ブライトパス・バイオ【4594】

直近本決算の有報
株価:10月28日時点

1年高値344 円
1年安値177 円
出来高430 千株
市場マザーズ
業種医薬品
会計日本
EV/EBITDAN/A
PBR2.6 倍
PSR・会予3,299.3 倍
ROAN/A
ROICN/A
β0.49
決算3月末
設立日2003/5/8
上場日2015/10/22
配当・会予0 円
配当性向0.0 %
PEGレシオN/A
売上高(百万円)&収益性(%)
売上5y CAGR・予想:-72.6 %
利益(百万円)
営利 CAGR・実績:N/A %
純利 CAGR・実績:N/A %
EPS(円) BPS(円)
配当(円)
健全性(%、倍)
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別利益率
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
会社の詳細

3 【事業の内容】

 当社は、新規の「がん免疫治療薬」の開発に領域を定める、臨床試験段階にあるパイプラインを有する創薬ベンチャーです。事業モデル、技術の特徴は以下のとおりであります。

 

(1) 事業モデル

 

 当社の事業モデルは、新規がん免疫治療薬を自社創製もしくは導入し、探索研究から早期臨床試験までを手掛け、国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスアウトし、ライセンス先からライセンス収入を得るものです。

 医薬品開発は上市までに一般的に10年以上かかります。よって、開発投資が先行し、後期段階になるほど要する資金が大きくなります。投資を早期に回収する仕組みを作らなければベンチャーで創薬を行うことは難しいですが、現在は承認薬に至ったシードのうち、直近ではベンチャーが創製するシードの数が、従来の大手製薬企業のそれを上回るようになっていることからもわかるように、医薬品産業においては大手製薬企業が開発途上にあるベンチャー創製シーズを導入する仕組みが成立しています。

 

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 この事業モデルでは、上市前の開発段階で、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入(ライセンス契約締結時の一時金、その後開発進捗に応じて設定したマイルストンを達成する毎に得られる開発マイルストン収入、上市後は製品売上高の一定割合を得る販売ロイヤリティ収入等)を得ることを目指します。ライセンス後もライセンス先企業と共同開発し、開発費の貢献に合わせて将来の利益を按分したり、ライセンス先から開発協力金を得て開発を主導する等、色々なバリエーションがあります。

 

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当社は、様々な開発ステージにあるパイプラインの開発を同時並行で進めることにより、投資早期回収と黒字転換後の継続的な収入の実現を図ります。

 

(2) 開発中のがん免疫治療薬の特徴

 当社は「一人ひとりが、自らの力で、がんを克服する世界を実現する」ことを目指し、新規のがん免疫治療薬の開発を行っています。

 がん免疫療法は、がん細胞に対する免疫反応(がん免疫)を惹起または増強させ、がん免疫によりがん細胞を殺傷し、腫瘍縮小、がんの進行・転移抑制、再発予防を図るものです。がん治療には約50年に一度生存率を大きく改善する治療法の革新が起こってきましたが、がん免疫治療は、近年において、外科手術・放射線療法・化学療法に次ぐ「第4の治療」としての地位を確立しました。特に、免疫チェックポイント阻害抗体※1は、多様ながん種、がんのステージにおいて標準療法に組み込まれ、がん治療を大きく変えました。一方で、今ある免疫チェックポイント阻害抗体単剤で治療効果が出せる領域にも限りがあることも分かってきており、他の新しいがん免疫治療薬を組み合わせる複合的がん免疫療法や、欧米に続き本邦でも承認されたCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞)療法※2に代表される細胞医薬という新しいモダリティ(医薬品形態)も出て来ています。

 がん免疫治療薬は、人がもともと備え持つ、がんを排除する免疫システム=がん免疫を適正に「成立」させることによってがんの治療を図るものです。

 

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がん免疫の成立を妨げる要因(がん免疫サイクルが滞る箇所)は、がん種、がんのステージ、個人差等によって、異なります。当社はパイプラインにおいて、複数のメカニズム/モダリティを有することによって、その滞りの解消に適した法を選択することを可能にしています。

 

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■当社の事業領域

 

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(3) 開発パイプライン

当社が開発を手掛ける新規がん免疫治療薬のモダリティ(医薬品形態)は、がんワクチン、細胞、抗体に及んでいます。4種抗原ペプチド※3で構成されるGRN-1201が最も開発ステージが進んでおり、現在、非小細胞肺がんを対象に本邦初の免疫チェックポイント阻害剤との併用による第Ⅱ相臨床試験を米国で進めています。それに、まもなく頭頸部がんを対象とする臨床試験が始まるiPS細胞由来再生NKT細胞※4療法(導入オプションを取得済み)が続き、その他各種固形がんを対象とする複数の探索・非臨床試験ステージのパイプラインを有します。

 

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GRN-1201(がんペプチドワクチン)
・米国でメラノーマ(悪性黒色腫)を対象とする単剤第一相臨床試験及び非小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を実施中
 
 GRN-1201は、欧米人が多く有するA2型のHLA※5(HLA-A2)に結合するペプチド4種で構成される米国や欧州を始めとするグローバル展開を想定したがんペプチドワクチンです。米国でメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に第一相臨床試験を実施し、安全性と免疫誘導が示され、現在は同じく米国で非小細胞肺がんを対象に免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を実施しています。
 がん細胞では、がん細胞特有のペプチドがHLAと結合して表出しており、それを認識する細胞傷害性T細胞(CTL※6)はがん細胞を特異的に直接攻撃します。このため、CTLはがん免疫において最も重要な免疫細胞の一つとされています。GRN-1201を構成するペプチドは、このCTLに認識される生体内のペプチドと同じアミノ酸配列をもつ化学合成ペプチドであり、このペプチドを投与することにより、これをがんの目印として認識するCTLを誘導・活性化し、活性化したCTLが生体内で同じペプチドを表出させているがん細胞を攻撃・傷害します。

元来、患者がん細胞由来のcDNAライブラリ(がん細胞内のmRNA※7から逆転写酵素※8を用いて合成された相補的DNAのライブラリ)と、がん細胞に特異的に反応する患者T細胞株とを使ってスクリーニングされたもので、非臨床試験と久留米大学における臨床研究を通して、免疫原性と安全性を示唆するデータが得られています。

ペプチドが結合するHLAには型があり、個人差・人種差があります。日本人に最も多いのはHLA-A24型で全体の60%を占めますが、欧米ではHLA-A2型が最も多く全体の50%を占めており、日本人ではHLA-A2型は40%といわれています。GRN-1201はグローバルで患者数の多いHLA-A2型に結合するペプチドで構成され、欧米での開発を先行させています。

がんペプチドワクチンは、T細胞にがんの目印を与えてがん細胞を排除するよう誘導するものですが、腫瘍局所はそのようなT細胞の機能を抑え込む免疫抑制が働く環境にあります。一方で、現在米国の第二相臨床試験で併用している免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブは、腫瘍局所においてT細胞の活性化を抑制するがん細胞側からの攻撃抑制シグナルをブロックします。すなわち、免疫チェックポイント阻害抗体は腫瘍局所に既に存在するT細胞を活性化する機能を有します。免疫チェックポイント阻害抗体はがん治療に革新をもたらし、様々ながん種で治療効果を示しており、がん種によりますが、単剤での奏効率は10-40%程度と言われております。現在は、治療効果の得られない患者が治療効果を得られるように、既存の化学療法や分子標的薬との併用に加えて、互いの作用メカニズムを補完して免疫サイクル(免疫機構によりがん細胞が認識され殺傷されるまでの一連の流れ)の複数のステップに働きかける作用を持つがん免疫治療薬同士を併用したいわゆる複合的がん免疫療法が盛んに検討されております。当社のがんペプチドワクチンGRN-1201と免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブの併用も、このがん免疫療法の次のテーマである複合的がん免疫療法の一つなることを期待して臨床開発を進めています。

 

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iPS-NKT(iPS細胞由来再生NKT細胞療法)

