1年高値 | 3,145 円 |
1年安値 | 829 円 |
出来高 | 155 千株 |
市場 | 東証JQG |
業種 | 医薬品 |
会計 | 日本 |
EV/EBITDA | 65.8 倍 |
PBR | 7.3 倍 |
PSR・会予 | 8.3 倍 |
ROA | N/A |
ROIC | N/A |
営利率 | N/A |
決算 | 12月末 |
設立日 | 2003/4/10 |
上場日 | 2008/3/25 |
配当・会予 | 0.0 円 |
配当性向 | 0.0 % |
PEGレシオ | N/A |
①キナーゼへの着目
人ががん疾患、リウマチなどの免疫炎症疾患、アルツハイマー病などの神経変性疾患になると、体内では細胞の異常な増殖、分化が起こっています。この原因と考えられている分子のひとつに、細胞内外の情報伝達をつかさどるキナーゼ(*)と呼ばれる酵素があります。このキナーゼによるシグナル伝達が正常でない場合、細胞においてさまざまな異常をきたし病気につながることが知られています。当社は、このキナーゼに焦点をあてて、画期的な新薬の創製を目指し研究開発を行っております。
②キナーゼ阻害薬の活躍
がん、炎症、リウマチなどの異常な細胞の増殖を伴う疾患では、それら細胞のなかに存在する特定のキナーゼ(*)がそれら細胞の異常な増殖や分裂を引き起こしていることについて明らかになっていました。しかしながら、キナーゼは細胞の生命機能において大変重要な働きを担っているため、キナーゼを阻害する薬は副作用が強いのではないかと懸念されていました。
その流れを変えたのが、平成13(2001)年に米国で販売が開始されたBCR-ABLチロシンキナーゼを阻害する慢性骨髄性白血病治療薬のグリベック® (一般名:イマチニブ、製造販売元:Novartis AG)の成功です。この成功により、特定のキナーゼ(*)の働きのみを抑制する、安全で有効な分子標的治療薬(*)の研究が製薬企業で活発に進められるようになり、その後、タルセバ®(一般名:エルロチニブ、製造販売元:OSI Pharmaceutical Inc.・Genentech, Inc.、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、ネクサバール®(一般名:ソラフェニブ、製造販売元: Bayer AG・Onyx Pharmaceuticals,Inc. 、マルチターゲット型キナーゼ阻害剤)、スーテント®(一般名:スニチニブ、製造発売元:Pfizer Inc.、マルチターゲット型キナーゼ阻害剤)、スプリセル®(一般名:ダサチニブ、製造発売元:Bristol-Myers Squibb, Co. 、BCR-ABL及びSRCファミリーチロシンキナーゼのデュアル阻害剤)、ALK融合遺伝子を標的としたザーコリ®(一般名:クリゾチニブ、製造発売元:Pfizer Inc. )、イムブルビカ®(一般名:イブルチニブ、製造発売元:Janssen Pharmaceuticals, Inc.、BTK阻害薬)ならびにイブランス®(一般名:パルボシクリブ、製造発売元:Pfizer Inc.、CDK4/6阻害剤)と、次々に大型のキナーゼ阻害薬(*)が誕生し、多くの患者に届けられています。また、がん疾患のみならず免疫炎症疾患を対象としたゼルヤンツ®(一般名:トファシチニブ、製造発売元:Pfizer Inc. )が、米国FDA(U.S. Food and Drug Administration)により承認されるなど、2001年から始まるキナーゼ阻害剤のFDAによる承認数はますます増加しており、低分子の分子標的薬(*)の可能性は引き続き拡がりをみせているものといえます。さらに、欧米の製薬企業のみならず、わが国の製薬企業が開発した低分子のキナーゼ阻害剤が相次いで上市されるなど、今後もブロックバスターと呼ばれる大型新薬を目指した製薬企業による開発競争は厳しさを増すものと予想されます。
さらに、がん治療の分野における画期的な進展として、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ、製造発売元:小野薬品工業株式会社等、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体)に代表されるがん免疫療法に基づく分子標的薬(*)の相次ぐ承認が挙げられます。一部の患者では治療により寛解する等、これまでにない成果を挙げておりますが、これらがん免疫療法薬の効果をさらに高めることが重要な課題となっています。その代表的なアプローチとして、これらがん免疫療法薬と他の薬剤との併用療法が注目されており、その代表的な薬剤の一つとしてキナーゼ阻害薬(*)がその成果を挙げつつあります。特に、エーザイ株式会社が開発したレンビマ®は、抗PD-1抗体であるキイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ、製造販売元:Merck & Co., Inc.)との併用で高い抗腫瘍効果を示し、大型提携に発展する等、キナーゼ阻害薬は、単剤としての効果のみならず、これら併用療法において治療効果を高める薬剤としても大いに期待されます。
上記のような分子標的薬(*)は、特定の疾患において特異的に発現している標的分子を選択的に阻害するため、効果的でかつ副作用が少ないという特徴をもっており、加えてコンパニオン診断による投薬前の事前検査を行うことで、治療効果が高いと判定された患者への投薬が可能となり、より高い安全性と治療効果をもたらし、個別化医療の実現に着実に近づくことが期待されます。現在、40を超えるキナーゼ阻害薬(*)が米国FDAにおいて承認されているとともに、世界中の製薬企業やバイオベンチャーで更に新薬が研究開発され、臨床試験段階に入っております。
(画像は省略されました)
(注)図中のATP(*)については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾の用語解説をご参照願います。
③低分子経口薬(分子標的薬)の社会的価値
細胞内にあるキナーゼ(*)という酵素をターゲットとするキナーゼ阻害薬(*)は、従来の治療薬と比較して治療効果が高く、副作用が少ないと考えられ、これまでに多くの薬剤が上市(*)されていますが、その代表的な分子標的薬(*)として、キナーゼ阻害薬は、世界各国の大手製薬企業や研究機関、バイオベンチャー等で活発な研究開発が進められています。
現在、医薬品として認可され、上市(*)されている分子標的薬は、大きく分けて2種類あります。その一つが、注射により患者に投与される抗体医薬(高分子)であり、もう一つが、当社において創薬研究(*)及び開発(*)を行っている経口の低分子阻害薬(飲み薬)であります。近年、バイオ医薬品として抗体医薬が注目を集めておりますが、主に細胞で培養し製造されるため複雑な製造工程を有しており、比較的薬価が高いものが多く、医療経済を圧迫する一因ともなっています。また注射剤であることから、患者は投与を受けるために通院を要し、肉体的な負担が比較的大きい薬といえます。他方、当社が創薬を行っている経口剤である低分子のキナーゼ阻害薬は、医師による処方により患者自身が任意の場所で飲み薬として服用できることから身体的負担が少ないだけでなく、化学合成により比較的安価に製造されるため薬価を低く抑えることができ、医療経済上においても優しいものであることから、開発途上国などを含む世界中の患者に広く提供可能な薬といえます。
さらに、抗体医薬品は高分子であることから注射による投与により主に細胞表面の分子を標的としておりますが、キナーゼ阻害薬等の低分子阻害薬は経口投与により体内に吸収されて細胞内に到達し、細胞内の複雑なシグナル伝達経路に存在する分子の働きを阻害することができます。それにより、疾患の原因となっている細胞内の異常なシグナル伝達のみを阻害することができる薬剤の開発が可能となります。
