数や時間の効率化に寄与するだけではなく、本機能を相互に活用するユーザー間のネットワークが拡大するほど、双方の取引の効率化が進み、複数ユーザーの業務最適化が加速する好循環を生み出します。今後は、請求書の送受信に加えて、freeeのユーザー企業間で、取引の受発注や、決済の実行を、簡単かつ安心して実行できるサービスの実現を目指します。

 

 

(5) 対処すべき課題

① スモールビジネス向けクラウドERP市場の拡大

当社グループは、スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMについて、合計で約1.2兆円と推定(注)しております。従業員300人以下の中小企業等における会計ソフトウェア利用率は54.1%、そのうちクラウド会計普及率は14.5%に留まり、今後の普及率上昇に伴う高い成長が見込まれます。

当社グループは、スモールビジネス向けクラウドERP市場におけるリーディングカンパニーとして、市場を引き続き牽引することが重要であると認識しております。

(注)前記「(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照

 

② 組織体制の整備

当社グループの継続的な事業成長の実現に向けて、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、人事制度の構築やカルチャーの推進等を進めてまいります。

 

③ 情報管理体制の強化

当社グループは、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、専任の情報セキュリティチームを設置しております。また情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。

 

④ 新規事業の展開

現在、当社グループの収益の大半が「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」等のSaaSサービスから成り立っております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存サービスの伸長に加えて、金融サービスや取引プラットフォームにおける新規事業の展開を積極的に検討してまいります。

 

⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出

当社グループは、事業拡大を目指し、開発投資や顧客獲得活動等に積極的に投資を進めており、2020年6月期は営業損失を計上しております。

当社グループの収益の中心であるSaaSビジネスは、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。一方で、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。

当社グループでは、事業の拡大に伴い、ストック収益が順調に積み上がることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下傾向にあり、営業損失率は改善しております。

一方で、SaaSビジネスにおいては、投資効率を計る指標として顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得コスト(CAC)(注)のバランス(LTV/CAC)が重要な指標となるため、当社グループではこれを最重要の指標として顧客獲得活動における投資判断をしてまいりました。当該指標を満たす場合に積極的に投資していくことが、中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。

今後も、投資効率指標であるLTV/CAC等に配慮しながら、サービス強化のための開発活動や、認知度向上のためのマーケティング活動への投資を通じて、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。

(注)CAC:Customer Acquisition Costの略称。顧客の獲得に要するコストであり、セールス活動及びマーケティング活動に係る費用が該当

 

 

2 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業に関するリスクについて

① クラウド関連市場について

当社グループのプラットフォーム事業は、売上高の大部分をクラウドサービスのサブスクリプション売上高が占めています。国内のBtoB向けのクラウド関連市場は従来型の会計ソフト・人事労務ソフトと比べて発展途上段階にあり、当社グループは当該市場が今後も拡大していくことが事業展開の前提であると考えております。当社グループでは、今後もクラウド関連市場の順調な成長を見込んでおりますが、クラウドサービスに関連して、今後新たな法的規制の導入、技術革新の停滞などの要因により、クラウドサービスの導入が想定通りに進捗せず、クラウド関連市場の成長が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新、規制変更等への対応について

当社グループのプラットフォーム事業においては、顧客であるスモールビジネスのニーズに対応したサービスの拡充・開発を適時かつ継続的に行うことが重要です。

とりわけ、クラウドサービスを取り巻く技術革新のスピードは大変速く、先端的なニーズに合致するクラウドサービスを提供し続けるためには、常に先進的な技術ノウハウを獲得し、当社グループの開発プロセス・組織に取り入れていく必要があります。このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境・開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見・ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合又は競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このように、当社グループが技術革新に対して、適時かつ適切に対応することができなかった場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力や業界での地位の低下を招き、また、対応のための支出の増大により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、会計、税務、人事労務その他の規制に関する変更により、当社グループのサービスについて重大な修正を要し、又は販売が延期若しくは中止となる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 法的規制について

当社は、電子決済等代行業者として関東財務局に登録(登録番号:関東財務局長(電代)第1号)(以下、「本登録」という。)し、銀行法に基づく役務の提供を行っております。本登録に関して、有効期限は存在しないものの、銀行法又は銀行法に基づく関東財務局長の処分に違反したとき、その他電子決済等代行業の業務に関し著しく不適当な行為をするなどして本登録が取り消された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。但し、本書提出日現在において、本登録の継続に支障を来す要因は発生しておりません。

