1年高値713 円
1年安値260 円
出来高2,415 千株
市場マザーズ
業種医薬品
会計日本
EV/EBITDAN/A
PBR2.3 倍
PSR・会予100.1 倍
ROAN/A
ROICN/A
β0.75
決算3月末
設立日2003/8/1
上場日2014/9/25
配当・会予0 円
配当性向0.0 %
PEGレシオN/A
売上高(百万円)&収益性(%)
売上5y CAGR・予想:6.1 %
利益(百万円)
営利 CAGR・実績:N/A %
純利 CAGR・実績:N/A %
EPS(円) BPS(円)
配当(円)
健全性(%、倍)
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別利益率
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
会社の詳細

3【事業の内容】

当社は、アプタマー創薬技術に関するプラットフォームである「RiboARTシステム(Ribomic Aptamer Refined Therapeutics System)」をベースとした創薬事業を展開している創薬プラットフォーム系バイオベンチャーです。

 

「RiboARTシステム」は様々なアプタマー医薬の開発に応用できるものですが、当社は、特に「Unmet Medical Needs」疾患領域に的を絞り、医療機関や患者様から求められている新薬の提供を目指しております。

アプタマーとは核酸であるRNA※1を素材とした分子で、多様な立体構造を形成できるという1本鎖のRNAの特性を利用して、病気の要因となるタンパク質に結合してその働きを阻害あるいは調節します。その名称については、標的にフィットするという意味のラテン語の「aptus」が由来となり「アプタマー」と呼ばれております。

当社は、RNAの生化学的性質の把握、特に潜在的なRNAの造形力※2の掘り起こし、アプタマーの構想・デザイン、アプタマーの創製から医薬候補アプタマーの仕上げまでをカバーする「RiboARTシステム」をアプタマー創薬の基盤技術として確立しております。この「RiboARTシステム」は、様々な疾患分野や創薬ターゲットに対して応用可能な汎用性を有する創薬基盤技術です。自社で特定の新薬開発を行うのみならず、他の製薬会社の要請に応じて新薬のシーズ(タネ)を供与できるバイオベンチャーであることから、当社自身のことを「創薬プラットフォーム系バイオベンチャー」であると定義しております。

当社は、これまで、この「RiboARTシステム」を利用した創薬探索をビジネスの柱としてきましたが、これに加え、適切な自社創薬製品については、自社で臨床試験※3を実施することを視野に事業を展開し、創薬プラットフォーム系バイオベンチャーとしての価値を高めてまいります。

 

「RiboARTシステム」の概念図は以下のとおりです。

<RiboARTシステムの概念図>

(画像は省略されました)

選抜:

目標とする標的タンパク質に結合するアプタマーをSELEX法により選抜

分析:

選抜したアプタマーの標的タンパク質への結合特性を分析

加工:

アプタマーを工業的、経済的に利用できるよう短鎖化したり、品質や薬効向上のために化学修飾※4を実施

試験:

細胞試験や動物試験によりアプタマーの薬理効果を評価

評価:

動物を用いてアプタマーの毒性を評価

 このような「RiboARTシステム」をベースとして、当社は、早期ライセンス・アウト※5を前提とした「自社創薬」と、製薬会社との「共同研究」の二つをバランス良く組合せて実行することを、事業展開の基本方針としてきましたが、適切な自社製品については、前述のように自社で臨床試験を実施し、POC※6を取得した後に、ライセンス・アウトすることを、当社の主要な事業スキームに加え、事業展開を進めております。具体的には、以下に述べます自社製品RBM-007を用いた滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)に対する臨床試験を米国で実施しており、さらに軟骨無形成症(ACH)に対する臨床試験を日本において開始しました。その結果、当社は、従来の創薬探索のビジネスから、臨床開発のビジネスへとステップ・アップいたします。

 当社の事業の系統図は以下のとおりです。

 

<事業の系統図>

(画像は省略されました)

※:対価収入のうちライセンス・アウトの対価には、当社が製薬企業より受け取る①契約締結時の一時金、②開発の進捗に応じたマイルストーン収入※7、③製品発売後の売上に対するロイヤルティーがあります。

 

創薬事業における共同研究では、アドバイザリー契約の下、アプタマー医薬開発に関する試験研究の受託、技術指導も実施しております。

 

また、当社は、上記の創薬事業に付随する事業として、医薬品以外への応用可能性を秘めたアプタマーの実用化検討も行っております。その一環として、抗体※8であるIgGに特異的に結合する性質を有したアプタマーを、工業用資材(抗体医薬※8の精製剤等)として開発する事業や、アプタマーを利用した化粧品材料の開発、膜タンパク質を標的としたアプタマーの創製技術の開発、あるいは次世代型シークエンス法並びにコンピュータ科学を利用したアプタマー創製の新しい基盤技術の開発も行っております。

(1)アプタマー医薬

①アプタマー医薬について

核酸であるRNAは、生物の体内では、DNA上の遺伝情報の配列のコピーとして、タンパク質の合成の鋳型として使用されます。しかしRNAは、そうした遺伝情報のコピーとしての役割だけではなく、「様々な立体構造を形成する」という重要な特性を有しています。この造形力を利用して、標的とするタンパク質に結合してその働きを阻害あるいは調節できるRNA分子(アプタマー)を創製し、医薬品として開発したものが「アプタマー医薬」です。

アプタマーの特徴は、右図に例示するように、標的とするタンパク質の形状にフィットする立体構造を形成してその活性を調節する「形状捕捉」です。抗体医薬がタンパク質を構成する多数のアミノ酸の中から6~10個のアミノ酸の配列(エピトープと呼ばれる)を認識して標的タンパク質に結合するのに対して、アプタマーの標的タンパク質を捉える方法は大きく異なるといえます。

アプタマー医薬は核酸を成分とすることから核酸医薬※9の一種になり

<形状捕捉図>

(画像は省略されました)

ます。しかし、細胞内に入らなければ効果を発揮しない他の核酸医薬とは異なり、細胞内に導入する必要がないので非常に効率的です。アプタマー医薬としてこれまでに上市された製品は、2004年12月に米国食品医薬品局(米国FDA)が承認した「Macugen」(加齢黄斑変性症に対する治療薬)のみで、アプタマー医薬の市場は未開拓の領域といえます。

 

②医薬品市場におけるアプタマー医薬

(i)アプタマー医薬を含む核酸医薬の市場

アプタマーを含む核酸医薬の市場は、現在開発中の核酸医薬の開発の進捗状況、製品上市の時期、当該品目の市場性等により大きく変動する可能性がありますが、大きく拡大しつつあります。

核酸医薬には、アプタマーの他に、アンチセンス、デコイ、siRNA、microRNA、mRNAなどの種類があります。現在の開発の主流はアンチセンスですが、依然として幾つかの課題(化学修飾、DDS※10及び製造と品質管理)が指摘されています。

今後、核酸医薬の中軸を担うのは、化学修飾が容易で細胞内へのDDS技術が不要であり、抗体と類似した作用メカニズムを持ち、応用範囲の広いアプタマー医薬だと、当社は考えております。

 

(ⅱ)アプタマー医薬の現状と課題

2004年12月に世界初のアプタマー医薬で、眼科領域の疾患である加齢黄斑変性症(AMD)を適応症とする「Macugen」が米国FDAに承認され、逐次世界各国で承認を得て、世界的な製薬企業であるファイザー社から(日本では2008年10月)発売されています。なお、現在、全世界で「Macugen」以外のアプタマー医薬は市販されておらず、現在の「Macugen」の売上は、類似薬効品の抗体医薬「Lucentis」とタンパク質医薬「Eylea」に押され、最盛期の1/20以下で、全世界で10数億円程度と思われます。しかし、「Lucentis」と「Eylea」に代表される血管内皮増殖因子(VEGF)に対する阻害剤は広く世界で使用され、AMD治療薬の世界市場は1兆円に近づいています。

アプタマー医薬については、P2(Phase2試験)~P3(Phase3試験)の後期臨床ステージにある開発中の品目数も抗体に比較すると些少です。この背景には、アプタマーの創製に不可欠な技術であるSELEX法に関する基本特許が日欧では2011年6月まで、米国では2014年9月まで存続し、製薬会社がアプタマー創薬に向けた研究が自由にできなかったことが挙げられますが、現在は特許障壁は全て解除されています。

「Macugen」が類似薬効の抗体医薬に対して優位に立てなかった事例は、アプタマー医薬の開発(アプタマー創薬)に次のような貴重な教訓を与えました。

 アプタマーに限らず、分子標的医薬の開発においては、創薬ターゲットとする疾患関連タンパク質の選択が重要です。「Macugen」の開発において、AMDは血管内皮増殖因子(VEGF)が関与しているとの知見から、VEGFの様々なサブタイプ(基本的な役割は似ているがタンパク質を構成するアミノ酸の長さや配列に違いがある)の中から、AMDの主因と考えたVEGF-165のみを阻害するアプタマー(Pegaptanib)を有効成分として選択しました。世界初のアプタマー医薬として、安全性を考慮したこの選択自体は決して誤ったものではなかったと当社では考えております。

これに対し、後続の「Lucentis」や「Eylea」は、VEGF-165だけでなく他のサブタイプも阻害することによって、効果(進行の停止のみならず視力も回復する)の点で、「Macugen」を上回り、AMDに対する第一選択薬としての地位を確立しました。標的に対するシャープな特異性がアプタマーの真骨頂ですが、この場合は、アプタマーのシャープさが裏目に出てしまったといえます。創薬ターゲットの選択においては、このような事例に十分注意することが必要です。

 一般的にアプタマー創薬において留意すべき点として、アプタマーの最適化※11(改変・改良等)の問題があります。核酸を成分とするアプタマーは体内に投与されると生体内の核酸分解酵素により速やかに分解されます。そのため、薬効を得るために体内での作用時間を延ばす必要があり、様々な改良を加えて酵素耐性の向上を図り、また、体外への排出の抑制を図ります。このアプタマーを医薬品として最適な化合物に仕上げる技術を欠くと、開発の中断や終了を余儀なくされます。

 抗体医薬との差別化をどう図るかという問題もアプタマー創薬においては重要です。後述するように、アプタマーは抗体と比べて優れた点が多々あり、新薬のシーズとして大きな可能性を秘めています。しかし、抗体にはその作用が長時間持続するという、長所とも短所ともなりうる特徴があります。

反面、アプタマーは、最適化を図っても抗体のように1~2ケ月間も作用させることは困難で、基本的には急性期、あるいは短期間を挟む間欠投与の適した疾患、あるいは治療法が皆無の疾患が、その本領を最も発揮できる対象だといえます。このため、同一のタンパク質を標的とする抗体と競合する場合、アプタマーは抗体が適していない疾患や投与方法をデザインすることが肝要です。

 

(ⅲ)アプタマー医薬と抗体医薬の比較

アプタマー医薬は分子標的薬※12として、抗体を成分とする抗体医薬と、作用メカニズム及び投与方法が類似しています。従って、アプタマー医薬の最大の競合品は抗体医薬になります。アプタマー医薬市場の成否は、抗体医薬との比較のなかで、その違いを明確にし、どう差別化するかにかかっています。

 

抗体医薬は、マウス等で作製した抗体をヒトで異物として排除されにくいように加工した後、これを産生する特殊な細胞を大量に培養し、精製して医薬品原料にします。その起源が生物試料であることから生物製剤に分類されます。これに対し、アプタマー医薬はその成分であるRNAを化学合成して製造することから合成医薬品に分類されます。

 以下は抗体医薬と比較したアプタマー医薬の特徴ですが、アプタマー医薬は、科学技術の進歩とともにその長所が認識され、抗体に続く次世代の新薬の核として開発が進むものと当社は期待しております。

 

<アプタマー医薬と抗体医薬の比較> (当社作成)

項目

アプタマー医薬

抗体医薬

標的タンパク質に対する結合力

抗体の1,000倍は可能

強い

創薬ターゲットの種類

極めて多様

抗原タンパクに限定

製造

化学合成法

細胞培養法

コスト
(製造コスト低減の容易さ)

比較的高価

製造コスト低減の可能性あり

比較的高価

製造コストの低減は難しい

抗原性/免疫排除

 起きにくい

起きる

製剤の可逆性・安定性

強い

弱い

体内動態(長時間作用)

 苦手、限界あり

良い、得意

中和剤

可能(アンチセンスの利用)

不可能

短期作用性

得意

困難

加工・化学修飾

容易

困難

 

(2)創薬プラットフォーム

①創薬の戦略とアプタマー

 医薬品は、その素材から、1)低分子、2)ワクチン、3)生物製剤、4)核酸、5)細胞、6)遺伝子に分類されますが、この中で最も新しく、技術革新が進展しているのが、生物製剤の中の抗体医薬と、核酸を成分とする核酸医薬、ならびに細胞を利用する再生医療や遺伝子治療です。このなかで、低分子を対象とした日本の創薬力は欧米と同等のレベルまで達していますが、抗体やワクチンについては遅れています。

核酸医薬については、日本で創製されたHGF遺伝子治療製品(重症虚血肢を対象)が2019年3月に国内条件付承認をうけ上市されました。その他、日本発の核酸医薬としてヒトでの臨床試験のステージに入っているものには、AMG-0103(NF-κBデコイオリゴ、アンジェス)、NS-089/NCNP-02(エキソンスキッピング・アンチセンス、日本新薬)、DS-5141b(エキソンスキッピング・アンチセンス、第一三共)、ND-L02-s0201/BMS-986263(siRNA、日東電工)、NBF-006(siRNA、日東電工)、WVE-120101(アンチセンス、武田薬品)、GRN-163(アンチテロメラーゼ、協和キリン)と、当社のRBM-007(抗FGF2アプタマー)があります。しかし、既にP2試験やP3試験に入っている多くの開発品や上市品を有する欧米と比べて、遅れていることは確かです。

その中で、唯一、アプタマー医薬については、当社のRBM-007プログラムが世界の最先端に位置し、世界を牽引しております。今後、アプタマー医薬は、核酸医薬の中核となる可能性を秘めております。

また、近年ペプチドを利用する創薬の研究開発が始まっています。核酸やペプチドは分子量が、高分子の抗体医薬と低分子医薬の中間に位置するため、これらは中分子医薬と総称されて、抗体や低分子にはない特徴を発揮する医薬品としても注目されています。その特徴のひとつとして、タンパク質・タンパク質相互作用(PPI、protein-protein interaction)に対する阻害剤の開発があげられます。当社は、増殖因子等のリガンドや受容体に対するアプタマーを多数創製してきましたが、これらは、中分子医薬の議論が始まる以前から、PPI阻害剤の開発を実践してきたものです。

 

②新薬開発プロセス

新薬の研究開発は、下記の図に示すように、製品の上市までに、10数年の長い年月と数百億円もの多額の資金を要します。

この新薬の研究開発は、通常、臨床試験前の段階と臨床試験に二分され、さらに臨床試験前の段階は、大きく以下に分けられます。

 1)新薬候補と考えられる化合物を考案、創製し、その中から様々な手法を用いて適切な化合物をスクリーニ

   ング※13する基礎・探索研究の段階

 2)選定された化合物について、臨床試験に進むために必須の試験を行う前臨床試験※14の段階

 

当社では、新薬開発プロセスの中の(1)基礎・探索研究、及び(2)前臨床試験の段階において、「RiboARTシステム」を運用しアプタマー医薬の開発を行っています。標的タンパク質の種類や特性、適応疾患などによって差は生じるものの、「RiboARTシステム」の活用により、従来なら5~8年かかる基礎・探索研究及び前臨床試験の期間(1年前後のGLP試験※15の期間を含む)の内、標的タンパク質の決定からGLP試験を開始するための予備毒性試験※16ステージまでを、約3~4年で実施可能(当社実績)であると考えております。

 

 <新薬開発プロセス>

(画像は省略されました)

 ※:前臨床試験(3~5年)にはGLP試験の期間1年前後が含まれています。

 

③「RiboARTシステム」を用いたアプタマー創薬

当社の「RiboARTシステム」は、シーズ・アプタマー(疾患に関連するタンパク質に結合する候補アプタマー)の取得から最終的な臨床開発品の創出までのプロセスをカバーする、当社独自のアプタマー創薬の技術プラットフォームです。東京大学医科学研究所における研究成果や技術をベースに、当社の研究成果や創意工夫、ノウハウ※17あるいは営業秘密※17を含んでいます。

「RiboARTシステム」においてコアとなる技術は、目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するポテンシーの高いアプタマーを取得する技術(SELEX法運用技術)と、取得したアプタマーを臨床開発品として最適化する技術です。このコア技術が、意図した薬効を示すポテンシーのアプタマーを取得・創製するうえで大きな効果を発揮します。

本システムでは、取得したアプタマーを新薬候補品となり得るように、加工プロセスによって、標的への結合力を103~104倍に増強し、pM(ピコモラー、10-12モラー)未満のKd値の達成を標準化しており、これが当社の技術的な強みと認識しております。

 

「RiboARTシステム」の詳細は以下のとおりです。

(ⅰ)アプタマーの取得技術(SELEX法運用技術)

アプタマー創薬のコアとなる技術の一つは、目標とする創薬ターゲット(タンパク質)に結合するアプタマーを取得するSELEX法に関する技術です。この方法は日欧では2011年6月まで、米国では2014年9月まで特許で守られ、権利者(アルケミックス社)からライセンスを取得しない限り、SELEX法を実施して自由にアプタマーを取得することはできませんでした。

当社は、この特許が国内で有効であった2006年10月より、権利者から実施ライセンスを受け、様々なSELEX法を駆使してアプタマーを取得する経験を積んでまいりました。

日米欧での上記特許失効後は、誰でもアプタマーの取得にSELEX法を実施することが可能となりました。しかし、目標とするタンパク質に結合し、意図した薬効を示すポテンシーのあるアプタマーを取得するには、標的タンパク質の特性分析、最適な核酸プールの構築に始まり、様々な条件下でのSELEX法の実施経験やノウハウが必要となります。当社の「RiboARTシステム」はこれらを集大成した創薬技術です。

