野村ホールディングス【8604】

直近本決算の有報
株価:11月25日時点

1年高値581 円
1年安値388 円
出来高22 百万株
市場東証1
業種証券、商品先物取引業
会計米国
EV/EBITDAN/A
PBRN/A
PSR・会予N/A
ROAN/A
ROICN/A
β1.24
決算3月末
設立日1925/12
上場日1961/10/2
配当・会予0 円
配当性向28.0 %
PEGレシオN/A
売上高(百万円)&収益性(%)
売上5y CAGR・実績:3.2 %
利益(百万円)
営利5y CAGR・実績:10.7 %
純利5y CAGR・実績:13.3 %
EPS(円) BPS(円)
配当(円)
健全性(%、倍)
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別利益率
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
会社の詳細

3【事業の内容】

 当社および当社の連結子会社等(連結子会社および連結変動持分事業体、2020年3月末現在1,342社)の主たる事業は、証券業を中核とする投資・金融サービス業であり、わが国をはじめ世界の主要な金融・資本市場を網羅する営業拠点等を通じ、お客様に対し資金調達、資産運用の両面で幅広いサービスを提供しております。具体的な事業として、有価証券の売買等および売買等の委託の媒介、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集および売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い、自己資金投資業、アセット・マネジメント業およびその他の証券業ならびに金融業等を営んでおります。なお持分法適用会社は2020年3月末現在13社であります。

 当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 また、当社および当社の連結子会社等の業務運営および経営成績の報告は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」に記載の事業別セグメントに基づいて行われております。事業別セグメントを構成する主要な関係会社については、以下の企業集団等の事業系統図をご参照ください。

 

・企業集団等の事業系統図

(画像は省略されました)

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の概況

 以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。

 

事業環境

 

日本

 日本経済は、19年度後半に大きく悪化しました。実質GDP(国内総生産)は、2019年4-6月期には前期比年率2.1%増加しましたが、7-9月期に同0.0%と横ばいに留まった後、10-12月期は同7.3%の減少、2020年1-3月期は同3.4%の減少と、大幅な減少が2四半期続きました。米中貿易摩擦などの影響で世界景気が減速傾向にあったため、日本の輸出は2019年度当初から低調でした。一方7-9月期までは、人手不足に対応するための省力化需要を背景に設備投資が高水準を維持したほか、2019年10月に予定されていた消費税率引き上げを前に駆け込み需要が生じ、個人消費や住宅投資が増加基調にありました。しかし、実際に消費税率が引き上げられると、駆け込み需要の反動から個人消費と住宅投資が大幅に減少、それを受けて設備投資も大幅に減少しました。年明け後は、経済活動が下げ止まる動きもみられていましたが、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、経済活動を圧迫しました。感染拡大を食い止めるため、まずは中国が武漢市を始め多くの都市の経済活動を制限し、欧州や米国も追随しました。日本でも、2020年2月には政府が国民に対して外出自粛や全国的なイベント開催の再検討を促し、また3月に東京都は都民に対して不要不急の外出自粛を呼びかけるなどを行いました。この間、海外からの入国規制も強まりました。これらの結果、特に3月には日本への外国人観光客数が前年比9割以上減少したほか、輸出や個人消費など様々な経済活動が落ち込むに至りました。

 

 企業業績については、米中通商摩擦と新型コロナウイルス感染拡大の影響で、主要企業の経常利益は2018年度比で大幅な減益となりました。米中通商摩擦の影響で世界経済の拡大ペースが鈍化し、製造業は素材産業・加工産業の業績が共に悪化しました。また、複数の業種において保有株式の時価変動による未実現持分証券評価損が計上されたことも、利益の押し下げ要因となりました。他方で、新型ゲーム機の販売が好調なアミューズメントおよび企業の省力化投資需要の恩恵を受けたシステム・アプリケーションの双方が堅調だったソフトウェアなど、好業績を達成した業種も一部見られました。2020年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比18.7%減益と、4年ぶりの減益に転じました。2020年3月期の推定ROE(株主資本利益率)は6.7%で、2019年3月期の9.2%から大幅に悪化しました。

 

 株式市場では、米中通商協議の進展を好感して、日本株が一時は2018年以来の高値圏で推移しました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による国内外経済への影響を懸念して、主要な日本株指数は年度ベースで2年連続の下落となりました。2019年度の日本株は、2019年8月まで米中通商協議の先行きに対して一喜一憂する動きとなりました。2019年9月以降は米中通商協議進展への期待と、欧米の金融緩和を背景に投資家心理が改善して、日本株の上昇が明確になりました。日経平均株価は2019年12月13日に終値で約1年2ヵ月ぶりに24,000円台を回復すると、年明け後も高値圏で推移しました。しかし、中国で新型コロナウイルスの感染が広がったことで、中国における生産、消費活動が停滞するとの見方が強まり、日本株は下落に転じました。その後も国内外で感染者数が増加するにつれて世界経済への悪影響が懸念され、米国を始めとする世界の主要な株式市場は大幅な調整に見舞われました。2020年3月には日経平均株価が一時17,000円を割り込む場面がありました。ただし、経済対策への期待から米国株が反発に転じて、日本株も2020年3月末に向けて下げ幅を縮小しました。代表的な株価指数である東証株価指数(以下「TOPIX」)は2019年3月末の1,591.64ポイントから、2020年3月末には1,403.04ポイントと11.8%下落しました。また、日経平均株価は2019年3月末の21,205.81円から、2020年3月末には18,917.01円と10.8%下落しました。

 

 

 債券市場では、日本銀行が長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みを維持したため、金利の動きは引き続き比較的狭い範囲内に限定されましたが、その中で2019年9月初めまで低下傾向をたどり、その後は上昇に向かいました。新発10年国債利回りは、2019年4月初めには△0.05%程度でしたが、米中貿易摩擦などを背景に世界景気に対する先行き不安が強まるとともに低下基調を続け、2019年9月4日には一時△0.295%となりました。日本銀行も警戒を強め、2019年7月30日の金融政策決定会合において、必要な場合には「躊躇なく」金融緩和を行う姿勢を示したことなどを背景に、政策金利の引き下げなど追加金融緩和に対する期待が高まったことも金利低下に寄与しました。その後、米中貿易協議が合意に至る可能性が生まれ、世界景気の底打ちが視野に入ると、新発10年国債利回りは上昇に転じ、2020年1月半ばには0%前後での推移となりました。この間日本銀行は、2019年9月19日の決定会合で、10月の会合において経済・物価動向の見通しを点検する旨を表明したため、追加金融緩和に対する期待が高まりましたが、実際には政策金利の引き下げは行われませんでした。2020年1月末以降、新型コロナウイルスの感染拡大により世界景気の先行きに対する不安が強まると、新発10年国債利回りは低下に転じて2020年3月9日には△0.165%となりました。その後、米国での感染拡大を契機にドルに対する需要が急増し、新発10年国債利回りは急上昇して2020年3月23日には0.080%となった後、ドル需要の安定もあり3月末には0%前後の水準に戻っています。日本銀行が、2020年3月16日に臨時の金融政策決定会合を開催して潤沢な資金供給を行う姿勢を見せたこと、実際に3月の国債購入額を増やしたことも、金利安定に寄与したと考えられます。

 

 外国為替市場では、ドル円相場は110円を上回って始まりましたが、2019年5月に入り米中摩擦への懸念が大きく高まり、夏場にかけて円高ドル安トレンドとなりました。FRBが7月に予防的な利下げに踏み切ったことも加わり、8月には105円割れの円高となりました。その後、2019年9月以降は米中が貿易交渉で合意するとの期待が高まり、2020年1月には実際に両国が第一段階合意に至ったこともあり、ドル円相場は回復、2020年2月には一時112円台を回復しました。しかし、新型コロナウイルスの被害が中国から欧米へ飛び火したことを受け、2020年2月末以降に金融市場での新型コロナウイルスへの警戒感が急速に高まり、ドル円相場も3月上旬には一時102円割れの円高ドル安となりました。その後、世界的にドル流動性への需要が高まったことで、2020年3月下旬のドル円相場は一時111円台を回復するなど乱高下の展開となりました。3月末にかけてはFRBや日銀による市場へのドル供給もあり、ドル全面高の動きは一服、1ドル=107.54円で引けています。ユーロ円は125円前後でスタートしましたが、夏場にかけて米中貿易摩擦懸念に伴いリスクオフの動きが強まったことに加え、ECBによる金融緩和再開期待も高まったことから、115円台まで下落しました。2019年9月以降はドル円同様に反発局面入りし、120円台を回復しました。しかし、2020年2月に入って新型コロナウイルス感染症が欧州でも拡大したこともあり、ユーロ安円高圧力が再び強まり、2020年3月末は1ユーロ=118.64円となりました。

 

海外

 世界経済は、夏場にかけて減速傾向となりました。米中貿易摩擦への懸念が高まったことで、金融市場も不安定化し、主要中央銀行は金融緩和再開を余儀なくされました。米国では2019年7月以降にFRBによる予防的な利下げが行われ、ユーロ圏でも9月にECBがマイナス金利深掘りや量的緩和再開などの緩和パッケージを決定しました。日本銀行に対する緩和期待も高まりましたが、マイナス金利深掘りは回避されました。夏場以降、製造業サイクルが改善し、米中が貿易交渉合意に向かうとの期待が高まったことから、世界的に景気回復期待が強まりました。しかし、2020年に入って新型コロナウイルスの感染拡大リスクが世界経済の重石となり、2020年1-3月期には主要国で経済成長率が大きく落ち込み、米国、ユーロ圏、日本、中国の4極で軒並みマイナス成長が記録されています。2020年3月には原油価格も急落するなど、資源国・産油国でも景気減速懸念が強まりました。

 

 米国では、2019年通年で見たGDP成長率は2.3%増と、2018年の2.9%増からは減速したものの、緩やかな景気回復が続きました。2019年半ばまでは対中関税の税率引き上げや対象拡大が行われ、製造業を中心に景気減速懸念が高まりました。これを受けて、FRBは25bpの利下げを3回行いました。2019年後半には、米中が貿易合意に向けて動いたことで、貿易摩擦に対する懸念が和らぎました。2020年1月には米中が第一段階の貿易合意文書に署名を行いました。しかし、2020年2月末以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて社会的距離や外出制限の措置がとられたことで、米国経済は大きく落ち込みました。2020年1-3月期成長率は前期比年率△4.8%の大幅減少となりました。経済の急落を受けて、FRBは2020年3月に大幅な金融緩和に乗り出しました。FF金利誘導目標は0.00%~0.25%とゼロ金利政策が導入された他、米国債やMBS(不動産担保証券)を必要な分買入れるとする事実上の無制限購入、さらには社債買入れのためのファシリティー設置などさまざまな信用緩和策・流動性供給策が導入されました。また、2020年3月末までに合計2兆ドル超の経済対策が決定されました。消費者物価上昇率は2019年3月の前年同月比1.9%増から2020年3月には同1.5%増へと減速しました。ダウ工業株30種平均株価は、2019年3月末の25,929ドルから、2020年3月末の21,917ドルへ15%下落しました。米国財務省証券10年利回りは、2019年3月末の2.41%から、2020年3月末には0.67%と1.74%ポイント低下しました。

 

 2019年のユーロ圏経済はプラス成長を維持したものの製造業を中心に低迷しました。2018年秋のEU(欧州連合)における新車環境規制の強化が新車平均価格の上昇等を通じ新車需要に悪影響を及ぼし、2019年を通じ自動車を中心に製造業生産は減少となりました。景気低迷を踏まえ、ECB(欧州中央銀行)は2019年9月に、政策金利である預金ファシリティー金利の引き下げと量的緩和政策の再開を発表しました。その後、2020年1月末に英国が円滑にEUを離脱、2020年末までこれまでと同様の経済関係をEUと維持した点は、ユーロ圏経済の下振れリスク後退要因となりました。しかし、2020年3月には欧州域内で新型コロナウイルスの感染者数が急増、各国政府が外出制限措置を講じ、景気が急速に悪化しました。2020年1-3月期ユーロ圏実質GDPの前期比は、1999年のユーロ圏発足以降最大の落ち込みとなり、ECBは3月に量的緩和政策の拡大を発表しました。

 

 アジアでは、中国の2019年実質GDP成長率は前年比6.1%増と、近年減速基調にあります。当局の地方政府隠れ債務の統制強化と、米中貿易摩擦による民間部門の設備投資意欲の低迷が主因です。金融政策は2018年末以降の緩和姿勢が維持されたものの、民営企業の資本市場における資金調達活動は低迷していました。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中国政府は景気対策を一層本格化させています。2020年3月には、国内インフラ投資の伸び率は既に前年比で顕著に持ち直し、国内の信用拡張も再び加速方向に動いています。アジア地域では、デモが発生した香港を除くと2019年に底堅い経済成長が実現できていましたが、2020年3月には新型コロナウイルスの影響で輸出および域内消費は大幅に減速しました。

 

エグゼクティブ・サマリー

 

 上述の事業環境に記載したとおり、当社を取り巻く環境は大きく変動しております。さらに、金融規制に関しては、自己資本比率・流動性比率・レバレッジ比率等、バーゼルⅢと呼ばれる規制の適用に加え、当社は「国内のシステム上重要な銀行」のひとつに指定されており、国内外の金融機関に対する監督強化にともなう広範囲な規制改革等に引き続き適切に対応することが必要です。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延による世界経済の落ち込みや、それにともなう各国中央銀行の金融政策の変更など、先が見えない状況が継続する中、グローバルな事業環境の変化に対応し、適切な施策を検討・実施しております。

 

 このような厳しい環境の中、2019年4月に公表したビジネス・プラットフォームの再構築に全社を挙げて取り組み、競争優位性のある分野でお客様のニーズに応じたソリューション提供に注力した結果、税引前当期純損益は前期から大幅に回復しました。

 

 当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比15.3%増1兆2,878億円、金融費用以外の費用は同10.0%減1兆396億円となりました。税引前当期純利益は2,483億円、当社株主に帰属する当期純利益は2,170億円となりました。自己資本利益率は8.2%となり、また、当期のEPS(注)は前期の△29.92円から66.20円となっております。なお、2020年3月末を基準日とする配当金は、1株当たり5円とし、年間での配当は1株につき20円といたしました。

 

(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(損失)

 

 当社はこれまで、2020年3月期をターゲットとした長期経営ビジョン「Vision C&C」のもとに、一株当たり当期純利益(EPS)を重視する経営指標に定め、当該指標の持続的改善を図るものとしてきました。今般、2020年4月の新体制発足にともない、今後は経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることといたしました。あわせて、営業部門、アセット・マネジメント部門、ホールセール部門の3部門合計の税引前当期純利益を2023年3月期に2,800億円とすることを目標に掲げております。

 

各部門の状況については以下のとおりです。

 

 2020年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比0.9%減3,364億円、金融費用以外の費用は同1.1%減2,869億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同0.1%減494億円となりました。営業部門では、「お客様の資産の悩みに応えて、お客様を豊かにする」という基本観のもと、お客様一人ひとりに寄り添い、「最も信頼できるパートナー」を目指してコンサルティング営業に取り組んでまいりました。当期は不透明な市場環境を背景にお客様の投資マインドが低下し、投資信託や株式の販売が低調でしたが、リテールチャネルにおいて、お客様のニーズに沿った営業体制への移行を行い、少しずつではありますが変化の兆しが見えてきております。今後は資産運用に加え、不動産・相続・資産承継といった多様なお悩みの解決に向けた商品・サービスの充実を図り、お客様の資産全体に対するアドバイスの提供を目指します。また、より多くのお客様へサービスをお届けするため、対面に加えてデジタルも活用したアプローチに取り組んでおり、今後一層強化してまいります。