また、当社子会社であるフリーファイナンスラボ株式会社は貸金業者として東京都に登録(登録番号:東京都知事(1)第31728号)を行っており、貸金業法に基づく役務の提供を行っております。

上記許認可及び登録の状況の概要は以下のとおりであります。

 

(当社)

許認可等の名称

取得年月日

所管官庁等

許認可等の内容

有効期限

主な許認可等の取消事由

電子決済等代行業者

2018年9月26日

(登録)

金融庁

電子決済等代行業1号業務(銀行口座への送金指図伝達業務)及び2号業務(銀行口座情報の取得・提供業務)の登録

銀行法第52条の61の17

 

 

(フリーファイナンスラボ株式会社)

許認可等の名称

取得年月日

所管官庁等

許認可等の内容

有効期限

主な許認可等の取消事由

貸金業者

2019年1月29日

(登録)

金融庁

貸金業者の登録

2022年

1月29日

貸金業法第24条の6の5

 

 

当社グループは、社内の管理体制の構築等により、当該法令を遵守する体制を整備しておりますが、当社グループが当該法令に抵触すること等により何らかの行政処分を受けた場合や、社会情勢の変化等により当社グループの事業展開を阻害する規制の強化等が行われた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

とりわけ、フィンテック領域におけるサービスの普及に伴い、「銀行法」の改正が行われるなど、フィンテック領域におけるサービスに関する法令整備が進んでおり、今後新たに関連業者を対象とした法的整備が制定された場合、当社グループが現在提供する又は新規に取り組む金融サービスその他の業務が一部制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報管理体制について

当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。

これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティに係る専任チームを設置し、情報資産を適切に管理、保護しております。具体的には、「クラウド会計ソフトfreee」については、国際的な保証報告書であるSOC1 Type1報告書及びSOC1 Type2報告書を取得しているほか、提携先の金融機関によるセキュリティチェックや、電子決済等代行業者の登録に際して金融庁によるセキュリティチェックをパスしております。また、個人情報保護に係る国際認証であるTRUSTe認証を取得し、関連法規類に準拠した情報保護を実施しています。さらに、情報セキュリティ基本方針を定め、従業員に対して継続的な研修活動を実施しております。

しかしながら、このような対策にもかかわらず、重要な情報資産の外部漏洩等により、当社グループが行政指導や行政処分等を受け、当社グループの社会的信用が失墜し、若しくは損害賠償請求が発生する可能性があり、また、情報資産の取扱いに関する法規制若しくはその運用の厳格化等により、当社グループのサービスの停止、情報の利活用に対する制約の増加等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 競争状況について

当社グループは、主としてクラウド会計サービス業者、クラウド人事労務サービス業者と競合するほか、クラウドサービスと従来型の会計ソフト・人事労務ソフトの双方を提供している会計・人事労務サービス業者とも競合していることに加え、当社グループが属するクラウド関連市場は、近年急速に拡大している分野であるため、さらに多数の競合企業が参入する可能性があります。

当社グループは、これまで培った独自の開発ノウハウを活用したサービスを提供し、また、新規顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めておりますが、既存の競合企業の競争力の向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化にともなって、当社グループや当社グループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について

当社グループのSaaSサービスのビジネスモデルは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、当社グループの継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。

既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、当社グループのサービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、当社グループの想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。

単価向上については、当社グループは、ユーザー企業当たりのユーザーID数の増加によるARPUの増加、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、既存顧客の事業が成長しない、中堅規模の企業の顧客獲得が奏功しない、又は当社グループのサービスが顧客のニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。

これらの結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 事業の拡大に伴うリスクについて

現在、当社グループの収益は、主力サービスである「クラウド会計ソフトfreee」及び「人事労務freee」等のSaaSサービスによる売上が大部分を占めている状況であるため、当社グループは、多角的観点から新たな収益源を常に模索し、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲の拡大を目指すとともに、金融サービスの拡大や取引プラットフォームの進展に取り組んでまいりますが、これらの戦略はまだ初期段階にあります。例えば、当社グループは、今後、フィンテック領域における新規金融サービス等、現在の事業領域と異なる分野にも進出する可能性があります。しかしながら、現在の事業領域と異なる分野に進出したものの当該分野において収益化が進まない場合や当該分野に関係する法規制に新たに服することになる場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 先行投資から得られる効果が期待通りに実現しないリスクについて

当社グループが運営する事業は、先行的に研究開発費及び広告宣伝費を投下し、サービス開発とユーザー獲得を進めることが必要なものであり、当社グループは、創業以来赤字を継続しております。当社グループは、今後も、収益性の向上に努めながらも、先行的な投資を継続する方針です。