 SELEX法とはRNAの造形力を利用して、目的とするアプタマーを探し出すための技術で、様々なタンパク質を標的に使用できる汎用性が特徴です。具体的には、様々なタイプのRNA分子を標的のタンパク質と何度も結合→解離→増幅→再結合を繰り返すことで、より強く結合するRNA分子のみを“進化”させる技術です。この方法は、以下に示す魚釣りに似ています。

 

1)4種類の塩基(A・U・G・C)がランダムに配列されたRNA(様々なタイプの魚)の入ったプール(釣り堀)に標的となるタンパク質を「餌」にして、結合する(食いつく)特定のRNA(数十万種の魚)を釣り上げます。

2)釣ったRNA(魚)からタンパク質(餌)を外し、増幅して(養殖して数を増やす)、再度プールの中に放し、同じタンパク質(餌)で釣りを繰り返します。早く食いついた数十から数十万種のRNA(魚)を増幅(養殖)し、再度、釣りを行います。

3)このサイクルを10数回行うことによって、標的タンパク質に強く特異的に結合するアプタマー(最も早く餌に食いつく魚)を数種類選択することができます(右図参照)。

<SELEX法のイメージ>

(画像は省略されました)

 SELEX法を利用したアプタマーの創製(取得)には、最初にプールに放つ魚群の選定(核酸ライブラリーの構築)や釣り方(試験方法等)について、長年の経験・実績によるところが多く、当社はSELEX法に関して、世界でも有数の高度かつ広汎な技術を有しております。特に、核酸ライブラリーを作る際に、多様な修飾が施された修飾塩基を、4種類あるいはその一部に使用して、ライブラリーの多様性を拡充することが重要かつ効果的です。

 また、近年、核酸配列の分析技術(シークエンス解析法)が格段に進歩した結果、次世代型のシークエンス装置を使えば、短時間に少量のサンプルから、百万程度の配列を読むことが可能です。当社は、この次世代型シークエンス装置とコンピュータ処理を用いて、数百万の配列情報からアプタマー候補を抽出するHT-SELEX(high-throughput SELEX)法を開発し、運用しております。

 

(ⅱ)アプタマーの最適化技術

アプタマーの最適化技術は、in vitro※18 in vivo※18試験でのスクリーニングから、より効果が高い(標的タンパク質に強く結合し、そのタンパク質の生理作用を高度に阻害する)アプタマーを創製し、アプタマーの改良技術を駆使して、臨床開発品として完成させるものです。

 これには、アプタマーに特化したスクリーニング手法だけでなく、取得したアプタマーの特質と用途に応じた個別の最適化(短鎖化、化学修飾、doped SELEX(部分的に配列をランダム化して行うSELEX)等)技術が必要で、当社の最大の強みは、この分野での豊富な知識と経験並びに技能が蓄積していることであります。

 また、的確な最適化には、標的タンパク質の特性(分子量、立体構造、電気化学的性質、類縁タンパク質(サブタイプ)の有無等)に応じた最適化のデザイン力が必須です。当社では、このデザイン力に関しても研究実績を蓄積してまいりました。これに加えて、アプタマーと標的タンパク質の複合体での立体構造を基にしてより強力なアプタマーのデザインも行うなど、アプタマーの最適化技術に関し常に技術力の向上を図っております。

 

 このような、短鎖化や化学修飾等による最適化作業を、in vitro in vivo 試験で効果を確認しつつ繰り返し、より優れた臨床開発品へとアプタマーを磨き上げていきます。

 

(ⅲ)アプタマーの製造法、品質規格の設定、品質管理等のノウハウ

 核酸医薬、特にアプタマー医薬は、これまで「Macugen」が承認、販売されていますが、アプタマー医薬自体の歴史が比較的浅く、薬事規制面でも、原薬アプタマーや完成品の品質規格に関する規制内容は標準化されていません。

 特にCMC(医薬品成分の化学的属性や製造管理)の分野では、個々のアプタマーごとに薬事承認や臨床試験の開始までに必要な試験やその方法、分析方法等を企画し、場合によっては薬事当局との協議が必要になります。当社は、そのために必要な、以下の分野の知識、経験も有しております。

・アプタマーを医薬品化するために不可欠な製造方法、品質規格の設定、品質管理

・核酸やアプタマーのような高分子化合物の分析、核酸の塩基配列の解析法

 

 

(ⅳ)アプタマーの安全性・毒性の評価・検討に関するノウハウ

アプタマーを動物に投与した時の毒性は、核酸が本来持っている毒性とターゲットタンパク質を阻害したことによる毒性に分けられます。核酸が本来持っている毒性の代表例は、大量に投与した場合に、血液凝固の阻害が起こることです。当社はこのような核酸特有の毒性を考慮しながらアプタマー作りを行っており、以下の経験を有しております。

・アプタマーの血中や臓器中での濃度測定

・ラットを用いた毒性試験

・サルを用いた毒性試験

 

④その他の創薬体制

当社はさらに、アプタマー医薬の開発のために、以下の体制を整えております。

(ⅰ)アカデミアでの研究成果の取り込みと連携及び共同研究

当社は、発足の経緯から、東京大学医科学研究所で培ってきたRNA科学やアプタマーに関する成果を実用化するため、トランスレーショナル・リサーチ※19を継続的に実施してきました。

東京大学との共同研究は現在も継続し、同医科学研究所内に「RNA医科学」社会連携研究部門を設置して、同研究所内の動物試験施設や、その他の高度試験装置を使用できる恵まれた環境を維持してきました。これにより技術、信頼性の観点から、高レベルの研究体制を整備しております。

当社は、東京大学以外にも、大阪大学、順天堂大学、大阪医科大学等、あるいはチェコ共和国のMasaryk大学や米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムのアカデミアとも共同研究を実施し、疾患に関連するタンパク質の学術的な裏付けを得ると同時に、各種動物試験の実施、アプタマーの分析等における連携を図っております。

 

(ⅱ)的確な研究開発マネジメント

 当社では、新薬開発ステージに応じた試験研究の内容、当該試験結果のクライテリアの設定、知的財産戦略等について、新薬開発のノウハウを熟知したスタッフによる定期的なレビューなどの研究開発マネジメントを実施しております。

 

(ⅲ)人的ネットワーク

 アプタマーを含む核酸医薬の研究開発は日進月歩の状況にあり、世界的に競争が加速しています。当社は核酸科学やアプタマーに関する研究者・研究機関との世界的規模の人的ネットワークを通じて、最新の研究動向の把握に努めております。また、今後、自社での臨床試験を進めるにあたり、国内外の臨床医とのネットワーク構築にも努めてまいります。

 

(ⅳ)アプタマー創製のスペシャリスト

 当社では、役職員の3/4が、化学、分子生物学、細胞生物学、工学、薬学、医学等の分野での専門家(研究員)であり、研究員の約半数は博士号の保持者です。これらの研究員は、アプタマー医薬に特化した研究開発に従事しており、この分野では強力な布陣をしいております。

 さらに、大手製薬企業で研究開発、臨床開発や知財・ライセンス事業の経験を長く積んだ社員も擁しており、臨床開発やライセンスに連なる基礎・探索研究の方向づけや知財戦略を展開しております。

 

 

(3)創薬事業

①当社のビジネスモデルについて

(ⅰ)当社の創薬事業は、以下の3事業より構成されています。

 

 ・自社創薬

 ・製薬企業との共同研究

 ・自社臨床開発

 

 自社創薬とは、一定の開発段階まで自社独自で医薬候補となるアプタマーを開発し、その後、その成果を製薬企業にライセンス・アウトし、ライセンス対価(基本的に、契約締結時に受け取る契約一時金、開発進行に伴うマイルストーン収入、及び製品上市後の売上に応じたロイヤルティー)を得る事業です。

 これに対し、共同研究とは、アプタマー医薬の研究を提携製薬企業と共同で行い、当社が分担する業務に応じて提携先から支払われる研究費を収入として得る事業です。さらに、共同研究では、アドバイザリー契約を除いて、一定の開発段階に達した時点で提携先の製薬企業に当社分の権利をライセンス・アウトし、相応の契約一時金やマイルストーン収入等を得てまいります。

 

(ⅱ)三つの事業のバランス化

 自社創薬によるライセンス・アウトに依存しすぎると、ライセンスの成否やその成約の遅れ等により事業計画が大きく影響を受けます。他方、共同研究は安定的な共同研究収入を一定期間期待できます。また、自社創薬による収益を最大化するためには、適切な製品について、自社で臨床試験を実施し、POCを取得した後に、ライセンス・アウトすることが効果的です。

 従って、自社創薬に共同研究の特徴をうまく組み合わせ、さらに自社臨床開発を加えることで、以下の成果あるいは効果が期待できます。

 

 1) 自社創薬のビジネスモデルに伴う収益の不安定化というリスクを低減できる

 2) 共同研究先の新薬開発のノウハウ、経験を知得できる

 3) 共同研究が順調に進む場合、ライセンス・アウトの実現可能性が高い

 4) POCを取得した自社開発品のライセンス・アウトにより大きな収益を期待できる

 5) 事業を全体として拡大できる

 

 

 

②事業活動に伴う収益計上の時期

 当社のビジネスモデルからは、自社創薬及び共同研究とも収益を計上できるのは、ライセンス契約や共同研究契約の締結後です。以下の図は、その場合の収益計のタイミングを示しています。

 

<自社創薬及び共同研究における一般的な収益計上のタイミング>

(画像は省略されました)

注:上記の図は、一般的なケースとして当社が想定している事業収益計上のタイミングを表すものです。

 個別の契約によりそれぞれの金額や受取回数等が異なる場合があります。

 

 しかし、自社創薬に関しては、以下のような場合、正式なライセンス契約の締結前でも、何らかの収益を

得る機会があります。当社としては、相手方の意向にもよりますが、可能な限り、その機会を追求してまいり

ます。

 ・相手方に独占的な評価・交渉権を与える場合

 ・相手方との間で提携に関する基本条件が合意され、基本合意書などを締結する場合

 ・相手方の評価用に該当品目のサンプルを提供する場合

 

③自社創薬及び共同研究の特長と、事業展開における基本方針

(ⅰ)自社創薬について

 新薬の開発において、基礎・探索研究、前臨床試験、臨床試験へと開発のステージが進捗するに従い、その経費は大幅に増加します。

 また、臨床試験ステージになると、自社で開発を推進する場合には臨床試験用の社内体制を備える必要が生じ、さらにPOC確認後の臨床試験では、適応症にもよりますが、被験者数が飛躍的に増え、費用が莫大になります。上市後のマーケティング戦略を視野に入れた対応も必要となります。従って、POC確認後の臨床開発は、資金、経験やノウハウを有する製薬企業にて実施することが、アプタマー医薬の成功確率を高め、かつ早期の上市につながると考えております。

 これらの事情に鑑みて、当社としては、自社での研究開発の目標は、ヒトでの臨床試験に入る前か、臨床試験の初期でヒトでの薬効が確認された時点(POC確認時点)での、製薬企業へのライセンス・アウトとしております。但し、早期事業化の品目として選定したテーマである場合や、ライセンス先の製薬企業との間で合意が成立した場合は、それ以前であってもライセンス・アウトを実施いたします。

 なお、ライセンス・アウト後は、当該品目の開発や製造、販売などはライセンス先がその責任で行うことになります。しかし、当社のアプタマー医薬に関する知見が必要な場合、一定期間、共同研究を行うことがあります。

 

 

(ⅱ)共同研究について

 共同研究は、製薬企業(提携先)とともにアプタマー創薬を実現することを目指す共同研究契約と、アプタマー創薬を行っている製薬企業に対するアドバイザリー契約があります。具体的には、共同研究契約では、創薬のターゲットとなる疾患関連タンパク質は提携先の領域戦略などに従って選択され、当社はかかるタンパク質の生理作用を阻害・抑制し、提携先が求める基準を満たすアプタマーを創製いたします。提携先はそのアプタマーについて薬効等の確認・評価(スクリーニング)、安全性試験等を行い、早期に臨床試験の対象となる臨床開発品を特定し、以降は提携先のイニシアティブで臨床開発を推進します。アドバイザリー契約では、アプタマー創薬を行っている製薬企業に対し、アプタマー医薬開発に関する試験研究の受託、技術指導を行っております。

 共同研究では、製薬企業との間で作業分担を定めますが、当社が分担するアプタマーの創製に関する研究活動に対しては、適切な対価を得ることとしております。この役割分担に関しては、双方の有する技術や知識、経験をベースとして協議により決定しますが、当社の主な役割はアプタマーの創製やその改良となります。なお、当社では、共同研究の対価として受取る収入は共同研究収入として事業収益に計上し、試薬等の実費補填として受取る収入が生じた場合には受取研究開発費として営業外収益に計上しております。

 また、共同研究では、大手製薬企業の技術を活用することで開発をより迅速に進めることが可能となります。

 

 現在、当社が推進している、あるいは2020年3月期において終了した、アプタマー創薬に関する主たる共同研究は以下のとおりであります。

 

パートナー名称

共同研究概要

大正製薬株式会社

2014年3月に締結し、2017年3月に延長した共同研究契約に基づく、同社が選定した創薬領域に関する共同研究。2019年4月にその共同研究成果(特許を含む)の取扱いに関する覚書締結。(覚書の締結により、共同研究契約は終了した)

アステラス製薬株式会社

2017年3月に締結した共同研究契約に基づく、同社が開発を目指す創薬ターゲットに関する共同研究。2019年9月に契約を満了。

ビタミンC60バイオリサーチ株式会社

2019年1月に締結した共同研究契約に基づく、アプタマー技術を活用した化粧品材料の開発に関する共同研究。

 

 

④パイプラインについて

創薬事業(自社創薬及び共同研究)のパイプラインの主要なプロジェクトは下記のとおりです。

 

〈主要パイプラインの進捗>

(画像は省略されました)

(ⅰ)自社創薬パイプライン

自社創薬テーマに関する当社のビジネス・モデルは、前臨床段階まで開発が進んだ段階で、製薬企業にライセンス・アウトすることを優先してきました。この基本方針は堅持しつつも、研究開発型の製薬企業へと発展するためには、可能な範囲で自社での臨床試験を実施することが不可欠だと考えております。

自社で臨床POCを確保した製品については、前臨床段階でのライセンス・アウトに比較して、格段に有利な経済条件で製薬企業にライセンス・アウトすることが可能となり、当社の経営基盤の安定化に大きく役立ちます。

 このため、その一環として、RBM-007(抗FGF2アプタマー)の臨床試験の推進に積極的に取り組んでおります。RBM-007は高齢者の失明の原因ともなりうる滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)と難治性の希少疾患として知られる軟骨無形成症(四肢短縮による低身長を伴う)を対象疾患としております。以下に、RBM-007の臨床試験の現状と今後の予定、並びに当社のパイプラインについて、それらの概要をまとめます。

 

a) RBM-007:線維芽細胞増殖因子2を阻害する多用途治療薬の開発

 線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、様々な臓器や器官の形成や再生、並びにそれらの正常な機能を維持する上で大切な役目を果たす「善玉タンパク質」だと長く考えられてきました。その一方で、FGF2が過剰に産生されたり、その作用が増強したりすると、骨の正常な維持に不都合が生じる可能性が学術論文で示唆されていました。

しかし、FGF2に関する研究は、その発見から40年余の歴史があるにも拘わらず、抗体や低分子を含めてFGF2に対する優れた阻害剤が開発できませんでした。その理由は、FGF2はヒトでは22種類の類縁タンパク質からなるFGFファミリーの一員で、ヒトと動物で高度に保存されているため、抗体を含め特異的な阻害剤の創製は極めて困難だったからです。この結果、FGF2を阻害した場合の病気の発症や悪化に関する研究は進展せず、FGF2阻害剤の新薬候補品としての価値は見出されていませんでした。

当社は、骨疾患におけるFGF2の役割を明らかにする目的で、FGF2に対する阻害性アプタマーの創製と解析を実施しました。その結果、FGF2に対して高い特異性と強力な阻害活性を有するアプタマーを創製することに成功し(化合物番号「RBM-007」を付与)、これまで未解明だったFGF2の生理的な機能を解明するとともに、FGF2阻害剤の多面的な用途を明らかにすることに成功しました(米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy」誌2016年11月号と「Molecular Therapy Nucleic Acids」誌2019年9月号に掲載、並びに一つの物質特許と二つの関連特許を出願しております)。これにより、本アプタマーは、骨粗鬆症やリウマチなどの「骨疾患」や癌の骨転移に伴う「癌性疼痛」に対する治療薬となりうる可能性が明らかになりました。同時に、「加齢黄斑変性症」及び「軟骨無形成症」に対する新規治療薬となりうることも明らかとなりました。

 

a-1) 滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)の病理と既存治療薬の問題点

加齢によって網膜の中心部にある黄斑に障害が起き、見ようとするところが見えにくくなる疾患で、進行すると失明することがあり、欧米では失明原因の第1位で、日本でも第3位の失明原因となっています。その病理は、次の図に示されるように、加齢や紫外線・タバコの紫煙等が原因となって、網膜に炎症がおき、黄斑部に血管新生が誘導されて、視神経の膜構造が損傷されるために発症します。

(画像は省略されました)

 滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)の市場では、「Lucentis」や「Eylea」等の血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬が第一選択薬としての地位を確立しておりますが、wet AMD患者の約1/3はVEGF阻害薬が奏功せず、奏効した患者も長期治療の過程で、その薬効が次第に減弱し、やがて失明に向かうことが臨床的に明らかにされています。また、患者への負担が大きい硝子体(眼球)内注射の間隔を延ばすことが可能な治療薬の開発も求められています。

 そのため、新しい作用機序をもつ新薬として、VEGFとは異なるAMD発症の要因として血小板由来成長因子(PDGF)に対するアプタマー阻害剤が開発され、その薬効に世界的な関心が集まりました。しかし、第3相試験で目標とする薬効を達成することができませんでした。このような状況下で、加齢黄斑変性症は、未だに既存薬では病気の進行が最終的に抑制できないUnmet Medical Needsの疾患の一つであり、新規作用機序の薬剤の開発が求められています。