 

 2020年3月期のアセット・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比5.4%減926億円、金融費用以外の費用は同0.3%増638億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同15.8%減288億円となりました。投資信託ビジネスでは、人生100年時代に向けた資産形成に資する商品や確定拠出年金向けに提供する商品、ETFへの資
金流入が継続する一方で、新興国ファンドなどからの資金流出がありました。投資顧問ビジネスでは、公的年金を中心に資金流入があったものの、海外ではハイ・イールド・プロダクトを中心に資金が流出しました。この結果、2020年3月末の運用資産残高は前期末比で減少し、戦略的パートナーのアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社の評価損益の影響で、前期比で減収となりました。

 

 2020年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比16.8%増6,486億円、金融費用以外の費用は、同16.6%減5,564億円となりました。その結果、税引前当期純利益は922億円となりました。グローバル・マーケッツは、期初にビジネスの戦略的な見直しを行い、それぞれの地域で強みのあるコアビジネスにより注力することで業績の安定化に努めました。地政学リスクの高まりにより困難な市場環境が続きましたが、多様な顧客ニーズへの継続的な対応を行い、フィクスト・インカムとエクイティともに実績を積み重ねることができました。インベストメント・バンキングは、第3四半期まではグローバルにビジネスは堅調に推移しましたが、第4四半期に新型コロナウイルスの感染拡大にともなう顧客アクティビティの低下とマーケットの下落が業績に影響を与えました。一方、海外を中心に取り組んできた収益機会の分散が進展しており、顧客のニーズを丁寧に汲み取り、オーダーメイド型のソリューションを提供することで、このような環境下においても欧州やアジアではM&Aアドバイザリーや債券引受けにて昨年度を上回る収益を達成することができました。2020年4月1日に、再生可能エネルギー関連技術および設備に強みを持つM&AブティックであるGreentech Capital,LLCの買収が完了しました。

経営成績

 

損益概況

 野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。

 

2018年3月期

(百万円)

2019年3月期

(百万円)

2020年3月期

(百万円)

金融収益以外の収益:

 

 

増減率

 

増減率

委託・投信募集手数料

373,313

293,069

△21.5%

308,805

5.4%

投資銀行業務手数料

101,663

101,521

△0.1%

103,222

1.7%

アセットマネジメント業務手数料

245,616

245,519

238,202

△3.0%

トレーディング損益

442,885

342,964

△22.6%

356,609

4.0%

プライベートエクイティ・デット

投資関連損益

△869

1,007

△93

投資持分証券関連損益

2,683

△6,983

△14,726

その他

221,192

81,057

△63.4%

165,991

104.8%

金融収益以外の収益合計

1,386,483

1,058,154

△23.7%

1,158,010

9.4%

純金融収益

110,486

58,616

△46.9%

129,819

121.5%

収益合計

(金融費用控除後)

1,496,969

1,116,770

△25.4%

1,287,829

15.3%

金融費用以外の費用

1,168,811

1,154,471

△1.2%

1,039,568

△10.0%

税引前当期純利益(△損失)

328,158

△37,701

248,261

法人所得税等

103,866

57,010

△45.1%

28,894

△49.3%

当期純利益(△損失)

224,292

△94,711

219,367

差引:非支配持分に帰属する当期純利益

4,949

5,731

15.8%

2,369

△58.7%

当社株主に帰属する当期純利益(△損失)

219,343

△100,442

216,998

自己資本利益率(ROE)

7.9%

△3.7%

 

8.2%

 

 

 2020年3月期の収益合計(金融費用控除後)は主に営業部門およびホールセール部門において、委託・投信募集手数料およびトレーディング損益が増加しました。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料はM&Aやファイナンスに付随するソリューション・ビジネスが収益増加に貢献しました。アセットマネジメント業務手数料は運用資産残高の減少等を受けて減少しました。トレーディング損益は、主にフィクスト・インカムビジネスが収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益175億円が含まれております。この収益は主に新型コロナウイルスの感染拡大に起因するクレジット・スプレッドの拡大によるものであります。その他は、株式会社野村総合研究所普通株式の売却益733億円を計上したことにより増加しております。

 

 

 

 2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2018年3月期から減少しました。主に営業部門およびホールセール部門において、委託・投信募集手数料およびトレーディング損益が減少しました。委託・投信募集手数料は、株式買付額や投資信託募集買付額が減少したことから前期比で減少しました。投資銀行業務手数料は前期比横ばいでした。武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件、ソフトバンクのIPO案件などM&AやECMビジネスが収益に貢献しました。アセットマネジメント業務手数料は前期比横ばいでした。金融機関向け私募投信や投資一任向け商品へ資金が流入したことにより運用資産残高が拡大しました。トレーディング損益は、フィクスト・インカムビジネス、エクイティビジネスともに低調と前期比で減少しました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益2億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドの拡大に起因するものであります。その他は、前期計上した海外子会社の実質的な清算によって生じた利益、朝日火災株式売却益が剥落したこと、およびアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社関連損益が減少したことから減少しました。

 

 純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2020年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比2%増加、また、金融費用も前期比8%減少し、その結果、2020年3月期の純金融収益は2019年3月期から増加しました。2019年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比33%増加、また、金融費用も前期比51%増加し、その結果、2019年3月期の純金融収益は2018年3月期から減少しました。

 

 投資持分証券関連損益は、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。新型コロナウイルスの感染拡大による市場の低迷を受け、2020年3月期は投資持分証券に関連する損失額が増加しました。

 

 2020年3月期の金融費用以外の費用は、主にホールセール部門に帰属するのれんの減損損失814億円が剥落したことにより減少しました。

 

 2019年3月期の金融費用以外の費用は、米州の過去の取引事案に関する約300億円強の引当が剥落したこと、および賞与を抑制したことにより人件費が減少した一方、ホールセール部門に帰属するのれんを814億円減損しました。

 

 

 野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、日本の税法に基づき連結納税制度を適用しております。この連結納税制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2018年3月期、2019年3月期、2020年3月期において、31%となっております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。

 

 2020年3月期の実効税率は11.6%となりました。この実効税率11.6%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目により23.5%実効税率が引き下げられた一方で、損金に算入されない費用項目により2.9%実効税率が引き上げられたことがあげられます。

 

 2019年3月期の実効税率は△151.2%となりました。この実効税率△151.2%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、損金に算入されない費用項目により110.3%実効税率が引き下げられた一方で、益金に算入されない収益項目により16.8%実効税率が引き上げられたことがあげられます。

 

 2018年3月期の実効税率は31.7%となりました。この実効税率31.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、海外の税制改正の影響により23.5%実効税率が引き上げられた一方で、評価性引当金の増減により22.8%実効税率が引き下げられたことがあげられます。

 

 

事業セグメント別経営成績

 

 野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、アセット・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定その他財務調整項目等(マーチャント・バンキング部門の損益含む)は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。営業目的で保有する投資持分証券評価損益は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。

 

営業部門

 

 野村の営業部門は、お客様へのコンサルティングとそれに基づく運用提案を中心とする営業活動を継続して行っており、その過程の中で手数料等を受け取っております。また、投資信託の運用会社からは野村が販売した投資信託の代行報酬を、保険会社からは野村が代理店として販売した保険の代理店手数料を受け取っております。

 

営業部門の経営成績

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2018年3月期

 

2019年3月期

増減率(%)

 

2020年3月期

増減率(%)

金融収益以外の収益

406,295

 

331,743

△18.3

 

329,983

△0.5

純金融収益

6,613

 

7,737

17.0

 

6,376

△17.6

収益合計(金融費用控除後)

412,908

 

339,480

△17.8

 

336,359

△0.9

金融費用以外の費用

309,771

 

289,990

△6.4

 

286,926

△1.1

税引前当期純利益

103,137

 

49,490

△52.0

 

49,433

△0.1

 

 2020年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、投資銀行業務手数料の減少が投資信託募集手数料の増加と一部相殺された結果、全体として減少しました。

 

 2019年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、不透明な市場環境を背景にお客様の投資マインドが低下したことを受け減少しました。

 

 2020年3月期の金融費用以外の費用は、広告宣伝費を含む事業促進費が減少しました。

 

 2019年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の減少や償却期間満了にともなうシステム関連費用が減少しました。

 

 下の表は、2019年3月期、2020年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2019年3月期

 

2020年3月期

増減率(%)

委託・投信募集手数料

142,764

 

153,170

7.3

 株式委託手数料

60,167

 

61,207

1.7

 投資信託募集手数料

57,880

 

66,940

15.7

 その他手数料

24,717

 

25,023

1.2

トレーディング損益

55,829

 

56,756

1.7

投資銀行業務手数料

33,981

 

23,239

△31.6

投資信託残高報酬

95,384

 

92,139

△3.4

その他

3,785

 

4,679

23.6

金融収益以外の収益

331,743

 

329,983

△0.5

 

 2020年3月期の委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。2020年3月期のトレーディング損益は、主に債券関連収益が増加しました。2020年3月期の投資銀行業務手数料は、前年度に比べ大規模なIPO案件がなかったことを受け減少しました。

 

営業部門顧客資産残高

 下の表は、2019年3月末、2020年3月末の営業部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。

 

(単位:兆円)

 

2019年3月31日

期首顧客資産残高

 

資金流入額

 

資金流出額

 

時価評価損益

 

期末顧客資産残高

株式

75.7

 

22.5

 

△21.4

 

△4.9

 

71.9

債券

17.9

 

29.2

 

△27.2

 

△1.1

 

18.8

株式型投資信託

9.1

 

2.9

 

△2.7

 

△0.3

 

9.0

債券型投資信託

7.1

 

0.3

 

△0.7

 

0.1

 

6.8

外国投資信託

1.2

 

 

△0.1

 

0.0

 

1.1

その他

6.7

 

0.9

 

△0.6

 

0.1

 

7.1

合計

117.7

 

55.8

 

△52.7

 

△6.1

 

114.7

 

 

(単位:兆円)

 

2020年3月31日

期首顧客資産残高

 

資金流入額

 

資金流出額

 

時価評価損益

 

期末顧客資産残高

株式

71.9

 

12.4

 

△13.4

 

△8.2

 

62.7

債券

18.8

 

29.3

 

△27.3

 

△2.4

 

18.4

株式型投資信託

9.0

 

3.1

 

△3.2

 

△1.3

 

7.6

債券型投資信託

6.8

 

0.9

 

△0.5

 

0.1

 

7.3

外国投資信託

1.1

 

0.1

 

△0.1

 

△0.1

 

1.0

その他

7.1

 

0.8

 

△1.0

 

0.1

 

7.0

合計

114.7

 

46.6

 

△45.5

 

△11.8

 

104.0

 

 2020年3月末の営業部門顧客資産残高は、2019年3月末に比べ減少しました。2020年3月末の株式関連資産残高は、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年2月から生じた日本の株式市場の混乱や資金流出の増加により2019年3月末の71.9兆円から9.2兆円減少し、62.7兆円となりました。また、2020年3月末の投資信託残高は、2019年3月末の16.9兆円から1.1兆円減少し、15.8兆円となりました。

 

 2019年3月末の営業部門顧客資産残高は、2018年3月末に比べ減少しました。2019年3月末の株式関連資産残高は、日本におけるマーケット環境の悪化や資金流出の増加により2018年3月末の75.7兆円から3.8兆円減少し、71.9兆円となりました。また、2019年3月末の投資信託残高は、2018年3月末の17.4兆円から0.5兆円減少し、16.9兆円となりました。

 

アセット・マネジメント部門

 

 アセット・マネジメント部門は、野村アセットマネジメントを中心に、野村證券を含む証券会社や銀行を通じて販売される投資信託の開発・運用や、内外の年金その他の法人顧客に対する投資顧問業を行い、投資信託の運用報酬や投資顧問報酬を受け取っています。

 

アセット・マネジメント部門の経営成績

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2018年3月期

 

2019年3月期

増減率(%)

 

2020年3月期

増減率(%)

金融収益以外の収益

118,545

 

89,607

△24.4

 

85,190

△4.9

純金融収益

8,792

 

8,238

△6.3

 

7,415

△10.0

収益合計(金融費用控除後)

127,337

 

97,845

△23.2

 

92,605

△5.4

金融費用以外の費用

61,167

 

63,660

4.1

 

63,833

0.3

税引前当期純利益

66,170

 

34,185

△48.3

 

28,772

△15.8

 

 2020年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少およびアセットマネジメント業務手数料の減少により減少しました。

 

 2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、投資信託ビジネスや投資顧問ビジネスでの資金流入が運用資産残高の拡大に寄与し、引き続きビジネスは堅調だったものの、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益が収益を押し下げました。

 

 2020年3月期の金融費用以外の費用は、2019年3月期とほぼ同水準となりました。

 

 2019年3月期の金融費用以外の費用は、システム関連費用等が増加しました。

 

 下の表は、2019年3月末、2020年3月末のアセット・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

 

期首運用

資産残高

 

期首調整

(注)

 

資金流入額

 

資金流出額

 

時価評価

損益

 

期末運用

資産残高

野村アセットマネジメント

52,381

 

 

24,988

 

△23,850

 

△148

 

53,371

野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー

2,765

 

△2,765

 

 

 

 

ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント

2,684

 

 

902

 

△732

 

157

 

3,011

単純合計

57,830

 

△2,765

 

25,890

 

△24,582

 

9

 

56,382

グループ運用会社間の重複資産

△7,815

 

2,649

 

△1,187

 

1,521

 

△176

 

△5,008

合計

50,015

 

△116

 

24,703

 

△23,061

 

△167

 

51,374

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2020年3月31日

 

期首運用

資産残高

 

期首調整

(注)

 

資金流入額

 

資金流出額

 

時価評価

損益

 

期末運用

資産残高

野村アセットマネジメント

53,371

 

 

26,098

 

△25,076

 

△3,745

 

50,648

ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント

3,011

 

 

568

 

△739

 

△351

 

2,489

単純合計

56,382

 

 

26,666

 

△25,815

 

△4,096

 

53,137

グループ運用会社間の重複資産

△5,008

 

 

△882

 

1,501

 

577

 

△3,812

合計

51,374

 

 

25,784

 

△24,314

 

△3,519

 

49,325

 

 (注)2018年4月の組織改正にともない、野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジーはアセット・マネジメント部門からその他に帰属することとなりました。

 

 2020年3月期の運用資産残高は、投資信託ビジネスにおいてはETF等の株式型投信への資金流入が続いたものの、時価要因により減少しました。

 

 下の表は、2018年、2019年、2020年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。

 

 

2018年3月31日

 

2019年3月31日

 

2020年3月31日

公募投資信託合計

27%

 

28%

 

28%

株式型投資信託

25%

 

26%

 

26%

公社債型投資信託

44%

 

45%

 

44%

 

 2020年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、34.0兆円と、対前期比1.6兆円、4%減少しました。その内訳は、1.4兆円の資金流入と3.0兆円の運用減によるものです。市場要因による運用減の中、「TOPIX連動型上場投資信託」といった上場投資信託で残高が増加しました。

 

 2019年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、35.6兆円と、対前期比1.5兆円、4%増加しました。その内訳は、2.2兆円の資金流入と0.7兆円の運用減によるものです。主に「TOPIX連動型上場投資信託」「日経225連動型上場投資信託」といった上場投資信託で残高が増加しました。

 

ホールセール部門

 

ホールセール部門の経営成績

 ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2018年3月期

 

2019年3月期

増減率(%)

 

2020年3月期

増減率(%)

金融収益以外の収益

587,474

 

496,484

△15.5

 

506,203

2.0

純金融収益

127,859

 

58,904

△53.9

 