・多面的な抗腫瘍効果を有する免疫細胞(直接傷害/自然免疫の活性化/獲得免疫の誘導/免疫抑制環境の改善)

・理化学研究所との導入オプション付共同研究を実施中

早期の免疫応答に関与しがん細胞を直接殺傷するとともに、自然免疫を増強するのみならず、自然免疫から獲得免疫への橋渡し役も担い、他の免疫細胞を活性化させるアジュバント作用をもちながら、体内には微量(末梢血リンパ球のうち0.1%以下)にしか存在しない免疫細胞であるNKT細胞を、iPS細胞の高い増殖性を活かして必要量を確保し、がん免疫治療として用います。

 

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欧米に続き本邦でも昨年承認されたCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞)に代表される細胞医薬の次のテーマと言える、血液がん対象から固形がん対象への拡張、ならびにエフェクター細胞の自家(都度特注となり製造原価が高い)から他家(健常人由来で作り置きと診断後即時投与を可能にする)への移行を、iPS細胞技術のがん免疫療法に応用することによって実現しようとするものです。

 

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当社は、2018年3月に、国立研究開発法人理化学研究所統合生命医科学研究センターが進める細胞医薬の技術開発と臨床応用に向けたプロジェクトに参画しました。本プロジェクトは、理化学研究所が中心となって日本医療研究開発機構(AMED)再生医療実現拠点ネットワークプログラム疾患・組織別実用化研究拠点(拠点B)に採択された「NKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発拠点」プロジェクト及び理研創薬・医療技術基盤プログラムのプロジェクトとして進められているもので、頭頸部がんを対象とする医師主導治験を予定しています。当社は、理化学研究所からiPS-NKT細胞療法の独占的開発製造販売ライセンスのオプション権を取得しており、世界でも初となるiPS-NKT細胞療法の臨床応用実現にむけ、本医師主導治験を全面的に後押しいたします。

 

BP1101(ネオアンチゲン※9

一人一人で全く異なるがん特有の遺伝子変異由来の抗原(ネオアンチゲン)に対するがん免疫を誘導する完全個別化ネオアンチゲンワクチン※10です。

がん遺伝子変異量(ネオアンチゲンの量)と免疫チェックポイント抗体療法の奏効が相関することから、ネオアンチゲンががん免疫の標的であると考えられています。

 

 

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BP2301(HER2 CAR-T)

BP2301は、様々な固形がんで高発現しているHER2抗原を認識するキメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(HER2 CAR-T細胞)療法です。

血液がんで優れた臨床効果を示し承認されたCAR-T療法は、より多くの患者がいる固形がんへと適応を拡げるにあたって、がん免疫に抑制がかかる腫瘍微小環境において疲弊し十分に機能を発揮できないという課題がありました。この課題を乗り越えるために、当社は中沢教授らと新規CAR-T細胞培養法を共同開発し、これを中沢教授の非ウイルス遺伝子導入法と組み合わせることにより、疲弊していない若いメモリーフェノタイプのまま体内で長期生存可能なCAR-T細胞の製造に成功しました。これにより、CAR-T細胞移入後の持続的な抗腫瘍効果発現が期待されます。

 

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BP1401(TLR9アゴニスト)

BP1401は、抗腫瘍効果を持つT細胞が能動的に賦活化される環境を整えるために樹状細胞の受容体TLR9を刺激するTLR9アゴニストです。BP1401による刺激はサイトカインシグナルを介して、賦活化されたT細胞をはじめとする免疫細胞が腫瘍局所に存在していない、いわゆる“Cold tumor”の状態を、それらが多く存在する“Hot tumor”へと転換することを図るものです。これにより、抗腫瘍免疫が効果的に働くことが期待されます。

BP1401は、このTLR9アゴニストの有効成分である核酸を脂質に織り込む脂質製剤とすることで安定性を高め、標的とするTLR9発現樹状細胞への核酸のデリバリーを高めています。

 

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BP1200(抗CD73抗体)

CD73を標的とする新規腫瘍環境改善・免疫活性化抗体です。

腫瘍内でのアデノシン産生は、T細胞の疲弊と抑制を引き起こし、抗腫瘍免疫活性を低下させます。CD73は多くの腫瘍で高発現し、予後不良を引き起こすことも報告されています。BP1200はアデノシン産生酵素の機能を阻害します。

 

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BP1210(抗TIM-3抗体)

世界各国の多様ながん種、ステージで医薬品承認が進む免疫チェックポイントPD-1/PD-L1阻害抗体に続く、免疫チェックポイントTIM-3を阻害する新規抗体です。

BP1210は、細胞傷害性T細胞に発現するTIM-3を阻害することにより、TIM-3がもたらす細胞疲弊を抑制し、抗腫瘍免疫活性を亢進します。

 

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(4) 許認可、免許及び登録等の状況について

① 許認可、免許及び登録、行政指導等

医薬品開発は、各国の医薬品の開発及び当局への申請等に関する法律、日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:薬機法、2014年11月25日施行、「薬事法」から改称)、米国では「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)及びその関連する法令」、上記の他、日本及び米国を含め各国における当局の省令やガイダンス、ならびに安全性に関する非臨床試験の実施基準(GLP;Good Laboratory Practice)、臨床試験の実施基準(GCP;Good Clinical Practice)、製造管理及び品質管理規則(GMP;Good Manufacturing Practice)の下で進めております。

 

② 知的財産権の状況

知的財産は、個別のペプチドの物質特許を押さえ、その上で複数ペプチド投与を前提とするためその組み合わせの臨床上の有用性を、実際の臨床試験のデータを実施例として特許化する2層構造が骨格となります。なお、GRN-1201については、物質特許を含め当社が特許を有しております。

 

<主要な特許の状況>

発明の名称

特許登録番号

出願国
(登録国)

権利者

上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)由来ペプチド

4579836

日本

当社

7655751

米国

2554195

カナダ

腫瘍抗原

7465452

米国

当社

1207199

欧州(注)

2381348

カナダ

4051602

日本

4097178

日本

4035845

日本

4624377

日本

CD4陽性T細胞に認識されるペプチド

4443202

日本

当社

副甲状腺ホルモン関連タンパク質のHLA-A24またはHLA-A2結合ペプチド

4579581

日本

当社

がんペプチドワクチン

2591799

欧州(注)

当社

5706895

日本

5980303

日本

 

    (注)欧州については、ドイツ、スペイン、フランス、英国、イタリアが含まれております。

[用語解説]

 

※1(免疫チェックポイント阻害抗体)

がん細胞がもつ、免疫の働きにブレーキをかけて免疫細胞の攻撃から逃れる仕組みを阻止するため、免疫チェックポイントと呼ばれる分子を阻害してブレーキを解除する抗体医薬品を指す。

 

※2(CAR-T)

Chimeric Antigen Receptor T-cell Therapy:キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法

ある特定のがんに対する、キメラ抗原受容体の遺伝子を患者のT細胞という免疫細胞に導入し、その遺伝子導入されたT細胞を体外で増やして患者に戻すという治療法。ヒト白血球抗原(HLA)の型に依存せず、多くの患者に適用することができるといった特徴がある。

 

※3(ペプチド)

アミノ酸が複数個つながったもの。タンパク質の断片。

 

※4(NKT細胞)

NKT細胞は、がん細胞を直接殺傷する能力をもつと同時に、他の免疫細胞を活性化させるアジュバント作用をもつ免疫細胞のこと。活性化すると、多様なサイトカインといわれる物質を産生し、自然免疫系に属するNK細胞の活性化と樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、更に獲得免疫系に属するCTLを増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。また、自然免疫系を同時に活性化させることで、T細胞では殺傷できないMHC陰性のがん細胞に対しても殺傷能を持つ特徴がある。

 

※5(HLA)

HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)は、体のほとんど全ての細胞表面で発現がみられる、免疫機構において重要なタンパク質で、細菌やウイルスなどの病原体の排除やがん細胞の拒絶、臓器移植の際の拒絶反応などに関与しており「主要組織適合遺伝子複合体」とも呼ばれています。