これまで開発されてきた既存の加齢黄斑変性症治療薬である抗VEGF薬では効果が十分に得られていない原因の一つとして瘢痕化が挙げられています。下図に示すように、RBM-007は血管新生の抑制作用のみならず、瘢痕化の抑制という作用を合わせ持つことが動物モデルの試験で明らかになっているため(非臨床POC確認)、既存薬にはない新規作用機序によって、競争力のある新薬となりうるものと考えております。

(画像は省略されました)

RBM-007によるwet AMDの治療においては、薬剤を眼球内(硝子体)に注射するため、投与薬剤量が少なくてすみ、また大半の薬剤が眼球内に留まるため、コスト的にも安全性においても、当社による開発に適していると考えております。

 

a-2) RBM-007を用いた滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)に対する臨床試験

米国における臨床試験の実施を目的として、当社100%子会社 RIBOMIC USA Inc.を米国Berkeleyに設立し(2017年8月)、複数の網膜疾患専門医を構成員とする当社科学諮問委員会での議論を経て、実施に向けた準備を進めました。

wet AMDを対象にした臨床試験として、第1/2a 相試験(試験略称名:SUSHI試験)を2018年10月から2019年7月にかけて米国で実施しました。本試験は、RBM-007の3用量(3コホート)を、計9人の難治性wet AMDの被験者に対して、単回投与(硝子体内注射)し、安全性、忍容性を確認することを主な目的として、米国西海岸の複数の治験施設において実施いたしました。

その結果、全ての用量において、主要評価項目(安全性と忍容性の確認)を達成し、あわせて副次的評価項目において薬効を示唆する結果も認められました。この結果を受けて、2019年12月より、RBM-007の複数回投与による臨床POC確認を目的とした第2相試験(試験略称名:TOFU試験)を米国で開始しました。この試験は、wet AMD患者を対象に、①RBM-007硝子体内注射の単剤投与群、②既存薬としてアイリーア(アフリベルセプト)硝子体内注射との併用投与群と、③アイリーア硝子体内注射の単剤投与群との間で、有効性と安全性を比較評価する無作為化二重盲検試験です。合計81名の被験者に対して、米国の10数カ所の治験サイトで実施するものです。2021年末までに本試験は完了する予定で、既存薬に対するRBM-007の優位性が証明されることを期待しています。

これと並行して進めてきた国内外の製薬企業との提携協議の結果、2020年3月、韓国AJU薬品株式会社との間で、韓国・東南アジア地域におけるRBM-007のwet AMDを適応疾患とするライセンス契約を締結いたしました(後述⑤参照)。

 

a-3) RBM-007を用いた軟骨無形成症の臨床試験計画

軟骨無形成症は、新生児約25,000人に対して1人の発生率の希少疾患で、有効な治療薬が存在せず、Unmet Medical Needsの疾患となっており、新規な薬剤の開発が求められております。この疾患は、FGF受容体のひとつであるFGFR3におきた突然変異によって発症する、四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、現在まで有効な治療薬が開発されていません。これまでに、当社は、軟骨無形成症モデルマウス(FGFR3の遺伝子を疾患変異型に人為的に改変したマウス)を用いた薬理試験において、RBM-007は低身長改善効果を示し、軟骨無形成症に対する本薬剤の非臨床POCを確認することに成功しております。また、軟骨無形成症患者由来のiPSC(人工多能性幹細胞)は軟骨細胞への分化が不全になっていることが知られていますが、iPS細胞を試験管内で培養する際に、RBM-007を添加することで、軟骨細胞への分化が可能となり、さらには、免疫不全マウスにこの分化細胞を移植すると、マウスの体内で軟骨組織が形成されることを証明しております(大阪大学医学部との共同研究)。これらの結果から、RBM-007が、軟骨無形成症に対する新薬となりうることが強く示唆されました。

軟骨無形成症に関するプロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援(2015年度からの3年間ならびに2018年度からの3年間)を受け、治験開始に必要な準備をすべて完了し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言を実施後、2020年4月、新薬の治験計画届出書をPMDAに提出し、同年5月に第1相試験の実施が許可され、同年7月より、国内の1治験施設において、RBM-007の安全性、忍容性及び薬物動態を調べることを目的とする、第1相試験を開始しております。

 

a-4) RBM-007を用いた癌性疼痛に対する新薬の開発

 疼痛(癌性疼痛)は、進行癌患者で高頻度に発生する骨転移を伴う骨病変の進行による強い疼痛を引き起こし、骨転移による疼痛にはオピオイドが効きにくいことが知られています。これまでの当社における研究によって、FGF2には骨疾患を増悪させる働きがあり、FGF2を阻害するアプタマーのRBM-007は骨疾患や骨疾患に伴う痛みを治癒する作用が動物実験で確認されております。この鎮痛効果は、モルヒネ(オピオイド)とほぼ同等の強さですが、モルヒネのような依存性や常習性等の副作用はなく、皮下投与により薬効の長期持続が期待されるという特徴があります。そのため、RBM-007はモルヒネ(オピオイド)を代替する安全な鎮痛薬になりうると期待しております。

 

b) RBM-003:心不全に対する新薬の開発

 RBM-003は「キマーゼ(Chymase)」に対する阻害性アプタマーです。キマーゼは、肥満細胞が産生分泌するキモトリプシン様のタンパク質分解酵素で、血圧調節を始め、多様な生理活性に関与することが知られています。手術や炎症に伴う傷害を受けた部位では、肥満細胞からキマーゼが放出され、活性化されると、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子β)前駆体やアンジオテンシン前駆体の活性化が誘起され、組織の線維化や心機能の障害が始まると考えられています。そのため、キマーゼ阻害剤は、臓器線維症や心不全に対する医薬品となる可能性を有しています。

(画像は省略されました)

 ハムスターを用いた冠動脈結紮による心筋梗塞急性期モデルにおいて、本アプタマーの投与は梗塞後のキマーゼ陽性肥満細胞の集積並びにキマーゼ活性を抑制し、顕著な心機能改善効果を示しました(非臨床POC確認、米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy Nucleic Acids」誌2019年1月号に掲載)。アプタマー投与は、冠動脈結紮の前投与のみならず、後投与においても顕著な心機能改善効果を示し、冠動脈結紮を行った実験動物(ハムスター)の生存率を著しく改善いたしました。

 RBM-003の競合品として、バイエル社(独)が開発した低分子のキマーゼ阻害剤を用いた、慢性心不全に対する臨床試験が、Phase2まで実施されていました。しかし、最近開発の中止が報告されました。その理由は明確ではありませんが、特許公知情報から、当社のRBM-003はバイエル社のキマーゼ阻害剤に比較して、2桁強い酵素阻害活性をもつと推測されます。そのため、強い薬理作用をもつアプタマーの特徴を生かして、「急性」の心筋梗塞に対する「救命効果」をもつ即効性の注射薬の開発を目指すことが適切ではないかと考えています。その基本方針のもとで、今後の研究開発を加速するとともに、早期のアライアンスを実現したいと考えております。

 

c) RBM-011:肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する新薬の開発

 抗IL-21アプタマーを用いたPAHに対する新薬の開発研究を、国立循環器病研究センターと共同で進めてきました。本研究は、AMEDの難治性疾患実用化研究事業の一環として助成を受け(2017〜2019年度)、治療薬候補としての抗IL-21アプタマーの創製に成功いたしました。今般、その継続研究がAMEDの治験準備(ステップ1)研究として採択されました(2020〜2022年度)。

 PAHは、難治性呼吸器疾患に認定されている原因不明の病気であり、肺動脈壁が肥厚して血管の狭窄が進行した結果、全身への血液や酸素の供給が障害され、最終的には心不全から死に至ることのある重篤な疾患です。これまでの共同研究によって、当社が創製した抗IL-21アプタマーは、動物実験において、肺動脈壁の肥厚に対して、顕著な抑制効果をもつことが明らかになっています。今後は、PAHに対する国内での専門医療機関である国立循環器病研究センターと密に連携して、本剤を臨床試験に進めるべく注力したいと考えております。

 

d) RBM-010:変形性関節症に対する新薬の開発

 RBM-010は、当社と大正製薬株式会社との共同研究で創製された製品で、変形性関節症の増悪因子の一つであるADAMTS5(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 5)の働きを抑制する作用があります。変形性関節症は、種々の原因により、膝や足の付け根、肘、肩等の関節に痛みや腫れ等の症状が生じ、

その後関節の変形をきたす病気です。現在、治療法としては痛みや腫れを和らげる薬の服用や関節置換術などの手術しかなく、根治する薬はありません。RBM-010(抗ADAMTS5アプタマー)はその根治療法に道を開く可能性があります。日本には、変形性関節症を有している人が、2,500万人以上、また、世界では、変形性関節症の患者が約2億4,000万人以上と推定されており、今後高齢化にともない更に増加が予測されています。

(画像は省略されました)

 

e) RBM-001:骨硬化性疾患に対する新規治療薬の開発

 RBM-001(抗Midkineアプタマー)は、大塚製薬株式会社との共同研究の後、2017年5月にライセンス契約を締結したものです。その後の研究よって、RBM-001が骨代謝に関与する細胞に対し特有の作用(骨芽細胞死)を有することを発見し、2019年5月に発明「骨形成や骨代謝の異常に関連する疾患の治療薬」の特許出願を実施いたしました。これと並行して、当社は大塚製薬株式会社と協議の上、2019年5月付でライセンス契約を終了すると同時に、本品の当社による事業化(事業化後の大塚製薬株式会社へのロイヤルティー支払いを含む)に関する覚書を締結しました。

 骨硬化性疾患等の骨系統疾患には、進行性骨化性線維異形成症(筋肉や腱、靱帯が骨組織に変化して硬化する病気であり、子供のころから発症し死に至る可能性があるとして、難病に指定されています。)や後縦靱帯骨化症(背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨になった結果、脊髄等が押されて、感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気で、難病に指定されています。)等が含まれます。今後、当社は本品のグローバル展開を推進するためのパートナーを選定し、RBM-001の事業化を進めていく予定です。

 

f) その他のパイプライン

f-1) COVID-19治療用アプタマーの開発

当社の使命に鑑み、現在世界的なパンデミックとなっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬の開発を目的としたアプタマー創薬研究を開始いたしました。

 COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2は、ウイルス表面のスパイクタンパク質(Sタンパク質)がヒトの細胞表面にある受容体(ACE2タンパク質)に結合することによって感染が開始され、その後細胞内に侵入し増殖することが明らかになっています。当社は、Sタンパク質やACE2タンパク質に結合することで、Sタンパク質とACE2タンパク質の結合を阻害し、あるいは細胞への侵入を阻止するようなアプタマーの創製を進めております。今後、社外の専門研究グループと共同で、得られたアプタマーのウイルス増殖阻害効果を、細胞ならびに動物モデルを用いて検証する予定です。

 

f-2) 抗ST2アプタマー:重症喘息やアトピー性皮膚炎に対する新規治療薬の開発

 ST2は細胞の表面に発現しているタンパク質で、当初どのような機能があるのかわかっていませんでした。その後、2005年にペアとなって働くサイトカイン(免疫応答に機能する分子)IL-33が発見され、免疫細胞の活性化による感染防御に働いていることがわかりました。さらに、2010年に2型自然リンパ球(ILC2)という新しい免疫細胞が発見され、この細胞が異常に活性化してしまうことが喘息やアトピー性皮膚炎等の疾患の原因となっていること、この細胞の活性化にIL-33/ST2が重要な役割を担っていることが報告されています。

 当社が創製した抗ST2アプタマーのST2に対する結合力は、一般的な抗体医薬品と比較しても、極めて高い親和性を有しており、気道吸入や薬剤塗布による薬剤送達が可能な新薬の開発を目指しています。

 

f-3) 抗FGF9アプタマー:精神疾患に対する新薬の開発

 米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムと、大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症等の精神疾患に対する新薬の開発を目標に共同研究を開始しました。プリツカー・コンソーシアムは、プリツカー財団の寄付により運営される、ミシガン大学やスタンフォード大学等、米国を代表する5カ所の精神疾患研究施設からなる研究連合で、線維芽細胞増殖因子9(FGF9)の異常亢進が重篤な精神疾患の原因になることを明らかにしています。

 当社はFGF9に対する阻害性アプタマーを創製し、プリツカー・コンソーシアムにおいて動物実験で抗FGF9アプタマーの薬理作用を検証し、革新的な精神疾患治療薬の開発につなげたいと考えています。このプロジェクトは、血液脳関門を通過して、薬剤を脳内に送達することが必要となるため、当社にとって魅力的かつチャレンジングなテーマです。この問題を解決することによって、神経精神疾患に対する新薬の開発という新たなアプタマー創薬の地平が拓けるものと期待しています。

 

(ⅱ)共同研究パイプライン

共同研究パイプラインの概要は、(3)③(ⅱ)で示したとおりです。

 

⑤ライセンス・アウト済みプロジェクト

 当社の創薬事業のパイプラインのうちライセンス・アウト済みのものは、以下のとおりであります。

区分

パイプライン

ターゲット

導出先

権利地域

適応症

自社創薬

RBM-004

NGF(神経成長因子)

藤本製薬株式会社

全世界

疼痛

共同研究

RBM-001

Midkine

大塚製薬株式会社

(2019年5月契約終了)

全世界

非開示

自社創薬

RBM-007

FGF2(線維芽細胞

増殖因子2)

AJU薬品株式会社

(韓国)

韓国及び東南アジア

滲出型加齢黄斑

変性

 

(ⅰ)藤本製薬株式会社とのライセンス契約

 当社は2014年4月、NGFに対するRNAアプタマーを含有する医薬品の開発、製造、販売に関して、全世界での独占的実施権を許諾するライセンス契約を藤本製薬株式会社と締結しております。

 

(ⅱ)大塚製薬株式会社とのライセンス契約

 当社は、大塚製薬株式会社と、2008年8月から2016年12月まで実施した抗Midkineアプタマー(当社製品コードRBM-001)及び関連核酸に関する共同研究での成果につき、大塚製薬株式会社においてこれを開発・商業化することを目的としたライセンス契約を2017年5月に締結いたしました。その後の研究によって、本品が希少疾患である骨硬化性疾患等の骨系統疾患に効果を示すことが明らかになり、2019年5月にそれに基づく発明「骨形成や骨代謝の異常に関連する疾患の治療薬」の特許出願を実施いたしました。これと並行して、当社は大塚製薬株式会社と協議の上、2019年5月付でライセンス契約を終了すると同時に、本品の当社による事業化(事業化後の大塚製薬株式会社へのロイヤルティー支払いを含む)に関する覚書を締結しました。今後、当社は本品のグローバル展開を推進するためのパートナーの選定を進めていく予定です。

 

(ⅲ)韓国AJU薬品とのライセンス契約

当社は2020年3月、韓国AJU薬品株式会社との間で、韓国・東南アジア地域におけるRBM-007のwet AMDを適応疾患とするライセンス契約を締結いたしました。これにより、当社は、契約一時金として1百万USドルを受領、今後、RBM-007の開発段階に応じて、開発マイルストーンとして最大5百万USドル、合計最大6百万USドルを受け取る権利を取得しております。

 

⑥その他

当社は、創薬以外へのアプタマーの応用も行っております。

その一つに、IgGアプタマーがあります。IgGはヒト血清中に最も多く存在(70~75%)する免疫グロブリンで、抗体医薬として実用化されています。

当社は、アプタマー創薬に関する技術開発の過程において、IgGの特定の部分(定常部)に結合するアプタマーを取得し、このアプタマーの機能解析を進めた結果、抗体医薬の分離精製に利用できることを証明いたしました。本プロジェクトに関し、2015年10月に中小企業庁からの東京都受託事業である2014年度補正「ものづくり・商業・サービス革新補助金」の助成事業として採択されました。これを受けてIgGアプタマー樹脂及びカラムの試作品を作成し、製薬企業や大学等にモニター用としてサンプル提供を行っております。

また、本アプタマーに関する事業の進展に伴い、新規の製品コード「RBM-101」を付して、商品化に向けた活動を推進しております。

本アプタマーに関し、抗体医薬品開発のプロフェッショナルである株式会社イーベックとの間で、2016年12月に革新的な抗体精製技術の実用化に向けた共同研究契約を締結いたしました。その結果、2019年1月に共同研究の目的を達成し契約を満了いたしました。当社は、今後、本共同研究において得られた知見も含め、国内外の大手製薬企業へのライセンス・アウトを含めた事業化を目指してまいります。

(画像は省略されました)

 

上記の他に、アプタマーを利用した次世代の基盤技術の開発も進めております。その一つとして、膜タンパクを標的としたアプタマーの創製技術の開発、あるいは次世代型シークエンス法並びにコンピュータ科学を利用したアプタマー創製の新しい基盤技術の開発も行っております。前者については、2016年9月に、「GPCRを標的とするRNAアプタマー創薬基盤技術の開発」がAMEDによる創薬基盤推進研究事業に採択され、2018年度末まで、本助成事業を東京大学医科学研究所と共同で実施して、高い評価を獲得することができました。また、後者については、2018年9月に、「人工知能(AI)技術を用いた革新的アプタマー創薬システムの開発」が国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による戦略的創造研究推進事業CREST研究に採択され、2020年度末までの期間、本助成事業を早稲田大学並びに東京大学医科学研究所と共同で進めてまいります。

 これらの研究は、当社の基盤技術である「RiboARTシステム」の新たな発展を目指すものであります。

 

(4)アライアンスの推進

①ライセンス戦略

 当社は、自社創薬製品については、これまで、臨床試験に入る前にライセンス・アウトすることを事業スキームとしてきましたが、適切な自社製品については、自社で臨床試験を実施し、POCを取得した後にライセンス・アウトすることも、当社の主要な事業スキームに加え、事業展開を進めております。

当社は東京大学医科学研究所の研究成果を事業化するために発足した大学発のベンチャー企業であったことや、研究実施のために公的資金の提供を受けたプロジェクトも複数例あることから、その成果については、できる限り国内企業へライセンス・アウトすることを意図し、アプローチしてまいりました。