142,416

141.8

収益合計(金融費用控除後)

715,333

 

555,388

△22.4

 

648,619

16.8

金融費用以外の費用

614,745

 

666,787

8.5

 

556,399

△16.6

税引前当期純利益(△損失)

100,588

 

△111,399

 

92,220

 

 2020年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムは、為替およびエマージングプロダクトを中心に収益が増加、またエクイティも、市場の変動性の上昇により増加しました。またインベストメント・バンキングは、2020年2月からのマーケット急変を受けて減収となりましたなお、2002年3月のマーケ
ット急変を受けてローン関連ポジション等から認識した評価損約350億円を計上しております。

 

 2019年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムは、不透明な市場環境を受けて金利プロダクトを中心に収益が悪化、またエクイティも、顧客アクティビティの低下により減収、またインベストメント・バンキングは、武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件やソフトバンクのIPO案件等、M&AやECMビジネスが収益に貢献したものの若干の減収となりました。

 

 2020年3月期の金融費用以外の費用は、2018年12月に計上したのれんの減損損失が剥落したことを主因として減少しました。

 

 2019年3月期の金融費用以外の費用は、のれん減損の影響に加え、ビジネス・ポートフォリオ見直しにともなう一時費用により増加しました。

 

 次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2018年3月期

 

2019年3月期

増減率(%)

 

2020年3月期

増減率(%)

ホールセール部門 収益合計

(金融費用控除後):

 

 

 

 

 

 

 

グローバル・マーケッツ

603,197

 

453,044

△24.9

 

562,927

24.3

インベストメント・バンキング

112,136

 

102,344

△8.7

 

85,692

△16.3

収益合計(金融費用控除後)

715,333

 

555,388

△22.4

 

648,619

16.8

 

 2018年4月、野村はクライアント・ファイナンシング・アンド・ソリューション(以下「CFS」)を設立いたしました。CFSではグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングが協働するため、事業セグメント上はCFSから発生する収益をグローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングに適宜按分しております。

グローバル・マーケッツ

 野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、営業部門およびアセット・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。

 

 

 2020年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2020年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2019年3月期の2,328億円から3,375億円となりました。為替およびエマージングプロダクトを中心に増収となりました。エクイティの2020年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2019年3月期の2,202億円から2,254億円となりました。変動性の高い市場環境下で顧客アクティビティが上昇したことから、前期比で増収となりました。

 

 2019年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2018年3月期の3,416億円から2,328億円となりました。不透明なマクロ環境が影響し、金利プロダクトを中心に減収となりました。エクイティの2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2018年3月期の2,616億円から2,202億円となりました。不透明な市場環境下で顧客アクティビティが低下したことから、前期比で減収となりました。

 

 これらのグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)は管理会計ベースで作成された米国会計原則に基づかない指標であり、ホールセール部門の財務情報として有益であると考えております。また、グローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)を開示することにより、グローバル・マーケッツの動向を理解するうえで役立つと考えております。

 

インベストメント・バンキング

 野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。

 

 2020年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、新型コロナウイルスの感染拡大による2020年2月からのマーケット環境の悪化により前期比で減少しました。

 

 2019年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、地域や部門を超えた連携が奏功し、武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件やソフトバンクのIPO案件等、M&AやECMビジネスが収益を牽引しましたが、2018年3月期に比べ減少しました。

 

 これらのインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は管理会計ベースで作成された米国会計原則に基づかない指標であり、ホールセール部門の財務情報として有益であると考えております。また、インベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)を開示することにより、インベストメント・バンキングの動向を理解するうえで役立つと考えております。

 

その他の経営成績

 

 その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、マーチャント・バンキング部門の業績、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。

 

 その他の経営成績における税引前当期純利益(△損失)は、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ564億円、△28億円、2020年3月期主に株式会社野村総合研究所普通株式の売却益733億円を計上したことから992億円となりました。

 

 2020年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益163億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失121億円がその他の業績に含まれております。

 

 2019年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益2億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失7億円がその他の業績に含まれております。

 

 2018年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失6億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益68億円がその他の業績に含まれております。

 

地域別経営成績

 

 地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。

 

キャッシュ・フロー

 

 「(6)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。

 

(2)トレーディング業務の概要

トレーディング目的資産負債

 トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。

 

トレーディングのリスク管理

 野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。

(1)VaRの前提

・信頼水準:99%

・保有期間:1日

・商品の価格変動等を考慮

 

(2)VaRの実績

 

2019年3月31日

(億円)

2020年3月31日

(億円)

株式関連

11

89

金利関連

28

223

為替関連

19

51

小計

58

363

分散効果

△13

△110

バリュー・アット・リスク(VaR)

45

253

 

 

2020年3月期

最大値(億円)

最小値(億円)

平均値(億円)

バリュー・アット・リスク(VaR)

329

36

67

 

(3)重要な会計方針および見積もり

 

 重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。これらの見積もりには金融商品の公正価値、訴訟の判決や税務調査の結果、のれんの回収可能性、貸倒引当金、繰延税金資産の回収可能性、持分法投資やその他の非金融資産の減損判定およびその他の連結財務諸表における資産および負債の金額ならびに開示に影響する判断が含まれます。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定や利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績は直近の見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 2020年3月期の連結財務諸表の作成において、新型コロナウイルス感染症の拡大は、いくつかの重要な会計上の見積もりに影響を及ぼし、その影響は将来にわたり継続することが想定されます。新型コロナウイルス感染症拡大の継続期間や、当社及び当社の顧客が事業活動を行う主要な地域において影響を受けた経済および金融市場がその回復のために要する期間についての仮定は、これらの見積もりに影響を与えます。新型コロナウイルス感染症に影響を受ける主要な仮定と見積もりは下記を含みます:

金融商品に関する公正価値測定または貸倒引当金の判断にかかる、顧客の野村に対する契約義務の履行能力

公正価値測定の判断にかかる、世界の金融市場におけるボラティリティおよび急変の程度

公正価値測定および持分法投資の減損の判断にかかる、世界の株式市場において予想される株価の下落期間

減損の判断にかかる非金融資産の将来の使用用途

・繰延税金資産の回収可能性の判断にかかる野村の将来の収益性

 

 下表は、連結財務諸表に含まれる重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定、新型コロナウイルス感染症が現時点または継続的に見積もりに与える影響や関連する連結財務諸表数値について要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。

 

重要な会計方針

重要な会計上の見積もり

経営者による重要な仮定

新型コロナウイルス感染症拡大の影響

 

金融商品の公正価値評価

 

連結財務諸表

注記 2

 

公正価値測定

 

 

金融商品の公正価値の見積もり

 

·適切な評価手法の選択

·主要市場が活発か否か

·主要なレベル3インプット

 

 

·新型コロナウイルス感染拡大の結果、金融市場が混乱し、市場のボラティリティが高まり、一部の金融商品の価格の透明性が低下しております。

・公正価値測定に使用するインプットを更新しました。

 

 

貸倒引当金

 

連結財務諸表

注記 7

 

金融債権

 

 

貸付金、その他債権及びコミットメントの減損の判定及び減損損失の測定

 

 

·金融商品の契約条件に従って借り手が支払う能力

·割引キャッシュ・フロー法を用いて減損を測定する場合の、減損した貸付金の将来キャッシュ・フロー

·減損した担保付貸付金の担保の公正価値

 

 

·短期的にはロックダウン等の制限、長期的にはロックダウンが解除され、経済が改善するのかという点が借り手の支払い能力に影響し、見積もりにおける主観性が増加します。

·将来のパフォーマンスにおける借入人の不確実性のため、将来のキャッシュ・フローをより主観的に見積っております。

·金融市場及び非金融市場の混乱により、公正価値の算定がより主観的になっております。

·貸倒引当金は、主に新型コロナウイルス感染症拡大に起因して2019年3月31日現在の42億円から2020年3月31日の130億円に増加しました。

 

 

重要な会計方針

重要な会計上の見積もり

経営者による重要な仮定

新型コロナウイルス感染症拡大の影響

 

のれんおよび無形資産

 

連結財務諸表

注記 10

 

その他の資産-その他およびその他の負債

 

 

 

 

 

 

 

のれんおよび無形固定資産の減損の判定及び減損損失の測定

 

 

 

·減損テストのもととなる減損の兆候の特定

·のれんおよび耐用年数が確定できない無形固定資産の公正価値測定のためのインプット

·耐用年数が確定できる無形固定資産の回収可能性の評価に用いられる将来キャッシュ・フロー

 

 

·第4四半期に実施したのれんの減損テストにおいては、報告単位の見積公正価値が帳簿価額を上回ったため、減損損失を認識しませんでした。

·第4四半期に実施された耐用年数が確定できない無形資産の年次の減損テストにおいては、減損損失は計上されていません。

·当第4四半期における新型コロナウイルス感染症の拡大は償却性無形資産の減損の兆候には該当しないと判断したため、無形資産を含む資産グループに対する減損テストは求められませんでした。

 

 

持分法投資

 

注記 20

 

関連会社およびその他の持分法投資先

 

 

持分法投資先が減損しているかどうかの判定

 

·上場株式における簿価を下回る株価下落が一時的であるかどうか

 

 

·当第4四半期における新型コロナウイルス感染症の影響による株式市場の世界的な下落を受け持分法投資を評価した結果、一時的でない減損は計上されませんでした。

 

訴訟引当金

 

注記 21

 

コミットメント、偶発事象および債務保証

 

 

損失の蓋然性の判定および引当金の測定

 

·最終的に損失が生じる可能性および損失を他の当事者に訴求または回収する能力

·事案解決に関する経営者の意向

·訴訟が未だ提起されていない、不確定もしくは訴訟が初期の段階における損失額

 

 

·新型コロナウイルス感染症拡大の影響により訴訟案件の解決が遅れる可能性がありますが、2020年3月末現在、当社の訴訟関連規定への直接的な影響はありません。

 

法人税等

 

注記 16

 

法人所得税等

 

繰延税金資産の回収可能性

 

·野村の将来の収益性

·裁判所及び規制当局による税務規則の解釈並びに税務当局による税務調査

·関連する税務管轄地において繰延税金資産を回収するために十分な将来の課税所得が生み出されるかに関する肯定的及び否定的証拠の証拠

 

 

·2020年3月末現在、野村の将来の収益性にかかる不確実性が高まり、将来の課税所得の見積もりにかかる主観性が増加していますが、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響はありませんでした。

 

金融商品の公正価値

 毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2020年3月31日現在で5%(2019年3月31日現在で5%)となりました。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2020年3月31日

 

レベル1

 

レベル2

 

レベル3

 

取引相手および現金担保との相殺

 

合計

公正価値評価資産

(除くデリバティブ)

6,855

 

9,699

 

751

 

 

17,305

デリバティブ資産

71

 

20,921

 

198

 

△19,248

 

1,942

合計

6,926

 

30,620

 

949

 

△19,248

 

19,247

 

 詳細につきましては「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定」をご参照ください。

 

デリバティブ取引

 野村は、トレーディング目的およびトレーディング目的以外として先物、先渡、オプションおよびスワップを含む多様なデリバティブ金融商品取引を行っています。すべてのデリバティブは公正価値で評価され、公正価値の変動はデリバティブの使用目的に応じて、連結損益計算書あるいは連結包括利益計算書で認識されます。

 

 デリバティブ資産及び負債のうち、ネッティング契約書に記載された相手先が同一であるものは、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815「デリバティブとヘッジ」(以下「編纂書815」)に定める特定の基準を満たした場合に、連結貸借対照表上で相殺表示しております。これらの基準には、マスター・ネッティング契約の下での当該一括清算および相殺権の法的有効性に関する要件が含まれます。また、現金担保の回収権(未収金)および支払債務(未払金)に認識された公正価値は、一定の基準を満たす場合、それぞれ正味デリバティブ負債および正味デリバティブ資産と相殺されます。

 

 デリバティブ取引は、上場デリバティブおよび店頭デリバティブで構成されております。上場デリバティブの公正価値は取引所価格または評価モデルにより決定され、店頭デリバティブの公正価値は評価モデルにより決定されます。相殺後の上場デリバティブおよび店頭デリバティブの資産および負債は次のとおりです。

 

 

2019年3月31日

(十億円)

資産

負債

上場デリバティブ

103

241

店頭デリバティブ

749

574

合計

852

815

 

 

2020年3月31日

(十億円)

資産

負債

上場デリバティブ

559

716

店頭デリバティブ

1,383

1,093

合計

1,942

1,809

 

 2020年3月31日現在における、契約上の残存満期年限ごとに分類した店頭デリバティブ資産および負債の公正価値は次のとおりです。

 

2020年3月31日

(十億円)

満期年限

異なる満期間の相殺

  (注)

公正価値の合計

1年以内

1~3年

3~5年

5~7年

7年超

店頭デリバティブ-資産

2,026

1,319

944

617

3,853

△7,376

1,383

店頭デリバティブ-負債

1,748

1,256

922

626

3,392

△6,851

1,093

(注)同じ取引相手先において、異なる満期間の公正価値を相殺する場合の相殺の金額を表示しております。同じ満期間の相殺はその年限内にて相殺しております。また、同じ取引相手先との現金担保の相殺を含んでおります。

 

 デリバティブ取引の公正価値にはクレジットリスクに対する調整を含んでおり、これにはデリバティブ資産へのカウンターパーティクレジットリスクとデリバティブ負債への自社クレジットが含まれます。野村はポジションのクレジットリスクを軽減する目的でデリバティブ取引を行っており、この様なポジションとデリバティブのクレジットリスクの変動に関する損益を一体として認識しております。

一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー

 市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。

 

レバレッジド・ファイナンス

 野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2020年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

実行済残高

 

未実行コミットメント残高

 

合計

欧州

120,362

 

71,840

 

192,202

米州

53,878

 

57,280

 

111,158

アジア・オセアニア

7,761

 

5,166

 

12,927

合計

182,001

 

134,286

 

316,287

 

特別目的事業体

 野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。

 

 変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。

 

新しい会計基準の公表

 「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。

 

(4)繰延税金資産の状況

 

1)繰延税金資産・負債の主な発生原因

 2020年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

2020年3月31日

繰延税金資産

 

減価償却、その他の償却、および固定資産の評価

19,932

子会社・関連会社株式投資

1,209

金融商品の評価差額

77,054

未払退職・年金費用

24,356

未払費用および引当金

51,566

繰越欠損金

308,504

リース負債

47,680

その他

9,394

繰延税金資産小計

539,695

控除:評価性引当金

△388,411

繰延税金資産合計

151,284

繰延税金負債

 

子会社・関連会社株式投資

89,630

金融商品の評価差額

52,780

海外子会社の未分配所得

2,423

固定資産の評価

9,497

使用権資産

47,438

その他

2,992

繰延税金負債合計

204,760

繰延税金資産(負債)の純額

△53,476

 

2)繰延税金資産の算入根拠

 繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。

 

3)過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額

 当社は、日本にて連結納税制度を採用しており、野村證券を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記1)に記載されている繰延税金資産のうち、日本の連結納税グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△42,197百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。そのため、以下の記載では連結納税グループの合算数値を記載しております。

 

過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2014年度

2015年度

2016年度

2017年度

2018年度

日本の連結納税グループ合算値

252,152

195,472

160,769

79,397

61,984

 

(注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。

 

 見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額

 

 日本の連結納税グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、489,480百万円、523,617百万円となっております。

 

(5)リスクについての定量・定性的開示

リスク・マネジメント

 野村の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因するリスクなどのさまざまなリスクに晒されております。野村では、財務の健全性を確保し、企業価値を維持・向上するために、これらのリスクを総合的にコントロールし、モニタリングし、報告するためのリスク管理体制を構築しております。