HLAはがん細胞でも細胞表面上に発現しており、がんワクチンの作用機序においては、がん細胞内でがん抗原タンパクが分解されて生成されたペプチドと結合して細胞表面に移動し、CTLにがん細胞として認識させるように機能します。

HLAは自己と非自己(他)を区別する「自他認識のマーカー」であり、非常に多様な「他(た)」を自己と区別するために、非常に多様な型があります。ペプチドはHLAの特定の型に結合し、型が合わない場合は結合しません。

 

※6(CTL:細胞傷害性T細胞)

CTLはCytotoxic T Lymphocyteの略語で、リンパ球のうちのT細胞の一種。細胞表面のT細胞受容体を通じて、樹状細胞等の抗原提示細胞から提示された異物を特異的に認識し、同じくその異物を表面上に提示しているウイルス感染細胞やがん細胞を認識し、細胞傷害物質のサイトカインであるパーフォリンやグランザイムなどを放出することで殺傷することができます。以前はキラーT細胞とも呼ばれていました。

 

※7(RNA)

リボ核酸(Ribonucleic Acid)の略称。DNAも核酸であるが、DNAは核の中で様々な情報を蓄積・保存をする役割があるのに対し、RNAはその情報の一時的な処理を行うという役割があります。

生体内の働き・構造から、翻訳の鋳型となる伝令RNA(メッセンジャーRNA, mRNA)、リボソームの主要構成成分であり細胞内RNAの最多成分であるリボソームRNA(rRNA)などに分類されます。

この中でメッセンジャーRNAは、DNAからタンパク質を合成するための塩基配列情報を持ったRNAで、mRNAと表記されます。タンパク質の合成は、DNAからタンパク質を合成するために必要な塩基配列情報をコピーしたmRNAが合成され、このmRNAの塩基配列情報に従ってタンパク質が合成されます。

 

※8(逆転写酵素)

RNA依存性DNAポリメラーゼ (RNA-dependent DNA polymerase) のこと。逆転写反応を触媒する酵素。この酵素は一本鎖RNAを鋳型としてDNAを合成(逆転写)するもので、レトロウイルスの増殖に必須の因子として発見されました。逆転写酵素は相補的DNA(cDNA)の合成に利用され(逆転写反応)、遺伝子工学や分子生物学的実験には必須のツールとなっています。

 

※9(ネオアンチゲン)

がん細胞に独自の遺伝子異常が起きた際に生じる、遺伝子変異(アミノ酸変異)を含む抗原を指します。個々の患者のがん細胞に生じた独自の遺伝子変異によって発現されるようになったがん特異的な抗原で、正常な細胞には存在しません。免疫系から「非自己」として認識されるネオアンチゲンを標的とすることで、がん細胞を殺傷する免疫を効率よく誘導できるようになることが期待されています。

 

※10(完全個別化ワクチン)

個々の患者のがん細胞にあるネオアンチゲンを探索し、これに対するオーダーメイドのがんワクチン。海外で臨床試験が行われている。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)の世界経済は、保護主義的な通商政策の影響などにより経済成長に減速傾向が見られていた中、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起こり、2020年は戦後最大の経済成長の落ち込みの見通しが示されるなど、極めて先行き不透明な状況となりました。わが国の経済も、概ね緩やかな回復傾向を示してはいたものの、COVID-19が拡大し、医療崩壊を避けるための経済活動自粛が続く中で、インバウンド消費、内需、輸出等が大幅に減速し、先行き不透明な状況となりました。

当社の開発領域であるがん免疫治療薬は、これまで約50年に一度起こってきたがん治療の革新をここ5年でもたらし、適応されるがん種の拡大とモダリティ(医薬品形態)の多様化が進み、依然として医薬品産業成長の牽引役となっています。それでも、がん免疫療法にブレークスルーをもたらした免疫チェックポイント阻害抗体の単剤の奏効率は多くのがん種で10-40%程度にとどまっており、アンメット・メディカルニーズは未だ大きく、「がん免疫」という科学的に証明されたメカニズムを用いた治療薬ががん治療の革新をさらに推し進める余地は大きく拡がっています。

このような環境下で、当社は「一人ひとりが、自らの力で、がんを克服する世界を実現する」ことを目指し、新規のがん免疫治療薬に開発領域を特化し、がんワクチン、細胞医薬、抗体医薬モダリティに関する、探索から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインの開発を、同時並行で進めてまいりました。

パイプラインの中で現在臨床試験段階にあるのが、がんペプチドワクチン(GRN-1201)で、現在は米国で、非小細胞肺がんを対象に、免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を進めています。

次に臨床試験段階に入るのが、細胞医薬パイプラインのiPS細胞由来再生NKT細胞療法(iPS-NKT)で、国立研究開発法人理化学研究所と国立大学法人千葉大学が主体となって、頭頸部がんを対象とする医師主導治験がまもなく開始される予定で、現在準備が進められています。

これらに次いで臨床試験に進むべく非臨床試験を実施中であるのが、次世代のがんワクチンとなる完全個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1101)、当年度に国立大学法人信州大学から導入したHER2 CAR-T細胞療法(BP2301)、同じく当年度に国立大学法人大阪大学らから導入したTLR9アゴニスト(BP1401)です。抗体医薬パイプラインはすべて自社創製で、PD-1/PD-L1に次いで、T細胞の疲弊や機能抑制に関する免疫チェックポイント分子としてそれを阻害することの有効性が科学的に示される途上にある標的分子に対する抗体を、Best-in-classとなることを目指して開発しています。今後リード最適化とさらなる機能評価、ならびにより機能の高い新規クローンの取得を進める予定です。

これらの結果、当事業年度につきましては研究開発活動の拡大により営業損失は1,827,349千円(前年同期の営業損失は1,665,548千円)、経常損失は1,823,996千円(前年同期の経常損失は1,678,084千円)、当期純損失は1,857,774千円(前年同期の当期純損失は1,884,318千円)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 ① 流動資産

当事業年度末における流動資産は前事業年度末より1,833,461千円減少3,328,186千円となりました。これは、現金及び預金が研究開発等に関連する支出により1,882,820千円減少したことが主な要因であります。

 

 ② 固定資産

当事業年度末における固定資産は前事業年度末より3,636千円増加146,452千円となりました。これは、研究機器の購入により工具、器具及び備品が6,395千円増加したことが主な要因であります。

 

 ③ 流動負債

当事業年度末における流動負債は前事業年度末より24,045千円増加172,862千円となりました。これは、久留米大学への包括的業務契約に基づくロイヤリティ支払により買掛金が27,519千円減少したこと、前事業年度末と比べて研究開発費及び研究機器の取得が増加したことにより未払金が54,260千円増加したことが主な要因であります。

 

 ④ 固定負債

当事業年度末における固定負債は前事業年度末より6,964千円増加66,539千円となりました。これは、対象社員数の増加により退職給付引当金が11,112千円増加したことが主な要因であります。

 

 ⑤ 純資産

当事業年度末における純資産は前事業年度末より1,860,834千円減少し、3,235,237千円となりました。これは、当期純損失1,857,774千円を計上したことが主な要因であります。以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の94.7%から91.5%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて1,882,820千円減少し、3,018,356千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は1,784,461千円(前事業年度は1,457,571千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失1,859,861千円を計上したこと、減損損失48,159千円を計上したこと、減価償却費62,471千円を計上したこと、仕入債務の減少27,519千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は106,879千円(前事業年度は185,115千円の支出)となりました。これは主に研究開発機器等の有形固定資産の取得による支出107,282千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は8,521千円(前事業年度は15,810千円の収入)となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入10,750千円によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

医薬品開発事業

1,467

△97.8

合計

1,467

△97.8

 

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.ITK-1第三相臨床試験が終了したため、前年同期と比べ65,244千円減少しております。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

医薬品開発事業

8,309

△93.5

合計

8,309

△93.5

 

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.ITK-1第三相臨床試験が終了したため、前年同期と比べ120,458千円減少しております。