また、当社はこれまで共同研究やライセンス・アウトに連動して、複数の共同研究先及びライセンス先と資本提携も実施し、より強固で統合的な事業推進を図ってまいりました。

今後は、アプタマー創薬に取り組む企業の拡大が見込まれ、それに伴う事業チャンスを活かすために、事業開発部を中心に営業活動の地域を海外にも積極的に広げ、共同研究やライセンス・アウトの機会の拡大を図ってまいります。

 

②アライアンスの推進体制

自社創薬品目のライセンス・アウト実現のためには、可能性の高い提携候補先の選定、候補先での導入決定を促す試験成績・データ(製品差別化のポイント、製品売上高の予測、競合品に対する優位性等)の創出、交渉の進展に応じたタイムリーな情報提供、さらには事業化や開発に関する的確な提案、粘り強い交渉などが必要です。

また製薬企業側のニーズの把握と積極的なアプローチも必要です。

これらの活動を行うためには、医薬品業界におけるライセンスや事業開発の経験、及び国の内外の製薬企業と広範なネットワークを有する人材が不可欠です。

このため、当社では医薬品業界での新薬の開発及びライセンスの経験と実績のある人材を社内に擁し、また研究開発や知財に関する社外専門家も活用できる体制を構築しており、アライアンスの実現に向けた体制を整えております。

 

③産学連携、トランスレーショナル・リサーチの推進

当社のコアな技術である「RiboARTシステム」を構築する主要な知識、技術は、東京大学医科学研究所との提携によりもたらされたものであります。

現在においても東京大学や大阪大学医学部、順天堂大学医学部、大阪医科大学医学部等との緊密な連携を図り、アカデミアでの研究成果を事業化するための開発に移行させ(トランスレーショナル・リサーチ)、その実用化を目指しております。

特に東京大学医科学研究所とは2005年6月より共同研究による提携を開始し、2012年4月以降は社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)の下での連携を図っております。

 

(5)知財戦略

 創薬プラットフォーム系バイオベンチャーである当社にとって、開発する製品が特許により保護されていることが、他社とのライセンスや共同研究を実現する上で不可欠です。

 当社の知財戦略は、開発する製品に関するものと、開発技術に関するものとに峻別し、以下のような異なる対応をしております。

 

①自社創薬品目及び共同研究品目に対する知財戦略

 物質特許の取得を必須としております。なお、RNAを成分とするアプタマーは配列の違いによって、同一標的分子(疾患関連タンパク質)について権利範囲の抵触しない複数の物質特許が成立する可能性があります。

 このため、標的分子との結合力が強く、かつ、その生理作用に対する阻害活性の高いアプタマーだけでなく、その周辺の化合物も特許でカバーし、さらに、無数にある核酸配列の中から結合力及び阻害活性の高いアプタマーに共通する配列を探索し、その共通配列を特許化することで、広い権利を押さえることを基本戦略としています。

 また、共同研究品目については、提携先との共同出願となるのが通例ですが、ライセンス・アウトに伴い、開発や事業化についての独占的実施権を提携先に付与しても、当該特許に対する自社権利は維持する(共有とする)方針を基本といたします。

 なお、特許の出願国については、日米欧を中心として、中国、韓国、インド、ブラジル等の医薬品市場の規模が大きく、または将来の市場拡大が見込まれる国や地域をカバーすることを方針としております。

 

②「RiboARTシステム」に対する知財戦略

 「RiboARTシステム」のコアとなる技術(アプタマーの取得、短鎖化や化学修飾等の最適化)に関するものの中には、特許化して権利の独占を図れる可能性のある技術も含まれていると当社は考えておりますが、特許化にはその技術を公開するという代償を伴います。

アプタマーは、その質さえ問わなければ、既に特許期間が失効したSELEX法を含む公知の方法で取得可能です。そのため、当社の特許化された技術を使用して他社がアプタマーを取得したとしても、それが当社の特許技術を使用したことを立証することは困難で、特許出願に伴う技術の公開は、敵に塩を送るに等しいものです。

 従って、当社では、原則として「RiboARTシステム」により創製されたアプタマー医薬品候補物については、物質特許を取得する方針でありますが、「RiboARTシステム」を構築する技術自体は、特許化による競争優位性が確保されるものを除きノウハウあるいは営業秘密として秘匿し、優位性の確保に努めます。なお、当社はノウハウあるいは営業秘密が社外に流出しないよう、役職員や取引先との間で秘密保持義務等を定めた契約を締結し、厳重な情報管理に努めております。

 

③主要な特許の状況

 当社が保有者となる、当社の研究開発に関する主要な特許の状況は以下のとおりであります。

 

 <自社創薬品目に関する主要な特許>

対象パイプライン

発明の名称

出願または特許番号

保有者

登録状況

RBM-003

キマーゼに対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2018/044132

 

当社

RBM-007

FGF2に対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2015/058992

当社

日本・米国・欧州・中国・香港(中国経由)・ロシア・南アフリカにて成立済

アプタマー製剤

PCT/JP2019/025766

当社

THERAPEUTIC AGENT FOR SUBRETINAL HYPERREFLECTIVE MATERIAL OR RETINAL DISEASE WITH SUBRETINAL HYPERREFLECTIVE MATERIAL (FGF2に結合するアプタマー又はその塩を含む、網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤)

Provisional Application in US Application Number: 62970842

当社

RBM-006

オートタキシンに結合しオートタキシンの生理活性を阻害するアプタマー及びその利用

PCT/JP2015/062561

当社

RBM-010

ADAMTS5に対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2018/

041746

当社・大正製薬株式会社

RBM-001

骨形成や骨代謝の異常に関連する疾患の治療薬

PCT/JP2020/020294

当社

RBM-011

IL-21に対するアプタマー及びその使用

特願2020-104831

当社

 

 

<ライセンス・アウト品目に関する主要な特許>

対象パイプライン

発明の名称

出願または特許番号

保有者

登録状況

RBM-004

NGFに対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2009/066457

(特許第5602020号)

当社・藤本製薬株式会社

日本・米国・欧州他にて成立済

NGFに対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2011/057105

(特許第5027956号)

当社・藤本製薬株式会社

日本・米国・欧州他にて成立済

NGFに対するアプタマー及びその用途

PCT/JP2012/75252

(特許第6118724号)

当社・藤本製薬株式会社

日本・米国・欧州他にて成立済

RBM-007

FGF2に対するアプタマー及びその使用

PCT/JP2015/058992

 

当社

日本・米国・欧州・中国・香港(中国経由)・ロシア・南アフリカにて成立済

アプタマー製剤

PCT/JP2019/025766

 

当社

 

THERAPEUTIC AGENT FOR SUBRETINAL HYPERREFLECTIVE MATERIAL OR RETINAL DISEASE WITH SUBRETINAL HYPERREFLECTIVE MATERIAL (FGF2に結合するアプタマー又はその塩を含む、網膜下高反射病巣または網膜下高反射病巣を伴う網膜疾患の治療剤)

Provisional Application in US Application Number: 62970842

 

当社

 

 

<その他プロジェクトに関する主要な特許>

対象パイプライン

発明の名称

出願または特許番号

保有者

登録状況

RBM-101

免疫グロブリンGに結合する核酸とその利用法

PCT/JP2006/313811

(特許第4910195号)

当社

日本、米国にて成立済

 

(6)ESG(環境/社会/企業統治)に関する取り組み

 昨今の資本市場では、長期持続的な企業の成長を評価する上で不可欠な観点として、ESG(Environment/環境、

Social/社会、Governance/企業統治)といった非財務情報への関心が高まっています。当社は、ESGに関して次のような方針で取り組んでまいります。

   ①E(環境)

 当社は、IT整備によるペーパーレス等の省資源や研究資源の管理、ならびに分別廃棄を徹底した厳格な廃棄物管理に注力いたします。また、社外で実施されているリサイクル活動にも積極的に参加するなどの取り組みも合わせて推進してまいります。

 

   ②S(社会)

 当社は、難病や未だに薬のない病気(Unmet Medical Needs)に対する新薬を開発して、世界の医療と人々の健康に貢献するというミッション実現に向けた事業活動を展開しているため、「Social」は事業活動そのものと考えています。その中で、特に、現在世界的なパンデミックとなっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアプタマー治療薬の開発は、アプタマーの卓越した優位性を発揮すべき当社の使命であると考えており、1日も早く候補アプタマーの創製を実現するために努力してまいります。

 

③G(企業統治)

・コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、アプタマー創薬企業としてアプタマーを素材とする新薬を次々と創製し、継続的な成長と企業価値の最大化を図り、医薬品開発を通して社会に貢献できる企業を目指しております。このような企業として社会的責任を果たしていくために、社外取締役を2名体制にしている他、コーポレートガバナンス・コードへの対応も継続して進めてまいりましたが、今後もコーポレート・ガバナンス体制の強化により経営の健全性や透明性の向上を継続的に図っていくことは、最も重要な課題の一つであると認識し、取り組んでまいります。

組織体制の整備と人材の育成・登用

 当社は、上記の課題に対応し、当社事業の継続的な発展を実現するためには、それに対応する組織体制の整備

と、人材の育成・登用を図ることが重要と考えており、必要に応じて組織体制の強化を図ってまいりました。今後

も事業構造や事業展開等を勘案したうえで必要な人材を育成し必要なポジションに登用する他、豊富な経験を有す

る人材の採用、外部ノウハウの活用などにも積極的に取り組んでまいります。

 

<用語解説>

 

※1 : RNA

 

遺伝情報は生命の設計図ですが、アデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)という4種類の塩基の配列として、DNA(デオキシリボ核酸)という(2重螺旋構造の)核酸の中にコードされています。

ヒトならば30億塩基の配列がヒトを作り上げる全情報です。この塩基の並びはタンパク質のアミノ酸の配列を指定して、生命活動を司る様々なタンパク質を産生します。その時、DNAの配列情報は、一旦、アデニン(A)チミン(T)の代わりのウラシル(U)グアニン(G)シトシン(C)の塩基配列に置き換えて、RNA(リボ核酸)という核酸にコピーされ(この過程を「転写」といいます)、その遺伝情報のコピーを使ってタンパク質を合成します(この過程を「翻訳」といいます)。

  そのため、分子生物学の黎明期から、RNAは単なる遺伝情報のコピーに過ぎないという思い込みが、世界的にも支配的でした。しかし、10数年前から、この考えは誤りであることが様々な研究によって明らかになってきました。特に立体構造を作って働く機能性RNAの生体内での役割が注目を集めています。

 

※2 : RNAの造形力

当社は、アプタマーとIgGとの結合体の結晶構造をX線解析法によって明らかにしてNucleic Acids Res誌に発表いたしました(2010年、図参照)。

  その結果、既存のアプタマーではRNAのリン酸の負電荷と、標的タンパク質の正電荷のアミノ酸領域とが電気的な相互作用によって結合するものしか知られていませんでしたが(図の右の事例)、IgGアプタマーはこ

<アプタマーとIgG結合体の結晶構造>

(画像は省略されました)

 

 

 

れまでの常識を覆して、アプタマーが標的にフィットするしなやかな形状を作って、電気的な相互作用を使わずに、水素結合やファンデルワールス力のような多様な結合を利用して強く標的に結合することが明らかにされました。

つまり、RNAには、これまで予想もされなかった「しなやかな造形力」が備わっていることの証しです。このような基礎的な研究は、応用という点からも重要です。特に、医薬品の標的となるタンパク質は、必ずしもRNAと結合しやすい正電荷のアミノ酸が表面に多いとは限らないため、これらの基礎研究の成果は、非常に多くのタンパク質がRNAアプタマーの創薬ターゲットとなりうるということを示唆するものです。

 

※3 : 臨床試験

 

 

 新薬についての製造販売承認を取得するには、ヒトでの有効性及び安全性を確認する臨床試験が不可欠です。この場合、通常、以下の3段階があります。第一段階は、少数の健常人を対象として、動物実験等により安全性の確認を終えた化合物について、その安全性や体内での動態等を確認する試験であり、第1相試験(Phase 1試験)と呼ばれています。

 第一段階をクリアすると、次の段階は少数の患者(被験者)を対象として、薬効と安全性を確認する第2相試験(Phase 2試験)に入ります。この試験のステージは、通常、2ステップがとられ、最初のステップは、少数の被験者について主に薬効を確認する段階です。この試験はPhase 2a試験と呼ばれます。さらに被験者数を増やし、有効性と安全性のバランスを取るために最適な用量を確認するための複数の用量を設定して行うPhase 2b試験があります。最後の段階は、多くの被験者を対象として行う第3相試験(Phase 3試験)です。

 なお、臨床試験は、承認取得の前だけでなく、承認の取得後も当局から承認の条件として実施が求められる場合があります。この時の試験は市販後臨床試験と呼ばれています。

 

 

 

 

※4 : 化学修飾

 

 

 

 

 

  品質や薬効向上のために、化合物の一部の分子や原子を他の分子や原子に置換したり、新たな分子や原子を結合させることをいいます。

 

※5 : ライセンス・アウト

 

 

 特許や開発中の製品に関する権利を他の会社に供与したり、譲渡したりすることを意味し、「導出」ともいいます。供与する権利の内容としては特許の実施権や使用権、さらにかかる特許によって保護されている製品の開発、及び製造・販売する権利などがあります。

 

※6 : POC

 

 

 POC(Proof of Concept)とは、新薬の開発段階において、ある化合物がヒトでの臨床試験(通常は少数の患者を対象としたPhase 2a試験)において意図した薬効と安全性の基準をクリアすることをいいます。

 

※7 : マイルストーン収入

 

 

  医薬品の開発は、前臨床試験→臨床第1相試験(Phase 1)→臨床第2相試験a(Phase 2a)→臨床第2相試験b(Phase 2b)→臨床第Ⅲ相試験(Phase 3)→申請→承認→発売というステップを踏んで進行します。

開発途上の医薬品のライセンスにおいては、この開発の節目を「マイルストーン」といい、それに到達したとき、あるいはその段階に入るときにライセンスの対価の一部がライセンサーに対し支払われる取引が普及しています。これによる収入を、「マイルストーン収入」といい、開発ステージが進むにつれて、商品化への確率が高まるため、マイルストーンの収入が増加するのが一般的です。

 

※8 : 抗体、抗体医薬

 

 

 抗体とは、体内で特定の異物(抗原)に結合してその物質を体内から排除するように働くタンパク質をいいます。この排除システムを抗原抗体反応といい、我々の体内に自然に備わっている防御システムです。

 抗体医薬とはこの仕組を医薬品として応用するもので、具体的には、疾患の原因となっているサイトカインなどのタンパク質を抗原として認識する抗体を産生する細胞(主に動物の)を造り出し、その後、この細胞を培養して該当する抗体を取り出し、精製加工します。但し、ヒト以外の動物、例えばマウスの細胞が産生する抗体(マウス抗体)をそのままヒトに使用できない場合があるため、動物からとれた抗体をヒト型に組み替える技術が発達しています。

現在、臨床開発されている抗体医薬の多くは、このヒト化抗体、若しくはヒト抗体です。さらに、複数の抗原を狙ったものや持続時間の長期化のためにPEGと結合させたコンジュゲート抗体なども開発の俎上にのっています。

なお、抗体類似の構造を持ち作用・機能面においても抗体と類似するFc融合タンパク質は、広い意味で抗体医薬の一種に含むこともあります。

 この抗体医薬は、難治疾患に対する確かな効果と安全性、高薬価、さらに技術開発があいまって市場が急伸しており、近年、世界的な開発競争が激化しています。

 

※9 : 核酸医薬

 

 

1970年代以降、ヒトの遺伝子の研究が進展し、核酸が医薬品になるかもしれないという期待は1980年代に生まれました。しかし、当時は核酸、特にRNAを医薬に応用するための基礎的な技術が整備されておらず、しかもRNAという核酸の特性や立体構造等の学術的な理解も浅かったために、長期にわたる膨大な資金や人材の投入とは裏腹に核酸医薬の開発は実を結びませんでした。

 しかし、その苦い教訓の中でも、RNAの加工技術の開発という地味な仕事がアカデミアや少数のベンチャー企業で継続されました。その結果、1998年に世界初となるアンチセンス医薬(Vitravene[一般名Fomivirsen],エイズ患者のサイトメガロウイルス性網膜炎用の局所投与剤)が承認され、その後、2004年にアプタマー医薬であるMacugen、2013年に2番目となるアンチセンス医薬(Kynamro[一般名Mipomersen])が家族性高脂血症薬として承認されました。2016年にはデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたEXONDYS51TM、脊椎性筋萎縮症を対象としたSpinrazaTMが相次いで承認され、さらに、2018年には家族性トランスサイレチン (TTR) アミロイドーシスを対象とした世界初となるsiRNA医薬(Onpattro [一般名 Patisiran])が承認され、アンチセンスやsiRNAを用いた核酸医薬品の開発が活発に進められています。

 

 

 現在、研究開発中の核酸医薬には下記の表に示すものがあり、その中で主要な核酸医薬品の作用機序について下記の図に示しています。

分類

基本構造

標的

作用機序

アプタマー

一本鎖RNA/DNA

タンパク質

タンパク質に結合して生理作用を阻害

アンチセンス

一本鎖DNA

mRNA

mRNAに結合して翻訳を阻害

デコイ核酸

二本鎖DNA

転写因子

転写因子をトラップして転写を阻害

リボザイム

一本鎖RNA

mRNA

酵素として働きmRNAを切断し、発現抑制

siRNA

二本鎖RNA

mRNA

mRNAに結合しmRNAの不安定化による発現抑制

miRNA

一本鎖RNA

mRNA

mRNAに結合しmRNAの不安定化や翻訳阻害による発現抑制

antimiRNA

一本鎖RNA/DNA

miRNA

miRNAに結合してその活性を阻害

mRNA

一本鎖RNA

リボゾーム

(鋳型作用)

タンパク質合成の鋳型として働き、目的とするタンパク質を合成

エキソンスキッピング

一本鎖RNA/DNA

mRNA前駆体

遺伝子異常部位をスキップするようにスプライシングを調整

CpGオリゴ

一本鎖DNA

TLR

自然免疫の活性化

 