当社グループは、当社(カルナバイオサイエンス株式会社)及び連結子会社(CarnaBio USA, Inc.)により構成されており、「創薬事業」及び「創薬支援事業」という2つの事業を、主たる事業として手掛けております。
当社グループの事業内容及び当社と子会社の当該事業における位置づけは次のとおりであります。
(注) セグメントは事業の区分と同一であります。
新薬の創薬ターゲットを同定し、その標的に有効な医薬品候補化合物を創製して、さらにその有効性・安全性を確かめ医薬品としてわが国の厚生労働省や米国FDA等の規制当局に承認申請を行い、承認を得るまでの過程を「創薬」といいます。当社グループは、この「創薬」の中でも、特にキナーゼ阻害薬(*)を創製するための基盤となる技術、いわゆる「創薬基盤技術」をベースに、「創薬事業」及び「創薬支援事業」を展開していることが特徴です。
当社グループの事業内容の系統図は以下の通りです。
(画像は省略されました)
①創薬事業
当社グループの創薬事業は、キナーゼ阻害薬(*)等の創薬研究(*)を行い、その後の開発段階として前臨床試験ならびに臨床試験を行うとともに、創薬に係る研究開発成果を製薬企業等へ導出(ライセンスアウト)し、その対価として収益を獲得するというビジネスモデルに基づいて事業を行っております。この対価には、製薬企業等へ医薬品候補化合物を導出した時点で獲得する契約一時金、その後の研究開発の進展に伴い目標を達成した時点で獲得するマイルストーン収入、さらに新薬の上市後の売上の一定割合を獲得するロイヤリティ収入があります。米国の創薬型バイオベンチャー企業が多く採用しているこのタイプのビジネスモデルは、創薬全体の研究開発コストを1社において負担するリスクを回避するとともに、創薬研究段階ないしは開発(*)の初期ステージにおいて、画期的な医薬品候補化合物を製薬企業等へ導出することで、創薬研究のオープンイノベーションを先導するものであります。
a.キナーゼ阻害薬等の研究開発
当社グループは、創薬事業において、新規性が高くこれまでにない画期的なキナーゼ阻害薬(*)等の創製に係る研究開発を行っております。研究開発テーマは、特にアンメット・メディカル・ニーズの高い、いまだ十分な治療方法が確立していない疾患を中心に選定しており、特にがん、免疫炎症疾患を重点疾患領域として、画期的な新薬の創製を目指し研究開発を行っております。研究開発の体制は、自社単独で行う研究開発プロジェクトを実施するとともに、製薬企業、大学及び公的研究機関等と共同で新薬の研究開発を行っております。
さらに、当社グループの創薬事業においては、初期の開発ステージ、いわば臨床試験の前期第2相(フェーズⅡa)までの研究開発を行うことを基本方針としており、コスト負担の大きい後期第2相(フェーズⅡb)以降の開発(*)は手掛けず、それ以前のいずれかの段階で製薬企業等へ導出(ライセンスアウト)するビジネスモデルを基本としています。当社グループは、自社及び共同研究で手掛けた医薬品候補化合物の知的財産権に基づく開発・商業化の権利を製薬企業等に供与することによって、ライセンス契約締結時における契約一時金、前臨床試験や臨床試験等の各ステージを開始/完了した時、承認申請時、承認取得時等の目標達成に伴うマイルストーン収入、並びに新薬の上市(*)後にその売上高等に対する一定の割合をロイヤリティー収入として受け取る収益モデルを想定しております。
なお、平成30年12月末現在で、1テーマを製薬企業等に導出済みであり、2テーマが前臨床試験段階にあり、その他複数の研究テーマについても非臨床段階の研究開発を行っております。
b.新薬の研究開発プロセスについて
<新薬の研究開発プロセス及び一般的な期間>
(画像は省略されました)
※ 当社グループの創薬事業は、上表の実線部分までのステージを手掛けることを基本方針としております。点線部以降の各ステージは、導出先の製薬企業等が手がけることになります。
(a) 創薬研究
創薬研究(*)の初期段階では、疾患に関連すると想定される遺伝子やタンパク質を標的(ターゲット)として、その標的が創薬の対象として妥当であるか、また可能性があるかを検討します。基礎研究段階で創薬のターゲットとなりうることが確認されると、そのターゲットに対するハイスループットスクリーニング(HTS)(*)を実施し、一定の基準を満たしたヒット化合物(*)の選出を行います。そのヒット化合物の中からさらに医薬品になる可能性のある構造を持ったリード化合物(*)の創出研究を行います。見出されたリード化合物は、試験管内でのターゲットに対する作用や疾患モデル動物での治療効果を評価する薬理試験や毒性試験を通して、候補化合物の化学構造を最適化していきます。このとき、経口吸収性、体内での安定性、蓄積性などを評価する薬物動態試験も実施し、ターゲットへの作用だけでなく薬としての特性も同時に明らかにしていきます。そして、前臨床試験段階に進めるべき化合物を決定します。
(b) 前臨床試験
医薬品の臨床試験実施及び製造販売承認申請に必要な前臨床試験は、薬効試験、薬物動態試験、安全性試験の3種類に大別されます。その際、動物福祉を配慮して科学的に前臨床試験を実施します。そして試験内容により厚生労働省の省令GLP「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準」やガイドラインに準拠して実施します。そしてそれらの結果を厳格に評価して、臨床試験に進めるべき候補化合物か否かを決定します。
(c) 臨床試験(治験)
前臨床試験で薬効、安全性と薬物動態が確認された候補化合物(治験薬)は、実際にヒトに慎重に投与され、主作用と副作用が検討・評価されます。その際には、倫理面での十分な配慮の下、科学的に適正に実施されることが厳密に要求されます。また、治験に参加するすべてのボランティア(健常成人あるいは患者の方)から、十分な説明に基づいて、文書により参加の同意を取得することも厳密に要求されます。治験全体にわたってはGCPという基準(国内では厚生労働省の省令「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」)に従って実施されます。
そして治験は以下の三つの段階で実施されます。
第1相試験(フェーズⅠ)では、原則として同意を得た少数の健康な成人に治験薬を投与し、安全性や体内動態を確認します。
第2相試験(フェーズⅡ)は、前期(フェーズⅡa)及び後期(フェーズⅡb)に分かれ、前期では少数の患者に治験薬を投与し、目標とする病気や病態に効果があるか、さらに安全性や薬物動態についても調べます。当社ではここまでのいずれかの段階までの研究開発を行い、製薬企業等へ導出する方針です。後期では、少数の患者に治験薬を投与し、投与量や投与方法の違いによる効果や安全性の比較検討も行います。
第3相試験(フェーズⅢ)では、数百人から数千人の患者に治験薬を投与し、必要により既存薬と比較して治験薬の有効性、安全性と薬物動態を詳細に検討し、医薬品としての可能性を様々な要素から厳密に評価します。
②創薬支援事業
当社グループは、製薬企業やバイオベンチャー、大学等の各種研究機関を顧客として、これらの研究者に対してキナーゼ阻害薬(*)の創薬研究(*)において基盤となる技術、いわゆる「創薬基盤技術」に基づく製品及びサービスを提供し、これら顧客の創薬活動を支援する創薬支援事業を展開しております。特に、創薬における研究プロセスの初期段階であるヒット化合物(*)の抽出から前臨床試験の手前までの研究段階(新薬候補となる新規化合物の創製及び絞り込み)に焦点を当てて、キナーゼ阻害薬の研究開発における品質及び信頼性向上ならびにコスト圧縮や期間短縮などの効率化に寄与することを通じて、製薬企業等における新薬の創製に貢献するとともに、当社の自社創薬に係る研究開発資金を自ら捻出し、創薬事業に融通しています。