 

 (3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医薬品開発事業

11,300

△92.7

合計

11,300

△92.7

 

(注)1.ITK-1第三相臨床試験が終了したため、前年同期と比べ144,508千円減少しております。

2.最近事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

当事業年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

富士フイルム株式会社

121,420

77.9

大日本住友製薬株式会社

7,500

66.4

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.当事業年度の富士フイルム株式会社に対する販売実績につきましては、当該割合が10%未満の為記載を省略しております。

5.前事業年度の大日本住友製薬株式会社に対する販売実績につきましては、当該割合が10%未満の為記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は下記のとおりであります。なお、当社は、医薬品開発事業の単一事業であるため、セグメント別の業績に関する記載を省略しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社が判断したものであります。

 

(経営指標について)

当社は、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果として、ライセンスアウトによる契約一時金やマイルストン収入等などを獲得するビジネスモデルであります。

中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規のパイプラインを積極的に導入していく方針であります。

従いまして、売上高や当期純損益の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、現預金残高の推移、研究開発活動の効率化、パイプライン数の拡大・充実について、財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。この見積りに関しては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づいて合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。

 

(2) 当事業年度末の財政状態の分析

①  資産の状況

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より1,829,824千円減少3,474,639千円となりました。

これは研究開発等に関連する支出により1,882,820千円現金及び預金が減少したことが主な理由であります。

また、当事業年度末における資産の内訳としましては、現金及び預金が3,018,356千円と、資産の合計の86.9%を占めており、研究開発を推進していくにあたり、当面の資金は確保している状況にあります。

今後の現金及び預金の残高推移については、株式市場等からの資金調達やライセンスアウトによる契約一時金収入・マイルストン収入の獲得が実施されるまでの期間において、主に研究開発費用及び研究機器等の購入に伴う支出により減少する傾向にあります。現金及び預金の残高推移を注視しつつ、がん免疫治療薬分野の最先端の研究開発を積極的に推進してまいります。

 

②  負債の状況

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末より31,010千円増加239,401千円となりました。

これは久留米大学への包括的業務契約に基づくロイヤリティ支払により買掛金が27,519千円減少した一方で前事業年度末と比べて研究開発費及び研究機器の取得が増加したことにより未払金が54,260千円増加したことが主な理由であります。

当事業年度末における総資産に占める負債の割合は、6.9%であります。当社の有するパイプライン開発の推進に伴い、未払金は増加する傾向にあります。当事業年度末における現金及び預金の残高に対する負債の割合は非常に小さいと考えており、引き続き効率的な研究開発活動を推進してまいります。

 

③  純資産の状況

当事業年度末における純資産は、前事業年度末より1,860,834千円減少3,235,237千円となりました。

これは当期純損失1,857,774千円を計上したことが主な理由であります。自己資本比率は前事業年度末の94.7%から91.5%となりました。

 

(3) 当事業年度の経営成績の分析

①  売上高の状況

当事業年度の売上高につきましては、前事業年度と比べ144,508千円減少92.7%減)し、11,300千円となりました。

これはITK-1の開発中止に伴い治験受託業務が終了したことが主な要因であります。

 

②  営業損益の状況

当事業年度における営業損失は、前事業年度と比べ161,800千円損失が増加1,827,349千円となりました。

当社は新規のがん免疫治療薬に開発領域を特化し、がんワクチン、細胞医薬、抗体医薬モダリティに関する、探索から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインの開発を、同時並行で進めたことにより、当事業年度の研究開発費は前事業年度と比べ97,180千円増加し、1,484,854千円となりました。

当社の販管費に占める研究開発費の割合は約81%であり、事業運営費用が約19%となっております。このため、研究開発費の計上額の推移が営業損益の金額に直接影響を与える構造となっております。

各パイプラインの推進に加え、日進月歩でサイエンスが進む環境に迅速に適合していくためにも、新規シーズの導入は今後も引き続き積極的に行っていく方針であるとともに、さらには川崎創薬研究所において創出している新規医薬品候補の開発を順次進めてまいります。

 

③  当期純損益の状況

当事業年度における当期純損益は、前事業年度と比べ26,544千円損失が減少1,857,774千円となりました。

当事業年度の研究開発費が前事業年度と比べ97,180千円増加しましたが、減損損失が前事業年度と比べ146,670千円減少したことが主な要因であります。

 

(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因は、当社が推進する研究開発を遅延又は中止させる事象でありますが、詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(6) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資金需要は、研究開発にかかる人件費、試薬等材料費、消耗品費、外部委託費及び研究機器の購入等及び事業運営・上場維持にかかる人件費、外部委託費及び特許関連費用等であります。これらの費用及び研究機器の購入等については、自己資金により支出していく予定であります。自己資金については、すべて銀行預金としておりますので、すべての支出について迅速かつ確実に対応できるよう資金の流動性を確保しております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社は、「私たちは、がん免疫治療分野の最先端を切り拓くことにより、一人ひとりが自らの力でがんを克服する世界を実現します。」を経営理念として、新規がん免疫治療薬を創製することによって、現在進行しているがん治療革新の一翼を担いたいと考えております。

これを実現するために、当社は①開発領域をがん免疫治療薬に特化し、②シーズ導入・創製において国内外のアカデミアやベンチャー企業と広く連携するオープンイノベーションを進めながら、③ライセンスアウト型事業モデルによる好循環で持続可能な開発および企業成長を目指してまいります。

 

① がん免疫治療薬にフォーカスするのは、がん免疫に働きかけてがんを排除するという創薬コンセプトの有効性が免疫チェックポイント阻害抗体によって証明されており、この創薬コンセプトを具現化する方法を拡げることによって、従来の治療法では治療効果を得られなかったアンメットメディカルニーズを満たすことができるフロンティアが依然として大きく存在するからです。それは、当社が創業以来取り組んで来た経験とノウハウの蓄積がある領域であり、世界の医薬品市場の成長を他のどの医薬品カテゴリーよりも牽引している領域でもあります。

 

② オープンイノベーションを進めるのは、今や日進月歩でサイエンスが更新されていくがん免疫療法の領域において、最先端のサイエンスへのアクセスを可能にするためです。がん免疫治療のフロンティアには、アンメットメディカルニーズを満たすためのサイエンスがまだ数多く存在しています。創薬ベンチャーとして創薬を好循環で進めるために、当社は③のライセンスアウト型の事業モデルを採っています。知的財産を導出することによって収益化を図るモデルで、その知的財産は、最先端のサイエンスが織り込まれていないと成立しません。

 

③ ライセンスアウト型の事業モデル(シーズの創製や創薬コンセプト証明に集中し、大掛かりな組織体制を必要とする後期臨床試験以降は、製造販売網を有する製薬企業にライセンスアウトして早期収益化を図る事業モデル)を採るのは、創薬ベンチャーとして開発を持続して行えるようにするためです。一つひとつの新規医薬品候補物質の研究開発は、シーズの創製から規制当局の承認を得て医薬品として製造販売に至るまで、薬事規制等に則って探索的研究から第三相臨床試験まで段階を踏みながら進められ、全体として長期間におよぶとともに多額の資金を必要とします。よって、財務負担が蓄積し経営の機動性を喪失する前に、早期収益化を図ります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社では、ライセンスアウト時の契約一時金と、その後の継続的なマイルストン報酬(マイルストン収入、販売ロイヤリティなど)を収益とするビジネスモデルを採っているため、製薬企業へのライセンスアウト(タイミングとライセンス取引額)、原則としてライセンスアウト成立の前提となる、創薬コンセプトを証明する非臨床試験または臨床試験成績の取得、そこに至るまでの開発イベント(例えば、当局による治験開始申請の受理)が、重要な経営イベントとなります。

持続可能な企業成長と企業価値の向上を目指して、また技術革新著しいがん免疫治療薬分野における事業機会を逃さないために、開発ポートフォリオの継続的な更新を重視しており、既存のパイプラインの開発推進や新規パイプラインの自社創製のみならず、新規パイプラインの導入やオープンイノベーションに基づく共同創出も積極的に進めてまいります。