 

 

 

<主要な核酸医薬品の作用機序>

(画像は省略されました)

 

※10 : DDS

 

 薬剤の副作用の原因のひとつに、薬剤が標的臓器以外に作用することがあげられます。DDS(Drug Delivery System)とは、この問題を解決するために、薬剤が標的臓器に、適切な濃度で到達、作用できるように、剤形を工夫したシステムをいいます

※11 : 最適化

 

 医薬品の開発過程において、in vitro 試験等によって薬効のある化合物が得られたとしても、より効果が優れ、安全性の高い化合物を得るための様々な工夫がなされます。このプロセスは最適化と呼ばれます。アプタマー医薬に関しては、長大な核酸配列の中から効果や安全性に関係のない部分をカットする短鎖化、核酸分解酵素の作用を阻止するための化学修飾、腎臓からの早期の排出を抑えるための化合物(ポリエチレングルコールなど)との結合などがその例です。

 

※12 : 分子標的薬

 生体内で疾患に関連する遺伝子やそれが係わるタンパク質等(サイトカイン、成長因子等)を標的としてその活動を阻害したり活性化することを狙った医薬品をいいます。抗体医薬もアプタマー医薬も分子標的薬の一種といえます。

 

 

 

 

※13 : スクリーニング

 

 

 新薬の開発過程において、多数の化合物の中から目的とする化合物(薬効を示し安全性が高いもの)を選び出す作業のことです。

 

※14 : 前臨床試験

 

 臨床試験開始前に行われる試験を前臨床試験と言い、例えば予備毒性試験やGLP試験が含まれます。

 

※15 : GLP試験

 GLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の安全性に関する非臨床試験(急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性、その他の毒性試験)の実施に関する試験の質を担保する基準のことをいいます。この基準は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」で定められています。なお、日本のGLPと同様な規制は欧米等でも実施されています。このGLPに準拠して行う試験をGLP試験といいます。

 

※16 : 予備毒性試験

 

 

 GLP試験に入る前に、的確なGLP試験を実施するためのデータ入手を目的として行う試験です。本試験で薬剤の毒性の概略を把握し、GLP試験での投与用量の設定根拠の情報を得ることができます。

 

※17 : ノウハウ、営業秘密

 

 

ノウハウ(Know-How)とは「単独で又は結合して、工業目的に役立つある種の技術を完成し、又はそれを実際に応用するために必要な秘密の技術的知識と経験、又はそれらの集積」(国際商業会議所の定義)をいい、営業秘密とは①秘密に管理されていること、②有用な情報であること、③公然と知られていないこと、の3要件を満たす技術上、営業上の情報(不正競争防止法第2条第6項の定義に基づく)のことです。

 

※18 : in vitro in vivo

 

 In vitro (イン・ビトロ)とは、技術用語で「試験管内で」という意味です。In vitro 試験は、試験管内で、ヒトや動物のタンパク質、細胞や組織を用いて、薬物の効果や作用等を調べる試験をいいます。当社では、得られたアプタマーのタンパク質との相互作用の確認試験や細胞・組織を用いた薬効確認試験がこれに該当します。

 In vivo (イン・ビボ)とは、「生体内で」という意味です。In vivo 試験とは、マウスやラット等の実験動物を用いて、生体内での薬物の作用や効果、安全性・毒性等を調べる試験をいいます。当社では、得られたアプタマーの薬効確認試験や安全性・毒性の評価試験がこれに該当します。

 

※19 : トランスレーショナル・リサーチ

 

大学や研究機関による基礎的な医学・薬学研究の成果を疾患の治療や新薬の開発に応用するための研究をいいます。

 生命科学やバイオテクノロジーの飛躍的な発展に伴い、世界的に大学での研究成果を早期に実用化に向ける動きが加速しています。薬の場合、例えば新薬の候補となる物質が大学の研究室で発見されたとしても、それをヒトでの臨床試験に繋げるには化合物の最適化(より効果があり、安全性の高いモノに改良すること)、様々な動物実験、各種試験用のサンプルの製造等、多くの課題、ハードルがあります。この基礎から臨床試験に至る一連の橋渡しのための研究がトランスレーショナル・リサーチです。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当事業年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。

 

①財政状態の状況

(イ)資産の部

 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて299百万円減少し、2,269百万円となりました。これは、AJU薬品へのRBM-007のライセンス・アウトに伴い売掛金が108百万円、研究用機器の購入等に伴い有形固定資産が30百万円増加した一方で、有価証券が600百万円、RBM-007の開発に関連する外注費等に対する前渡金が45百万円減少したこと等によるものです。なお、当事業年度末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。

 

(ロ)負債の部

 当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて997百万円減少し、88百万円となりました。これは、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の行使800百万円、及び未行使分200百万円の繰上償還を行ったことにより転換社債型新株予約権付社債が1,000百万円減少したこと等によるものです。

 

(ハ)純資産の部

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて697百万円増加し、2,180百万円となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の転換、並びに、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金が768百万円、資本剰余金が768百万円増加した一方で、当期純損失855百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したこと等によるものです。

 

 以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末から37.6ポイント増加し、95.3%となっております。

 

②経営成績

 当事業年度においてAJU薬品株式会社へのRBM-007に関するライセンス収入108百万円等を計上したことにより事業収益を121百万円(前事業年度比1,427.0%増)、事業費用として研究開発費を673百万円、販売費及び一般管理費を362百万円計上し、営業損失は914百万円(前事業年度は928百万円の営業損失)となりました。

 また、営業外収益として、AMEDの支援事業による助成金収入68百万円、JST委託事業による助成金収入6百万円等を計上した一方で、営業外費用として、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換及び第14回並びに第15回新株予約権の発行諸費用等に係る株式交付費14百万円、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の償還に係る社債償還損2百万円を計上したこと等により、経常損失は853百万円(前事業年度は835百万円の経常損失)となりました。これにより当期純損失は855百万円(前事業年度は836百万円の当期純損失)となりました。

 なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し187百万円増加し、1,199百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は902百万円(前事業年度は830百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費17百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、売上債権の増加額108百万円、未払金の減少による支出11百万円、RBM-007の開発を中心とした研究開発への投資を行ったこと等に伴う税引前当期純損失853百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は553百万円(前事業年度は418百万円の支出)となりました。主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出803百万円、有形固定資産の取得による支出46百万円によるものです。一方で、主な資金増加要因は、有価証券の売却による収入600百万円、定期預金の払戻による収入803百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は536百万円(前事業年度は1,080百万円の収入)となりました。主な資金減少要因は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の繰上償還を行ったことによる支出202百万によるものです。一方で、主な資金増加要因は、第14回及び第15回新株予約権の一部について権利が行使されたこと等に伴う株式の発行による収入732百万円によるものです。

 

 

④生産・受注及び販売の実績

当社の事業は、創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであります。

 

(イ)生産実績

 該当事項はありません。

 

(ロ)受注実績

 該当事項はありません。

 

(ハ)販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

創薬事業

121,385

1,427.0

合計

121,385

1,427.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

韓国AJU薬品株式会社

108,830

89.7

国立研究開発法人国立循環器病

研究センター

4,212

53.0

岩井化学薬品株式会社

2,486

31.3

ビタミンC60バイオリサーチ株式

会社

1,250

15.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。当事業年度における国立研究開発法人国立循環器病

研究センター、及びビタミンC60バイオリサーチ株式会社に対する販売実績は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の決定とその継続的な適用、並びに資産及び負債、収益及び費用の会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しましては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づき合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積もりと相違する可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症による影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営環境 [新型コロナウイルス感染症による影響]」に記載のとおり、現段階において、当社では新型コロナウイルス感染症による当社の事業に与える影響は軽微であることから、中期事業計画に与える影響も軽微であると判断し、会計上の見積りに用いた仮定に重要な影響を与えるものではないと認識しております。

 

固定資産の減損損失

 当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、当社が進める特定のプロジェクトにのみ用いる固定資産がないことから当社の全ての固定資産を一つのグループとし、キャッシュ・フローを生み出す最小の単位として扱っており、これらの固定資産による収益性が著しく低下した場合に、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、中期事業計画に基づき慎重に検討を行っており、当事業年度末においては、中期事業計画に基づくキャッシュ・フローが固定資産の帳簿価額を上回っていることから減損損失を計上しておりませんが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響等による将来キャッシュ・フロー等、固定資産の回収可能価額計算の前提条件に変更が生じた場合は、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Conceptの獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。

 その具体的な進捗を以下に要約いたします。

 

「RBM-007」の開発について

 

(イ)RBM-007(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い

 当社では、自社で創製したRBM-007(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、開発を進めております。

 線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質で、血管新生促進等の様々な生理作用を持つことが報告されております。しかしながら、長年に渡りFGF2は創薬標的の候補であったにもかかわらず、抗体を含め優れた阻害剤の開発がほぼない状態でした。そうした中、当社は、独自のアプタマー創薬技術により、過年度においてFGF2に結合しその作用を特異的に阻害するアプタマーRBM-007の創製に成功いたしました。

 開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて滲出型加齢黄斑変性症(Wet Age-related Macular Degeneration、wet AMD)と軟骨無形成症(Achondroplasia, ACH)を選択いたしました。

wet AMDは、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、無治療の状態だとやがて失明に至ります。欧米では失明原因の第一位となっています。この疾患の要因の一つは異常な血管新生によるとされており、10数年前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発され、臨床医からは夢のような薬と評価されました(既存薬の全世界市場規模は約1兆円)。しかし、その後の経過観察によって、臨床上の問題点が明らかになってきました。その一つは、相当数(約1/3)の患者に対して、既存薬の有効性が乏しいことです。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされます※1。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられていますが、既存薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。これに対してRBM-007は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになりました(非臨床POC獲得※2※3。RBM-007のような二つの異なる作用を持ち合わせる医薬品は既存薬(VEGF阻害剤)にはなく、既存の医薬品では奏功しない患者に対して新規の治療法を提供できる可能性があります。

 一方、ACHは四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、治療薬はなく、厚生労働省から難病指定を受けています。ACH患者においては、FGF2が骨伸長を抑制する要因の一つとして作用していますが、RBM-007は疾患モデルマウスを利用した実験で、骨長の短縮を約50%回復する効果を示しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られているACH患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、RBM-007存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。現在、本邦では治療に成長ホルモンが使用されていますが、効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、新薬が待ち望まれています。

 自社での臨床開発の実施により臨床POCが獲得されれば、新規治療法の確立に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としてのRBM-007の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。同時に、wet AMDの場合の硝子体という局所投与のみならず、全身投与による疾患治療の世界初の事例として、アプタマー医薬品の開発に大きく貢献するものとなります。

 

※1 Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K. Seven-year outcomes in ranibizumab-

  treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP).

  Ophthalmology 2013;120(11):2292-99.

※2 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に、病態モデル動物での薬効確認試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。

※3 Matsuda Y, Nonaka Y, Futakawa S, Imai H, Akita K, Nishihata T, Fujiwara M, Ali Y, Bhisitkul RB, Nakamura Y. Anti-angiogenic and anti-scarring dual action of an anti-fibroblast growth factor 2 aptamer in animal models of retinal disease. Mol. Ther. Nucl. Acids, 17:819-828 (2019).

 

(ロ)開発状況、及びスケジュール

①滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)

 wet AMDを対象にした臨床試験として、第1/2a 相臨床試験(試験略称名:SUSHI試験)を2018年10月から2019年7月にかけて米国で実施いたしました。

 本第1/2a 相臨床試験は、オープンラベル(非盲検)、非対照(対照薬を置かない)の試験で、RBM-007の3用量(3コホート)を、計9人の被験者に対して、単回投与(硝子体内注射)し、安全性、忍容性を確認することを主な目的として、米国西海岸の複数の治験施設において実施いたしました。

その結果、全ての用量において、主要評価項目(安全性と忍容性の確認)を達成し、あわせて副次的評価項目において薬効を示唆する結果も認められました。とくに薬効評価の指標となり得る光干渉断層撮影(OCT)による中心窩網膜厚の変化について、治療抵抗性のある高齢の患者を対象としたにもかかわらず、中心窩網膜厚の減少(50マイクロメートル以上)が、高用量(第3コホート)の3名全例で認められ、その効果が投与後56日目まで維持されました。さらに、その3名中2名の被験者においては、56日目で中心窩網膜厚が約200マイクロメートル減少し、ほぼ正常レベルに回復していました。

 この結果を受けて、2019年12月より、RBM-007の複数回投与による臨床POC確認を目的とした第2相臨床試験が米国で開始されました。この試験は、wet AMD患者を対象に、①RBM-007硝子体内注射の単剤投与群、②既存薬としてアイリーア(アフリベルセプト)硝子体内注射との併用投与群と、③アイリーア硝子体内注射の単剤投与群との間で、有効性と安全性を比較評価する無作為化二重盲検試験です。

またこれと並行して、国内外の製薬企業との提携協議を進めてまいりました結果、2020年3月、韓国AJU薬品株式会社(以下、AJU 薬品)との間で、韓国・東南アジア地域におけるRBM-007のwet AMDを適応疾患とするライセンス契約を締結いたしました。この締結により、AJU薬品は、RBM-007の韓国・東南アジア地域における独占的開発権と販売権を取得します。また、当社は、AJU 薬品より、契約一時金として1百万USドルを受領、今後、RBM-007の開発段階に応じて、開発マイルストーンとして最大5百万USドル、合計最大6百万USドルを受け取る権利を取得します。

 今後もRIBOMIC USA Inc.との緊密な連携の下、関連法令、ガイドライン等を遵守しつつ、この臨床試験を迅速・適切に推進してまいります。

 

②軟骨無形成症(ACH)

 本プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助(2015年度からの3年間ならびに2018年度からの3年間)を受け、GLP適合非臨床安全性・毒性試験及び治験薬製造が完了しております。当事業年度において、これらの非臨床試験データが第1相臨床試験を実施するための条件を充足しているかどうかの見解を求めるため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言を実施し、データの充足性がPMDAにより確認されました。2020年4月、新薬の治験計画届出書をPMDAに提出し、その後のPMDAによる30日間の審査を経て、第1相臨床試験の実施が許可されました。その結果、2020年7月に、日本において第1相臨床試験を開始いたしました。第1相臨床試験は、RBM-007の安全性、忍容性及び薬物動態を調べることを目的として、国内の1治験施設において、合計24名の健康成人男性を対象に実施しております。

 

(ハ)推進体制

 当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施体制の構築を進めてきました。その一環として、2019年10月1日付で第一三共株式会社で37年間臨床開発を担当した池上直隆氏を執行役員臨床開発部長として採用し、体制強化を図っております。米国での臨床開発は、当社完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.が治験スポンサーとなり、新薬開発経験が豊富なYusuf Ali氏(Ph.D.)がCEOとして陣頭指揮を執っております。2019年5月に、当社の取締役執行役員1名が、RIBOMIC USA管掌として着任するとともに、2019年8月より眼科専門医(Daniel de Souza Pereira氏)が社員として新たに加わり米国での臨床開発体制をさらに強化いたしました。また、眼科専門医及び眼科領域の製品開発のエキスパートを含む科学諮問委員会が設置されており、同委員会においては継続的に臨床試験計画の審議、治験データの評価等が行われています。

 さらに、ACH治療薬開発については、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医で、小児における骨系統疾患の専門医である大薗恵一教授と医学アドバイザーの委嘱に関する契約を締結し、各種助言等を行っていただいております。

 今後もRBM-007の開発推進に向け、体制の一層の整備を図ってまいります。

 

その他のプロジェクト

 

(イ)RBM-003及びRBM-010

 当社は、既存パイプラインを継続的、重層的に拡大し中長期的に成長するために、特に優れた薬効が動物試験で確認されているRBM-003(抗キマーゼアプタマー、心不全等)及びRBM-010(抗ADAMTS5アプタマー、変形性関節症等)を、RBM-007に次ぐ重点開発プログラムと位置づけております。

 RBM-003が標的とするキマーゼの阻害剤として、バイエル社(独)が開発した低分子のキマーゼ阻害剤があり、これを用いた、慢性心不全に対する臨床試験が第2相まで実施されていましたが、最近開発の中止が報告されております。当社のRBM-003はバイエル社のキマーゼ阻害剤に比較して、強い酵素阻害活性をもつことが確認されており、急性心不全に対する即効性の注射薬の開発を目指し、今後の研究開発を加速してまいります。

 RBM-010が対象とする変形性関節症は、種々の原因により、膝や足の付け根、肘、肩等の関節に痛みや腫れ等の症状が生じ、その後関節の変形をきたす病気です。現在、治療法としては痛みや腫れを和らげる薬の服用や関節置換術などの手術しかなく、根治する薬はありませんが、RBM-010はその根治療法に道を開く可能性があり、今後の研究開発に取り組んでおります。

 

(ロ)RBM-011

 RBM-011(抗IL-21(インターロイキン21)アプタマー)を用いた肺動脈性肺高血圧症に対する新薬の開発研究を、AMEDの難治性疾患実用化研究事業の一環として助成を受けて(2017~2019年度)、国立循環器病研究センターと共同で進めてきましたが、今般、その継続研究がAMEDの治験準備(ステップ1)研究として採択されました(2020~2022年度)。

 肺動脈性肺高血圧症は、難治性呼吸器疾患に認定されている原因不明の病気であり、肺動脈壁が肥厚して血管の狭窄が進行した結果、全身への血液や酸素の供給に障害が生じ、最終的には心不全から死に至ることのある重篤な疾患です。近年、プロスタグランジンI2製剤などの治療薬の開発で予後は改善しつつありますが、治療薬が十分な効果を発揮しない患者様の予後は依然として極めて悪い状態です。これらの既存治療薬は、いずれも血管を拡張させる作用を持つものであり、血管壁の肥厚を抑制する作用を持つ薬はなく、その開発が強く望まれています。

 国立循環器病研究センターとの3年間の共同研究によって、当社が創製したRBM-011は、動物実験において、肺動脈壁の肥厚に対して、顕著な抑制効果をもつことが明らかになっています。今後は、肺動脈性肺高血圧症の国内での専門医療機関である国立循環器病研究センターと密に連携して、本剤を臨床試験に進めるべく注力したいと考えております。