キナーゼ阻害薬(*)等の新薬の研究開発を行うプロセスは、1)創薬ターゲットの同定、2)スクリーニング(*)及びリード化合物(*)の創出、3)リード化合物の最適化(*)といった段階を経て、前臨床試験ならびにその後の臨床試験へと進みますが、当社グループの創薬支援事業においては、これら1)、2)、3)の段階において必須となる以下の製品及びサービスを提供しております。
a.キナーゼタンパク質(*)
b.アッセイ(*)開発
c.プロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス
d.セルベースアッセイ(*)サービス
e.その他関連サービス
製薬企業や創薬ベンチャー企業が他社との創薬競争を勝ち抜くためには、他社に先駆けて新薬を開発(*)し、医薬品として規制当局の承認を経て上市(*)する必要があります。このような製薬企業等における創薬のスピードアップを図るためには積極的に外部のリソースを活用することが重要であるといわれており、アッセイ(*)系構築、プロファイリング(*)・スクリーニング(*)、X線結晶構造解析(*)並びにセルベースアッセイ(*)等をアウトソーシングする製薬企業等は増加の一途を辿っているものと思われ、創薬研究(*)の担い手が創薬ベンチャー企業中心となるなかで、潤沢な社内の研究リソースを有しない創薬ベンチャー企業を中心にこれらサービスの需要は拡大基調にあると予想しており、また創薬研究プロセスの効率化の観点から、これまでに存在しなかったアッセイ系やより高度化されたサービスの需要が高まっているといえます。当社は創薬基盤技術を駆使し、顧客ニーズに合致した付加価値の高い製品・サービスを開発してきましたが、今後も積極的に開発に取り組み、売上の拡大に取り組んでまいります。
<創薬研究プロセス及び当社グループ創薬支援事業の事業領域>
(画像は省略されました)
a.キナーゼタンパク質
当社グループは、平成30年12月末時点で369種類450製品のキナーゼタンパク質(*)(活性ミュータントキナーゼ、非活性キナーゼ及び非活性ミュータントキナーゼを除く)を製品化することに成功し、主に製薬企業向けに販売しております。具体的には、スクリーニング(*)用グレード及び結晶化用の高純度グレードキナーゼタンパク質を取り揃えており、少量(5㎍)から大量(mgレベル)まで幅広く供給できる体制を整えています。さらに、表面プラズモン共鳴 (SPR)(*)やバイオレイヤー干渉法 (BLI)(*)といった物質間の相互作用を評価する系(解析機器)で利用可能なビオチン化キナーゼタンパク質(*)についても89製品を販売しております。
平成30年12月末現在、78種類133製品のチロシンキナーゼ(うち53製品は活性ミュータントキナーゼ等)、266種類292製品のセリン/スレオニンキナーゼ(うち7製品は活性ミュータントキナーゼ)及び25種類の脂質(リピッド)キナーゼ(*)、並びに8種類の非活性キナーゼ及び7種類の非活性ミュータントキナーゼについて、キナーゼタンパク質(*)の販売を行っております。特に、脂質キナーゼであるDGK(ジアシルグリセロールキナーゼ)は、当社のみが化合物評価に利用可能な活性型キナーゼタンパク質全10種類を提供できることから、全世界の新薬研究を行う製薬企業等からの注文が期待されます。
当社グループは、顧客ニーズに合致した高品質のキナーゼタンパク質(*)を製造・販売し、売上の拡大を図っております。
b.アッセイ開発・アッセイキット
当社グループは、遺伝子クローニング(*)の技術、活性のある/ないキナーゼ(*)を発現し抽出する技術、基質(*)探索及びアッセイ(*)系構築に関する各種の知見ならびに技術を蓄積しています。平成15年にヒトゲノムが解読され、これによって簡単にヒトの遺伝子を取得できるようになりましたが、高い活性を有するキナーゼを取得するには、組み換え(リコンビナント)タンパク質(*)の構造、発現細胞の選択及びその培養方法、キナーゼの高純度精製技術などのノウハウが必要です。キナーゼの活性を測るために必要な基質(*)についても、当社が保有する基質ライブラリーを用い、個々のキナーゼに対応する基質を探索したデータが蓄積されています。
これらにより平成30年12月末時点で351製品のキナーゼ(*)のアッセイキットの開発に成功し、当社で製造したキナーゼタンパク質(*)、それに適合した基質(*)、アッセイバッファー(希釈液)及びプロトコル(手順書)を一式にしたキナーゼ活性測定キットとして販売をおこなっております。その他のキナーゼについても顧客より要望があれば、カスタムでアッセイ(*)系の開発を行うサービスを提供しています。このアッセイキットにおいても、開発に注力してきた脂質キナーゼ(*)製品で17種類を提供しており、変化する顧客ニーズを的確に把握し、売上の拡大を目指してまいります。
c-1.プロファイリングサービス
リード化合物(*)の最適化の段階では、副作用の少ない新規医薬品候補化合物を創製するために、毒性試験等を実施し、標的とする特定のキナーゼ(*)のみを選択的に阻害し、阻害すべきでないキナーゼは阻害しない化合物(*)を見つけ出すことが重要となります。そのための、より多くのキナーゼに対し網羅的かつ迅速に阻害すべきキナーゼと阻害すべきでないキナーゼを見極める測定方法として、プロファイリング(*)が最適な方法と考えられます。
当社グループは、平成30年12月末時点で342製品のキナーゼ(*)についてプロファイリング(*)が可能です。そのうち192製品のキナーゼについては、より生体内に近いATP(*)濃度である1mMでのプロファイリングが可能です。これにより、顧客である製薬企業等は特定のキナーゼのみを阻害する選択性の高い化合物(*)を見つけることが可能となります。顧客がどのキナーゼを選んだらよいか手間であるという場合に備え、当社グループはQuickScout®パネル(MAPキナーゼ(*)カスケードのキナーゼ31種類をあらかじめ選択したプロファイリングパネル等4種類のプロファイリングパネル)を用意しています。顧客から化合物(*)をお預かりし、キナーゼに対する阻害率の測定、50%阻害濃度(IC50値)の測定を行い、結果を報告するサービス等を展開しております。当社グループのサービスを利用することで、顧客は網羅的なプロファイリングが可能となり、顧客にとって副作用の少ない新薬開発のための時間とコストを削減することが可能です。
さらに、強い阻害効果を示すキナーゼ阻害剤(*)の中には、キナーゼ(*)への結合が遅いもの(slow binder)もあることが知られています。このような化合物を評価する際、アッセイ(*)時のキナーゼ反応の前に化合物と対象キナーゼとのプレインキュベーション(事前にキナーゼと化合物を反応させること)(*)を実施することにより、本来の化合物の阻害活性を算出することが可能となります。顧客からの要望に基づき、Mobility Shift Assay(*)で室温でのキナーゼ活性の安定性が確認されたキナーゼ171製品について、本サービスを提供しています。通常の測定では適正な評価が難しいslow binderの評価に有益なサービスです。
当社グループは、プロファイリング(*)及び後述のスクリーニング(*)を行うために、PerkinElmer, Inc.(米国、以下「パーキンエルマー社」という)のアッセイ(*)機器(LabChip® EZ Reader)を使用しており、この測定機器を用いて自動化を図り、効率的なアッセイを行っております。
c-2.スクリーニングサービス
スクリーニング(*)とは、顧客から化合物(*)をお預かりし、当社が構築したアッセイ(*)系を用いて、特定のキナーゼ(*)に対して、阻害活性があるかどうかなど特定の性質を有するかについて一度に大量に評価し、結果を報告するサービスです。特に、数十万化合物の中からヒット化合物(*)を探索する過程で用いられる大規模アッセイ(ハイスループットスクリーニング(HTS)(*))を効率的に実施するためには、試薬を混ぜるだけで反応が検出できるホモジニアス(*)なアッセイ系構築のノウハウが必要です。