 

グローバル・リスク管理体制

リスク管理

 野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当グループの資本が毀損する可能性、および自社の信用力の低下または市場環境の悪化により円滑な資金調達ができなくなるという資金流動性リスク、さらに収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により収益がコストをカバーできなくなるという戦略リスクなどを管理しております。

 

 そのうえで、野村では全社員が自らリスク管理を行う主体であると認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを基本方針としております。野村では、組織内の全階層において積極的なリスク管理がなされるよう推進し、かつ、リスクをリスク・アペタイトの範囲内に抑制するよう努めております。野村のリスク管理の枠組みはリスク・アペタイト、リスク管理のガバナンスおよび監督、財務的経営資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、およびリスクの計測および管理プロセスで構成されています。これら主要な項目については次に詳述いたします。

 

リスク・アペタイト

 野村は、規制上の資本、流動性、業務環境によって決定される制約条件を勘案のうえ、戦略的な目標と事業計画の達成のために許容するリスクの種類および水準を、リスク・アペタイト・ステートメントとして定めています。リスク・アペタイト・ステートメントは、リスク管理統括責任者(CRO)、財務統括責任者(CFO)およびコンプライアンス統括責任者(CCO)により提案され、経営会議の承認により決定されます。リスク・アペタイト・ステートメントには、自己資本充実度と手元流動性、財務リスク、および非財務リスクを含め、当グループの事業遂行により生じうるリスクが記載されています。またリスク・アペタイトの各項目の主管部署は、定期的にモニタリングを行い、違反が発生することがないよう、適切に管理を行うこととしています。

 

 野村のリスク・アペタイト・ステートメントは、経営会議において、少なくとも年一回見直しを実施しております。また、見直しは必要に応じて随時、特に当社の戦略に重大な変更があった場合には必ず実施しております。リスク・アペタイトは、野村のリスク管理体制の基礎をなすものです。

 

リスク管理の組織体制

 

 野村では、効果的な事業運営とリスク管理のための会議体を設置しています。リスク管理体制は以下のとおりです。

 

     

(画像は省略されました)

 

取締役会

 取締役会は、野村グループの経営の基本方針、その他法令に定められた事項について決定し、取締役および執行役の職務執行状況を監督します。また取締役会は、経営会議規程の制定、改廃について決定する権限を有しております。

 

経営会議

 経営資源の有効活用と業務執行の意思統一を図ることにより、野村における経営戦略および経営資源の配分ならびに経営にかかる重要事項を審議し、株主価値の増大に努めます。またリスク管理に関する審議事項の決定権限を統合リスク管理会議に委譲しています。経営会議の主要な役割は以下のとおりです。

・経営資源の配賦-各年度の開始にあたり、経営会議はリスク・ウェイティド・アセットや無担保調達資金等の各種経営資源の配賦や経営資源のリミットの設定を行います。

・事業計画-各年度の開始にあたり、経営会議は野村の事業計画や予算を承認します。また、期中における、重要な新規ビジネス、事業計画の変更、予算や経営資源の配賦を承認します。

・レポーティング-経営会議は経営会議の内容等を取締役会へ報告します。

 

統合リスク管理会議

 業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として、経営会議の委任を受け、野村の統合リスク管理にかかる重要事項を審議、決定します。統合リスク管理会議は、野村のリスク・アペタイトに整合した統合リスク管理の枠組みの整備を行います。また、リスク管理の枠組みを整備することを通じて野村のリスク管理を監督します。リスク管理に関する重要な事項その他議長が必要と認める事項について、取締役会および経営会議に報告します。

 加えて、統合リスク管理会議は、経営会議の委譲を受け、リスク管理規程を策定し、リスク管理の基本方針を含むグループ全体のリスク管理の枠組みを整備しています。

 

 

野村グループ・コンダクト委員会

 野村グループ・コンダクト委員会は、経営会議の委任を受け、野村グループにおけるコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理上必要な事項を審議し、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。

 

グローバル・ポートフォリオ委員会

 統合リスク管理会議の委任を受けたグローバル・ポートフォリオ委員会は、特定のポートフォリオの管理にかかる事案を審議・決定し、野村のリスク配置およびリスク・アぺタイトに沿ったリスク・プロファイルを実現することを目的として運営しております。特定のポートフォリオとは、3つのカテゴリー(イベント・ファイナンシング、ターム・ファイナンシング、アセット・ベースド・ファイナンシング)の少なくとも1つに該当するビジネスまたは商品から構成されるポートフォリオとなります。

 

アセット・ライアビリティ・コミッティー

 アセット・ライアビリティ・コミッティーは、経営会議および統合リスク管理会議の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに基づきバランス・シート管理体制、財務的経営資源の配賦、流動性管理などを審議します。審議内容や議長が必要と認める事項について、統合リスク管理会議に報告します。

 

グローバル案件会議

 グローバル案件会議は、グローバル・ポートフォリオ委員会の委任を受け、経営会議が定める野村のリスク・アペタイトに沿って、個別取引の審議・承認を行い、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。

 

その他の会議体

 グローバル・リスク分析委員会およびモデル・リスク分析委員会は、CROの委任を受け、野村におけるリスク・モデルおよび評価モデルの開発、および管理に関する重要事項の審議・決定をします。両委員会は、新規モデルや既存モデルの大幅な変更の承認など、リスク・モデルおよび評価モデルの管理における統制および監督について責任を有し、重要事項の審議や決定について、定期的にCROに報告します。一方、担保管理運営委員会は、CROの委任を受け、担保集中、流動性、担保再利用、リミットおよびストレス・テストを通じた担保リスク管理について審議または決定を行うほか、野村の担保戦略の方向性を示し、担保の規制要件を確実に遵守します。

 

リスク管理統括責任者(CRO)

 リスク管理統括責任者(CRO)は、リスク・マネジメント部門における全般的な戦略および方針を構築する責任を有します。また、野村のリスク・マネジメント部門を統括し、収益責任を負う部門等から独立した立場で、リスク管理の枠組みの有効性を維持する責任を負います。また、リスク管理の状況について、定期的に統合リスク管理会議へ報告するほか、リスク管理上必要な対応策の実施について統合リスク管理会議への付議または報告を行います。

 

財務統括責任者(CFO)

 財務統括責任者(CFO)は、野村全体の財務戦略を統括します。また、経営会議の委任を受け、流動性管理について執行権限および責任を負います。

 

コンプライアンス統括責任者(CCO)

 コンプライアンス統括責任者(CCO)は、リーガル・コンプライアンス & コントロール部門(LCC部門)を統括し、非財務リスク(オペレーショナル・リスクおよびレピュテーショナル・リスク)の管理の枠組みの有効性を維持する責任を負います。

 

リスク・マネジメント部門、ファイナンス部門およびLCC部門

 リスク・マネジメント部門、ファイナンス部門およびLCC部門は、収益責任を負う部門等から独立して設置された部署または組織で構成されております。これら3部門は、リスク管理にかかるプロセスの構築と運用、方針および規程類の整備と周知、手法の有効性の検証に責任を負うほか、グループ各社からの報告の受領や、担当役員および統合リスク管理会議等への報告や、行政当局への報告およびリスク管理手法等の承認申請も必要に応じて行います。リスク管理に関する重要な事項は、これら3部門が、CRO、CFOおよびCCOと緊密に連携します。一方、CRO、CFOおよびCCOは、定期的に経営会議や統合リスク管理会議にリスクに関する事項を報告します。

 

 

リスク・ポリシー管理の枠組み

 ガバナンス上必要不可欠なツールの規程や実施手続には、野村のリスク管理を円滑に行うための基本方針、規則、基準や特定のプロセスが定義されております。リスク管理の実務は、これらの規程および実施手続に基づいて運営されています。

 

モニタリング、報告およびデータ管理

 リスクに関する経営情報(以下「マネジメント・インフォメーション」)の算出と集計、報告およびモニタリングは、適切なリスク管理体制に不可欠です。マネジメント・インフォメーションの目的は、適切な上申と意思決定、および対応策の策定に資する情報を提供することです。リスク・マネジメント部門および、ファイナンス部門およびLCC部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況に関するマネジメント・インフォメーションを定期的に取りまとめる責任を有します。マネジメント・インフォメーションは、リスク・カテゴリー全般にわたる情報を含み、また各リスクの特定および評価のためのさまざまなリスク管理手法を使用して作成されます。リスク・マネジメント部門、ファイナンス部門およびLCC部門は、マネジメント・インフォメーションに関するデータを適切に管理する責任を有します。

 

財務的経営資源の管理

 野村は、財務的経営資源を適切に使用するため、財務的経営資源の管理体制を構築しております。経営会議は、期初に、各部門に財務的経営資源の配賦を行います。各部門では、財務的経営資源の配賦により収益予算の策定を行います。財務的経営資源の主要な構成要素は以下のとおりです。

 

リスク・ウェイティド・アセット

 経営会議は毎年、連結自己資本比率(連結Tier1比率)の最低基準値を決定します。自己資本比率を算出する際の重要な構成要素はリスク・ウェイティド・アセットとなり、このリスク・ウェイティド・アセットは経営会議により、各部門やそれ以下の階層に配賦されております。詳しくは第2「事業の状況」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。

 

経済資本

 野村の経済資本であるNCAT(Nomura Capital Allocation Target)は、野村がビジネスを行うにあたり必要となる資本に関する内部指標であり、野村にとって深刻な不利益を被るシナリオにより1年間に発生しうる予期せぬ損失を吸収するために必要な資本として計測されます。この深刻な不利益を被るシナリオとは、信頼水準99.95%で1年間に発生しうる損失として定量化されるものと定義されます。NCATは、ポートフォリオNCATおよびノン・ポートフォリオNCATにより構成されます。ポートフォリオNCATは、市場リスク、信用リスク、イベント・リスク、プリンシパル・ファイナンス/プライベート・エクイティに関するリスクおよび投資有価証券に関するリスク等、野村の資産価値に直接影響を及ぼすリスクを構成要素とし、ノン・ポートフォリオNCATは、ビジネス・リスクおよびオペレーショナル・リスク等、特定の資産価値に直接的には影響を及ぼさないリスクを構成要素とします。NCATリミットは経営会議の承認により設定され、各部門やそれ以下の階層に配賦されます。(なお、NCATによる管理は、2020年3月31日をもって廃止され、2020年4月1日以降はリスク・ウェイティド・アセットによる管理に一本化されました。)

 

社内資金

 財務統括責任者は、野村グループ内に無担保で提供される資金の上限額を決定し、経営会議は各部門へ配分を行います。グローバル・トレジャリーは部門毎の資金使用量をモニタリングし、経営会議に報告します。

 

リスクの分類と定義

 野村では、リスクを以下のとおり分類、定義したうえで、各リスクを管理する部署または組織を設置しております。

リスク・カテゴリー

リスクの概要

市場リスク

市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクをいいます。

信用リスク

債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件通りに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいいます。信用リスクはオン・バランス、オフ・バランス双方のエクスポージャーを含みます。また、当該リスクはカウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。

オペレーショナル・リスク

内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または法令諸規則の違反や野村グループの評判の悪化といった非財務的影響を被るリスクをいいます。オペレーショナル・リスクには、野村グループの非財務リスク分類に定義されているコンプライアンス、リーガル、ITおよびサイバーセキュリティ、不正、外部委託先に関わるリスクその他の非財務リスクが含まれます。この定義は、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)およびレピュテーショナル・リスクを含みませんが、上記オペレーショナル・リスクの顕在化の結果として野村グループ各社の評判の悪化に至ることもあるため、オペレーショナル・リスクとレピュテーショナル・リスクは密接に関連します。

モデル・リスク

モデルの誤謬、またはモデルの不正確若しくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、または顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。

資金流動性リスク

自社の信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。

ビジネス・リスク

収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により、収益がコストをカバーできなくなるリスク。野村の経営陣はビジネス・リスクを管理する責任を有します。

 

市場リスク管理

 市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクです。

 

市場リスク管理プロセス

 市場リスクを適切に管理するためには、複雑かつ不断に変動する市場環境をグローバルに分析し、損失に繋がる可能性のある傾向を把握したうえで、適時に適切な対応を取る能力が必要となります。

 野村では継続して市場リスクを統計的に計測・モニタリングする主要な手段として、バリュー・アット・リスク(以下「VaR」)、ストレスVaR(以下「SVaR」)および追加的リスク(以下「IRC」)を利用しております。また、感応度分析やストレス・テストも市場リスクを評価・分析する手段として利用しております。感応度は、市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す尺度として利用されます。感応度は、資産種別によって異なり、通常、異なるリスク・ファクターに関する感応度を合算することはできません。ストレス・テストにおいては、ポートフォリオ・リスクやテイル・リスクをその非線形な性質を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに到るあらゆる階層で、市場リスク・ファクターを横断した合算が可能となります。市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポートその他の経営情報により、社内手続きに基づいて承認されたリミット内であるかどうかモニタリングされます。

 

VaR

 VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きにより発生しうる損失額を計測するものです。

 

VaRメソドロジーの前提

 野村は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測にあたり、グローバルに実装された単一のVaRモデルを利用しています。野村は、このVaRモデルにおいてヒストリカル・シミュレーション法を採用しており、過去2年間のヒストリカルな市場の動きを、野村の現在のエクスポージャーに適用することにより収益分布を構成します。この分布を利用して、将来発生しうる損失を必要な信頼水準(確率)において推定することができます。なおVaRモデルが市場変動性の変化を反映するようシナリオの重みを付ける手法を採用しております。また野村は、同一のVaRモデルを、社内におけるリスク管理と規制上の報告の双方に使用しています。保有期間1日のVaRは、リスク管理やリスク・リミットに対するモニタリングに利用され、保有期間10日のVaRは規制資本の計算に利用されます。保有期間10日のVaRは、実際の10日間における市場変動のヒストリカル・データを利用して計算されます。野村は、これらのVaRの計算に加え、バーゼル2.5規制のもとでVaRを補完するためにSVaRの計算を行っています。SVaRはストレス下にある金融市場のある1年間のデータを利用して計測されます。このSVaRの対象期間は、定期的に調整されますが、SVaRに利用されるヒストリカル・データは、VaRの場合のように重みを付けていません。

 

 野村のVaRモデルは、可能な限り、個々のヒストリカル・データを利用します。しかし、高品質な個別データが存在しない場合、代理変数ロジックにしたがって当該エクスポージャーに適切なヒストリカル・データを割り当てます。代理変数の妥当性は、内部のリスク管理プロセスを通じて慎重にモニタリングされると共に、VaR計算に利用されるヒストリカル・データの拡大にも継続的に取り組んでおります。

 

・VaRバックテスティング

 野村のVaRモデルのパフォーマンスが、目的に合致しているかは、継続的にモニタリングされております。VaR検証の主な方法は、1日分の損益とそれに対応するVaR値の比較(バックテスティング)です。野村は、VaRモデルのバックテスティングを、さまざまな異なるレベルで行っており、バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューしております。

    2020年3月期において、グループ・レベルで信頼水準99%のVaRの超過はありません。

 

・VaRの限界と利点

 VaRの主な利点は、さまざまな資産区分のリスクの合算が可能であることです。しかしながら、リスク計測方法としてのVaRには、リスク計測に利用する際に留意すべき点としてよく知られている限界があります。主な限界のひとつは、過去データに基づいたリスク計測であることです。つまり、目先の市場変動を推測する場合、直近の変動要因に基づく分布および相関から推測することが適していることを暗黙のうちに仮定しております。また、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握に適しておりますが、急に不連続に変動する市場要因の把握には適しておりません。それゆえに、VaRは厳しい事象の影響について、すべてを表しているとは言えません。