 

(ハ)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアプタマー治療薬の開発

 当社は、現下の世界情勢と当社の使命に鑑み、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の開発を目的として、アプタマー創薬研究を開始いたしました。

 COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2は、ウイルス表面のスパイクタンパク質(Sタンパク質)がヒトの細胞表面にある受容体(ACE2タンパク質)に結合することによって、感染が開始され、その後細胞内に侵入し増殖することが明らかになっています。当社は、Sタンパク質やACE2タンパク質に結合することで、Sタンパク質とACE2タンパク質の結合を阻害したり、あるいはウイルスの細胞内への侵入を阻止するような活性を持つアプタマーの創製を開始しました。今後、社外の専門研究グループと共同で細胞ならびに動物モデルを用いて検証する予定です。

 世界的なパンデミックとなっているCOVID-19に対して、多くの企業や研究機関がワクチンや抗ウイルス薬の開発を進めており、臨床試験も開始されておりますが、その終息は全く見通しがたっておりません。一刻も早い感染症克服のためには、ワクチン開発と並行して、作用機序の異なる様々な治療薬の開発を緊急に間断なく推進することが重要です。当社は、タンパク質・タンパク質結合阻害剤としてのアプタマーの卓越した有用性に鑑み、上述のアプタマー開発がCOVID-19の克服に繋がる有力なアプローチであると期待しています。本研究の遂行に当たっては、研究員の健康に十分配慮の上、短期間に開発可能であるアプタマーの特徴を最大限に発揮して、迅速にCOVID-19治療薬の開発に取り組んでまいります。

 

(ニ)共同研究契約

 前々事業年度において当社は、米国プリツカー精神神経疾患研究コンソーシアムのメンバーの一員であるミシガン大学と、当社が創製したアプタマーの精神疾患に対する効果を検証することを目的に、共同研究試料提供契約(MTA)を締結し、現在、同大学において当社が提供したアプタマーの評価が進められております。

 また、ビタミンC60バイオリサーチ株式会社との間の2019年1月18日付共同研究開発契約に基づき、化粧品原料候補の創製・開発に関する共同研究を実施しております。

 また、当社はアステラス製薬株式会社と2017年3月21日付でアプタマー医薬品開発に関する共同研究契約を締結し、共同研究を推進してまいりましたが、2019年9月21日に研究期間が満了し、当該共同研究を終了いたしました。

 

(ホ)継続中の自社創薬プロジェクト

 アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、GPCR(Gタンパク質共役型7回膜貫通型受容体)を標的とするアプタマー創薬や、コンピューター科学を応用した技術開発(JST委託事業)等を継続して進めております。

 

開発コスト

 

 今後の開発資金の調達を目的として、2018年6月13日に株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(1,000百万円)、及び第14回新株予約権(1,001百万円)を発行し、これらの転換・行使により1,028百万円を調達しており、主にRBM-007のwet AMDの臨床開発費として充当を進めております。なお、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の未転換の200百万円については、2020年2月12日に繰上償還いたしました。

 また、2020年1月27日にSMBC日興証券株式会社を割当先とする第三者割当の方法による第15回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、5,659百万円※5の調達を予定しております。本調達による資金は主に、①RBM-007のwet AMD及びACHを対象とした臨床開発費用(臨床開発のための薬剤合成費用を含む)、②RBM-003の心不全を対象とした非臨床試験費用、③RBM-010の変形性関節症を対象とした非臨床試験費用、④新規技術開発費用(製剤化技術開発・導入他)等に充当する予定です。2020年3月末時点での調達額は約5億円(発行総数の12%)となっております。

 

※5 当初行使価額で全ての新株予約権が行使されたと仮定した場合で発行諸費用の概算額を差し引いた金額。

 

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

(イ)運転資金

 当社は、医薬品の研究開発を事業としており、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。

 当社の事業を遂行するための、運転資金需要のうち主なものは、当社が創製するアプタマー医薬の研究開発を推進するための研究開発費であります。なお、過年度における研究開発費の推移について下記に示すとおりであり、自社での臨床試験を実施するために、2017年3月期よりRBM-007による臨床試験のための原薬製造を開始して以降、臨床開発を行うための資金需要が高まっております。

 当社では、策定中の中期事業目標「VISION 2025」に掲げるパイプラインの臨床開発、新規技術開発等を遂行するための資金需要が生じております。

 

研究開発費の推移

    回次

 

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

 

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

研究開発費

(千円)

435,009

610,423

663,809

612,979

673,605

 

(ロ)財務政策

 中長期的な成長のための基本コンセプトとして、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭にしており、これを遂行するため、前事業年度において、株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権を発行し、当事業年度において1,028百万円を調達いたしました。これに加えて、当事業年度において、SMBC日興証券株式会社を割当先とする第三者割当の方法による第15回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、当事業年度において501百万円を調達いたしました。なお、2020年7月14日時点で第15回新株予約権(行使価額修正条項付)の行使が完了し、総額5,503百万円を調達いたしました。

 

(ハ)株主還元

 当社の株主還元に関する方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、RNA(リボ核酸)を成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を通じて、「Unmet Medical Needsに応える」を企業理念に掲げ、それを実現するために、

・人の生命、健康に関連する医薬品の研究開発に関わる企業として、高い倫理性を持ち、最新の科学・技術に基づく研究活動を推進する

・コーポレート・ガバナンス体制の強化と充実を図り、業務執行の適法性や妥当性の維持に努めることにより企業価値の最大化を図り、社会に貢献できる企業としての責任を果たす

・会社経営の透明性を確保するために、会社情報の開示を一層充実させるとともに、説明責任を果たし、株主、取引先、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係の維持、発展に努める

ことを基本ポリシーに掲げ、当社のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」を活用した研究開発を推進しております。

 

(2)経営戦略等

一般に、医薬品事業は一つの製品を創出し上市するまで莫大な費用と年数を要します。このような中、当社はアプタマーの医薬品としての研究開発を行い、ライセンス・アウトした時に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤルティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。

当社の事業の特徴は一般的な創薬ベンチャーに比べて、比較的早期の研究開発段階においてライセンス・アウトを実施することにあります。これはプラットフォーム型のベンチャーであるため、領域に係わらず開発早期から共同研究や自社パイプラインを拡充することにより達成できるものですが、その一方、ライセンス・アウトで得られる収益の拡大も経営においては重要であるため、適切な自社創薬品については自社で臨床開発に取り組むことも戦略の一つとしております。

当社は、共同研究並びに自社パイプラインの研究開発や臨床開発を推進するとともに、製薬企業との協力関係構築の一層の強化を図りながら、今後継続的なライセンス・アウトを実現することで収益規模の拡大とその安定化に努めてまいります。

中長期的な成長のための基本コンセプトとして、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭に、研究開発・臨床開発・事業開発活動に取り組んでおります。これの具体的進捗状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。

当社は、これらの開発を確実に進めるための資金調達を主目的として新株予約権を発行しました。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、研究開発型の創薬ベンチャーであり、研究開発への投資から、その収益化まで長期間を要すること、また、収益はライセンス・アウトなどの成果に委ねられるという事業特性からROEやROAなどを目標とする経営指標は設けておりません。

ライセンス・アウト時の契約一時金、その後のマイルストーン、ロイヤルティ、共同研究による共同研究収入を計上するための前提となる研究成果(新規技術開発、非臨床POC、臨床POCの取得)や、各種開発イベント(当局への治験開始申請許可)などが、当社における重要な経営イベントとなり、この実現に向けた研究開発、臨床開発並びに事業開発活動の一層の推進を図り、製薬企業へのライセンス・アウト、及びライセンス・アウト後の開発を着実に進めることにより収益力を高めて、会社業績の安定化と収益の確保を図ってまいります。

 

(4)経営環境

医薬品業界では、未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医薬品開発が求められており、この分野での新薬開発競争が激化しております。製薬企業においては、従来の低分子医薬品だけでは、この分野の新薬を開発することが困難となっており、核酸医薬品をはじめとした新規医薬品の開発が進められております。このような取り組みにおいて、製薬企業は単独で開発を進めるのではなく、新規医薬品を手掛けるバイオベンチャー等と提携し、新規技術の導入や、バイオベンチャーが開発したパイプラインを導入するなどにより開発を進めております。近年、核酸医薬品の上市が顕在化しつつありますが、このような環境のもと、当社はアプタマー創薬のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」により、疾患や標的タンパク質に限定されない新薬シーズを創製し、製薬企業に提供していくとともに、当社ビジネスモデルの発展に注力してまいります。

 

[新型コロナウイルス感染症による影響]

 新型コロナウイルス感染症の拡大による当事業年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。

 今後につきましては、米国で進めております加齢黄斑変性症を対象とした臨床試験、日本で進めております軟骨無形成症による臨床試験、基礎・探索段階の創薬研究に今後遅れが生じることも想定されますが、現段階において、当社では新型コロナウイルス感染症による当社の事業に与える影響は軽微であると判断しているため、今後の経営戦略を見直す必要はないものと判断しております。

 当社の設立の理念の一つは、未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズに応えることであり、中長期的な成長のための基本コンセプトとして、社会に対する企業価値を創出することも念頭にしており、これを実現すべく、現在世界的なパンデミックとなっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬の開発を目的としたアプタマー創薬研究を進めております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、アプタマーの医薬品としての研究開発を行い、製薬企業にライセンス・アウトした時に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤルティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。このようなビジネスモデルにおいて、継続的かつ安定的な収益の確保の実現と、今後の飛躍に向けた中長期の経営課題として、「リボミック・アプタマーの自社臨床試験の実施とPOC取得」、「海外メガファーマとの複数アライアンスの締結」、「臨床試験推進のための財務基盤の拡充」を掲げ、これにより「世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立」を目標としております。この経営課題の実現に向けて以下について、特に重点的に取り組んでまいります。

 

①自社での治験の実施

当社は、将来において当社が大きく飛躍するためには、自社で臨床試験を実施することが必要であると考えております。具体的には、RBM-007による滲出型加齢黄斑変性症を対象とした第2相臨床試験を米国で実施中です。また、軟骨無形成症を対象とした治験計画届出を2020年4月にPMDA(米国FDA(食品医薬品局)に相当する日本の審査機関)に行い、同年5月に第1相試験の実施が許可されました。その結果、2020年7月、国内で第1相臨床試験を開始いたしました。今後も、外部委託機関の有効活用や国内外の医学専門家の協力を得て臨床試験を滞りなく推進していく所存です。なお、滲出型加齢黄斑変性症の治験を進める目的で、RIBOMIC USA Inc.を当社の100%子会社として米国Berkeleyに開設し、眼科専門医を社員に採用する等、必要な体制を整えております。

 

②自社パイプラインの充実と質の高いデータの構築

持続的な企業成長を実現するためには、良質な自社パイプラインを選定、拡充し、各々について製薬企業の評価に耐え得る試験データを取得していくことが重要と考えております。新規テーマの選定にあたっては、大手製薬企業における重点領域、既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査し、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定するよう努めてまいります。しかし同時に、経営資源の集中のため、一度着手したテーマについても、一定期間の後に適切な評価を実施し、必要に応じて、開発ラインから除外する判断も必要であると認識しております。

 

③新規技術の開発

今後、アプタマー医薬への参入企業が増えてきた場合でも常に技術の優位性を保てるように、新規のアプタマー創薬技術の開発に努めてまいります。具体的には、アプタマー創製の新技術の開発、次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能技術の開発、細胞内への取り込み可能なアプタマー、細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー、さらには脳内標的化アプタマーなどの創製に繋がる技術を目標に、これまでに培った技術のさらなる発展、向上を図ってまいります。

 

④ライセンス活動の推進

ライセンス・アウトを目標とした共同研究の実現や、自社パイプラインのライセンス・アウトを図るべく、国内外の製薬企業への営業活動、学会での発表や学術雑誌への論文掲載等を通じて、当社の技術と製品を国内外にアピールする活動を継続してまいります。

 

⑤共同研究の推進

大手製薬企業との共同研究は、安定的な収益源となるだけでなく、当社のアプタマー創製に関するスキルアップにつながり、同時に、大手製薬企業の技術を活用して開発を迅速に進められることから、既存の契約での成果創出と同時に、新規提携契約の獲得に努めてまいります。

⑥ESG(環境/社会/企業統治)に関する取り組み

昨今の資本市場では、長期持続的な企業の成長を評価する上で不可欠な観点として、ESG(Environment/環境, Social/社会 and Governance/企業統治)といった非財務情報への関心が高まっています。当社は、ESGに関して次のような方針で取り組んでまいります。

1)E (環境)

IT整備によるペーパーレス等の省資源や研究資源の管理、並びに分別廃棄を徹底した厳格な廃棄物管理に注力いたします。また、社外で実施されているリサイクル活動にも積極的に参加するなどの取り組みも合わせて推進してまいります。

2)S(社会)

当社は、難病や未だに薬のない病気(Unmet Medical Needs)に対する新薬を開発して、世界の医療と人々の健康に貢献するというミッション実現に向けた事業活動を展開しているため、「Social」は事業活動そのものと考えています。その中で、特に、現在世界的なパンデミックとなっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアプタマー治療薬の開発は、アプタマーの卓越した優位性を発揮すべき当社の使命であると考えており、1日も早く候補アプタマーの創製を実現するために努力してまいります。

3)G(企業統治)

・コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、アプタマー創薬企業としてアプタマーを素材とする新薬を次々と創製し、継続的な成長と企業価値の最大化を図り、医薬品開発を通して社会に貢献できる企業を目指しております。このような企業として社会的責任を果たしていくために、社外取締役を2名体制にしている他、コーポレートガバナンス・コードへの対応も継続して進めてまいりましたが、今後もコーポレート・ガバナンス体制の強化により経営の健全性や透明性の向上を継続的に図っていくことは、最も重要な課題の一つであると認識し、取り組んでまいります。

・組織体制の整備と人材の育成・登用

当社は、上記の課題に対応し、当社事業の継続的な発展を実現するためには、それに対応する組織体制の整備と、人材の育成・登用を図ることが重要と考えており、必要に応じて組織体制の強化を図ってまいりました。今後も事業構造や事業展開等を勘案したうえで必要な人材を育成し必要なポジションに登用する他、豊富な経験を有する人材の採用、外部ノウハウの活用などにも積極的に取り組んでまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

①創薬・医薬品開発事業全般に関する事項

 当社は、医薬品開発における初期段階(探索研究~初期臨床試験)での研究開発を中心とした創薬・開発事業を主たる事業としております。本分野は、国際的な巨大企業を含む国内外の多数の企業や研究機関等が競い合っています。また、研究開発から製造販売のための承認・許可の取得、上市に至る過程において様々な薬事規制に従い、しかも長期間にわたって多額の資金を投入する必要があります。この創薬・開発事業は下記のとおり不確実性及びリスクを伴うものであります。

 

(イ)医薬品研究開発の不確実性について

1)新規パイプライン創出について

 当社は、新規医薬品の候補アプタマーを自社あるいはアカデミアとの連携を通じて創出し、自社創薬品目あるいは共同研究品目の候補としていくことを基本戦略としております。

 この戦略を確実に推進するため、製薬企業との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの産学連携等により、Unmet Medical Needsを満たす新規パイプラインの選定・獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。

 また、国内外の製薬企業との情報ネットワーク等の情報ソースを活用して需要のある候補ターゲットを早期に探知し、新規パイプラインの可能性を追求してまいります。

 しかしながら、現在既に開発途中にあるもの以外の医薬品候補となりうるアプタマーを、適宜、創出できる保証が100%あるとはいえず、そのような場合には、当社の事業計画の変更を余儀なくされる等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

2)開発候補品の選定について

 一つの開発候補化合物が医薬品として承認され上市に至るまでには、ヒトでの臨床試験を含む様々な試験によって有効性・安全性の確認のみならず、製造・販売に至るまでに様々な関門があり、その全てをクリアする必要があります。

 開発過程の各段階において、開発続行の可否を判断する際、中止の決定を行うことは稀なことではありません。このような成功の不確実性は、自社で開発した場合も、あるいは製薬企業にライセンス・アウトした場合においても、避けては通れないものです。このリスクを低減・分散するため、当社は以下の基本的な対応をとっております。

 

・一つのターゲット(ターゲットタンパク質)に結合するアプタマーについて、有力なものが得られても、必要に応じ、バック・アップ品を準備することによって、プロジェクトの持続を図る

・互いに独立した複数の開発パイプラインを保有する

 

 これらによって、一つの開発候補化合物について開発途上で何らかの障害が発生した場合でも、それに伴う事業遂行上のリスクやロスを最小限に留めるよう努めております。

 しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、自社創薬、共同研究又はライセンス・アウトかを問わず、開発パイプラインから品目が脱落する影響は大きく、その場合には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、第1相臨床試験における重篤な副作用の発現で開発中止を余儀なくされた場合、新規アプタマー探索から同段階までの開発には、約4~6年の期間と、数億円規模の追加費用とを要することになります。

 

(ロ)COVID-19感染(“パンデミック”)に関するリスク

 当社は、パンデミックの状況に鑑みて在宅勤務や時差出勤を取り入れ、事業を遂行することにより感染防止と事業の遂行の両立を図っておりますが、社員に感染者が出た場合には、必要な業務を遂行することができず、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 また、広く社外にも専門的な意見を求め、さらに機動的な事業運営を図るため、当社はアプタマーの合成(前臨床試験用及び臨床試験用の各種アプタマー)や前臨床試験をはじめとした研究開発に関する業務の多くを外部に委託しております。そして、随時状況の把握を行い、且つ、代替先の確保も進めておりますが、万一、パンデミックの影響により外部委託先での作業が滞り、また、迅速に代替先が見つからない場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに臨床試験において、当社は、パンデミックの状況や当局の指導を遵守し、治験に参加する被験者、医師、実施施設スタッフの安全性を最優先した上で、試験を実施いたしております。そして、パンデミックにより円滑な患者登録・治験実施に支障が出た場合には、各医師・実施施設と迅速に連携を取り対応策を実施してまいりますが、パンデミックの状況によっては、米国及び日本での患者登録が円滑に行われず、RBM-007の臨床開発の円滑な遂行ができなくなる可能性があります。例えば、米国で実施中の第2相臨床試験では、各被験者の試験期間が5か月間で主要評価項目の測定が4か月目に行われます。仮にパンデミックの影響で最後の10名の被験者全員が主要評価項目の測定直前で試験から脱落した場合、10名の被験者のリクルートを含め、試験全体の終了が5か月以上延び、かつ治験実施施設や外部業者への追加試験実施にかかる支払が発生いたします。