当社グループは、上記c-1.に記載の通り、平成30年12月末時点で、342製品のキナーゼ(*)のアッセイ(*)系の構築に成功しており、これらアッセイ系を用いて顧客からお預かりした化合物(*)のなかで、特定のキナーゼに対して阻害活性があるものを選び出し、結果を報告するスクリーニングサービスを提供しております。また、当社のアッセイ系は環境への負荷を考慮して、ホモジニアス(*)で且つ放射性同位体(*)を使わないアッセイ系を複数のプラットフォーム(*)(Mobility shift assay法(*)、TR-FRET法(*)、IMAP®(*)等)で構築し、スクリーニングを実施しております。
d.セルベースアッセイサービス
上記のプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスは、バイオテクノロジー技術を駆使して、細胞内から抽出したキナーゼ(*)という酵素の活性(リン酸化(*))について、キナーゼ阻害薬(*)がどのくらい阻害するかしないかを試験管の中で確認するためのものでありますが、セルベースアッセイ(*)サービスは、細胞レベルでのアッセイ(*)であり、細胞内に存在するキナーゼが、キナーゼ阻害薬によりどれくらい阻害される/されないか等を確認する評価系であります。より実際の生体内の環境に近いレベルで薬剤の効果を確認することができます。
当社グループは、平成30年12月末現在で、下記の自社提供ならびに協力会社の販売代理店となり、下表のサービスを提供しております。
これら当社グループのオンリーワン技術に基づいたセルベースアッセイ(*)サービスは、キナーゼ阻害薬(*)の研究が深化するにともなって需要が高まっており、より安価に、より迅速に、細胞レベルにおいてリン酸化(*)シグナルの状態を解析することを望む顧客において、広く利用されております。
e.その他関連サービス
当社グループは平成28年8月にSARomics Biostructures AB(スウェーデン、サロミクス社)及びIniXium(カナダ、イニキシウム社)と販売代理店契約を締結し、サロミクス社が提供するX線結晶構造解析(*)サービス並びにイニキシウム社が提供する結晶化グレードタンパク質の販売等を行い、当社グループを通じ顧客に提供しております。
③同一の創薬基盤技術で顧客の創薬研究の支援と自社の創薬研究を行うことについて
当社グループの創薬支援事業は、当社の創薬研究(*)により見出されたキナーゼ阻害薬(*)の創製に係るさまざまな技術、知見、ノウハウの集大成である「創薬基盤技術」を駆使して事業を行っています。この「創薬基盤技術」は、世界最大クラスのキナーゼコレクション、数万種類のキナーゼフォーカス化合物ライブラリー、高品質な各種アッセイ(*)プラットフォーム(*)及びキナーゼプロファイリングパネル等、キナーゼ(*)に係る創薬技術により構成されており、長年の創薬研究において培われた当社の重要な財産であります。
この「創薬基盤技術」を当社の創薬研究(*)のみならず、世界の製薬企業、バイオベンチャー及び研究機関に対して提供することにより、画期的な新薬をより早く世に送り届ける一翼を担いたいとの認識から、新薬の創製を自ら行なう創薬事業と同時に他社をサポートする創薬支援事業を行っています。同時に、創薬支援事業で獲得した資金を創薬事業に融通することにより、創薬事業における創薬研究のスピード化を図ることもその目的としております。
しかしながら、一つの会社の中に自社の知的財産を創造する機能と、他社の知的財産の創造を支援する機能が共存していることは、顧客に対して顧客情報の秘匿性の確保についての懸念を与えかねません。
当社グループはプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの委託契約において、顧客からの委託を受けて行ったプロファイリング・スクリーニングの結果を用いた顧客の研究成果について、全て顧客に帰属する旨の契約を締結すると共に、顧客データへのアクセス権を厳密に設定、管理し、それらへのアクセスログをすべて記録する等、社内において全ての顧客情報の秘匿性に万全を期しており、情報セキュリティ及び管理体制の向上にも常に取り組んでいます。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループでは、創薬基盤技術をベースに「創薬支援事業」及び「創薬事業」を展開しており、この2つの事業を報告セグメントとしております。
「創薬支援事業」では、キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービス等を行っております。「創薬事業」では、キナーゼ阻害薬等の研究開発を行っております。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね一致しております。
報告セグメントの利益又は損失は、営業損益ベースの数値であります。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日)
(注) 1.セグメント資産の調整額1,862,070千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。
2.セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
当連結会計年度(自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日)
(注) 1.セグメント資産の調整額1,366,922千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。
2.セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
【関連情報】
前連結会計年度(自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日)
当連結会計年度(自 平成30年1月1日 至 平成30年12月31日)
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。
以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、経営の基本理念である「人々の生命を守り、健康に貢献することを目指します。」を基に、人々の生命を守り、そして人々の健康に資する「創薬」に貢献することを経営の基本方針としております。
また、「創薬」に貢献することにより、ステークホルダーとの深い信頼関係のもと、企業価値向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
創薬支援事業については、安定的に収益を獲得する基盤事業として、継続的な事業成長と収益基盤の拡大を図るため、売上高伸び率、売上総利益率及び営業利益を重要な経営指標としております。
創薬事業については、医薬品候補化合物の導出後の安定的な収益を獲得するまでに相応の期間を要するため、短期的な経営指標で業績評価を行うことは適切でありません。当社が導出した創薬パイプラインの医薬品候補化合物が規制当局により承認を受け患者のもとに届けられるまでの今後の見通しが公表できる段階で、株主資本の効率的活用を重視する観点から、ROE(株主資本利益率)などを経営指標として用いて、事業計画、経営成績ならびに企業価値の周知に努めてまいります。
(3)中長期の経営戦略および財務戦略について