なお、研究開発型の創薬ベンチャーは、研究開発投資からライセンスアウトによる収益化までの長期間に及ぶ事業サイクルが、開発パイプライン複数個によって資産(企業価値を構成するソフトな資産)構成されるため、売上高や当期純損益や、ROE、ROAといった年単位で見る指標は、適切な経営指標となりにくいと考えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

現在当社は、免疫システムに働きかけ免疫を使ってがんを排除させるメカニズムの「がん免疫治療」薬に開発領域を定め、その医薬品形態としてがんワクチン、細胞医薬、抗体医薬という3つのモダリティでパイプラインを構成し、医薬品開発プロセス上は探索研究から早期臨床試験までを国内外で手掛け、早期収益化を図るために国内外の製薬企業に開発途中段階でライセンス・アウトしていく事業モデルを採っています。想定するライセンス・アウトの開発段階は、モダリティや個々のパイプラインで異なっており、現在米国で第二相臨床試験を実施中のがんワクチンもあれば(GRN-1201)、探索研究段階にある各種抗体医薬シーズもあります。

中長期的には、開発領域は、軸足をがん免疫治療薬に置き続けることは変わりませんが、がん免疫治療薬で築いた創薬プラットフォームを他の疾患の治療薬(例えば感染症)に用いる可能性はあり、モダリティも現在の主力の3つに軸足を置きながらもより新しいモダリティ(例えば核酸、融合タンパク)を採用していく可能性はあります。手掛ける医薬品開発プロセスは、現在のモデルでいずれかのパイプラインのライセンス・アウトが成功し、開発費の負担に耐えうる資金力がついた暁には、より多くの収益を当社が取り込めるよう、それに続く複数のパイプラインのうちいくつかは後期臨床試験以降まで進め、創薬ベンチャーから製薬企業へ転換を図っていくことも想定しています。そのときには、各パイプラインの開発が進み、一つひとつを独立したものでなく、複合的に治療に用いて相乗効果を引き出す統合的ながん免疫治療アプローチを採ることができるようになっていると考えています。

 

(4) 会社の対処すべき課題

今後もライセンスアウトの動向及び財務状況を鑑みながら研究開発を積極的に推進又は新規投資・導入を行い、企業価値の向上を図っていくために、研究開発活動の質及びその研究開発活動を支える企業活動の基盤としての経営の質を向上させる必要があると認識しております。当社が対処すべき事項として認識している事項は、以下のとおりです。

 

   ① 競争力のあるパイプラインのポートフォリオ構築

当社は創業以来がんペプチドワクチンを中心にパイプラインを構成してきましたが、近年がん治療の新時代を築き、当社が開発領域として焦点を定めているがん免疫治療薬の形態(モダリティ)も多様化へ向かい、治療効果が証明され後続が列をなす抗体(免疫チェックポイント阻害抗体)や細胞(CAR-T)では承認薬も出て、16年前の創業時から様変わりしております。
 当社も、免疫調整因子抗体と細胞医薬を開発領域に加えており、さらにがんペプチドワクチン自体も、多数のがん患者に共有される共通抗原(がんの目印)を標的とするITK-1から、共通抗原と免疫チェックポイント阻害抗体を組み合わせる複合的がん免疫療法を志向するGRN-1201へ、さらに、患者ごとにほぼ完全に異なる遺伝子変異抗原を標的として個別にジャスト・イン・タイム製造するネオアンチゲンワクチンへと展開しております。
 当社は現時点では新薬候補を後期臨床試験に至る前に製薬企業にライセンスアウトする事業モデルを採っており、ライセンスを成功させるためには当該新薬候補がその時点でサイエンスの面で陳腐化していてはならず、さらにがん免疫療法は全医薬品業界の成長を牽引する領域であるからこそ日進月歩でサイエンスが進んでいるため、当社は常に同分野全体のサイエンスが向かう方向性と進捗を見ながら、各パイプラインの開発ステージを探索から非臨床試験、そして臨床試験へと一定期間内に上げて行くとともに、必要に応じてパイプラインの入れ替えを図っていく必要があります。

 

   ② 最先端のサイエンスへのアクセスを可能とする研究開発体制の構築

当社が関わるがん免疫療法は、医薬品業界の成長を牽引するとともにサイエンスが日進月歩で進展する領域であるため、社内に専門性の高い研究員と充実した研究施設を有することが不可欠で、現在も研究施設として川崎創薬研究所を構えておりますが、常にこれを向上させていく必要があります。
 さらに、研究開発体制を社内に留めることなく社外にもオープンイノベーションの機会を積極的に求めて行くことが、この領域の最先端のサイエンスの情報収集のみならずパイプラインの充実と迅速なアップデートのためにも不可欠で、現在も国立がん研究センター、東京大学、三重大学、神奈川県立がんセンター、理化学研究所など本邦を代表する研究機関との共同研究を進めております。アカデミアの研究シーズを企業シーズへと迅速かつ着実にトランスレーションする組織能力をより一層高める必要があります。

 

   ③ 経営体制の強化

   (ⅰ)人材の確保と育成

他の創薬ベンチャーと同様に当社も新規性のある医薬品の開発を行っておりますので、個々の社員には非常に高度な専門性が要求されます。そのため、適切な人材の確保が重要な課題となります。十分な技術・知識のみならずベンチャーマインドを有し、成長意欲のある人材を全部門において採用し、OJTによる人材育成により、今後拡大・加速していくことが予想される事業・研究開発スピードに対応してまいりたいと考えております。

 

   (ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化

当社にとって前述のアライアンス・ネットワーク体制の構築は重要な課題であり、また株主を含めたステークホルダーとの良好な関係も重要な課題であります。社外関係者との良好な関係の構築のためには、社会的信用を維持・向上させていく必要があると認識しております。特に、当社の取引先は主に上場企業、医療機関、公的な研究機関でありますので、協業体制を構築し、取引関係を維持していくには、当社も社会的信用を維持していく必要があります。また、世間に広く製品を提供していく創薬企業としての社会的責任を果たしていく必要があると認識しております。

そのため、当社は小規模ではありますが、コーポレート・ガバナンス体制を構築し、内部管理体制及び管理部門の強化を推進してまいります。また、内部監査の充実及び監査役との連携強化などの施策により業務執行の適法性・妥当性を監視する機能を強化し、財務報告に係るリスクを最小化して、経営の健全化に努めてまいります。

 

   (ⅲ)資金調達・財務基盤の強化

当社は創薬ベンチャーであり、実際の製品化までの研究開発活動において年単位での時間を要します。製品化までの研究開発活動において設備投資、人材の採用・育成、また、企業価値向上のための新規パイプラインの創製(最新の技術の探索、導入及び共同研究など)に多額の資金が必要となります。これらの資金を外部から調達する必要があり、中長期的な視点から、財務基盤の強化のためにも、様々な資金調達の可能性を検討してまいります。

 

   ④ IR活動の推進

当社は、株主・投資家等のステークホルダーからの意見を収集し、経営のさらなる改善に努め、また、企業情報及び研究開発の状況等を正確、適時及び適切に発信し、信頼と正当な評価を得ていくことを目指します。

 