 

(ハ)治験の実施について

 当社は、2019年12月より、滲出型加齢黄斑変性症を適応疾患として、RBM-007の複数回投与による臨床POC確認を目的とした第2相臨床試験を米国で開始しています。また、日本国内においては、RBM-007について軟骨無形成症を対象とした第1相臨床試験を、2020年7月に開始いたしました。

 しかしながら、有効性及び安全性に良い評価が得られなかった場合、外部環境の変化等で事業性の喪失が懸念された場合などには、次の臨床開発段階への進行が遅れる可能性や、臨床開発自体を終了・中止せざるを得ない状況になる可能性があります。

 当社は、このような不確実性を低減するために、1)米国においては、米国子会社のCEOであり眼科医薬品の開発を専門とするYusuf Ali氏(Ph.D.)が中心となり、米国の眼科専門医からなる科学諮問委員会を設置し、さらに子会社従業員として眼科専門医を雇用の上、開発ターゲットの疾患領域に精通する医師(キー・オピニオン・リーダー)、非臨床試験・臨床試験・CMC(Chemistry, Manufacturing and Control:原薬及び治験薬の開発)・薬事それぞれに精通する外部専門家(コンサルタント)、並びに規制当局との事前相談を通じた情報収集に基づき臨床試験を設計し、各治験実施施設の責任医師との緊密な連携下で試験を実施しております。また、日本においても、昨年、製薬大手で長年国内外の臨床試験実績のある臨床開発部長を採用し、多くの第1相臨床試験実績のある治験施設やCRO(Clinical Research Organization)、並びに規制当局との事前相談を通じた情報収集に基づき試験を設計し実施してまいります。

 しかしながら、上記のような最善の対応を実施しても、予めすべての要因を想定することは極めて困難であり、臨床開発の大幅な遅れや中止の可能性、規制当局から追加の試験を求められるなどの事態が発生する可能性があります。このような事象が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ニ)収益の不確実性について

 通常、医薬品(開発途上の製品を含む)のライセンスにおいては、契約締結に伴う契約一時金、開発途上におけるマイルストーン収入及び製品上市後のロイヤルティーの受領を予定しています。

 しかし、契約を成立させるためには、ライセンシー(ライセンスを受ける相手先)の評価をクリアする一定の条件(安全性・有効性等に関する信頼できる試験データ、独占的販売等を可能とする特許の存在、競合品との優位性の根拠資料等)を有した医薬候補品を創製・開発する必要があり、また、マイルストーン収入を獲得するためには、ライセンシーによって開発が順調に進み、一定の段階をクリアすることが必要であり、さらにロイヤルティーを得るには、許認可当局からの承認の取得、製造及び販売の全ての段階において成功を収めることが必要であります。

 しかしながら、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に当該研究開発が終了する可能性及び当社の想定と異なる事態が生じる可能性があります。

 また、当社及びライセンシーが前述の一連の活動において成功しない、あるいは、製品化(製品の承認取得、製造販売)に成功したとしても、薬価や市場性の問題等から、当該製品に関する事業活動を継続するために必要な採算性を確保するのに十分な収益を得ることができない可能性があります。

 そのため、当社は、上記開発プロジェクトの適応疾患の選定及び共同研究やライセンス契約等の提携契約の締結に際して、競合品となる可能性のある既存の医薬品の市場規模等を基に当該プロジェクトの市場性や採算性、並びに当該提携先の開発力・事業化力等を種々の情報ソースを活用しながら検討して参ります。

 しかしながら、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ホ)遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について

 当社が参画する医薬品業界は、各国における事業規制法及び医療保険制度、その他関係法令等により、様々な規制を受けております。すなわち新規医薬品を製造発売するに当たっては、対象となる全ての国で当該国が定める薬事関連法規に従って一定の基準の下で承認や許可を受ける必要があり、また臨床試験の開始などについても、多くの国で厳しい薬事規制が設けられています。

 当社の事業計画は現行の医薬品に関する日本など先進国での承認基準や薬事規制を前提として策定されておりますが、これらの基準及び規制は科学技術の発展に伴って、適時、改定されています。

 そのため、当社は、特に、臨床試験を実施中(又は予定)の日本及び米国の最新の承認基準や薬事規制を適時調査し、当社の研究開発計画に反映し、また、必要に応じて、適宜その他地域についても調査を進めております。

 しかしながら、長期間を要する新薬開発においては、その間にこれらの基準や規制、制度、価格設定動向等が大きく変動する可能性がないとはいえず、特に、薬事に関する法的規制等及び医療保険制度等に変更等が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ヘ)アプタマー医薬に関する潜在的な競合について

 当社の潜在的な競合相手は、国内外の大手製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。

 

1)アプタマー創薬企業との競合:アプタマー創薬を行っている企業は、現時点では当社やドイツのBerlin Cures社が代表的な会社であり、この分野で公開されている各社の開発ターゲット(開発品目)を見る限り、競合はほとんどありません。

 また、アプタマー創薬の基盤技術であるSELEX法に関する特許は、日本及びヨーロッパにおいて2011年6月、米国において2014年9月に失効しました。こうした状況下では大手製薬企業等によるアプタマー創薬への新規参入が想定されます。その場合には、わが国で先駆的にアプタマー創薬に着手してきた当社の研究者の引き抜きや流出に加えて、限られた原薬製造設備の争奪が生じる可能性もあります。

 当社としては、将来のこうした状況に備えて、独自の「RiboARTシステム」の開発、知財の取得、ノウハウの蓄積に鋭意努力すると同時に、研究員のリテンションのための施策を講じ、また、アプタマー原薬の製造会社との良好な取引関係を推進するとともに、核酸科学やアプタマーの研究者・研究機関とのネットワークの維持等の対応を行っております。

 しかしながら、アプタマー医薬のポテンシーや将来性が大手製薬企業等に認識され、新規参入企業が増加し競争が激化する場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

2)抗体医薬等との競合

 アプタマー医薬は抗体医薬と類似した作用メカニズムや投与方法などから、ターゲット疾患によっては抗体医薬との開発競争や市場での競合が起こりえます。

 上記に述べた競合相手の中には、マーケティング力、財務状況等について当社やその提携先より優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する製品(特に抗体医薬)を効率よく開発し、生産及び販売する可能性があります。

 当社としては、当社開発品と競合する製品・開発品のプロファイル並びに開発状況等も考慮に入れながら、アプタマーの特徴を生かし、当該競合品を凌ぐことができる開発品を選定した上で、当社の優秀な資源と資金をその開発品に集中し、当該開発を推進し、これを他の競合先よりも優れた開発力・マーケティング力を保有する製薬会社にライセンス・アウトする所存です。

 しかしながら、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争が生じた場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ト)賠償問題発生リスクについて

 当社の創薬対象であるアプタマー医薬は、これまで医薬品として用いられてきた低分子医薬品、ワクチン、抗体医薬品に次ぐ新しいカテゴリーである核酸医薬品に属するものです。

 核酸医薬品は開発の歴史が浅く、現在までに10数品目が上市されただけで、多くは開発途上にあります。このため、製品の効果や安全性、製造方法及び製造コストなどにつき十分な経験、実績が確立されているとはいえず、予期せぬ副作用や製造上の問題または課題が発生する可能性があり、このような場合には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、十分な非臨床試験データの蓄積と、上記(ハ)で述べたように、各領域の専門家や医薬品製造会社の参画を得た上で、治験薬製造、臨床試験計画策定・実施をしています。

 しかしながら、このような対策を講じても、予期せぬ副作用や製造上の問題または課題が発生する可能性があるため、臨床試験の実施に伴う健康被害に対する賠償問題が発生した場合に備えて、治験賠償責任保険などの保険への加入によって、こうした事態が発生した場合の財政的負担を最小限にする対応を図っておりますが、当該保険で、十分な賠償責任金額を填補できない場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(チ)技術革新について

 当社は「RiboARTシステム」というアプタマー創薬に関する基盤技術を保有しており、あらゆるターゲットに対応したアプタマー医薬の開発を可能にしているという点で優位性を有していると認識しております。

 しかしながら、医薬品産業においては技術革新が活発であり、当社が認識している優位性を維持し続けるために、当社では、これまでに培った「RiboARTシステム」のさらなる発展、向上を図ることに加えて、新規技術の開発に鋭意取り組んでおります。

 しかしながら、当社の計画どおりに研究開発が進捗しない場合や急激な技術革新等により新技術への対応に遅れが生じた場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(リ)海外での事業展開について

 当社は、当社の開発するパイプラインが、国内のみならず、世界各国の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社の設立を含む形で海外展開に向けた取組みを進めております。

 しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社の事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、種々の情報ソースを活用し、最新情報に基づく対応を進めてまいりますが、その情報収集又は対応が不十分な場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ヌ)研究開発に関する外部委託について

 当社は、広く社外にも専門的な意見を求め、さらに機動的な事業運営を図るため、主に以下に掲げる研究開発項目の一部について、外部機関に業務委託を行っております。

・原薬(前臨床試験用及び臨床試験用の各種アプタマー)並びに治験薬の製造業務

・前臨床試験の実施

・臨床試験の実施

 特に、原薬・治験薬製造委託取引については、自然災害や所在国における不測の事態、予期せぬ事情による契約終了した場合等により、当該製造元から安定的な原薬供給が受けられなくなり、当社の研究開発の推進に支障をきたし、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当該製造元との良好な関係を維持・継続、また代替先の確保に努めてまいりますが、上記のような事態や速やかな代替先への製造移行が行われなかった場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、今後の事業の拡大に合わせて上記以外の業務についても、機動的な事業運営を図るため、外部機関に業務委託を行ってまいりますが、速やかに適切な業務委託先が確保出来なかった場合には、同様に、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ル)投資に関するリスク

 当社では、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含めアプタマー創薬に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。

 しかしながら、提携先の選定やその投資価額の妥当性等においては、各事業・財務等の社外専門家の評価を得たうえで慎重に進める方針でありますが、提携先において、予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

②会社組織に関する事項

(イ)小規模組織であることについて

 当社の人員は、本書提出日現在、役員8名(取締役5名、監査役3名)、従業員21名と小規模であります。当社の研究開発活動については、比較的少人数による体制(代表取締役1名、従業員16名)を敷いておりますが、研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発並びに新規薬剤候補化合物の探索を推進しております。今後は、既存パイプラインの開発推進及び新規薬剤候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しております。

 また、管理部門(内部監査室を含む)の人員は本書提出日現在で6名(兼務取締役1名、従業員5名)であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、管理部門につきましても増員を図る方針であります。

 しかしながら、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ロ)特定人物への依存について

 当社はこれまで、創業者で当社の競争力の源となっている「RiboARTシステム」の創出者であり、多くの社有特許の発明者でもある東京大学医科学研究所教授であった中村義一(現 当社代表取締役社長、東京大学名誉教授)を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、同氏の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と東京大学との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。

 当社は、今後においても代表取締役としての同氏の会社経営の執行が必要不可欠であると考えており、又、次の世代への大きな権限移譲等による後継者育成に努めておりますが、何らかの理由により、突然、同氏の会社経営の執行が困難となった場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ハ)自然災害について

 当社は、事業活動の中心となる研究設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。今後、地理的なリスク分散も検討して参りますが、この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ニ)大学等との共同研究について

 当社は東京大学を含め、複数の大学等公的機関と共同研究を実施してまいりました。今後もこれらの共同研究を継続していく考えでおります。

 東京大学医科学研究所には社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置し共同研究を実施しており、その下で同研究所の施設(実験区画、動物試験施設等)や各種のインフラの利用が可能となっており、当社の研究推進に大きく寄与しております。

 しかしながら、今後も、他大学との新規共同研究先の探索・提携に努めて参りますが、法令改正等、何らかの事情により東京大学の社会連携講座が大学において継続されず、または共同研究契約が解消された場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③大株主に関する事項

 2020年3月31日時点で大塚製薬株式会社は当社発行済株式総数の22.78%(4,000,000株)を保有しております。なお、大塚製薬株式会社は大株主ではありますが、当社の経営的支配を目的として出資をしていないため、当社の経営判断等に関して影響力を行使するなどの制約を当社に与えておりません。

 当社は、大塚製薬株式会社との友好関係を維持してまいりますが、将来において大塚製薬株式会社の経営方針やグループ戦略が変更され、関係が解消された場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(イ)大塚製薬株式会社との取引関係

  大塚製薬株式会社との間において、2020年3月期における取引はありません。

 

(ロ)大塚製薬株式会社とのその他特別な関係

  大塚製薬株式会社との間において特別な関係はありません。

 

④知的財産権に関する事項

(イ)特許について

 当社の出願中の各特許については、特許出願時に特許事務所や専門家による特許性等に関する検討・調査を行った上で、最適な特許出願を実施しております。そして、本項に記載した事項については、現在、当社が開発中のプロジェクトに関して、その実施に支障若しくは支障の発生を懸念される事項は、調査した限りにおいて、存在しておりません。

 しかしながら、開発品をカバーする特許出願が成立しなかったり、カバーする範囲が狭いためにライセンス・アウトが出来ず、または出来たとしても低額な対価しか得られず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。また、成立した特許の権利維持費用が今後当社の負担になる可能性もあります。

 さらに、医薬品業界においては、日々熾烈な新薬の開発競争が世界的に繰り広げられており、他社において優れた発明が行われる可能性は常に存在し、当社の特許が成立し、当社技術を保護できた場合においても、他社の特許や技術により、当社の特許が淘汰または無力化される可能性は否定できません。

 

(ロ)訴訟及びクレームについて

 当社においては、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、事業の着手及びその過程において、特許事務所や専門家による特許調査を適宜実施しており、現時点において第三者特許への抵触の可能性は低いものと認識しております。

 また、本書提出日現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟及びクレームが発生している事実はありません。

 しかしながら、当社のような創薬を事業とする研究開発型の企業にとって、事業に対する差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難であります。万が一、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、案件によっては解決に時間及び多大の費用を要する可能性があります。特に第三者の特許権等を侵害して事業を行っていた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料の請求等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ハ)特許の確保について

 当社は、事業に必要となる職務発明につき、その発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「金銭その他の経済上の利益(相当の利益)」を与えなければなりません。当社は社内に周知された規程に則り、発明者の認定及び金銭の支払を実施しているため、これまでに金銭の額等について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、その可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ニ)情報管理について

 当社の事業において、研究若しくは開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な機密情報であります。その流出リスクを低減するため、当社は、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めております。

 しかしながら、役職員、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤経営成績に関する事項

 当社は、医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり、製薬企業との共同研究や製薬企業への開発品のライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としておりますが、医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になる反面、安定的な収益の計上にいたるまでには相当な期間を要し、当初は期間損益がマイナスになるのが一般的な傾向です。2015年3月期を除き、創業以来、2020年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は、既にライセンス・アウトしたパイプラインに続く、後続のパイプラインのライセンス・アウトや新規共同研究契約の獲得を推し進めてまいりますが、将来においてこれらの施策が計画通りに進展しない場合、予定した当期純利益を計上できず、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。

尚、過去5年間の当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。

 

    回次

 

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

 

2016年3月

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

事業収益

(千円)

121,911

93,773

64,727

7,949

121,385

営業損失(△)

(千円)

△532,389

△785,903

△899,894

△928,626

△914,580

経常損失(△)

(千円)

△322,103

△658,864

△751,609

△835,200

△853,832

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

△324,703

△706,894

△694,797

△830,464

△902,288

 

 上記に記載しましたように、安定的な収益の計上に至るまで、さらには、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、提携内容の変更、更なる助成金の獲得、新株発行等の方法により資金需要に対応してまいります。しかし、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

2【沿革】

当社は、東京大学医科学研究所の教授であった中村義一(現 当社代表取締役社長)の研究成果を利用して、RNAを成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を目的に、2003年8月に設立された創薬プラットフォーム系バイオベンチャーであります。その設立理念は、「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」、「日本の創薬力を復活させる」、「産学連携を推進しアカデミアの研究成果を社会へ還元する」、ことであります。創薬プラットフォーム系バイオベンチャーとは、特定の標的や疾患に限定されることなく、様々な疾患分野に応用される創薬技術をベースとして、多様な新薬シーズを開発できるバイオベンチャーであると当社では考えております。

当社のコアとなる創薬技術「RiboARTシステム」は、アプタマー創薬に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等から成り、多様なプラットフォーム(本技術を応用して様々な新薬のシーズを創出する場、即ち創薬基盤)を構築しております。当社は「RiboARTシステム」を活用して疾患や標的タンパク質に限定されない様々な新薬を創製する事業を展開してまいりました。

このような創薬活動の成果として、製薬企業との事業提携契約(共同研究契約、ライセンス契約)を締結するとともに、これに連動して、複数の提携先と資本提携も実施し、統合的な事業推進を図ってまいりました。

当社は今後もアプタマー医薬を中心とした研究開発を推進し、創薬分野での日本の技術立国の進展及び人々の健康の増進に貢献していきたいと考えております。

年月

事項

2003年8月

医薬品開発のコンサルティング等を目的として、東京都板橋区中台三丁目27番に株式会社リボミックを設立(資本金1,000万円)

2005年3月

本社を東京都港区白金台三丁目15番5号に移転し、RNAアプタマーを利用した新規医薬品の開発を本格的に開始

2005年4月

独立行政法人医薬基盤研究所(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(以下、「NIBIOHN」という。))と「人工進化RNAを利用した制癌戦略」の研究に関して委託研究契約を締結