当社グループは、創薬事業において創製した医薬品候補化合物が、導出先の製薬企業等による製造販売承認を経て医薬品として上市(*)され、その売上に係るロイヤリティ収入により安定的な財務基盤を構築し、画期的な医薬品を永続的に世に送り出すことを通して人々の健康に貢献することを目指しております。
そのために当社は、現在前臨床段階にあるパイプラインを早期に臨床試験段階へステージアップを図り、自社臨床試験を実施することにより当社創薬パイプラインの価値を最大化し、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなることで、当社の企業価値を高めてまいります。当社において、従前は早期に大手製薬企業等へ導出することを基本方針として注力しておりましたが、現在は当社で臨床試験を実施し創薬パイプラインの価値を最大限に高めたうえで導出することを中期的な経営の基本方針として掲げています。それと並行して、医薬品開発の競合状況や導出先製薬企業とのタイミングを見計らいながら、当社にとって最大価値を生み出せるよう戦略的かつ臨機応変に導出交渉に取り組んでまいります。
当社グループの財務戦略においては、長期にわたる研究開発を行うための強固な財務基盤を保つために、手許資金については高い流動性と厚めの資金量を確保及び維持することを基本方針としております。当社グループにおいて必要な資金を生み出すセグメントである創薬支援事業において安定的な収益が計上できるよう、キナーゼ関連製品・サービスの市場規模が大きい北米地域や近時伸びが顕著な中国での売上拡大に注力するとともに、当社製品・サービスの品質向上ならびに生産性向上に取り組み収益力の強化を図ってまいります。さらに、現在実施している新株予約権を用いた資金調達を行使期限までに完了させるとともに、必要に応じて新たな資金調達や金融機関等からの借入を実施し、当社の企業価値を高めるための先行投資として実施する研究開発の資金確保に努めてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社は創薬ベンチャーとして、画期的な新薬を一日も早く世に送り出すことを目指して事業を行っております。そのために必要な資金を確保し、迅速かつ効率的に研究開発を進め、当社の創薬パイプラインを早期に臨床試験段階へステージアップを図り、自社臨床試験を実施して、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなることで、当社の企業価値を高めてまいります。
当社の創薬事業では、平成30年12月末現在で2つのBTK阻害薬プログラム(AS-0871:リウマチ、AS-1763:血液がん)が前臨床試験段階にあります。当社は外部委託先と連携を図りながら、最速で前臨床試験を進め、早期の臨床試験開始を目指します。当社は、創薬パイプラインの価値の最大化を目指して、この臨床試験を自社で実施することを当面の目標としています。このため、平成30年7月に新設した臨床開発部を中心に、自社で臨床試験を実施するための基盤整備を着実に進めております。さらに、当社の創薬パイプラインの拡充に向けて、創薬基盤技術のさらなる強化に取り組むなかで、次世代の研究ターゲットを確立してまいります。
導出活動については、自社臨床試験の基盤整備が進んでいることから、各創薬パイプラインごとに早期導出するか、あるいは自社開発するか等の導出に向けた戦略を立てたうえで、当社創薬パイプラインの価値を最大化できるよう導出活動に取り組んでまいります。
当社グループは、創薬支援事業において、キナーゼタンパク質(*)ならびにキナーゼ阻害薬(*)の創製研究に関する創薬基盤技術から産み出した製品・サービスを、国内外の製薬企業等に提供しております。今後、さらなる売上シェアや顧客層の拡大を図るためには、顧客ニーズに基づいた独自性の高い製品・サービスメニューの拡充が重要であると認識しております。そのために、当社グループがこれまで蓄積してきたキナーゼタンパク質の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを活用して、オンリーワンの新規キナーゼ製品の開発ならびに新たな評価系の確立に取り組んでまいります。さらに、キナーゼに関する専門知識に基づく学術営業を通じた顧客ニーズの的確な把握に努め、顧客特注案件への対応を強化してまいります。加えて、作業工程の改善を図り生産性の向上に努め、収益力を強化してまいります。
また、売上拡大のための販売戦略として、地域的には北米の市場規模が大きいことから、米国子会社であるCarnaBio USAにおける販売体制の強化を図り、売上拡大に注力します。さらに当社グループの顧客はがん疾患の研究グループの比重が高く、免疫炎症、中枢神経等、他の疾患領域の研究者に対しても拡販を図ることが課題です。当社グループのオンリーワン製品を中心に、積極的に顧客への提案を行い、売上拡大に取り組むことで、安定的な売上確保を目指してまいります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
以下において、当社グループの事業展開その他に関して、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。当社グループとして必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業に関するリスクについて
①創薬事業
a.キナーゼ阻害薬の医薬品候補化合物の導出に関するリスク
予定よりも早い段階でキナーゼ阻害薬(*)の医薬品候補化合物を製薬企業等へ導出する場合(例えば前期第2相臨床試験(フェーズⅡa)での導出を計画していたが、前臨床段階や第1相臨床試験(フェーズⅠ)での導出を行った場合等)は、契約締結時に当社グループが受領する契約一時金の金額ならびにマイルストーン収入総額が比較的小さくなることが考えられます。また、このような医薬品候補化合物の導出には、導出先の製薬企業等と諸条件について詳細に取り決めた上で契約を締結する必要があるため、双方の条件に隔たりがあり、当社グループの想定どおりに契約が締結できない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.創薬事業の導出スケジュール等に関するリスク
製薬企業等に対する当社グループが創製した医薬品候補化合物の導出交渉において、交渉相手先企業等における経営方針、研究開発方針の変更等により導出スケジュールが遅れたり、中止を含め変更される可能性があります。また、導出交渉を行っている医薬品候補化合物に対する相手先の評価が想定を下回る場合は、導出スケジュール及び導出交渉の成否に影響を及ぼす可能性があります。
c.創薬支援事業と創薬事業を同時に手掛ける事業展開に関するリスク
当社グループは創薬支援事業と創薬事業を同時に手がける事業展開により、創薬支援事業で売上による収入を計上しながら、研究開発投資の先行する創薬事業を同時に推進しておりますが、創薬支援事業における収益の確保が計画通りに行えない場合は、創薬事業に関する事業方針の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.導出した創薬パイプラインの開発に関するリスク
当社が製薬企業等に導出した創薬パイプラインは、主に導出先企業において導出後の医薬品開発を実施し、その開発(*)の進捗に応じて、導出先企業よりマイルストーンを受領することで売上を計上するとともに、上市後は当該医薬品の売上高に応じたロイヤリティ収入を計上します。しかしながら、導出先企業における開発スケジュールが変更になった場合、また、当該医薬品開発が中断された場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬支援事業