当社グループは、海外の同業他社等を参考に、売上に対して適切な比率の額を研究開発費として先行投資し、将来的なサービスの競争力を維持・向上させることに努めておりますが、研究開発活動をより確実に成果に結びつけるため、新規のサービスを小規模に開始し、市場の反応を確認しながら改善していく方法を採っております。また、顧客獲得活動についても先述のとおりLTV/CACを投資判断の重要指標としながら可能な限り成果を数値として計測・把握し、日々活動の効率を向上させております。

しかしながら、経営環境の急激な変化、その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、こうした確実性を担保する努力にも関わらず、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑨ 金融機関、他社ソフトウェアや会計事務所との連携について

第三者との連携は、当社グループの事業の維持・成長における重要な取り組みです。例えば、当社グループが提供するサービスの重要な機能として、金融機関及び他社ソフトウェアとデータ連携することによる入力等業務の自動化が挙げられます。

金融機関との口座同期(いわゆるアカウントアグリゲーション)について、当社は電子決済等代行業の第一号として関東財務局へ登録しており、2020年8月末現在において、1,079の金融機関と契約締結が完了しております。何らかの事情により、当該許認可の取り消しや金融機関との契約が維持できない場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

一方、他社ソフトウェアとのデータ連携は、主に当社グループが提供するパブリックAPIを通じて実施するものとなります。当社グループは顧客基盤の拡大及びサービスの機能の向上を通じて、連携先企業からみた当社グループが提供するプラットフォームの魅力を増大させております。また連携先企業を増やすことで、特定の連携先に対して依存しない体制の構築に向けて取り組んでおります。しかしながら、何らかの事象による連携先企業と当社グループの関係悪化等によって、連携が解消された場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

さらに、当社グループは、会計事務所及び金融機関等との間で密接な関係を築くことでスモールビジネスとのタッチポイントを拡充しています。しかしながら、会計事務所との関係は対価が生じないものであり、連携先には当社グループとの関係を継続する義務はありません。競合他社がインセンティブを提供することなどにより、当社グループの連携先の数が減少した場合には、当社グループの顧客獲得力が減退し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 固定資産の減損リスクについて

当社グループは、今後減損の兆候が認められ、減損損失の認識をすべきであると判定されたソフトウェア等の固定資産について減損損失を計上する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 業績の季節変動について

当社グループの個人事業主向けのプランの新規契約の多くが確定申告時期(1月から3月、当社グループにおける第3四半期)に集中する傾向があります。確定申告時期においては、他の四半期の時期と比して、広告宣伝費を増額することが多く、第3四半期における損益が悪化する傾向にあります。

また、2020年6月期については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、確定申告期限が当初3月中旬であったところ4月以降に延長され、同連結会計年度の損益に一定の影響が生じました。このように、確定申告期限の変更により、上記季節変動に変更が生じる可能性があります。

 

⑫ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響について

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、当社グループでは、2020年3月から5月にかけては原則在宅勤務とし、2020年6月以降は、原則として在宅勤務とする方針を継続しながら、必要に応じて出社・訪問を一部認める体制へと移行しております。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済の先行き不透明感を背景とした、企業活動の意思決定に遅れが生じる等の顧客側の事情により、一部新規顧客の獲得へのネガティブな影響が継続または悪化する可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期間にわたり継続し、日本経済により大きな影響が生じた場合には、当社グループの新規顧客の獲得や既存顧客へのアップセル・クロスセルの状況が悪化するとともに、既存課金ユーザー企業の解約が増加するなど、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) システム等に関するリスクについて

当社グループが運営する事業は、PC、スマートフォン、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は影響を受けます。

また、当社グループのサービスは、外部クラウドサーバー(Amazon Web Services社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)にて提供しており、AWSの安定的な稼働が当社グループの事業運営上、重要な事項となっております。当社ではAWSが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、当社の役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。AWSは、世界中に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)で運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えております。

しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon Web Services社との契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社グループの追加費用負担、又は当社グループのブランドの毀損などにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(注)1.地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているため1つのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。

2.リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。

3.金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準のことをいいます。

 

 

(3) 経営管理体制に関するリスクについて

① 内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて

当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の採用・育成について

当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。しかしながら、特にエンジニア等の一定の人材の確保に関する競争は激しく、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合又は人材確保のためにより高額の報酬を支払うこととなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定人物への依存について