2005年6月

国立大学法人東京大学とRNAアプタマー創薬に関する研究を目的とした共同研究契約を締結し、東京大学医科学研究所のクレストホールにて研究を開始

2005年10月

独立行政法人科学技術振興機構(現 国立研究開発法人科学技術振興機構(以下、「JST」という。))と「多目的RNAナノセンサー・モジュレーターの開発」の研究に関して委託研究契約を締結

2005年11月

東京都港区白金台に自社の研究所を開設

2006年10月

JSTと「産学共同シーズイノベーション化事業」に関する研究について委託研究契約を締結

2006年10月

米国Archemix Corp.(以下、「アルケミックス社」という。)とIgGアプタマーの創製に関するSELEX法特許の非独占的ライセンス契約を締結

2007年8月

本社を東京都港区白金台三丁目16番13号に移転

2007年8月

NIBIOHNと「医薬品・医療機器実用化研究支援事業」に関する研究について委託研究契約を締結

2007年12月

アルケミックス社とMidkineアプタマーの創製に関するSELEX法特許の独占的ライセンス契約を締結

2008年1月

大塚製薬株式会社と医薬品用途の開発候補アプタマーの創出とそれを用いた医薬品の開発・販売に関して長期共同研究契約を締結

2008年6月

アルケミックス社とリサーチライセンス・オプションに関する契約を締結

2011年2月

全薬工業株式会社とRNAアプタマー創薬の技術アドバイスに関する契約を締結

2011年8月

「慢性炎症に伴う難治性疾患に対するRNAアプタマー新薬の開発」に関して、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(現 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」という。))のイノベーション実用化助成事業に採択

2012年4月

東京大学医科学研究所に社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置

 

 

 

年月

事項

2013年4月

「難治性炎症疾患に対するRNAアプタマー新薬の開発」に関して、NEDOのイノベーション実用化ベンチャー支援事業に採択

2014年3月

大正製薬株式会社とアプタマー新薬に関する共同研究契約を締結

2014年4月

藤本製薬株式会社と抗NGFアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結

2014年9月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2016年2月

「抗FGF2アプタマーを用いた軟骨無形成症治療薬の開発」に関して、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)の創薬支援推進事業(希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業)に採択

2016年9月

「GPCRを標的とするRNAアプタマー創薬基盤技術の開発」に関して、AMEDの創薬基盤推進研究事業に採択

2017年3月

アステラス製薬株式会社とアプタマー医薬品開発に関する共同研究契約を締結

2017年5月

大塚製薬株式会社と抗Midkineアプタマーの独占的実施権の供与に関するライセンス契約を締結

2017年8月

米国カリフォルニア州にRIBOMIC USA Inc.を設立

2018年2月

「抗FGF2アプタマー(RBM-007)を用いた軟骨無形成症治療薬の開発」に関して、AMEDの難治性疾患実用化研究事業に採択

2018年9月

「人工知能技術を用いた革新的アプタマー創薬システムの開発」と題してJSTの戦略的創造研究推進事業 CREST 研究領域「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」に採択

2018年10月

滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007(抗FGF2アプタマー)の米国治験Phase 1/2aを

開始

2019年1月

ビタミンC60バイオリサーチ株式会社とアプタマー技術を活用した化粧品原料開発に関する共同研究開発契約を締結

2019年7月

滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007(抗FGF2アプタマー)の米国治験Phase 1/2aを完了

2019年12月

滲出型加齢黄斑変性を対象疾患とするRBM-007(抗FGF2アプタマー)の米国治験Phase 2を開始

2020年3月

韓国AJU薬品株式会社との間で、抗FGF2アプタマーの韓国・東南アジア地域における滲出型加齢黄斑変性症(wet AMD)を適応疾患とする独占的開発権並びに販売権の供与に関するライセンス契約を締結

2020年7月

軟骨無形成症を対象疾患とするRBM-007(抗FGF2アプタマー)の日本における第Ⅰ相臨床試験を開始

 

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2020年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

-

3

29

104

21

32

10,527

10,716

所有株式数

(単元)

-

948

6,903

54,856

4,162

313

108,332

175,514

4,384

所有株式数の割合(%)

-

0.54

3.93

31.25

2.37

0.18

61.73

100.00

3【配当政策】

(1)配当の基本的な方針

当社は設立以来配当を実施しておりません。また、研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、当面は配当は行わない方針であります。

しかしながら、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当及び剰余金配当を検討する所存であります。

 

(2)毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針

当社は、研究開発活動資金に充当していくため、当面は剰余金の配当を行わない方針であります。なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当ができる旨を定款に定めておりますが、剰余金の配当を行う場合には、期末配当の年1回を基本的な方針としております。

 

(3)配当の決定機関

 剰余金の配当の決定機関について、中間配当は取締役会であり、期末配当は株主総会であります。

 

(4)当事業年度の配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途

当事業年度において、当社は、上記(1)配当の基本的な方針に沿って、剰余金の配当は実施しておりません。内部留保資金につきましては、研究開発活動等の資金に充当することとしております。

 

(5)中間配当について

 当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当ができる旨を定款に定めております。

 

(2)【役員の状況】

① 役員一覧

男性 7名 女性 1名 (役員のうち女性の比率 12.5%)

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(株)

代表取締役

社長 

兼 研究開発本部長

中村 義一

1947年11月25日

2012年4月 当社代表取締役社長1978年4月 東京大学医科学研究所助手

1986年6月 東京大学医科学研究所助教授

2000年10月 東京大学医科学研究所教授

2005年10月 当社取締役最高技術責任者ファウンダー

2012年4月 当社代表取締役社長

2012年6月 東京大学名誉教授(現任)

2017年8月 RIBOMIC USA Inc. Director(現任)

2020年6月 当社代表取締役社長 兼 研究開発本部長(現任)

(注)3

568,000

取締役

執行役員

管理本部長

今野 高章

1964年11月2日

1989年4月 ㈱三井銀行(現㈱三井住友銀行)入社

2001年4月 大和SMBC㈱(現大和証券㈱)出向

2014年11月 三井住友ファイナンス&リース㈱出向

2016年2月 イワキ㈱入社 常務取締役管理本部長

2017年12月 同社常務取締役グループ統括 戦略・管理担当

2019年2月 同社常務取締役CFO

2019年3月 同社専務取締役CFO

2020年2月 当社入社

2020年3月 当社執行役員経営企画部長

2020年6月 当社取締役執行役員管理本部長(現任)

(注)3

取締役

執行役員

RIBOMIC USA Inc.管掌

中村 恵美子

1978年9月20日

2003年8月 当社代表取締役社長

2005年3月 当社取締役

2006年4月 当社総務部(現管理部)経理財務・法務知財担当

2011年10月 当社管理部マネージャー 兼 知財・調査企画部マネージャー

2016年7月 当社執行役員経営企画部長兼 内部監査室長

2017年8月 RIBOMIC USA Inc. CFO 兼 Secretary(現任)

2018年1月 当社執行役員経営企画部長

2018年6月 当社取締役執行役員経営企画部長

2019年5月 当社取締役執行役員RIBOMIC USA Inc.管掌(現任)

(注)3

287,000

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(株)

取締役

西畑 利明

1948年11月4日

1979年3月 大阪大学薬学部助手

1981年4月 Kansas大学 Associate Professor

1988年6月 Upjohn Pharmaceuticals Ltd.(現Phizer Inc.)入社

1996年3月 参天製薬㈱入社

1999年7月 同社執行役員

2002年12月 同社執行役員研究開発本部長

2004年7月 同社常務執行役員研究開発本部長

2009年6月 同社取締役常務執行役員研究開発本部長

2010年4月 Santen Inc.取締役社長 兼 CEO 兼務

2011年4月 参天製薬㈱取締役専務執行役員米国・欧州事業管掌 兼 研究開発本部長

2015年7月 当社顧問

2016年6月 当社取締役(現任)

2018年2月 ㈱Trans Chromosomics社外取締役(現任)

(注)3

取締役

森 俊介

1967年6月12日

1995年4月  米国国立ガン研究所入所

2005年12月  武田薬品工業㈱入社 医薬研究本部主席研究員

2009年4月  同社医薬研究本部主席部員

2014年7月  ㈱ウィズ・パートナーズ入社 ダイレクター兼チーフ・サイエンティフィック・オフィサー

2018年10月  Newton Biocapital SA入社 インベストメント・パートナー(現任)

2018年10月  TMパートナーズ合同会社設立・代表社員(現任)

2019年3月 エディットフォース㈱社外取締役(現任)

2019年6月 当社取締役(現任)

2020年1月 富山県「くすりのシリコンバレーTOYAMA」 創造コンソーシアム副事業責任者(現任)

2020年6月 ジェイファーマ㈱ 社外取締役(現任)

(注)3

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(株)

監査役

(常勤)

藤井 素彦

1942年1月30日

1964年4月 三菱信託銀行㈱(現三菱UFJ信託銀行㈱)入社

1993年2月 同社資本市場部長

1993年9月 三菱信証券㈱取締役引受部門担当

1996年7月 ジプロ㈱入社 総務部長

1997年6月 同社取締役総務部長

1999年7月 同社取締役ENGカンパニー

      担当

2001年6月 同社常勤監査役

2008年7月 同社顧問

2009年9月 エムズコーポレーション㈱入社

2010年6月 当社監査役(現任)

(注)4

監査役

矢部 豊

1943年6月25日

1965年10月 公認会計士保森事務所入所

1972年12月 公認会計士矢部事務所代表(現任)

1982年2月 監査法人保森会計事務所代表社員

1997年3月 湧永製薬㈱社外監査役(現任)

2003年7月 監査法人保森会計事務所包括代表社員

2010年6月 当社監査役(現任)

(注)4

監査役

藤井 康弘

1978年7月27日

2002年4月 最高裁判所司法研修所入所

2003年9月 最高裁判所司法研修所修了

2003年10月 AZX総合法律事務所入所

2009年1月 弁護士法人渋谷シビック法律事務所入所

2011年1月 藤井法律事務所開設(現任)

2018年6月 当社監査役(現任)

(注)4

855,000

(注)1.取締役西畑利明及び森俊介は社外取締役であります。

2.監査役藤井素彦、矢部豊及び藤井康弘は社外監査役であります。

32020年6月25日開催の定時株主総会の終結の時から2022年3月期に係る定時株主総会終結の時までであります。

4.2018年6月28日開催の定時株主総会の終結の時から2022年3月期に係る定時株主総会終結の時までであります。

5.取締役中村恵美子は、代表取締役社長中村義一の2親等以内の親族であります。

6.当社は、法令の定める監査役の員数を欠くことになる場合に備え、会社法第329条第3項に定める補欠監査役を1名選任しております。補欠監査役の略歴は次の通りであります。なお、補欠監査役八木達也は、社外監査役の要件を満たしております。

 

 

 

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(株)

八木 達也

1951年11月23日生

1974年4月 三菱信託銀行㈱(現三菱UFJ信託銀行㈱)入社

1992年6月 三菱トラスト・インターナショナル㈱副社長

2003年10月 エム・ユー・トラスト総合管理㈱入社

2006年4月 同社総務部長

2012年10月 ビジネス英会話教室講師

2013年4月 青山学院大学経営学部講師

2014年4月 城西大学経済学部講師

2018年6月 当社補欠監査役(現任)

(注)2

(注)1.補欠監査役選任の効力は、監査役就任前に限り監査役会の同意を得て、取締役会の決議によりその選任を取り消すことができることとなっております。

2.補欠監査役が監査役に就任した場合の任期は、就任した時から退任した監査役の任期の満了の時までであります。但し、補欠監査役としての選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結の時を超えることができないこととなっております。

7.当社では、意思決定と業務執行の分離による経営の効率化のため、執行役員制度を導入しております。執行役員は8名で、上記記載の中村恵美子及び今野高章の他に、執行役員法務部長兼内部監査室長 足立友成、執行役員管理部長兼経営企画部長 米林渉司、執行役員探索研究部長 青木一晃、執行役員事業開発部長 秋田一雅、執行役員臨床開発部長 池上直隆及び執行役員 Yusuf Aliで構成されております。

 

 

② 社外役員の状況

(ⅰ)社外取締役及び社外監査役との関係

 本書提出日現在において当社の、社外取締役は2名、社外監査役は3名であります。

 社外取締役は、議決権を有する取締役会の一員として、客観的な立場から審議及び決議に参加することで取締役会としての監督機能の向上に、社外監査役は、監査機能の強化に加えて、意思決定の透明性、客観性及び適正性を確保するために、当社にとって重要な位置づけであると考えております。

 社外取締役には、医薬品業界における経営全般及び臨床開発について豊富な経験と深い見識の保有者、医薬品業界における研究開発から事業戦略の構築推進について豊富な経験と幅広い見識の保有者をそれぞれ招聘し、より広い視野に基づいた助言並びに経営への関与により、経営の妥当性・透明性の確保を可能とする体制を構築しております。

 社外監査役には、経営全般に関する豊富な経験の保有者、公認会計士、税理士として企業会計及び税務に関する優れた知見の保有者、加えて、弁護士として企業法務に関する高度な専門知識と豊富な経験の保有者をそれぞれ招聘し、長年の経験により培われた幅広い見識に基づき、客観的立場からの経営監視にあたっております。また、監査役は取締役会に出席し積極的に意見を述べるほか、その他の重要な会議にも必要に応じて出席し、加えて、代表取締役と四半期毎に定期的な協議を持つなどして、取締役の職務の執行状況を監督するとともに、監査計画に基づき監査役監査を実施し、効率的で実効性の高い監査体制を構築しております。

 

(ⅱ)社外取締役及び社外監査役の独立性に関する判断基準

 当社は、社外取締役又は社外監査役の独立性について客観的に判断するために、東京証券取引所の定める独立役員制度を基に、当社独自の独立性基準を定めております。

 コーポレート・ガバナンスの充実化を図るためには、独立性の高い社外取締役及び社外監査役を選任することが重要であると考えており、独立性基準にしたがってそれぞれの候補者の独立性を判断しております。

 

(ⅲ)社外取締役及び社外監査役の選任状況

 西畑利明は、製薬企業の取締役としての実績から、医薬品業界における経営全般及び臨床開発について豊富な経験と深い見識を有していることを考慮し、アプタマー医薬の実現に向けて開発全般に大きな寄与をいただけると判断し、社外取締役に選任しております。

 森俊介は、製薬企業並びにヘルスケア関連投資会社において、研究開発から事業戦略の構築推進、さらにはヘルスケア分野の投資先へのハンズオン・サポートをリードする等、医薬品業界での豊富で幅広い経験を有し、当社の事業開発やアライアンス戦略に大きな寄与をいただけると判断し、社外取締役に選任しております。

 藤井素彦は、会社経営全般についての豊富な知識と上場会社の監査役の経験を有しているとともに、今まで当社監査役としてその役割を十分果たされており、その知識と経験を活かして適切な監査を担っていただけると判断し、社外監査役に選任しております。

 矢部豊は、公認会計士及び税理士の資格を有し、企業会計及び税務に精通していることから、専門領域の視点を活かした監査を担っていただけるとともに、今まで当社監査役としてその役割を十分果たされていることから、社外監査役に選任しております。

 藤井康弘は、弁護士として豊富な経験と高い見識から、専門領域の視点を活かした監査を担っていただけるものと判断し、社外監査役に選任しております。

 また、西畑利明、森俊介、藤井素彦、矢部豊、及び藤井康弘を東京証券取引所に独立役員として届け出ております。

 

③ 社外取締役または社外監査役による監督または監査と内部監査、監査役監査及び会計監査との相互連携並びに内部統制部門との関係

 社外取締役は、原則月1回開催される取締役会への出席を通じて、各年度の監査役会の監査計画上の基本方針・重点監査項目や内部統制の整備・運用状況等に関する報告を受けることにより、また、適宜行われる社外役員による意見交換等を通じて当社の現状と課題を把握し、必要に応じて取締役会において独立役員として一般株主に配慮した意見を表明しております。

 社外監査役は、原則月1回開催される取締役会及び監査役会に出席し、取締役、常勤監査役及び使用人等から内部監査、監査役監査、会計監査及び内部統制監査の実施状況の報告を受け、必要に応じて説明を求めるほか、独立役員として一般株主に配慮した意見を表明しております。

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有(被所有)割合

(%)

関係内容

(その他の関係会社)

大塚ホールディングス株式会社 (注)1

東京都千代田区

81,690

持株会社

被所有

22.7

(22.7)

(注)2

大塚製薬株式会社

東京都千代田区

20,000

医薬品の製造・販売

被所有

22.7

 特許譲受の締結

  (注)1.有価証券報告書の提出会社であります。

2.議決権の所有(被所有)割合の( )内は間接所有割合で、内数であります。

 

※2 販売費及び一般管理費

   一般管理費に属する費用の割合は100%であります。主要な費目及び金額は次のとおりであります。

 

前事業年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

役員報酬

117,653千円

116,900千円

給料手当

65,870

67,285

租税公課

31,421

42,859

減価償却費

2,220

1,654

(表示方法の変更)

 前事業年度において主要な費目として表示していなかった「租税公課」は、金額的重要性が増したため、当事業年度において主要な費目として表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度においても主要な費目として表示しております。

 

 

1【設備投資等の概要】

 当事業年度の設備投資については、研究開発の充実・強化などを目的として設備投資を実施いたしました。

 当事業年度の設備投資の総額(無形固定資産を含む)は47百万円であり、その主なものは、研究用機器(BiacoreT200)の取得によるものであります。

 なお、当事業年度において重要な設備の除却、売却等はありません。

 

株価(1年)
期間を変更
PER(1年/会予)
期間を変更

その他企業情報

企業価値7,556 百万円
純有利子負債-4,255 百万円
EBITDA・会予N/A
発行済株数24,502,984 株
設備投資額47 百万円
減価償却費18 百万円
のれん償却費N/A
研究開発費673 百万円
代表者代表取締役社長  中村 義一
資本金5,686 百万円
住所東京都港区白金台三丁目16番13号
会社HPhttp://www.ribomic.com/

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