a.キナーゼ阻害薬に係る製品・サービスに特化するリスク
当社グループの創薬支援事業は、主としてキナーゼタンパク質(*)に関する製品、サービスを提供しているため、キナーゼ阻害薬(*)の研究開発を進める製薬企業等の減少により、当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性、又は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの予想どおり製薬企業等によるキナーゼ阻害薬の研究開発に関連したアウトソースの市場が拡大しない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
b.競合リスク
競合他社が提供するキナーゼタンパク質(*)の種類の増加により、当社グループのみが販売している製品の数が減少又は無くなる可能性があります。また、同業他社の参入等に伴い価格競争が激しくなる可能性があります。さらに、競合他社が画期的な技術で先行した場合、当社グループの優位性が低下する可能性があります。これらの競争により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
c.パートナー及びサプライヤー等に影響されるリスク
当社グループの提携先とのシナジー効果を創出するには、技術面での補完関係を前提としますが、双方の技術開発の進捗に大きな差が生じた場合、当社グループの製品・サービスの開発が遅れ、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、パーキンエルマー社の経営方針の変更等により、当社グループがプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスを提供するにあたり使用する同社製造の測定機器であるLabChip® EZ Readerの安定稼動ならびに使用するチップの購入に支障が生じる場合、さらにプロメガ社の経営方針の変更等により、当社がNanoBRET™テクノロジーを用いた細胞内でのキナーゼ阻害剤の作用を評価する受託試験サービスを提供するにあたり使用する同社製造のアッセイキットの購入に支障が生じる場合などは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.製薬企業の研究部門を顧客とするリスク
当社グループは製薬企業の研究部門を主要な顧客としております。製薬企業の創薬研究(*)は、秘匿性が高く、その進捗により研究テーマ自体の変更が起こり得るなど不確定要素が多いため、当該進捗状況により、予定通り当社グループに対しての発注が行われない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に欧米の製薬企業は、日本の製薬企業と比較して研究テーマが多いことから、市場規模が大きい反面、個々の製薬企業において大きな変化が生じる可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
e.海外での事業展開に関するリスク
当社グループは、海外での事業展開において、北米では米国の子会社による販売を行っておりますが、その他の地域においては主に代理店契約および販売代理人契約に基づく販売体制を構築しております。しかしながら、海外での代理店等による販売体制が機能しない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
f.提携先の製品・サービスに依存するリスク
当社グループは、提携先である海外のACD社、CAI社、NTRC社、SARomics社、IniXium社及びAssayQuant社の製品・サービスを代理店として特定地域に提供しておりますが、提携先の事情及び当社グループとの関係の変化等により取り扱うことができなくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)研究開発活動について
①研究開発の進捗リスク及び大学、公的研究機関、企業等との共同研究リスク
当社グループの創薬事業及び創薬支援事業における研究開発が予定通り進捗しない場合、並びに、当社グループが大学、公的研究機関及び製薬企業等と実施している共同研究開発において、共同研究先の研究及び開発の進捗が想定通りに進捗しない場合、又は共同研究開発契約が何らかの事情により中断もしくは終了した場合は、当社グループの事業方針、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②大学及び公的研究機関との顧問契約リスク
当社グループは、大学の研究者(教授等)との間でアドバイザーとしての研究顧問契約を締結しておりますが、当該研究者は、教授等と当社グループの研究顧問の兼業を行っていることから、利益相反等の行為が発生しないように法的規制等を遵守しております。当社グループは、教授等との研究顧問契約を継続していく考えでありますが、法令改正等、何らかの事情により当該契約が解消された場合、助言・指導が受けられなくなり、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。
(3)社内体制について
①小規模であることの人材リスク
限られた人材により業務執行を行っておりますが、取締役及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分があることから、当該者の退職等により当社グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
②事業拡大に伴う人材確保のリスク
今後、当社グループが事業を積極的に展開する上で、優秀な人材を確保することが重要でありますが、人材の採用が順調に進まない場合、計画している事業拡大に支障をきたす恐れがあります。
(4)為替変動リスクについて
当社グループの平成30年12月期における総売上高に対する海外売上高の割合は55.1%と高くなっております。当社グループは、国内だけではなく北米及び欧州等の製薬企業等を顧客とするグローバルな販売および導出活動を展開しております。これに伴い、米ドルやユーロ等の外貨で売上が計上されることになりますが、大幅な為替相場の変動があった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権について
①創薬事業における知財リスク
当社グループが創製した医薬品候補化合物について、第三者によって既に特許出願されている等の理由により当社グループの想定どおりに特許が取得できない場合、又は第三者より特許侵害があるとして訴訟を提起された場合は、当社グループの事業方針及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬支援事業における知財リスク
当社グループの保有する多くの技術的ノウハウが、技術革新等により陳腐化した場合、また、第三者によって技術的ノウハウが先行的に特許出願され、権利化された場合は、当社グループが保有する技術の優位性が損なわれ、創薬支援事業の業績に影響が生じる可能性があります。
③特許に関わる訴訟リスク
創薬支援事業に関し、当社グループが販売したキナーゼタンパク質(*)、アッセイ(*)用キット等の製品、もしくは、当社グループが提供したプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービス等の中に、第三者が特許を保有するキナーゼ(*)や技術等があった場合、特許侵害訴訟を提起され、当該製品の販売差止や当該サービスの提供禁止のほか、多額の賠償金の支払いを求められる可能性があります。
(6)業界(バイオテクノロジー)
技術革新リスクについて