当社の代表取締役である佐々木大輔は、創業者であると同時に創業以来当社の事業推進において重要な役割を担ってまいりました。同氏は、クラウド会計ソフトの企画から開発、運用に至るまで豊富な経験と知識を有しております。当社の設立以降は、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他会議体において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ コンプライアンス体制について

当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権の管理について

当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、当社グループの経営管理部及び顧問弁護士への委託等による事前調査を行っております。しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払いやこれらに伴うサービス内容の変更の必要等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが保有する権利の権利化ができない場合もあります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) その他のリスクについて

① 自然災害、事故等について

当社グループでは、自然災害、事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループが保有する設備の損壊や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

株式の追加発行等による株式価値の希薄化について

当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権及び譲渡制限付株式を付与しております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合や譲渡制限付株式の発行に伴い、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2020年8月末)でこれらの新株予約権による潜在株式数は5,286,486株であり、発行済株式総数48,524,396株の10.9%に相当しております。


③ 訴訟について

当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開するなかで、当社グループが提供するサービスの不備、情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 税務上の繰越欠損金について

2020年6月期末は、当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2012年7月

東京都港区にCFO株式会社(現フリー株式会社)を資本金100万円で設立

2013年3月

「クラウド会計ソフトfreee」をリリース

2013年7月

商号をCFO株式会社からフリー株式会社に変更

2014年2月

「クラウド会計ソフトfreee iOS版」をリリース

2014年4月

「クラウド会計ソフトfreee Android版」をリリース

2014年8月

東京都港区から東京都品川区に本店移転

2014年10月

「クラウド給与計算ソフトfreee」をリリース

2015年5月

e-gov API(注)を利用した日本初の労働保険申告機能をリリース

2015年6月

「会社設立freee」をリリース

2015年9月

「マイナンバー管理freee」をリリース

2015年12月

金融機関向けプロダクトをリリース

2016年4月

関西支社を開設

2016年6月

AI研究に特化したスモールビジネスAIラボを創設

2016年9月

九州支社を開設

2016年10月

「開業freee」をリリース

2016年10月

株式会社みずほ銀行とAPI連携(メガバンクとのAPI連携は国内初)

2016年10月

「申告freee」をリリース

2017年3月

「クラウド会計ソフトfreee」において、上場会社(金融商品取引法監査)にも対応したエンタープライズプランをリリース

2017年5月

中部支社を開設

2017年7月

事業用クレジットカード「freeeカード」を開発

2017年8月

「クラウド給与計算ソフトfreee」をリブランドし、「人事労務freee」をリリース

2018年10月

子会社フリーファイナンスラボ株式会社を設立

2019年1月

アプリケーションプラットフォーム「freeeアプリストア」をリリース

2019年6月

フリーファイナンスラボ株式会社が「資金繰り改善ナビ」をリリース

2019年12月

東京証券取引所マザーズに上場

2020年4月

「プロジェクト管理freee」をリリース

 

(注)API: Application Programming Interfaceの略称。ソフトウェアの一部を公開することで、他のソフトウェアと機能の共有を可能にするインターフェースを指す

 

(5) 【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2020年6月30日現在

区分

株式の状況(1単元の株式100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

12

37

81

192

11

5,738

6,071

所有株式数
(単元)

20,908

3,622

25,543

265,478

16

167,571

483,138

7,022

所有株式数
の割合(%)

4.33

0.75

5.29

54.95

0.00

34.68

100.00

 

 

3 【配当政策】

当社グループは、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置付けておりますが、創業して間もないことから、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。
 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本としており、その他年1回中間配当を行うことができる旨及び上記の他に基準日を設けて剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当にかかる決定機関を取締役会とする旨を定款で定めております。

 

 

(2) 【役員の状況】

 

男性8名 女性1名(役員のうち女性の比率11.1%)

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数(株)

代表取締役CEO

佐々木 大輔

1980年9月18日

2004年4月

㈱博報堂入社

2006年7月

CLSAキャピタルパートナーズジャパン㈱ 入社

2007年5月

㈱ALBERT 入社

2008年5月

Google㈱(現 グーグル合同会社) 入社

2012年7月

当社設立 代表取締役CEO就任(現任)

2020年4月

国立大学法人 一橋大学 経営協議会委員(現任)

(注)3

11,259,500

取締役CFO

東後 澄人

1981年3月19日

2005年4月

McKinsey & Company Inc. Japan 入社

2010年2月

Google㈱(現 グーグル合同会社) 入社

2013年7月

当社 入社

2013年9月

当社 取締役就任

2018年6月

当社 取締役CFO就任(現任)