2 【事業等のリスク】

当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、それらのすべてについて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。
なお、本項記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1) 創薬事業全般にかかるリスクについて
 当社の手掛ける創薬事業では、一つ一つの新規医薬品候補物質の研究開発が、シーズの創製から規制当局の承認を得て医薬品として製造販売に至るまで、薬事規制等に則って探索的研究から第三相臨床試験まで段階を踏みながら進められ、全体として長期間におよぶとともに多額の資金を必要とします。
そのため、財務状況への負荷の蓄積をところどころで緩和し、持続可能な成長を実現させるために、当社は医薬品候補物質毎に、シーズの創製や創薬コンセプト証明に集中し、大掛かりな組織体制を必要とする後期臨床試験以降は、製造販売網を有する製薬企業にライセンスアウトして早期収益化を図る事業モデルを採っています。
 ライセンスアウトは、開発の段階毎に目標とする試験成績が積み上げられていくことが前提となるので、いずれにせよ研究開発の進捗がライセンスアウトの成否を大きく左右します。そのため、試験成績の目標未達、開発が先行する競合新薬候補が及ぼす影響や、技術革新がもたらす当該技術の陳腐化等により、研究開発が進行遅延若しくは終了・中止を免れない状況になった場合には、ライセンスアウトが成立しなくなる可能性があり、成立した後でも、ライセンス契約解消若しくはロイヤリティ収入の低迷の可能性があります。その場合には、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制等にかかる不確実性について
 当社が携わる研究開発領域は、研究開発を実施する国ごとに薬事に係る法律、薬価等が関係する医療保険制度及びその他の関係法規・法令による規制が存在します。当社の事業計画・研究開発計画は、現行の薬事関連法規・法令や規制当局の承認・認可の基準(Good Laboratory Practice、Good Manufacturing Practice、Good Clinical Practice等)を前提に作成しておりますが、これらの法律・法令及び基準は技術の発展・市場の動向などにより適宜改定されます。これにより既存の研究開発の体制(組織的な体制、製造方法、開発手法、臨床試験の進め方、追加試験を行う必要性の発生など)の変更が必要となる場合、その体制の変更に速やかに対処できず研究開発が遅延・中止となるリスク、人員確保や設備投資に計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となるリスクがあり、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合について
 当社が携わる研究開発領域は、急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入する可能性があります。競合他社の有する医薬品候補物質の研究開発が当社の有する医薬品候補物質と同じ疾患領域で先行した場合又は競合新薬が上市された場合、当社の開発品の競争力が低下する可能性があります。その結果として、当社が進める臨床試験の被験者登録が停滞する等により臨床試験が遅延する可能性若しくは目標被験者数に届かない等により臨床試験が中止となる可能性、導出していた場合はライセンス契約解約の可能性又は上市後に想定したロイヤリティが得られない可能性があり、当社の事業戦略や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 研究開発活動について
 ① 製造物責任のリスクについて
 臨床試験実施中に使用する治験薬、大学及びその提携施設が実施する医師主導治験用に提供する治験薬等並びに当社が研究開発した上市後の医薬品に起因して、未知の重篤な健康被害を被験者又は患者に与えた場合、製造物責任を当社が負う可能性又は治験薬等の提供先若しくは導出先の企業から損害賠償の請求を受ける可能性があります。これらの場合には、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 副作用に関するリスクについて
 当社が研究開発を実施した治験薬及び上市後の医薬品で、臨床試験段階から製品上市後にかけて、予期せぬ重篤な副作用が発現する可能性があります。重篤な副作用が発現した場合、製造物責任等の損害賠償リスクが発生する可能性がありますが、保険の加入などにより財政的な影響を回避又は最小限にしていくよう対応しておりますが、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 研究開発施設等における事故等の発生に関するリスクについて
 当社は、本店及び事業所に研究開発施設を有しております。事故防止の管理教育は徹底しておりますが、何らかの原因により火災や環境汚染事故、感染等が発生した場合、研究開発活動の中断、停止、又は、損害賠償や風評被害等重大な損失を招く可能性があります。また、当社は、経営の機動性・効率性の観点、コスト低減や専門性の高い分野における協業などの観点から、研究開発業務の一部を専門機関である外部委託先(CRO-医薬品開発業務受託機関、治験実施施設、原薬・製剤の製造業者等)に委託しており、これら外部委託先において何らかの原因により火災や環境汚染事故等が発生した場合にも、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能があります。

 

(5) 知的財産権について
 ① 特許の状況について
 現在出願中の特許については、特許出願時に特許性等に関する調査を行っておりますが、すべてのものが特許として成立するとは限りません。出願中の特許が成立しなかった場合又は登録された特許権が無効化された場合、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、特許の出願は、特許の内容、対象国などについて費用対効果を考慮して行いますので、研究開発で得られたすべての特許を出願するものではありません。また、出願費用・維持費用等のコストを回収できない可能性があります。
 なお、当社のパイプラインにおいて、その実施に支障又は支障をきたす可能性のある事項は、当社が調査した限りにおいて存在しておりません。

 

② 知的財産権に関する訴訟及びクレーム等について
 本書提出日現在において、当社の事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生した事実はありません。当社は、弁護士及び弁理士との連携を図って可能な限り特許侵害・被侵害の発生リスクを軽減する対策を講じております。
 ただし、今後において当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、弁護士等と協議のうえ、その内容によって個別に対応策を検討していく方針でありますが、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、場合によっては当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 研究開発費が多額の見通しであることについて
 当社による医薬品候補物質の研究開発の期間は長期間にわたります。また、研究開発の期間においては非常に多くの実証・確認すべき事項があること、また当社では日本国内のみならず海外においても研究開発活動を行っていることなどから研究開発費は多額となる見通しであります。
 製薬企業等とのライセンス契約から発生する契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤリティ収入を研究開発中のパイプライン及び新規パイプラインに再投資することを事業及び資金サイクルとしていくこととしておりますが、製薬企業等との契約締結が想定通りに進まない場合又は既存のパイプラインにおいて想定以上の研究開発費が必要となった場合などにおいては、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 社内体制について
 ① 小規模組織であることについて
 当社は、役員7名(取締役4名、監査役3名)、従業員は44名(2020年3月31日現在)であり小規模な組織となっており、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。人員については、研究開発の状況に応じて増員を図っていく予定であり、内部管理体制も規模に応じて体制の強化を図っていく予定であります。
しかし、小規模組織のため、役員はじめ従業員においてもそれぞれが重要な役割を持って業務に従事しており、特定の役員・従業員への過度な負担・依存とならないよう経営組織の強化を図る予定でありますが、退任・退職により人材が流出した場合、長期休養等により長期間業務の遂行が困難となった場合、代替要員を適時に確保できない場合、業務の引継ぎが不十分となった場合などにおいては、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報管理について
 当社の事業においては、研究開発におけるデータ、ノウハウ、技術など、経理業務における財務データ、人事業務における役員、社員に関する情報などは非常に重要な機密事項になります。また、業務を通して入手した個人情報も重要な機密事項となります。その機密事項の流出リスクを低減するために、機密事項を取り扱う役員、社員に対しては規程等を整備し、情報管理の重要性を周知徹底するとともに、取引先等と守秘義務に関する契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めております。
 しかしながら、当社の通信インフラの破壊や故障などにより当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状況に陥ってしまった場合、システムに不具合が発生した場合、又は役員・職員、取引先等により情報管理が十分に遵守されず、重要な機密情報・個人情報などが漏えいした場合には、当社の事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) その他
 ① 新株予約権にかかる事項
 当社は、優秀な人材を確保するため、また当社の事業及び研究開発活動へのモチベーションの維持・向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)を役員、社員及び社外の協力者等に付与しております。今後においても上記の目的のため新たに新株予約権を付与していく予定であります。また、研究開発領域の拡大に伴い、研究開発費及び事業運営経費が多額に必要となることから新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性があります。これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
 なお、当社が発行した新株予約権にかかる潜在的株式の数は10,708,600株(2020年5月31日現在)であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は25.14%であります。

 
 ② 資金使途にかかる事項
 2015年10月の株式上場時における公募増資の資金使途につきましては、主にGRN-1201の臨床開発試験、新規パイプライン導入のための研究開発費及び事業運営上必要となる経費等に充当しております。また、2016年5月に開示いたしました第三者割当増資の資金使途につきましては、主にGRN-1201の新規適応症への新規パイプラインに関する臨床開発試験、新規パイプラインの探索・研究開発のための研究開発費、M&A資金及び事業運営上必要となる経費等に充当しております。さらに、2017年11月に開示いたしました第三者割当増資の資金使途につきましては、がん免疫治療領域における研究開発費用及び事業運営上必要となる経費等に充当しております。
 しかしながら、今後において事業環境の変化等により、また、上記本項目「事業等のリスク」に記載のリスクの発生により、たとえ計画通りに使用した場合でも、想定している成果を達成できない可能性があります。
 なお、当社が携わる研究開発の領域においては、技術開発の変化など外部環境が急速に変化する可能性があります。新薬の上市、法令等の改正、当社の研究開発・臨床試験の進捗状況によっては、上記の資金使途以外の事象に資金を充当する可能性があり、今後の戦略の策定において新たな事象の発生、新たな戦略の実行により、研究開発資金が想定以上に増加する可能性もあります。