急激な技術革新等により、新技術への対応に遅れが生じた場合は、当社グループが保有する技術・ノウハウが陳腐化する可能性があります。また、必要な技術進歩を常に追求するためには、多額の研究開発費用と時間を要すること等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(7)法的規制について
遺伝子組換え生物等規制法について
平成16年2月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(遺伝子組換え生物等規制法)が施行されています。当社グループのキナーゼタンパク質(*)は遺伝子組み換え(リコンビナント)タンパク質(*)であり、当社グループの施設の一部は当該法律が適用されています。今後、法改正等により規制が強化された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)資金調達について
①損失計上の見通しと資金の確保について
当社はこれまでにない画期的な新薬を創製する創薬ベンチャーとして、非臨床・臨床試験費用をはじめとする多額の研究開発資金を、中長期的に先行投資するビジネスモデルとなっております。そのため、当面、損失の計上が継続する可能性があり、資金の確保が課題であります。当社は各事業におけるキャッシュ・フロー獲得のみならず、公募増資、新株および新株予約権の第三者割当等によって資金調達を行ってまいりました。今後も、資金調達についてその最適な方法やタイミング等を適宜検討してまいりますが、必要な資金調達を円滑に実施できない場合には、当社グループの事業が計画通りに進捗しない、あるいは事業継続が困難となる可能性があります。
②新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員、従業員等に対して、業績向上に対する意欲や士気を高めるため、そして、当社グループの中長期的な企業価値の向上を図るために、新株予約権を付与しております。さらに、資金調達のため、メリルリンチ日本証券株式会社に対して行使価額修正条項付き第16回及び第17回新株予約権を第三者割当てしており、今後、既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、平成30年12月31日現在、発行済みの新株予約権の目的である株式数は1,088,800株であり、同日現在の発行済株式総数10,139,600株の10.73%に相当します。
なお、第16回新株予約権は、本報告書提出日現在において全部行使されております。
(9)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズが高く、これまでにない画期的な新薬の創製を目的とした創薬ベンチャーであります。当社単独もしくは大学等との共同研究において創出した医薬品候補化合物の価値を高めるため、積極的に研究開発への先行投資を行っています。この研究開発への投資により創薬パイプラインの価値を高めたうえで、製薬企業等に対し日米欧の三極を含むグローバルなライセンスアウトをすることを通じて、企業価値の最大化を図るべく事業に取り組んでいます。
現在、当社グループは2つの創薬パイプラインで前臨床試験を実施するとともに、次期以降において臨床試験を実施する計画としており、引き続き研究開発への先行投資を行ってまいりますが、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しているとともに、現時点で先行投資として実施する研究開発のための十分な資金が必ずしも手許に準備できていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。しかしながら、後記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策」に記載のとおり、当社グループの創薬事業におけるマイルストーン収入および導出一時金等の獲得、ならびに創薬支援事業における更なる売上高の上積みを通じた資金確保、さらに現在実施している第16回及び第17回新株予約権を用いて資金調達を行うとともに、必要に応じて新たな資金調達を実施してまいります。先行投資として実施する研究開発はこれらの資金調達の状況をみながら実施することから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
(10)その他のリスク
①特定の仕入先への依存について
当社グループのキナーゼ(*)製品・サービスの提供ならびに研究開発に用いる試薬、器具等に関して、継続的に取引をしている主要な仕入先として、和研薬株式会社および八洲薬品株式会社への依存度が高い状態が続いております。また、当社は協力会社であるACD社、CAI社、NTRC社等の代理店として特定地域でこれら企業からの仕入商品として各種サービス等を提供しております。これらの企業とは、取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針でありますが、自然災害や不測の事態、又は当該企業の経営方針が変更となった場合等により、安定的な商品供給が受けられなくなり、かつ、速やかに代替先を確保することができなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②事業所の一極集中について
当社グループは、本社機能及び研究開発機能を神戸市のポートアイランドにある神戸バイオメディカルセンター(BMA)内に構えております。BMAは平成7年の阪神淡路大震災の教訓をもとに平成16年に建設された十分な耐震性、防火体制、自家発電機能を備えたビルディングで、24時間の警備体制が取られています。当社グループのビジネスの鍵になるキナーゼ(*)遺伝子すべてについては、それらが失われることがないよう、BMA内の異なる部屋で二重に保管されているとともに、一部の重要な生物資源については別地方の保管サービスを利用し、バックアップ体制を整えております。また、ビジネスに必要な機器及び装置等については、損害保険がかけられております。さらに、緊急時に被害を最小限にすべく対応できるように緊急時の社内連絡体制を整えています。しかしながら、大規模な地震、台風や風水害その他の自然災害等の発生により、本社機能及び研究開発機能が同時に災害等の甚大な被害を受けた場合は、当社グループの研究開発設備等の損壊あるいは事業活動の停滞によって、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③当社グループの設備に関わる長時間の停電等による業務遅滞及び製品への影響について
当社グループが創薬支援事業の営業・物流拠点及び研究開発機能を有する神戸市において、長時間の停電等によりキナーゼタンパク質(*)の製造及び保管ならびに化合物(*)の評価設備の稼動等を中断する事象が発生した場合は、キナーゼタンパク質を保管している冷凍庫が停止し、これに伴うキナーゼタンパク質の失活(活性を失う)等により製品として出荷できないことが考えられます。さらに長時間の停電は、化合物の評価設備(測定機器、分注機器等)の稼動を止めることから、顧客へのサービス提供の遅延を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合は、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
④当社グループの技術の情報漏洩について
当社グループが保有するキナーゼタンパク質(*)の製造技術やアッセイ(*)開発に関する技術等は、何らかの理由により人材の流出が起こった場合は技術情報等が流出する可能性があり、製品開発や製造に影響を及ぼす可能性があります。また、人材の流出により、社外へノウハウが流出した場合は、当社グループの製品等の模倣製品が出現する可能性も考えられます。これらのことにより、万一当社グループの技術的な優位性が維持できなくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤営業機密の漏洩について