 

 野村はVaRモデルが有する限界を認識しており、VaRを多様なリスク管理プロセスのひとつの要素としてのみ利用しております。

 

ストレス・テスト

 野村は、VaRや感応度分析がすべてのポートフォリオ・リスクやテイル・リスクを捕捉できないという限界を有することから、市場リスクのストレス・テストを行っております。このストレス・テストは定期的に行われ、ストレス・シナリオはトレーディング・ストラテジーの特性に応じて柔軟に設定されます。野村では、デスク・レベルのみならず、市場変動が野村全体に与える影響を把握するためにグローバルに統一されたシナリオによるグループ・レベルでのストレス・テストも行っております。

 

ノン・トレーディング・リスク

 野村におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所第一部上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。

 

 野村では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。野村の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2019年3月末で約100億円、2020年3月末で約77億円の損失が予想されました。TOPIXは2019年3月末が1,591.64ポイント、2020年3月末は1,403.04ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にはご留意ください。

 

信用リスク管理

 信用リスクとは、債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件どおりに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいい、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。なお、野村では、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しています。

 

信用リスク管理体制

 野村における信用リスクの計測、モニタリングおよび管理に関する事項は、グローバル・ポリシー、プロシージャーで規定しています。クレジット・リスク・マネジメント部門(以下「CRM」)は、リスク・マネジメント部門内のグローバルな組織として、これらのポリシーやプロシージャーの実装、および維持、管理に責任を負います。これらのポリシーは、統合リスク管理会議、グローバル・リスク・ストラテジック・コミッティ(以下「GRSC」)の承認を受けて制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。

 

 信用リスク・エクスポージャーは、CRMならびに、グローバルおよび地域の各種リスク・コミッティにより管理されており、重大な信用リスクの把握やクレジット・リミットの遵守の徹底のほか、多額の与信の提供に関する承認や、シニア・マネジメントがリスクの集中に関する承認を行う態勢を確保しています。

 

信用リスク管理プロセス

 CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するための組織であり、CROに報告します。野村における信用リスク管理プロセスには、以下を含みます。

 

・カウンターパーティの債務不履行の可能性の評価

・すべてのアクティブなカウンターパーティに対する内部格付の付与

・与信の供与およびクレジット・リミットの設定に関する承認

・時価および将来のポテンシャル・エクスポージャーの計測、モニタリングおよび管理

・契約書における信用リスクに関する条件の設定

・一括清算、担保徴求およびヘッジを含む適切な信用リスク削減手法の活用

 

 信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品を含みます。

 

 カウンターパーティの信用力の評価は、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、会社の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。なお、CRMは、カウンターパーティのみでなく、カウンターパーティ・グループ単位でも信用リスクを評価します。

 

 CRMは、信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者のデフォルト確率を評価し、格付機関と同様のアルファベット記号や所定の番号を付与します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。

 

 野村の内部格付制度では、さまざまな格付モデルを使用して、グローバルに一貫性と正確性を確保しています。これらのモデルは、リスク・メソドロジー・グループにより開発され、見直しが行われています。内部格付は、野村におけるカウンターパーティの信用リスク管理における重要な構成要素として、以下のように活用されています。

 

・個々のカウンターパーティまたはカウンターパーティ・グループに対して野村が許容するカウンターパーティ・クレジット・リスクの上限額の設定(クレジット・リミットの設定)

・クレジット・リミット設定の承認権限の委譲にかかる基準額の決定(テナーを含む)

・クレジット・レビュー(クレジット・リミットの見直し)の頻度の決定

・カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する野村のシニア・マネジメント向けの報告

・カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する社外ステークスホルダー向けの報告

 

 信用リスク管理部署(以下「CRCU」)はグローバル・モデル・バリデーション・グループ内に設置されており、CRMから独立した立場で、野村の内部格付制度に関する検証が適切に実施される体制を確保し、制度に問題があればその速やかな解決のために、シニア・マネジメントに報告します。CRCUは、内部格付制度が正確、かつリスクを予知できるものであることを確認し、シニア・マネジメントに対して定期的に制度に関する報告を行います。

 

 野村は、規制自己資本を算出するための信用リスク・アセットの計算において、2011年3月より基礎的内部格付手法を採用しています。なお、信用リスク・アセットの計算において、重要性の低い一部のビジネスまたは資産については、標準的手法を採用しています。

 

クレジット・リミット/リスク計測

 内部格付は、カウンターパーティに対してクレジット・リミットを設定するために必要不可欠なものです。また、野村のクレジット・リミットの枠組みは、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることができるように設計されています。グローバルのクレジット・ポリシーでは、内部格付に基づき、個々のカウンターパーティ・グループに対して設定できるクレジット・リミットおよびテナーの上限を定めた承認権限の表を定めています。

 

 野村では、カウンターパーティ・エクスポージャーは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引(以下、総称して「デリバティブ等取引」)により発生しています。カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、個々のカウンターパーティの信用力の分析に基づき設定するクレジット・リミットにより管理しています。信用リスクは、設定したクレジット・リミットによるクレジット・エクスポージャーのモニタリングや、カウンターパーティの信用力に関する継続的なモニタリングを通して、日次で管理しています。特定のカウンターパーティ、セクター、産業または国に対する野村のリスク・アペタイトを変更させるような状況下では、その内容、程度に応じて、内部格付やクレジット・リミットの変更を行います。

 

 野村のグローバル・クレジット・マネジメント・システムには、カウンターパーティに対するすべてのクレジット・リミットおよびクレジット・エクスポージャーが記録されています。これにより、CRMは、クレジット・リミットの使用状況を把握、監視、管理し、リミット超過が発生した場合、適切に報告を行う態勢を確保しています。

 

 野村では、デリバティブ等取引については、主に所定の信頼水準でのポテンシャル・エクスポージャーを計測するモンテ・カルロ・シミュレーション・モデルで信用リスクを計算しています。信用リスク管理に使用されるエクスポージャー計測モデルは、2012年12月より、期待エクスポージャー方式による連結自己資本規制比率の算出にも利用されています。

 

 なお、ローンおよびローン・コミットメントは、使用分および未使用分の双方について、計測およびモニタリングを行っています。

 

ロング・ウェイ・リスク

 ロング・ウェイ・リスクは、カウンターパーティに対するエクスポージャーが、当該カウンターパーティの信用力の悪化と高い相関関係にある場合に発生するリスクをいいます。野村は、ロング・ウェイ・リスクを管理するためのグローバルのポリシーを設置しています。また、ポートフォリオのロング・ウェイ・リスクの評価ではストレス・テストも活用し、クレジット・エクスポージャーや規制自己資本について必要に応じて調整を行っています。

 

ストレス・テスト

 ストレス・テストは、野村の信用リスク管理において必要不可欠であり、定期的に実施するストレス・テストにより、カウンターパーティ、セクター、および地域ごとの信用リスクの評価を行っています。なお、ストレス・テストには、リスク・ファクター、デフォルト確率または格付遷移に一定のストレスを与えることでリスクの集中度合いを確認するテストも含まれます。

 

リスク削減手法

 野村では、信用リスク管理において、金融商品、契約書、さらに一般的な取引慣行を活用しています。野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会(以下「ISDA」)の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(以下、総称として「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。また、信用リスクをさらに削減するため、担保契約も活用し、取引開始時、またはエクスポージャーの水準、格付の変更、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。

 

デリバティブ等取引における与信相当額

 以下は、2020年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。

 

(単位:十億円)

信用格付

 

満期までの年限

 

異なる満期間の相殺(1)

 

公正価値の合計

  (a)

 

受入担保額(b)

 

再構築コスト(3)

(a)-(b)

 

1年未満

 

1年から3年

 

3年から5年

 

5年から7年

 

7年超

 

 

 

 

AAA

 

41

 

33

 

12

 

4

 

65

 

△134

 

21

 

20

 

1

AA

 

704

 

318

 

144

 

108

 

686

 

△1,528

 

432

 

48

 

384

A

 

785

 

511

 

416

 

185

 

1,280

 

△2,873

 

304

 

126

 

178

BBB

 

282

 

224

 

185

 

134

 

761

 

△1,206

 

380

 

79

 

301

BB以下

 

136

 

147

 

52

 

34

 

108

 

△216

 

261

 

243

 

18

その他(2)

 

78

 

86

 

135

 

152

 

953

 

△1,419

 

△15

 

60

 

0

小計(店頭取引デリバティブ)

 

2,026

 

1,319

 

944

 

617

 

3,853

 

△7,376

 

1,383

 

576

 

882

上場デリバティブ

 

1,027

 

88

 

6

 

 

 

△562

 

559

 

194

 

365

合計

 

3,053

 

1,407

 

950

 

617

 

3,853

 

△7,938

 

1,942

 

770

 

1,247

(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。

(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。

(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。

 

カントリー・リスク

 野村では、カントリー・リスクを、カウンターパーティや発行体に影響を及ぼし、金融債務の履行を不可能にさせるような、ある国特有のカントリー・イベント(政治、経済、法制度にかかるイベント等)に起因した損失発生の可能性と定義しています。野村において、カントリー・リスク管理の枠組みは、その他のリスク管理の枠組みを補完する役割を果たしていますが、この枠組みは、特定国に対するクレジット・エクスポージャーの集中を制限するためのカントリー・リミット、カントリー・レーティング、さらに役割分担や承認権限およびその委任等について定めたカントリー・リスク管理のポリシーやプロシージャーなど多数の管理ツールで構成されています。

 

 野村のクレジット・ポートフォリオは、国別に十分に分散されており、集中がみられるのは、高格付の国のみとなっています。エクスポージャーの95%超は、投資適格級の国に対するものです。エクスポージャー残高の上位10か国の内訳は、以下のとおりです。

 

カントリー・エクスポージャー上位10か国(1)

( 単位 : 十億円 )

(2020年3月31日)

米国………………………………………………………………………………………………

4,880

日本………………………………………………………………………………………………

2,713

英国………………………………………………………………………………………………

710

インド……………………………………………………………………………………………

210

シンガポール……………………………………………………………………………………

207

フランス………………………………………………………………………………………

144

韓国………………………………………………………………………………………………

130

中国………………………………………………………………………………………………

116

香港………………………………………………………………………………………………

113

サウジアラビア…………………………………………………………………………………

106

(1) 上表には、2020年3月末時点のカントリー・エクスポージャーの上位10か国を記載しています。カントリー・エクポージャーは、カウンターパーティ・エクスポージャーとインベントリー・エクスポージャーを合算して算出します。

- カウンターパーティ・エクスポージャーには、現金・現金同等物、清算参加者として当社から中央清算機関に預託される清算基金・当初証拠金の残高、デリバティブ取引および有価証券貸借取引の公正価値(法的に有効な担保契約に基づく担保考慮後)、引当金考慮後のコミットメント総額の公正価値が含まれます。

- インベントリー・エクスポージャーには、債券、株式、エクイティ・デリバティブ、クレジット・デリバティブの公正価値が含まれ、ロング・ポジションとショート・ポジションをネットしたものとなっています。

 

オペレーショナル・リスク管理

野村はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないこと、もしくは外生的事象から生じる財務上の損失、または法令諸規則の違反や野村グループの評判の悪化といった非財務的影響を被るリスクと定義しています。オペレーショナル・リスクには、野村グループの非財務リスク分類に定義されているコンプライアンス、リーガル、ITおよびサイバーセキュリティ、不正、外部委託先に関わるリスクその他の非財務リスクが含まれます。この定義は、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)およびレピュテーショナル・リスクを含みませんが、上記オペレーショナル・リスクの顕在化の結果として野村グループ各社の評判の悪化に至ることもあるため、オペレーショナル・リスクとレピュテーショナル・リスクは密接に関連します。

 

 

三段階管理

 野村は、業界標準である、以下の三段階管理で、オペレーショナル・リスク管理を行うこととしております。

(1)第一段階:ビジネス・ユニットは自らリスク管理を行います。

(2)第二段階:オペレーショナル・リスク管理部署は、オペレーショナル・リスク管理を推進します。

(3)第三段階:内部監査および外部監査は、独立した立場からリスク管理に対する保証を与えます。

 

野村におけるオペレーショナル・リスク管理の枠組み

 野村は、オペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリング、報告が可能となるオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しております。経営会議より委任を受けた統合リスク管理会議がこの枠組みに基づくオペレーショナル・リスク管理全般を監督しています。

 

 オペレーショナル・リスク管理の枠組みは、以下のように構成されております。

 

・管理の枠組みの基盤

・ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理に関して定められた各種基本的事項をポリシー等として明文化します。

・研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理について、野村内の認識を高めるための取組みです。

 

・主要な管理活動

・オペレーショナル・リスク事象等の報告: オペレーショナル・リスクに起因して損失または利益、もしくはその他の影響が発生した、あるいは発生する可能性があった事件および事故、あるいは他社事例についての情報を収集・報告するプロセスです。

・RCSA(Risk & Control Self Assessment、リスクとコントロールの自己評価):自らの業務におけるオペレーショナル・リスクや、リスク削減のために導入されているコントロールを特定、評価し、更なるリスク削減に向けた対応策を策定するために、ビジネス・ユニットが用いるプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署は、RCSAプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。

・KRI(Key Risk Indicator、リスク指標):オペレーショナル・リスクにかかる主要な計数の収集と監視を行い、予め定めた水準を超えた場合には必要な対応を行うプロセスです。

・シナリオ分析 :テール・リスク(低頻度大規模損失が発生する可能性)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。

 

 

・管理活動結果の活用

・分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署の主要な役割として、ビジネス・ユニットからもたらされるオペレーショナル・リスク情報について事実確認や原因分析を行ったうえで経営陣等へ報告を行います。

・所要資本の計算と配賦:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算しております。

 

オペレーショナル・リスクの所要自己資本額計算

 野村は、金融庁告示に定められた粗利益配分手法によりオペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本額を算出しております。粗利益配分手法では、業務区分に配分した粗利益に金融庁に定められた一定の掛目を乗じたものの過去3年間の平均値を計算し、オペレーショナル・リスク相当額としております。

 

 野村では、所要自己資本額を算出する際に用いる粗利益として、連結ベースの金融費用控除後の収益を用います。ただし、一部の子会社については、売上総利益を粗利益として用いております。これら粗利益を、管理会計上のセグメント情報を用いて、下表の業務区分に配分します。

 

業務区分

内容

掛目

リテール・バンキング

リテール向け預貸関連業務等

12%

コマーシャル・バンキング

リテール向け以外の預貸関連業務等

15%

決済業務

顧客の決済にかかる業務

18%

リテール・ブローカレッジ

主として小口の顧客を対象とする証券関連業務

12%

トレーディングおよびセールス

特定取引にかかる業務および主として大口の顧客を対象とする証券・為替・金利関連業務等

18%

コーポレート・ファイナンス

企業の合併・買収の仲介、有価証券の引受け・売出し・募集の取扱い、その他顧客の資金調達関連業務等

18%

代理業務

顧客の代理として行う業務

15%

資産運用

顧客のために資産の運用を行う業務

12%

 

・各業務区分に配分された金融費用控除後の収益額と、上表のとおり各区分に設定された掛目をそれぞれ乗じることにより「業務区分配分値」を算出します。いずれの業務区分にも配分されない収益額については18%を乗じ、「配分不能値」を算出します。これらの業務区分配分値と配分不能値をすべての業務区分について合計することにより、「年間合計値」を算出します。この年間合計値を直近3年間について計算し、それらの平均値がオペレーショナル・リスクに相当する所要自己資本の額となります。年間合計値が負の場合にはゼロとして平均値を算出します。業務区分配分値を合計する際、ある業務区分配分値が負であった場合には、他の区分における正の業務区分配分値と相殺します。ただし、配分不能値が負の場合には、相殺は行わず、ゼロとして取り扱います。