2020年4月

ウェルスナビ株式会社 社外取締役就任(現任)

(注)3

274,800

取締役COO

尾形 将行

1978年7月31日

2001年4月

総務省 入省

2012年7月

アクセンチュア㈱ 入社

2016年1月

当社 入社

2019年2月

当社 取締役COO就任(現任)

(注)3

0

取締役CDO

平栗 遵宜

1981年7月18日

2012年10月

当社 入社

2019年2月

当社 取締役就任

2020年7月

当社 取締役CDO就任(現任)

(注)3

219,000

取締役

川合 純一

1965年8月19日

1990年4月

International Consulting of Japan 入社

1994年4月

㈱リクルート 入社

2007年4月

McKinsey & Company Inc. Japan 入社

2009年4月

㈱アイ・エム・ジェイ 入社

2012年7月

Google㈱(現 グーグル合同会社) 入社

2014年10月

グーグル合同会社 執行役員就任

2016年1月

当社 社外取締役就任(現任)

2017年11月

グーグル合同会社 上級執行役員就任(現任)

(注)3

0

取締役

浅田 慎二

1977年7月7日

2000年4月

伊藤忠商事株式会社 入社

2015年3月

セールスフォースドットコム 入社

2018年2月

セールスフォースドットコム 執行役員就任

2019年2月

セールスフォースドットコム 常務執行役員就任

2020年4月

One Capital株式会社

代表取締役CEO(現任)

2020年6月

弁護士ドットコム株式会社 戦略アドバイザー(現任)

2020年7月

スマレジ株式会社 社外取締役(現任)

2020年9月

当社 社外取締役(現任)

(注)3

0

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数(株)

常勤監査役

内藤 陽子

1978年10月31日

2001年4月

明光ナショナル証券㈱(現 SMBC日興証券㈱) 入社

2004年12月

新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入所

2018年9月

当社社外監査役就任(現任)

(注)4

0

監査役

原 幹

1969年5月16日

1992年10月

井上斉藤英和監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人) 入所

1998年4月

フューチャーシステムコンサルティング㈱(現 フューチャー㈱) 入社

2001年2月

ウルシステムズ㈱ 入社

2004年11月

㈱NTTデータシステムデザイン 入社

2007年4月

原幹公認会計士事務所開設 代表就任(現任)

2007年5月

㈱クレタ・アソシエイツ設立 代表取締役就任(現任)

2007年6月

原幹税理士事務所開設 代表就任(現任)

2009年8月

大有ゼネラル監査法人 社員就任

2013年9月

当社 社外監査役就任(現任)

2015年6月

㈱あしたのチーム 社外監査役就任

2019年12月

アガサ㈱ 社外監査役就任(現任)

2020年3月

㈱あしたのチーム 社外監査役就任(現任)

(注)4

0

監査役

平山 剛

1980年8月1日

2004年4月

㈱ピラミッドフィルム 入社

2007年6月

監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ) 入所

2008年11月

最高裁判所司法研修所 入所

2009年12月

平山剛公認会計士事務所設立 代表就任(現任)

2010年1月

伊藤見富法律事務所/モリソンフォースター外国法事務弁護士事務所 入所

2010年11月

マネックスグループ㈱ 入社

2011年7月

ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所 入所

2012年8月

㈱瑞穂商事 社外取締役就任

2012年10月

㈱オモロキ 取締役就任(現任)

2015年1月

㈱ブレイブソフト 取締役就任

2015年3月

タイラカ総合法律事務所設立 代表就任(現任)

2015年4月

慶應義塾大学総合政策学部 非常勤講師就任

2017年2月

㈱あぐんちゃー 社外取締役就任

2017年6月

㈱バルクホールディングス 取締役就任

2017年9月

Rapyuta Robotics㈱ 社外監査役就任(現任)

2018年3月

㈱APProg 取締役就任

2018年9月

当社 社外監査役就任(現任)

2019年6月

㈱バルクホールディングス 監査役就任(現任)

2020年6月

ソーシャルワイヤー㈱ 社外監査役就任(現任)

(注)4

3,000

11,756,300

 

(注)1.取締役川合純一氏及び浅田慎二氏は、社外取締役であります。

2.監査役内藤陽子氏、原幹氏及び平山剛氏は、社外監査役であります。

3.取締役の任期は、2021年6月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。

4.監査役の任期は、2023年6月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。

 

 