 

③ M&A等(買収、合併等)による事業拡大に関する事項
 当社は、事業拡大へ向けた新たな経営資源を取得するため、また保有する経営資源の効率的運用と企業価値を最大化するため、M&A等を活用して事業規模の拡大を図ること検討してまいります。M&A候補の選定に当たりましては、詳細なデューデリジェンスを行うことにより極力リスクを回避してまいりますが、買収後の偶発債務の発生や、のれんが発生する場合は買収後の事業環境や競合状況の変化等により想定通りの効果が得られない場合にのれんの減損損失を計上する等、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 資金調達にかかる事項
 当社のパイプラインの研究開発が完了し製品化となるまでまだ長期間を要しますので、今後も多額の資金調達を必要とします。この期間において、事業計画の修正を必要とする状況になった場合、資金不足が生じる可能性があります。その場合、公的補助金の活用や日本国内のみならず海外企業・機関を含めた新規提携契約の締結、新株発行等により資金需要に対応していく予定であります。しかしながら、適切なタイミングで資金調達ができなかった場合には、当社の事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
 また、今後において、さらなる事業拡大等のための資金調達の方法として新株発行や新株予約権付社債などを発行する可能性があります。新株等発行の結果、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑤ 自然災害について
 当社は、東京都千代田区及び神奈川県川崎市に事業所及び研究施設を設けております。当社の事業地域で地震等の大規模な災害が発生した場合には、不測の事態の発生により事業活動が停滞する可能性があります。いずれかの地域で大規模な災害が発生した場合でも、いずれかで業務を継続できる体制となっており、また電子データ等のバックアップも前述の各地域以外の場所に設置しております。しかしながら、自然災害の規模、状況によっては、当社及び外部委託先の設備・インフラが支障をきたし稼働できない状況、従業員等が出社できない状況など一時的又は長期間業務が停止し、臨床開発及び事業活動を一時的又は長期間休止せざるを得ない状況が発生した場合には、当社の臨床開発、事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑥ 新型コロナウイルス感染拡大の影響
 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当社の事業所及び研究施設並びに国内外の臨床試験・非臨床試験・製造委託先及び共同研究開発先社員等の罹患や移動制限・自粛等に伴う要員不足や原材料の納入遅延、並びに製造機能や物流・卸機能の停滞が生じ、結果として研究開発活動に影響を及ぼす可能性があります。また、臨床試験施設においても感染拡大回避のための新規登録の一時中断や来院制限の措置が取られ、現在進行中または新規に立ち上げようとしている臨床試験の遅延等の発生の可能性があります。当社は、リスク情報共有会議を立ち上げ、頻回開催し、当社の国内・海外の製造委託先、共同研究開発のパートナー及び臨床試験施設の状況確認やビジネスにおける影響等について、情報の把握と対応の検討、経営レベルでの議論と意思決定を行っています。
 

 

2 【沿革】

 当社は、がん治療における手術・放射線療法・化学療法に次ぐ「第4の治療法」として、アンメット・メディカル・ニーズ(未だに有効な治療方法がない医療ニーズ)を満たす新規がん治療薬となりうる「がん免疫治療薬」の開発を行っております。当社の事業は、学校法人久留米大学 医学部の伊東恭悟教授(現 久留米大学がんワクチンセンター長)らが1992年から先駆的に実施したがんペプチドワクチンの基礎研究及び臨床研究の成果を、2003年の設立とともに承継したところから出発しました。

 2016年8月には、本格的な自社創製シーズの開発と、他研究機関との共同研究の拠点として、川崎市殿町のライフイノベーションセンター内に川崎創薬研究所を設置し、免疫調整因子を標的とする抗体医薬の分野に研究領域を拡大しており、さらに、2016年10月以降は、細胞医薬の分野にも研究領域を拡げて、パイプラインの拡充・新薬の開発を進めております。

2017年7月には、がん免疫治療薬分野における最先端のサイエンスを追及し研究領域を拡大・推進していく意思として、会社名を「ブライトパス・バイオ株式会社」に変更いたしました。

 

  

年 月

変遷の内容

2003年5月

福岡県久留米市旭町67番地に当社設立(資本金10,000千円)

2006年1月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がんに対する第一相臨床試験を開始

2008年11月

本社を福岡県久留米市百年公園1番1号に移転

2009年6月

東京支社を東京都文京区本郷に設置

2009年7月

ITK-1の膠芽腫及び去勢抵抗性前立腺がんに対する第一相臨床試験継続投与試験が完了

2011年11月

富士フイルム株式会社とITK-1に関する独占的ライセンス契約を締結

2013年6月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第三相臨床試験を開始

2014年10月

東京支社を東京都千代田区麹町に移転

2015年6月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第三相臨床試験の中間解析の結果、最終解析における主要評価項目達成の見込みが一定以上あることが示され、効果安全性評価委員会が計画通りの試験継続を推奨

2015年10月

GRN-1201のメラノーマ(悪性黒色腫)患者に対する第一相臨床試験を開始

 

東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

2016年8月

神奈川県川崎市殿町地区に川崎創薬研究所を開所

2017年1月

GRN-1201の免疫チェックポイント阻害剤との併用による非小細胞肺がんに対する米国での第二相臨床試験を開始

2017年7月

会社名をブライトパス・バイオ株式会社(BrightPath Biotherapeutics Co., Ltd.)に変更

2018年5月

ITK-1の去勢抵抗性前立腺がん患者に対する第三相臨床試験の開鍵(キーオープン)を実施

2019年5月

ITK-1の開発を中止

2019年6月

本店を神奈川県川崎市川崎区殿町三丁目25番22号に移転

 

 

 

(5) 【所有者別状況】

2020年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満
株式の状況
(株)

政府及び
地方公共
団体

金融機関

金融商品
取引業者

その他の
法人

外国法人等

個人
その他

個人以外

個人

株主数
(人)

5

27

127

25

36

24,406

24,626

所有株式数
(単元)

6,274

22,540

20,492

4,774

361

366,518

420,959

5,100

所有株式数
の割合(%)

1.49

5.35

4.87

1.13

0.09

87.07

100.00

 

 

3 【配当政策】

当社は設立以来配当を実施しておらず、現時点においても配当可能な状況にありません。また、今後も多額の先行投資を行う研究開発活動を計画的に実施していくため、当面は内部留保に努め、研究開発資金の確保を優先する方針です。内部留保資金については、研究開発資金に充当していく予定であります。

ただし、株主への利益還元も重要な経営課題の一つと認識しております。今後の経営成績及び財政状況を勘案しながら早期に配当を実現すべく検討してまいります。

剰余金の配当を行う場合は、年1回期末での配当を考えており、配当の決定機関は株主総会であります。なお、当社は、機動的な配当対応を行うため、会社法第454条第5項に基づく中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

 

 

(2) 【役員の状況】

男性 7名 女性 -名 (役員のうち女性の比率 -%)

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数
(株)

代表取締役社長

永井 健一

1970年5月15日生

1994年4月

EDSジャパン㈱ 入社

1996年8月

メリルリンチ証券㈱
投資銀行部門 入社

2005年4月

㈱ペルセウスプロテオミクス
取締役CFO 管理部長

2009年1月

当社 取締役CFO 管理部長

2011年3月

当社 代表取締役社長(現任)

2016年12月

㈱アドバンスト・イミュノセラピー代表取締役社長

2019年3月

㈱KORTUC 社外取締役(現任)