・オペレーショナル・リスク所要自己資本額の計算基準時点は3月末と9月末であり、年2回計算されます。

 

モデル・リスク管理

 モデル・リスクとは、モデルの誤謬、またはモデルの不正確若しくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、または顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。

 

 野村では、モデル・リスクを効果的に管理するため、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを監督するモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。また、規程および実施手続において、当社のリスク・アペタイトに照らしたモデル・リスクのモニタリングをはじめとする、モデルの開発、検証、使用、および維持管理に至るまでの各段階における各種手続きの要件を定めています。

 

 新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更にあたっては、正式使用の前に、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受ける必要があります。モデル変更の重要度の判定基準は、モデル・リスク管理の実施手続に定めています。独立検証において、モデル検証チームは、複数の分析を通しモデルの適切性を評価、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。モデル・リスクは、モデルの承認時にモデルの使用制限、モデル・リザーブ、資本調整等の条件を適用することにより低減されます。モデルが適切であることを継続的に評価するため、承認されたモデルに対して年次再承認手続き、およびモデルのパフォーマンスのモニタリングを実施しています。モデル・リスク管理を担う委員会において、全体の監督、精査、ガバナンス、検証済みモデルの最終承認を行います。

 

リスク計測と管理手法

 

リミット管理の枠組み

 堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、明確なエスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門、ファイナンス部門およびLCC部門は、リミットの承認、モニタリング、必要に応じて実施する報告を含む、日々のリミット管理の運用に責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を有します。リミットは、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスクなどの定量的指標に適用されます。

 

ニュー・ビジネス・リスク管理

 ニュー・ビジネス承認プロセスは、野村にとっての新規ビジネスに取り組む際の最初の手続きであり、経営陣の意思決定を支援し、新商品および案件に関連して確実にリスクを認識し適切な管理を行うためのものです。ニュー・ビジネス承認プロセスは以下のとおり2つのプロセスで構成されます。

(1)案件の承認プロセス:案件のレビューを実施し、意思決定をするプロセスであり、権限を有する各種の案件会議が設置されます。遵守されない場合の責任についても文書として明確に定められています。

(2)新商品承認プロセス:ビジネス部門のスポンサーが新商品の取扱を申請し、関連部署からさまざまな意見を得ることができるプロセスです。新商品の組成および取引を実施した結果生じるあらゆるリスクを横断的に把握し、分析することを目的とします。

 

ストレス・テスト

 野村グループでは、さまざまな階層におけるリスクを網羅し、さまざまなストレス期間、ショック水準、蓋然性、およびメソドロジーを使ったストレス・テストを実施しております。ストレス・テストの結果は、資本計画、資本の十分性評価、流動性の十分性評価、再建・破綻処理計画の策定、リスク・アペタイトの適切性の評価、および通常のリスク管理において利用します。

 

 ストレス・テストは定期的に実施する他、外部環境、または野村のリスク・プロファイルに大きな変化が生じた場合には必要に応じ行います。ストレス・テストの結果は、ストレス・テストの種類に応じて、詳細な分析と共にシニア・マネジメントおよび他のステークホルダーへ適切に報告します。

 

ストレス・テストの手法は、大きく以下に分類されます。

・感応性分析は、他のリスク・モデルでは計測が容易でないリスクを補足するために、1種類、ないしは関連する2種類のリスク・ファクター(株価、または株価とそのボラティリティ等)における市場変動の影響を計測する目的で行われます。

・シナリオ分析は、複数の資産区分およびリスク区分にわたり定義されたイベントによる影響を計量化する目的で利用されます。また野村のさまざまな階層に対してストレス・テストを行う際の主たる方法として利用されます。

 シナリオ分析の実施例としては、以下のものがあります。

 - 事業環境とビジネスのリスク・プロファイルや、国内外の経済環境とその見通しを勘案したストレス・シナリオを複数策定し、資本充実度と手許流動性に関するリスク・アペタイトの妥当性を検証します。

・野村グループの資本十分度を評価するための、厳しいが蓋然性が一定程度あるシナリオを採用したストレス・テストは、少なくとも四半期に一度実施されます。

リバース・ストレス・テストは、当社の事業継続が困難となる状況を引き起こす可能性のある脆弱性がどこにあり、そのような状況でいかに対応するかを分析し、当該分析の結果を検証するプロセスで少なくとも年に一度実施されます。

 

 野村グループでは、ストレス・テストを、グループ全体のガバナンスの重要な機能と位置付け、コーポレート機能、ビジネス部門、および経営陣の間の意思疎通をもとに実施し、将来を見据えたリスク管理や、意思決定のプロセスにおいて活用しています。

 

(6)流動性資金調達と資本の管理

資金調達と流動性管理

 

概況

 

 野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付けが低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)の充足が求められております

 

 野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております

 

 経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております

 

1.余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持

 野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております

 

 また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております

 

 潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2020年3月31日現在、5兆3,544億となっており、新型コロナウイルス感染症の影響で市場環境が急変した状況下においてもストレスシナリオを考慮した資金流動性必要額を満たしております

 

 以下の表は2019年3月31日、2020年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

年間平均

2019年3月31日

2020年3月31日

年間平均

2020年3月31日

現預金(1)

2,280.3

2,113.1

2,323.6

2,540.4

国債

2,553.0

2,424.6

2,371.5

2,412.2

その他(2)

301.1

332.8

310.6

401.8

流動性ポートフォリオ

5,134.4

4,870.5

5,005.7

5,354.4

(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。

(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。

 

 以下の表は2019年3月31日、2020年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。

 

 

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

年間平均

2019年3月31日

2020年3月31日

年間平均

2020年3月31日

1,696.8

1,570.7

1,500.6

1,341.9

USドル

2,231.0

1,961.7

2,219.9

2,732.5

ユーロ

734.0

898.8

818.4

789.5

英国ポンド

325.2

265.7

310.5

315.5

その他(1)

147.4

173.6

156.3

175.0

流動性ポートフォリオ

5,134.4

4,870.5

5,005.7

5,354.4

(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。

 

 野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社(以下「NSC」)、他の主要なブローカーディーラーおよび銀行子会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 19 法的規制」を参照してください

 

 以下の表は2019年3月31日、2020年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

当社およびNSC(1)

1,142.9

1,382.9

他の主要なブローカーディーラー

2,473.5

2,645.8

銀行子会社(2)

799.4

775.8

その他の関連会社

454.7

549.9

流動性ポートフォリオ

4,870.5

5,354.4

(1)NSCは日本のブローカーディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、NSCに貸し出しております。

(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルグ S.A.

 

2.流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用

 流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2020年3月31日現在、2兆5,736億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、7兆9,280億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、258.0%に相当します。

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

その他担保未提供資産

2,268.1

2,573.6

流動性ポートフォリオ

4,870.5

5,354.4

合計

7,138.6

7,928.0

 

3.資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散

 野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております

 

 野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2019年3月31日現在43.6%から2020年3月31日現在46.1%に増加しております。

 

3.1 短期無担保債務

 野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります

 

 以下の表は、2019年3月31日、2020年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

 

短期無担保債務

2,518.8

3,072.3

 

 短期銀行借入

107.0

572.1

 

 その他の短期借入

231.4

154.3

 

 コマーシャル・ペーパー

313.0

525.1

 

 銀行業務受入預金

1,149.1

1,116.2

 

 譲渡性預金

11.1

12.1

 

 償還まで1年以内の社債

707.2

692.5

 

3.2 長期無担保債務

 野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております

 

 野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております

 

 日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、NSC、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBI、ノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.、および野村グローバル・ファイナンス株式会社が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております

 

 野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付け、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません

 

 以下の表は、2019年3月31日、2020年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

 

長期無担保債務

6,483.5

6,344.0

 

 長期銀行業務受入預金

232.5

147.9

 

 長期銀行借入

2,727.5

2,591.5

 

 その他の長期借入

87.9

82.5

 

 社債(1)

3,435.6

3,522.1

(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません

 

3.3 償還プロファイル

 プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2020年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、4.5年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております。予定された満期日以前に償還される可能性のあるものについては、野村の内部ストレスオプション評価モデルにより、評価されております。このモデルは、ストレス市場環境下で、いつその債券が償還される可能性があるかを評価します。下図は、このモデルにおいて評価された野村の長期債券と長期借入の満期の分散状況を示したものです。

 

 上記のモデルに基づき評価された仕組ローンや仕組債の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2020年3月31日現在で、6.4年となっており、プレーン・バニラ物を合わせた長期債務全体の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2020年3月31日現在で、5.5年となっております。

 

(画像は省略されました)

 

3.4 有担保資金調達

 野村は、トレーディング業務のための資金調達活動は、担保付借入、レポ契約、日本の現先レポ取引によって、通常行っております。これらの有担保資金調達は、無担保資金調達に比べコストが低く、格付けの影響を受けにくいものと考えております。有担保資金調達は、担保資産の質や市場環境の影響を受けます。流動性の高い資産を担保として用いる場合は短期の契約で資金調達を行う一方で、流動性の低い資産を担保として用いる場合は、契約期間の長期化に努めております。野村は、有担保資金調達にともなう資金流動性リスクを低減させるために、カウンターパーティのグローバルな分散、担保の種類の多様化にも努めております。また、流動性の低い資産を用いた短期有担保資金調達の借り換えが難しくなる場合のリスクに備えて、流動性ポートフォリオを保有しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表注記] 5 担保付取引」をご参照ください

 

4.野村グループ各社に対する与信枠の管理

 野村は、資金調達の安定性を確保するために、金融機関から野村グループに対する与信枠の維持、拡大に努めております。また、資金流動性リスク管理の一環として、野村は、借入の契約満期日が一時期に集中しないように分散させております

 

 

5.流動性ストレステストの実行

 野村は、先に述べた流動性管理方針に沿うよう、一定のストレスシナリオ下でのキャッシュ流出をシミュレートする内部モデルに基づいて流動性ポートフォリオをモニターしております

 

 資金流動性必要額は、さまざまなストレスシナリオ下において、異なるレベルで、さまざまな時間軸に沿って見積もられております。そこでは、親会社や子会社レベルでの格下げといった野村固有および市場全体のイベント下で発生する資金流動性必要額を見積もっております。野村では、このリスク分析を「マキシマム・キュームレーティブ・アウトフロー(以下「MCO」)」と呼んでおります

 

 MCOフレームワークは、主たる資金流動性リスクを考慮したうえで構築し、以下の2つのシナリオに基づいて、将来のキャッシュ・フローをモデル化しております

 

・ストレスシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にある場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく1年間適切な流動性を維持すること

・アキュートシナリオ市場全体が流動性ストレス下にあることに加え、野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく30日間適切な流動性を維持すること

 

 野村は、これらの各モデルで用いられている時間軸の中で、資産の流動化を行ったり、ビジネス・モデルを修正することはできないと想定しております。したがって、MCOフレームワークは、ストレス状況下においても、野村が適切と考える流動性リスク・アペタイトを満たすために必要な資金流動性額を定義するものです

 

 2020年3月末時点において、野村の流動性ポートフォリオは、上述のシナリオ下で想定された資金流出予想額を上回っておりました

 

 野村は、規制環境や市場の変化に基づいた資金流動性リスクの前提条件を継続的に評価し、調整をしております。ストレスの影響をシミュレートするために用いるモデルでは、以下のような事象を考慮、想定しております

 

・資産の売却ができない状況

・追加の無担保調達を行うことができない状況

・既存の借入金の返済期日や発行済み社債の償還期日(1年以内)

・発行済み社債の買い取りの可能性

・流動性の低い資産を担保とする資金調達ラインの喪失

・通常の事業環境下での運転資金需要の変化

・ストレス時における受入銀行預金および担保の流出

・既存のレポ調達時の担保掛目の拡大

・決済銀行からの担保・預託金追加要求

・コミットメント提供先のドローダウン

・損失にともなう資金の喪失

・野村の信用格付けが2ノッチ格下げされた場合のデリバティブ取引にかかる契約上の追加担保要請、および清算・決済機関からの潜在的な追加担保要請

グループ会社間の資金や証券の移動を制限する法規制を考慮した資金流出

 

 

6.コンティンジェンシー・ファンディング・プラン

 野村は、詳細にわたるコンティンジェンシー・ファンディング・プラン(以下「CFP」)を定め、包括的リスク管理の枠組みに組み込むとともに、定量的なコントロールを強化しております。この中で、リクイディティ・イベントの範囲の分析と特定方法を記載しております。そのうえで、野村固有のあるいは市場全体の影響の可能性を見積もることや、リスクを低下させるために即座にとられるべき対応を特定しております。CFPは、キーとなる内部および外部の連絡先やどの情報を知らせるかを示すプロセスの詳細をリスト化しております。また、野村が規制上、法的、あるいは税務上の制限によって、グループ会社レベルにおける資金へのアクセスができなくなったことを想定し、グループ会社レベルで、個別の資金需要に応えうるように作られております。なお、野村は、定期的にさまざまな市場や野村固有のイベントに対して本CFPの有効性をテストしております。野村は、日本銀行等中央銀行が行うさまざまな証券に対して実施する資金供給オペレーションへのアクセスも持っております。これらのオペレーションは、通常のビジネスでも利用しておりますが、市場の悪化による不測のリスクを軽減させる重要な手段のひとつです

 

流動性規制

 2008年にバーゼル委員会は、流動性フレームワークの基盤となる「健全な流動性リスク管理およびその監督のための諸原則」を公表しました。続いて、バーゼル委員会は資金流動性にかかる2つの最低基準を策定し、流動性管理の枠組みをさらに強化しました。これらの基準は、それぞれ独立しているものの相互補完的な2つの目的を達成するために策定されております

 

 第1の基準の目的は、金融機関の流動性リスク態様の短期的強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関が流動性の高い資産を十分に保有し、30日間継続する強いストレスシナリオに耐える力を持っていることを確保することにあります。バーゼル委員会は、この目的を達成するために流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)を策定しました

 

 第2の基準の目的は、長期的な強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関に対し、常により安定的な資金調達源を確保したうえで、業務を行うことを促すための追加的なインセンティブを設けました。安定調達比率(以下「NSFR」)は、対象期間を1年とし、資産・負債が持続可能な満期構造を保つよう策定されました

 

 これら2つの基準を構成するパラメータは、主として、国際的に統一された既定の数値です。しかしながら、各国固有の状況を反映させるため、一部のパラメータには各国裁量の要素が含まれております。LCRについては、本邦においてバーゼル委員会の国際合意文書に必要な修正を加えた金融庁告示が公布され、2015年3月末から最低基準として段階導入されております。当第4四半期連結会計期間におけるLCRの平均値は201.1%となっており、上記金融庁告示の定める要件についても満たしております。なお、NSFRについては、現時点で本邦において導入されておりません

 

キャッシュ・フロー

 野村のキャッシュ・フローは、主に顧客ビジネスフローやトレーディングからなる営業活動およびそれと密接な繋がりのある財務活動によりもたらされます。金融機関はビジネスを展開していくことにより営業活動および投資活動において現金支出となる傾向にあり、野村のキャッシュ・フローは以下に記載しておりますとおり2019年3月期は、営業活動および投資活動において現金支出となり、2020年3月期は営業活動において現金支出、投資活動において現金収入となりました。下の表は、野村の2019年3月期および2020年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書の抜粋です。

 

 

(単位:十億円)

 

 

2019年3月期

2020年3月期

 

営業活動に使用された現金(純額)

△361.2

△15.9

 

  当期純利益(△損失)