当社グループが行う創薬支援事業におけるプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスおよびセルベースアッセイ(*)サービスは、顧客である製薬企業等から化合物(*)の情報をお預かりする立場にあります。従って、当社グループは、すべての従業員との間において顧客情報を含む機密情報に係る秘密保持契約を締結しており、さらに退職後も個別に同契約を締結して、顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報等が外部に漏洩した場合は、信用低下を招き、当社グループの経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥創薬研究と創薬支援事業を同時に行うことで制約を受ける可能性について
当社グループのプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスおよびセルベースアッセイ(*)サービスの提供を望む顧客(製薬企業等)が当該サービスに係る契約を締結する際、当社グループが自ら創薬研究(*)を行っていることが、顧客にとって顧客情報の秘匿性確保についての懸念材料となる可能性があります。その場合、顧客との契約条件に制約事項が増え、その結果、当該サービスの採算性の悪化、又は事業別に分社せざるを得ない等の影響を受ける可能性が考えられます。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
平成11年4月にオランダの製薬企業 Organon N.V.(以下「N.V.オルガノン」という)は、鐘紡株式会社より新薬事業の営業譲渡を受け、この中の研究部門が母体となり、同社の日本法人である日本オルガノン株式会社(以下「日本オルガノン」という)内に医薬研究所が開設されました。当該研究所は、平成13年よりキナーゼ(*)に特化して、新規キナーゼ探索、遺伝子クローニング(*)、キナーゼの発現、キナーゼのアッセイ(*)系構築を行ってきました。ところがその後、N.V.オルガノンは、主力製品の特許切れにより業績に陰りが見えたため、全世界的なリストラを開始し、その結果、平成14年11月には日本オルガノンの医薬研究所の存続が不透明となりました。そこで、当時の日本オルガノンの医薬研究所の幹部である当社創業メンバーは、医薬品のターゲットとしてキナーゼが高い注目を集めていることから、キナーゼ関連の創薬及び創薬支援事業には大きなビジネスチャンスがあると判断し、日本オルガノンから分離・独立してバイオベンチャーを設立することを日本オルガノン及びN.V.オルガノンに打診、話し合いの結果、平成15年4月にカルナバイオサイエンス株式会社を設立しました。
当社の社名である「カルナ(Carna)」はローマ神話の「人間の健康を守る女神」です。また「身体の諸器官を働かせる女神」、「人間生活の保護女神」などとも言われています。
当社は生命科学「バイオサイエンス(Bioscience)」を探究することで「人々の生命を守り、健康に貢献することを目指す。」ことを基本理念としています。当社はまさに「カルナ(Carna)=人間の健康を守る女神」でありたいと考えています。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
配当に関しては年1回の期末配当並びに業績に応じて中間配当を行うことを基本方針としておりますが、現時点においては繰越利益剰余金がマイナスであるため、創業以来利益配当は実施しておりません。
当社は、創薬及び創薬基盤技術の拡充のための先行投資として、研究開発費への積極的な資金投入を行ってまいりましたが、今後も引き続き研究開発活動へ積極的に資金を投入し、経営基盤の強化や収益力の向上を図る方針です。従って、当面は資金を研究開発活動に充当する方針ですが、株主への利益還元も、重要な経営課題と認識しており、今後の経営成績及び財政状態を勘案し、利益配当についても検討してまいります。
剰余金の配当は、毎年12月31日の期末配当並びに6月30日の中間配当を定款に定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
男性7名 女性1名 (役員のうち女性の比率12.5%)
(注) 1.取締役髙柳輝夫は、社外取締役であります。
2.監査役有田篤雄、小笠原嗣朗及び松井隆雄は、社外監査役であります。
3.取締役の任期は、平成31年3月26日開催の定時株主総会終結の時から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとなっております。
4.監査役の任期は、平成31年3月26日開催の定時株主総会終結の時から4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとなっております。
5.所有株式数には、役員持株会における各自の持分を含めておりません。
6.当社は、法令に定める監査役の員数を欠くことになる場合に備え、会社法第329条第3項に定める補欠監査役1名を選任しております。補欠監査役の略歴は次のとおりであります。
(注) 1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。
2.CarnaBio USA, Inc. は特定子会社であります。
3.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
4.CarnaBio USA, Inc. は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
※2 販売費及び一般管理費の主なもの
なお、研究開発費はすべて一般管理費に計上しており、上記の金額は研究開発費の総額であります。
当連結会計年度における設備投資の総額は、58,425千円であり、セグメントごとの内訳は次のとおりであります。
(1) 創薬支援事業
生産能力の向上・強化推進等のため、6,802千円の設備投資を行いました。
なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
(2) 創薬事業
創薬研究の強化・効率化等のため、50,151千円の設備投資を行いました。
なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
(3) 共通
設備の更新等のため、1,472千円の設備投資を行いました。
なお、重要な設備の除却又は売却はありません。
(注) 1.「平均利率」については、借入金等の期末残高に対する加重平均利率を記載しております。
2.長期借入金(1年以内に返済予定のものを除く)の返済予定額は以下のとおりであります。
(注) 1.「当期末残高」欄の(内書)は、1年内償還予定の金額であります。
2.連結決算日後5年内における1年ごとの償還予定額の総額
企業価値 | 21,430 百万円 |
純有利子負債 | -3,808 百万円 |
EBITDA・会予 | 325 百万円 |
株数(自己株控除後) | 11,277,305 株 |
設備投資額 | 58 百万円 |
減価償却費 | 12 百万円 |
のれん償却費 | - 百万円 |
研究開発費 | 1,140 百万円 |
代表者 | 代表取締役社長 吉野公一郎 |
資本金 | 3,591 百万円 |
住所 | 神戸市中央区港島南町一丁目5番5号 |
電話番号 | 078-302-7039(代表) |