(注)3

240,000

取締役
創薬研究部長

中村 徳弘

1968年11月8日生

1997年4月

協和発酵工業㈱ 入社 東京研究所

1998年4月

大阪大学産業科学研究所博士研究員

2000年7月

大阪大学大学院理学研究科助教

2005年7月

イェール大学医学部細胞生物学部門研究員

2007年7月

Genentech Inc.,
Cancer Immunology 部門 入社

2016年5月

当社入社 研究開発部副部長

2017年4月

当社 創薬研究部長

2018年6月

当社取締役 創薬研究部長(現任)

(注)3

取締役

山田 亮

1957年3月11日生

1995年4月

久留米大学医学部免疫学講座講師

2000年5月

久留米大学医学部免疫学講座助教授

2003年5月

当社設立 代表取締役

2003年12月

久留米大学先端癌治療研究センター教授(現任)

2004年1月

当社 取締役(現任)

2016年4月

久留米大学先端癌治療研究センター所長(現任)

(注)3

65,000

 

取締役

竹内 弘高

1946年10月16日生

1969年4月

㈱マッキャンエリクソン博報堂(現㈱マッキャンエリクソン)入社

1976年9月

ハーバード大学経営大学院講師

1977年12月

ハーバード大学経営大学院助教授

1983年4月

一橋大学商学部助教授

1987年4月

一橋大学商学部教授

1998年4月

一橋大学大学院国際企業戦略研究科長

2008年4月

インテグラル㈱ 社外取締役
(現任)

2010年4月

一橋大学名誉教授(現任)

2010年7月

ハーバード大学経営大学院教授
(現任)

2015年6月

当社 社外取締役(現任)

2016年6月

㈱大和証券グループ本社 社外取締役(現任)

2019年6月

国際基督教大学理事長(現任)

(注)3

監査役
(常勤)

岸野 努

1953年1月28日生

1977年4月

日本開発銀行(現 ㈱日本政策投資銀行)入行

1992年3月

米ブルッキングス研究所 客員研究員派遣

1993年3月

日本開発銀行設備投資研究所 主任研究員

1997年4月

同行 富山事務所長

1999年6月

同行 ニューヨーク首席駐在員

2002年6月

日本政策投資銀行 北陸支店長

2004年6月

池袋地域冷暖房㈱ 常務取締役

2016年6月

同社 専務取締役

2017年6月

同社 代表取締役専務取締役

2019年6月

当社 社外監査役(現任)

(注)4

 

監査役

阿部 武敏

1944年1月29日生

1969年4月

三共㈱(現 第一三共㈱) 入社

2001年4月

同社 法務部長

2005年2月

㈱ポストゲノム研究所 入社

2005年4月

三共化成工業㈱ 入社

2006年3月

㈱ポストゲノム研究所 監査役

2009年6月

当社 社外監査役(現任)

(注)4

監査役

山口 芳泰

1964年2月12日生

1988年4月

山一證券㈱ 入社

1989年4月

最高裁判所司法研修所入所

1991年4月

東京弁護士会登録 TMI総合法律事務所入所

1997年9月

米エーザイ・インク法務部出向

1998年6月

米国ニューヨーク州弁護士登録

1998年6月

英シモンズ・アンド・シモンズ法律事務所出向

1999年4月

TMI総合法律事務所 パートナー就任(現任)

2015年6月

当社 社外監査役(現任)

(注)4

305,000

 

(注) 1.取締役 竹内弘高は、社外取締役であります。

2.監査役 岸野努、阿部武敏及び山口芳泰は、社外監査役であります。

3.任期は、2019年6月19日後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結の時までであります。

4.任期は、2019年6月19日後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会終結の時までであります。

 

① 社外取締役及び社外監査役

本書提出日現在において、当社は社外取締役1名及び社外監査役3名を選任しております。

社外取締役竹内弘高は、ハーバード大学経営大学院教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科長等を歴任し、企業戦略における深い知見を有し、業務執行を行う経営陣から独立した立場であることから、社外取締役として職務を適切に遂行していただけるものと判断し、選任しております。なお、提出日現在同氏は当社新株予約権300個(30,000株)を保有しておりますが、同氏と当社の間には、その他に資本関係、人的関係、取引関係及びその他の利害関係はありません。

社外監査役岸野努は、日本開発銀行(現 株式会社日本政策投資銀行)に長年勤務し、相当程度の財務会計の知識・経験を有していることから、その豊富な経験、知識、見識により、経営全般を第三者的に客観的かつ公正に監査・指導が行える人材であると判断し、選任しております。

社外監査役阿部武敏は、三共株式会社(現 第一三共株式会社)において法務部長を経験しており、企業法務に関する相当程度の知見を有していることから、社外監査役としての職務を適切に遂行していただけるものと判断し、選任しております。なお、提出日現在同氏は当社新株予約権50個(5,000株)を保有しておりますが、同氏と当社の間には、その他に資本関係、人的関係、取引関係及びその他の利害関係はありません。

社外監査役山口芳泰は、弁護士として法令についての高度な能力・見識を有することから、社外監査役としての職務を適切に遂行していただけるものと判断し、選任しております。なお、提出日現在同氏は当社新株予約権80個(8,000株)を保有しておりますが、同氏と当社の間には、資本関係、人的関係、取引関係及びその他の利害関係はありません。

当社は、社外取締役及び社外監査役の選任にあたり、独立性に関する基準又は方針として明確に定めたものはありませんが、その選任に際しては、株式会社東京証券取引所の独立役員の独立性に関する判断基準を参考にしております。

また、社外監査役による監査と、内部監査担当者及び会計監査人との相互連携については、適宜報告及び意見交換がなされております。

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

 

【製造原価明細書】

1.研究開発原価明細書

 

 

 

前事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

区分

注記
番号

金額(千円)

構成比
(%)

金額(千円)

構成比
(%)

Ⅰ 材料費

 

368

0.6

Ⅱ 労務費

 

17,300

26.5

Ⅲ 経費

※1

47,637

72.9

1,467

100.0

  当期研究開発費用

 

65,306

100.0

1,467

100.0

  仕掛品期首たな卸高

 

3,006

 

 

合計

 

68,312

 

1,467

 

  他勘定振替高

※2

1,600

 

 

  当期研究開発原価

 

66,712

 

1,467

 

 

 

(注) ※1 主な内訳は、次のとおりであります。

項目

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

委託費

15,866

720

 

 

(注) ※2 他勘定振替高の内容は、次のとおりであります。

項目

前事業年度(千円)

当事業年度(千円)

未収入金

1,600

 

 

(原価計算の方法)

当社の原価計算は、個別原価計算であります。

 

※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額ならびにおおよその割合は、以下のとおりであります。

 

前事業年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

当事業年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

役員報酬

62,425

千円

58,300

千円

給料及び手当

60,737

千円

77,151

千円

退職給付費用

1,005

千円

1,806

千円

減価償却費

868

千円

177

千円

支払報酬

26,301

千円

24,790

千円

研究開発費

1,387,674

千円

1,484,854

千円

 

 

 

 

 

 

おおよその割合

 

 

販売費

0.0%

0.0%

一般管理費

100.0%

100.0%

 

1 【設備投資等の概要】

当事業年度の設備投資については、研究開発機能の充実・強化を目的とした設備投資を実施いたしました。

当事業度の設備投資の総額は、107,282千円であり、主たる設備投資は研究用機器の取得であります。

なお、当事業年度において重要な設備の除却、売却等はありません。

 

株価(1年)
期間を変更
PER(1年/会予)
期間を変更

その他企業情報

企業価値6,428 百万円
純有利子負債-3,470 百万円
EBITDA・会予N/A
発行済株数45,823,500 株
設備投資額110 百万円
減価償却費62 百万円
のれん償却費N/A
研究開発費N/A
代表者代表取締役社長 永井 健一
資本金5,924 百万円
住所東京都千代田区麹町二丁目2番地4
会社HPhttps://www.brightpathbio.com/

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