△94.7

219.4

 

 トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資

925.4

△2,754.7

 

 トレーディング負債

△143.1

429.0

 

 売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券(純額)

△3,274.9

2,224.4

 

 借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金(純額)

1,987.3

291.8

 

 その他(純額)

238.8

△425.7

 

投資活動から得た

(△投資活動に使用された)現金(純額)

△112.5

216.3

 

財務活動から得た現金(純額)

761.2

332.1

 

  長期借入の増加(△減少)(純額)

516.7

△38.4

 

  短期借入の増加(純額)

85.9

656.2

 

  受入銀行預金の増加(△減少)(純額)

257.5

△93.3

 

 その他(純額)

△98.9

△192.5

 

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物に対する為替相場変動の影響額

44.7

△27.3

 

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の増加額

332.3

505.2

 

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期首残高

2,354.9

2,687.1

 

現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期末残高

2,687.1

3,192.3

 

 詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] ⑤ 連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。

 

 2020年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物5,052億円増加3兆1,923億円となりました。短期借入増加により6,562億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は3,321億円となりました。トレーディングにおいては、トレーディング負債の増加による現金収入がありましたが、トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の増加による現金支出の結果、2兆3,257億円の現金支出となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から2兆5,161億円の現金収入がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は159億円となりました。

 

 2019年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は3,323億円増加し2兆6,871億円となりました。長期借入の増加により5,167億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は7,612億円となりました。トレーディングにおいては、トレーディング負債の減少による現金支出がありましたが、トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の減少による現金収入の結果、7,822億円の現金収入となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から1兆2,875億円の現金支出がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は3,612億円となりました。

貸借対照表および財務レバレッジ

 2020年3月31日現在の資産合計は、2019年3月31日現在の40兆9,694億円に対し、トレーディング資産が増加したこと等により、3兆304億円増加し、43兆9,998億円となりました。また、2020年3月31日現在の負債は、2019年3月31日現在の38兆2,886億円に対し、買戻条件付売却有価証券が増加したこと等により、2兆9,799億円増加し、41兆2,686億円となりました。2020年3月31日現在の当社株主資本は、2019年3月31日現在の2兆6,311億円に対し、利益剰余金の増加にともない、224億円増加2兆6,535億円となりました。

 

 野村は、マーケットの極端な変動によってもたらされ得る大きな損失にも耐えられる規模の資本を維持することに努めております。野村の適正資本の維持にかかる基本方針は経営会議が決定し、その実践の責任を負います。適正資本の維持にかかる基本方針には、適正な総資産規模の水準やそれを維持するために必要な資本規模の決定などが含まれます。当社は、当社のビジネス・モデルに起因する経済的なリスクに耐え得る必要十分な資本を維持しているかにつき、定期的な確認を行っておりますが、こうした観点とは別に、銀行業や証券業を営む子会社は規制当局から要請される最低資本金額を満たす必要もあります。

 

 レバレッジ・レシオは、野村と同様に他の金融機関でも、一般的に用いられており、当社のアニュアルレポートの利用者が野村のレバレッジ・レシオおよび調整後レバレッジ・レシオを他の金融機関と比較できるように、ベンチマークとする目的で、自主的に開示しております。調整後レバレッジ・レシオは、野村がレバレッジにかかる有用な補助的指標であると考える米国会計原則に基づかない指標です。

 

 以下の表は、当社株主資本、総資産、調整後総資産と財務レバレッジの状況を示しています。

 

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

当社株主資本

2,631.1

2,653.5

総資産

40,969.4

43,999.8

調整後総資産(1)

23,662.5

28,092.7

レバレッジ・レシオ(2)

15.6

16.6

調整後レバレッジ・レシオ(3)

9.0

10.6

(1)調整後総資産は米国会計原則に基づかない指標であり、総資産の額から売戻条件付買入有価証券および借入有価証券担保金の額を控除したものとなり、以下のように計算されます。

 

 

(単位:十億円)

 

2019年3月31日

2020年3月31日

総資産

40,969.4

43,999.8

控除:

 

 

売戻条件付買入有価証券

13,194.5

12,377.3

借入有価証券担保金

4,112.4

3,529.8

調整後総資産

23,662.5

28,092.7

(2)レバレッジ・レシオは、総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。

(3)調整後レバレッジ・レシオは、調整後総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。

 

 総資産は、主にトレーディング資産が増加したことにより、7.4%増加しました。当社株主資本は、主に利益剰余金が増加したことにより、0.9%増加しました。この結果、野村の財務レバレッジは、2019年3月31日現在の15.6倍から2020年3月31日現在16.6倍に上昇しました。

 

 調整後総資産が増加した理由は、トレーディング資産の増加によるものです。その結果、調整後レバレッジ・レシオは、2019年3月31日現在9.0倍、2020年3月31日現在10.6倍となりました。

 

連結自己資本規制

 金融庁は2005年6月に「金融コングロマリット監督指針」を策定し、連結自己資本規制に関する規定を設けました。この「金融コングロマリット監督指針」に基づき、2005年4月から、当社は、連結自己資本規制比率のモニタリングを開始しました。

 

 2011年4月から、当社は、親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十号、以下「川上連結告示」といいます。)により、バーゼルⅡに基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。また、2011年12月末からは、マーケット・リスク相当額の計測方法を大幅に改定したバーゼル2.5に基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。さらに、2013年3月末からは、より質の高い資本を具備させることを目的とした自己資本項目の再定義や、信用リスク・アセットの計測対象の大幅な追加を主な内容とするバーゼルⅢを受けて改正された川上連結告示の内容に基づいた連結自己資本規制比率の計測を行っております。

 

 当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本(普通株式等Tier1資本およびその他Tier1資本)の額、総自己資本(Tier1資本およびTier2資本)の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を測定しております。2020年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率(普通株式等Tier1資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は15.34%、連結Tier1比率(Tier1資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は16.40%、連結総自己資本規制比率(総自己資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は16.60%となり、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2020年3月31日現在、川上連結告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について7.51%、連結Tier1比率について9.01%、連結総自己資本規制比率について11.01%となっております。

 

 2019年3月31日および2020年3月31日現在の連結自己資本規制比率について、以下に示しております。

 

 

 

(単位:億円)

 

2019年3月31日

 

2020年3月31日

自己資本

 

 

 

普通株式等Tier1資本の額

24,397

 

24,046

Tier1資本の額

26,059

 

25,715

総自己資本の額

26,519

 

26,024

 

 

 

 

リスク・アセット

 

 

 

信用リスク・アセットの額

75,274

 

76,347

マーケット・リスク相当額を8%で除して得た値

42,111

 

55,493

オペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た値

25,131

 

24,905

リスク・アセット合計

142,516

 

156,745

 

 

 

 

連結自己資本比率

 

 

 

連結普通株式等Tier1比率

17.11%

 

15.34%

連結Tier1比率

18.28%

 

16.40%

連結総自己資本規制比率

18.60%

 

16.60%

 

 

 

 

 信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は、金融庁の承認を得て2011年3月末から基礎的内部格付手法および粗利益配分手法によりそれぞれ算出しております。また、マーケット・リスク相当額は内部モデル方式により算出しております。

 

 また、当社は川上連結告示で定められた要件の遵守状況を示す他に、バーゼルⅢが適用される他の金融機関との比較を容易にするため、連結自己資本規制比率を開示しております。当社の経営者はこれらに関する報告を定期的に受けております。

 

連結レバレッジ規制

 金融庁は2019年3月に「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十二号、以下「開示告示」といいます。)を改正するとともに「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成三十一年金融庁告示第十三号、以下「連結レバレッジ比率告示」といいます。)を公表し、連結レバレッジ比率に関する算出ならびに開示にかかる要件、およびレバレッジ比率3%の最低基準を定めました。当社は開示告示等に基づき、2015年3月末から連結レバレッジ比率の算出および開示を開始しました。さらに、2019年3月末からは、開示告示、連結レバレッジ比率告示および最低比率基準を下回った場合の早期是正措置を定めたその他の告示等の内容に基づいた連結レバレッジ比率の計測を行っております。また、当社の経営者は同連結レバレッジ比率に関する報告を定期的に受けております。なお、2020年3月31日現在の当社の連結レバレッジ比率は、4.83%となりました。

 

当社をめぐる規制動向

 金融危機によって明らかになった脆弱性を踏まえ、規制資本の枠組みを強化するより広範な取組みについてバーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)は一連の文書を公表しました。当社にとって関連が深いと思われる事項について、以下に概要を記載しております。

 

 新型コロナウイルスによる市場混乱の影響を記載しております。リスク・アセットは1兆6,000億円増加して16兆円となり、2020年3月末の連結普通株式等Tier1比率は15.34%、連結Tier1比率は16.40%、そして連結レバレッジ比率は4.83%となりました。主に市場のボラティリティの上昇や信用スプレッドの拡大に影響されております。

 

 金融庁と規制当局は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を鑑み、自己資本規制の一部緩和や新規制の導入延期を公表しております。2020年3月、バーゼル委員会と監督当局長官(GHOS)は、銀行および監督当局にオペレーショナルな強靭性を支援することを目的とした追加的措置を承認しております。この中で、未だ導入期限の来ていないバーゼルⅢ規制について、導入期限を1年延期しました。この発表を受けて、金融庁は日本における実装時期も1年延期することを公表しております。また、2020年4月には、金融庁と日本銀行の間で金融政策の円滑な遂行のために日銀当座預金残高をレバレッジ比率規制から一時的に除外する対応をとることで合意しております。本合意を受けて、金融庁は2020年6月30日から2021年3月31日までの間、最低水準の引き上げを伴わずにレバレッジ比率の分母となるエクスポージャーから日銀当座預金残高を控除する旨を定めた告示改正案を公表しております。

 

 2010年12月16日にバーゼル委員会は銀行セクターの強靭性を高めるために、いわゆるバーゼルⅢテキスト「より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」および「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しました。これには、資本の質、一貫性および透明性の向上、店頭デリバティブ取引における信用評価調整(Credit Value Adjustment)の導入のような自己資本の枠組みにおけるリスク捕捉の強化、リスク・ベースの枠組みに対する補完的指標としてのレバレッジ比率の導入、現行の枠組みにおける「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)」に対する懸念を抑制する一連の措置、また、30日間の流動性カバレッジ比率と、それを補完するより長期的な構造の流動性比率を含む、最低限の流動性基準の導入が含まれています。これらのバーゼルⅢパッケージは、2013年より段階的に適用が開始されております。加えて、2012年7月25日に、清算機関(以下「CCP」)向けエクスポージャーに対する資本賦課についての暫定規則が公表され、バーゼルⅢの一部として2013年から実施されております。さらに、上記のとおり2015年3月末より開始した連結レバレッジ比率の算出および開示、ならびに2019年3月末より開始した連結レバレッジ比率の計測に加え、現在までに、バーゼル委員会から、ファンド向けエクイティ出資にかかる資本賦課、カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測にかかる標準的手法、CCP向けエクスポージャーに対する資本賦課、大口エクスポージャーの計測と管理のための監督上の枠組み、バーゼルⅢ安定調達比率、証券化商品の資本賦課枠組みの見直し、マーケット・リスクの最低所要自己資本等に関して一連の最終規則が公表されております

 

 また、2011年11月のG-20サミットにおいて、金融安定理事会とバーゼル委員会は、グローバルにシステム上重要な金融機関(以下「G-SIBs」)の監督手法および破綻処理計画の策定を含むG-SIBsに対する追加的要件を公表しました。同時に、G-SIBsのリストは毎年11月に金融安定理事会とバーゼル委員会により、更新されております。なお、2011年11月の公表以来、当社はG-SIBsには指定されておりません。一方で、G-SIBsの枠組みを国内のシステム上重要な金融機関(以下「D-SIBs」)まで拡張するようにとの要請を受け、バーゼル委員会は2012年10月、D-SIBsに関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定・公表しました。2015年12月、金融庁は当社をD-SIBsに指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を0.5%(3年間の経過措置あり)といたしました

 

 2015年11月、金融安定理事会は、G-SIBsに対して総損失吸収力(以下「TLAC」)にかかる最終基準を公表しました。TLAC基準は、破綻したG-SIBsが、当局の秩序ある処理を実施するため、利用可能な十分な損失吸収力および資本増強能力を確保するように設計されています。金融庁は、金融安定理事会のTLAC基準の公表を受けて、2016年4月に本邦G-SIBsに適用される本邦TLACの枠組みを整備する方針を公表しましたが、その後、2018年4月に、本邦G-SIBsのみならず、(i)国際的な破綻処理対応の必要性が高く、(ii)破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関である本邦D-SIBsについても適用対象とする方針とされました。改訂された方針においては、本邦G-SIBsおよび野村(以下「本邦TLAC対象SIBs」)は、本邦TLAC規制の適用対象となりました。さらに、2019年3月には「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(平成三十一年金融庁告示第十号)および「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」がそれぞれ公表および改訂されており、野村は現時点で本邦G-SIBsに選定されておりませんが、野村を含む本邦TLAC対象SIBsは、バーゼルⅢの枠組みに定められている最低要求水準に従ってTLACにかかる規制要件を満たすことが求められます。具体的には、野村は、2021年3月31日からリスク・アセットの16%、2024年3月31日以降は18%のTLACリスク・アセット最低基準を満たす必要があります。同様に、2021年3月31日からレバレッジエクスポージャーの6%、2024年3月31日以降は6.75%のTLACレバレッジエクスポージャー最低基準を満たす必要があります。

 

 さらに、2018年4月に公表された金融庁の改訂後の方針によれば、将来の国際的な議論に基づき変更される可能性がありますが、本邦TLAC対象SIBsに適用される破綻処理戦略は、実際の処理は破綻時の本邦TLAC対象SIBsの実態を考慮のうえで個別事案毎に決定されるものの、金融庁のような、単一の当局が金融グループの最上位に位置する持株会社等に対して破綻処理権限を行使するシングル・ポイント・オブ・エントリー(以下「SPE」)とされました。SPE破綻処理戦略を実効的に実現するためには、金融庁は持株会社である本邦TLAC対象SIBsの国内における破綻処理対象会社(以下「国内処理対象会社」)について、(i)外部TLACの最低所要水準以上を確保すること、(ii)金融安定理事会によるTLAC合意文書による選定を踏まえて金融庁が指定した金融機関の主要子会社が調達する、損失吸収力を有すると認められる資本・負債を一定の水準以上引き受ける、即ち内部TLACの分配対象となることが求められます。

 また、金融庁の改訂後の方針によれば、預金保険制度に鑑み、本邦TLAC対象SIBsの国内処理対象会社について規制導入時からリスク・アセットの2.5%相当分(野村は2021年3月31日)、規制導入後3年間以降はリスク・アセットの3.5%相当分(野村は2024年3月31日)を外部TLACとして算入することが認められる方針であります。

 

 今後も、川上連結告示を始めとする各業態の自己資本規制、流動性規制、レバレッジ規制等の諸規制はバーゼル委員会、証券監督者国際機構または金融安定理事会等の一連の規制強化の動きに沿って改定される可能性があります

 

格付会社による信用格付

 無担保資金の調達コストおよび調達可能金額は一般的に格付会社による長期あるいは短期の信用格付の影響を受けます。当社および野村證券には、S&P Global Ratings、Moody's Investors Service、Fitch Ratings、格付投資情報センターおよび日本格付研究所より長期および短期の信用格付が付与されています。

 2019年8月2日に、S&P Global Ratingsは、野村ホールディングスの長期発行体格付を「A-」から「BBB+」に、野村證券の長期発行体格付を「A」から「A-」、短期発行体格付を「A-1」から「A-2」に、それぞれ変更しました。