(社外取締役及び社外監査役)

本書提出日現在、当社は社外取締役を2名、社外監査役を3名選任しております。

社外取締役及び社外監査役は、社外の視点を踏まえた客観的な立場から、経営者や専門家として豊富な経験や幅広い見識に基づき、経営上の助言を行い、また、取締役の業務執行に対する監督機能及び監査役の監査機能を強化し、コーポレート・ガバナンスを健全に機能させることが役割と考えております。

当社は、社外取締役及び社外監査役の独立性に関する具体的基準又は方針は定めていないものの、株式会社東京証券取引所の定める独立役員に関する判断基準等を勘案した上で、コーポレート・ガバナンスの充実・向上に資する者を選任することとしております。なお、社外取締役の川合純一氏及び浅田 慎二氏、社外監査役の内藤陽子氏、原幹氏及び平山剛氏は、当社との人的関係、資本的関係、取引関係その他の利害関係はなく、一般株主と利益相反の生じるおそれもないことから、独立役員として指定しております。

社外取締役の川合純一氏は、長年にわたるインターネット業界における豊富な経験を有しており、客観的に当社の経営に適切な発言を行っていただけることが期待できることから選任しております。

社外取締役の浅田慎二氏は、長年にわたるSaaS業界における豊富な知見を有しており、客観的に当社の経営に適切な発言を行っていただけることが期待できることから選任しております。

社外監査役の内藤陽子氏は、公認会計士の資格を有しており、監査法人にて様々な企業に対する監査業務の経験を有しており、財務及び会計に相当程度の知験を有していることから、客観的かつ中立の立場で当社の監査に反映していただくため選任しております。

社外監査役の原幹氏は、公認会計士としての監査業務の他、コンサルティング会社での助言業務の経験を有しており、財務及び会計に相当程度の知験を有していることから、客観的かつ中立の立場で当社の監査に反映していただくため選任しております。

社外監査役の平山剛氏は、公認会計士として監査業務の他、弁護士として法律事務所での弁護士業務の経験を有しており、財務、会計及び法務に相当程度の知験を有していることから、客観的かつ中立の立場で当社の監査に反映していただくため選任しております。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

フリーファイナンスラボ株式会社

東京都品川区

100,000

金融サービス

100.0

役員の兼任2名

開発業務の受託

その他1社

 

(注)有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

 

 

【売上原価明細書】

 

 

 

前事業年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

当事業年度

(自 2019年7月1日

至 2020年6月30日)

区分

注記
番号

金額(千円)

構成比
(%)

金額(千円)

構成比
(%)

Ⅰ 労務費

 

605,291

57.9

872,763

54.4

Ⅱ 経費

439,310

42.1

731,595

45.6

  小計

 

1,044,601

100.0

1,604,359

100.0

  仕掛品期首たな卸高

 

 

 

3,444

 

      合計

 

1,044,601

 

1,607,803

 

  仕掛品期末たな卸高

 

3,444

 

 

 

  当期売上原価

 

1,041,157

 

1,607,803

 

 

 

(注)  ※  主な内訳は、次のとおりであります。

項目

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

通信費

253,331

400,030

 

 

(原価計算の方法)

当社の原価計算は、実際原価による個別原価計算を採用しております。

 

※1  販売費及び一般管理費のうち主要な費目は、次のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自  2018年7月1日

至  2019年6月30日)

当連結会計年度

(自  2019年7月1日

至  2020年6月30日)

研究開発費

1,623,690

千円

1,958,640

千円

給料及び手当

1,479,261

1,816,921

広告宣伝費

1,359,094

1,829,839

貸倒引当金繰入額

17,729

4,095

 

 

1 【設備投資等の概要】

当社グループは、プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

当連結会計年度の設備投資の総額は194,692千円であり、主な内容はPC等の購入によるものであります。また、当連結会計年度において、重要な設備の除却、売却等はありません。

 

【借入金等明細表】

該当事項はありません。

 

【社債明細表】

該当事項はありません。

 

株価(1年)
期間を変更
PER(1年/会予)
期間を変更

その他企業情報

企業価値416,863 百万円
純有利子負債-15,069 百万円
EBITDA・会予N/A
発行済株数48,531,700 株
設備投資額195 百万円
減価償却費179 百万円
のれん償却費N/A
研究開発費1,958 百万円
代表者代表取締役CEO 佐々木 大輔
資本金6,248 百万円
住所東京都品川区西五反田二丁目8番1号
会社HPhttps://corp.freee.co.jp/