 2020年5月13日に、Fitch Ratingsは、野村ホールディングスおよび野村證券の存続性格付「bbb+」を格付ウォッチ「ネガティブ」の対象にしました。長期発行体デフォルト格付は「A-(安定的)」と据え置きました。

 

 2020年5月28日現在の当社および野村證券の格付会社による格付は以下のとおりです。

野村ホールディングス(株)

短期債務

長期債務

S&P Global Ratings

A-2

BBB+

Moody's Investors Service

Baa1

Fitch Ratings

F1

A-

格付投資情報センター

a-1

A+

日本格付研究所

AA-

 

野村證券(株)

短期債務

長期債務

S&P Global Ratings

A-2

A-

Moody's Investors Service

P-2

A3

Fitch Ratings

F1

A-

格付投資情報センター

a-1

A+

日本格付研究所

AA-

 

(7)オフ・バランス・シート取引

非連結事業体との取引

 野村は通常の業務において、将来の財政状態や業績に影響を与える可能性があるさまざまなオフ・バランス・シート取引を非連結事業体と行っております。

 

 野村が行う非連結事業体とのオフ・バランス・シート取引には、以下のものが含まれます。

 

・債務保証契約上の義務

・譲渡した資産に対する留保持分または偶発的な持分、もしくは、譲渡した資産に関し信用リスク、流動性リスク、市場リスクを補完するような類似の取引

・デリバティブとして会計処理される契約による一切の義務(偶発債務を含む)

・非連結事業体が資金調達リスク、流動性リスク、市場リスク、信用リスクの補完を野村に対し提供している場合、またはリース、ヘッジ、研究開発契約を野村と結んでいる場合、野村が保有しかつ野村にとって重要な非連結事業体の変動持分から発生する一切の義務(偶発債務を含む)

 

 非連結事業体は、会社、パートナーシップ、ファンド、信託、その他法的事業体の形態をとり、限定された特定の目的を履行するために、発起人によって設立されます。野村は、これらの事業体を設立または発起したり、第三者によって設立または発起された事業体と取引を行います。

 

 野村の非連結事業体との関与は、マーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を組成し、引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。非連結事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。これらの事業体との重要な関与は、たとえ期末日における損失の可能性が低くても、取引すべてに基づいて評価されています。

 

 変動持分事業体との取引については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。

 

(8)契約上の義務の開示

 野村の業務の一部として、将来支払いが必要となるかもしれないさまざまな契約上の義務および偶発的コミットメントを有しております。これらの取引は以下のものを含んでおります。

 

スタンドバイ信用状およびその他の債務保証

 野村は、通常の銀行もしくは金融業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。

 

長期借入および約定金利の支払

 野村の業務に関連して、野村の資金調達政策に従い、日本円建ておよび日本円建て以外の長期借入、それにかかわる変動および固定金利の支払いを行っております。

 

オペレーティング・リース・コミットメント

 野村は、国内外でオフィス、特定の従業員用住宅、器具備品および情報・通信関連資産を通常業務の範囲内で主にオペレーティング・リースにより貸借しております。また、野村は、不動産および器具備品をオペレーティング・リースにより転貸借しております

 

ファイナンス・リース・コミットメント

 野村は、国内外で特定の器具備品および施設をファイナンス・リース契約により賃借しております。

 

購入義務

 物品およびサービスを購入する義務には、建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約が該当します。

 

 

貸出コミットメント

 野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、こうした契約義務には一般に固定満期日が設定されております。

 投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる有価証券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。

 中央清算機関の会員として、野村は他の会員が債務不履行に陥った際に、国債および政府系機関債を裏付けとしたリバース・レポの取引相手になり、流動性資金の提供を行う確約をしております。

 

投資コミットメント

 野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントおよび当該投資に関連してパートナーシップに資金提供するコミットメントを行っております。

 

 「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 8 リース」に野村のオペレーティング・リース、ファイナンス・リースにかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 11 借入」に野村の短期借入および長期借入にかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 コミットメント、偶発事象および債務保証」にこれらにかかわる追加的情報を記載しております。

 

 こうした貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、こうした信用関連コミットメントの契約金額は将来の現金所要額を必ずしも表しているわけではありません。こうした契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なったものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。

 

 下記の表は2020年3月31日現在での満期年限別の契約上の義務および偶発的コミットメントを表示しております。

 

(単位:百万円)

契約総額

満期年限

1年以内

1~3年

3~5年

5年超

スタンドバイ信用状およびその他の債務保証

2,351

10

1,184

1,156

1

長期借入(1)

7,720,941

778,008

1,224,258

1,645,653

4,073,022

約定金利の支払(2)

458,021

74,270

125,210

91,478

167,063

オペレーティング・リース・コミットメント(3)

215,916

41,270

56,349

43,751

74,546

購入義務(4)

126,949

20,523

35,720

8,392

62,314

貸出コミットメント(5)

2,247,433

1,399,086

139,295

167,322

541,730

投資コミットメント

15,278

491

4

5,628

9,155

合計

10,786,889

2,313,658

1,582,020

1,963,380

4,927,831

(1)長期借入で開示されている金額は、編纂書860にしたがって金融資産の譲渡を売却取引ではなく金融取引として会計処理されている金融負債を含んでおりません。これらは野村の資金調達を目的とした借入ではなく、したがって野村が現金を返済する実際の契約上の義務を表しておりません。

(2)約定金利の支払金額は、長期借入金に関連し、その償還期日および2020年3月31日現在適用される金利に基づいて見積もられる将来の支払金利の総額であります。

(3)割引前の年限別将来支払リース料を示しております。また、ファイナンス・リースの契約額は重要な金額ではありませんでした。

(4)購入義務の金額は、重要な条件がすべて特定されている法的な強制力のある契約に基づく、契約上の義務となる最低金額が記載されています。購入義務の金額には、既に貸借対照表に負債または支払債務として計上されているものは除かれています。また、日本橋地区の再開発不動産の一部を組合から購入する義務が含まれております。詳細は、「注記23 重要な後発事象」をご参照ください。

(5)中央清算機関への流動性資金の提供を行う確約を含んでおります。

 

 上記に記載されている契約上の義務および偶発的コミットメントには、通常の場合短期の義務の性格を有する短期借入、受入銀行預金、その他の支払債務、担保付契約および担保付調達(例えば、売戻条件付買入取引および買戻条件付売却取引)およびトレーディング負債などを含んでおりません。

 

 上記の金額に加えて、野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2020年3月31日現在、売戻契約に対して1,969十億円および買戻契約に対して677十億円となっております。

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 経営目標

 野村グループでは、社会からの信頼および株主・お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて、企業価値を高めることを経営目標として掲げています。グローバル金融サービス・グループとして国内外のお客様に付加価値の高いソリューションを提供するとともに、当グループに課せられた社会的使命を踏まえて経済の成長や社会の発展に貢献してまいります。また、企業価値の向上にあたっては、経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図るものとしています。あわせて、財務健全性の確保および株主価値の持続的な向上についても取り組んでいくことといたします。

 

(2) 優先すべき喫緊の課題への取組み

 足元では、新型コロナウイルスの世界経済や金融市場における影響は甚大です。このような環境下、当社グループの優先課題は大きく変化しており、その影響が明確になる中で、以下の喫緊の課題に取り組んでいます。

 

・企業の必要な資金の調達や市場での円滑な取引の実現のため、資本市場における仲介機能・流動性供給者としての役割を途切れることなく遂行

・お客様、地域社会、当社役職員とその家族の安全を確保しつつ、経済と企業活動の回復に尽力(グローバルに多くの社員が在宅勤務を行う中で、お客様への非対面でのサービス提供や通常業務を円滑に遂行できる態勢の整備等)

・マーケットが大きく変動しストレスがかかった環境においても、野村グループの強固な財務基盤と十分な流動性を維持

 

引き続き、これらの課題に対応していくことが重要と認識しています。

 

(3) 環境変化を見据えた優先課題への取組み

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、お客様の行動変化や新たなニーズが生まれ、実体経済や資本市場の動向等の野村グループを取り巻くビジネス環境も大きく変わっていくと想定しています。また、社員の働き方も変化していきます。こうした環境変化に合わせて、企業価値の持続的向上を目指す成長戦略の策定を進めていく他、当社のオペレーション・モデルの修正を図っていきます。

 

・企業価値の持続的向上を目指す成長戦略

 企業価値向上のためのビジネス戦略として、「パブリック」から「プライベート」への拡大・強化を掲げています。具体的には、まず「商品・サービス」、「顧客基盤」および「お客様との接点」それぞれの領域において更なる拡大・強化を目指します。

 

商品・サービス

 従来から強みをもつ上場株式、投資信託等の金融商品に加え、プライベートの領域(プライベート・エクイティ、プライベート・デット、インフラ等の事業性資産を含むオルタナティブ投資)へと提供する商品・サービスの領域を積極的に拡大していきます。同様に、お客様のニーズにあわせ、公募だけでなく私募への取り組みも強化します。

 

顧客基盤

 資金調達やM&A等のソリューション提供においては、上場会社に加え、スタートアップ企業(非上場企業)に対しても、更なるビジネス拡大をはかります。さらに、発行体、投資家ともに、新たなお客様はもちろん、既存のお客様に対しても、商品提供だけでなく、コンサルティングやアドバイザリーによるニーズを掘り起こし、新たなサービスの提供を通じて更なるビジネスの拡大に取り組んでいきます。

 

お客様との接点

 非対面はもとより従来の対面においてもデジタルの積極的な活用を推進します。各種の情報や商品提供だけではなく、さまざまなコンテンツも含め、お客様一人ひとりのニーズ・ご都合に対応していきます。

 

 

 

「パブリック」から「プライベート」への拡大・強化

 

(画像は省略されました)

 

・新たなビジネス環境を見据えたオペレーションの改善

 お客様へのアプローチについては、新型コロナウイルスの影響が続いても、お客様の行動変化や新たなニーズ拡大に最大限向き合えるよう、アプローチ方法の多様化(状況に応じて対面、電話、メール、オンラインを選択できる仕組み作り等)を進めます。

 また、業務アプローチについては、在宅勤務時を含む、社員の生産性向上に向けた取り組み(ITインフラへの投資、デジタライゼーションの加速等)を継続していきます。

 

(4) 経営指標

 国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、金融資本規制の影響下に置かれることから、さらなる資本の有効活用が求められています。そのため、今後、当社にとっては、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということを鑑み、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しています。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆さまが当社の経営状況や資本の有効活用状況を把握するためにも有益だと考えています。

 

 ROEの中長期的な目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2025年3月期において8~10%の水準を掲げております。しかしながら、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。

 

 野村グループが遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、普通株式等Tier 1比率(CET 1比率)を11%以上に維持することを掲げています。当社のCET 1比率の詳細と算定方法については、「第2〔事業の状況〕 3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕 (6)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。当社は、先に述べたROEを用いて資本効率を意識した経営を行う一方で、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。上記に述べたような経営指標や経営の基本方針等については、2020年5月に開催された取締役会において深度ある議論が実施されております。

 

(5) 各部門の課題と取組み

 各部門の課題、取組みは以下のとおりです。

 

[営業部門]

 営業部門においては、「お客様の資産の悩みに応えて、お客様を豊かにする」という基本観のもと、多くの人々に必要とされる金融機関を目指しております。今後は、資産承継や老後資金の不足に対する不安など、多様化する資産の悩みに的確に応えるため、パートナーのスキルアップを継続して図るとともに、幅広い商品・サービスの充実に努めます。また、これまで当社をご利用いただいていないお客様にも商品・サービスをお届けするため、オンラインサービスを拡充するとともに、コールセンター等を通じたリモートコンサルティング体制を強化してまいります。

 

[アセット・マネジメント部門]

 投資信託ビジネスにおいては、資産運用に対するニーズの高まりが見込まれる資産形成層やリタイアメント層に焦点をあて、投資家の幅広い投資ニーズに応える多様な投資機会を提供してまいります。投資顧問ビジネスにおいては、国内外の投資家へ付加価値の高い運用商品とサービスを提供することによる顧客基盤の拡大と運用資産の増加を図ってまいります。今後とも、お客様に対して優れた運用成果を提供することに加え、多様化する資産運用ニーズに応えることで、世界の投資家から選ばれる運用会社となることを目指してまいります。

 

[ホールセール部門]

 ホールセール部門においては、お客様のニーズのさらなる高度化やテクノロジーの発展によるマーケットの変化に加えて、新型コロナウイルスなどによる不透明なマーケット環境や景気の低迷などが我々のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。引き続きお客様へ高度なサービスと付加価値を提供し続けるために、国内外および他部門との連携を強化し、しっかりとリスクコントロールを行ってまいります。ビジネスの領域を広げるとともに成長の見込まれる分野に効率的に財務リソースを活用していきます。

 

 グローバル・マーケッツでは、今後の景気や市場動向を見据えたポートフォリオの見直しを行い、徹底したリスクコントロールのもとでお客様に流動性の提供を継続してまいります。また、投資家向けストラクチャードビジネスやストラクチャード・ファイナンスといった成長が見込める分野でのビジネスおよび顧客対応を強化するとともに、フロービジネスではデジタライゼーションを推し進めて効率化と差別化に努めてまいります。

 

 一方、インベストメント・バンキングでは、お客様のビジネス活動のグローバル化が継続する中、クロスボーダーM&Aや国内外の市場での資金調達、またそれらの取引に付随する金利・為替ビジネスなどのソリューション・ビジネスの提供に努めてまいります。

 

マーチャント・バンキング部門

 マーチャント・バンキング部門においては、事業再編・事業再生・事業承継・MBO等の案件において、多様化・複雑化するお客様のさまざまな課題解決のため、エクイティ等を活用したソリューションを提供しております。お客様からのさらに幅広いソリューションへの期待に応えるため、リスク管理を適切に行いながら、投資先の企業価値向上支援に注力し、プライベート・エクイティ市場の拡大にも貢献してまいります。

 

[リスク・マネジメント、コンプライアンスなど]

 野村グループでは、経営理念に基づき戦略的目標および事業計画の達成のために許容するリスクの種類と水準をリスク・アペタイトとして定めております。その上で、事業戦略に合致し、適切な経営判断に資するリスク管理体制を継続的に拡充していくことにより、財務の健全性確保および企業価値の向上に努めてまいります。

 

 コンプライアンスについては、野村グループがビジネスを展開している各国の法令および規則を遵守するための管理態勢の整備に引き続き取り組むとともに、すべての役職員がより高い倫理観を持って自律的に業務に取り組めるよう社内の制度やルールの見直しを継続的に実施しております。

 

 2019年3月には、東京証券取引所で議論されている上位市場の指定・退出基準に関する情報について、市場の公正性・公平性の観点から不適切な取扱いがあり、同年5月、当社および野村證券は、金融庁より、情報管理にかかる経営管理態勢等につき、業務改善命令を受けました。当社および野村證券では、本件を重く受け止め、組織体制の見直しや規程の整備のほか、法令および規則の遵守のみならず、すべての役職員が社会規範に沿った行動ができるようにするため、野村グループの一員として取るべき行動の指針として「野村グループ行動規範」を策定するとともに、行動規範に基づく適正な行為(コンダクト)を推進する実効的な内部管理態勢の整備を行っております。

 

 また、野村グループでは、2015年より、「野村『創業理念と企業倫理』の日」を定め、毎年、すべての役職員が過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにすることとしております。この取組みにおいても適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション等を行うことで、健全な企業風土の醸成に努めるとともに、役職員一人ひとりが、資本市場に携わるプロフェッショナルとしての高い倫理観を持って行動できるよう、更なる取組みを進めてまいります。

 

 以上のように、経営目標の達成に向け取り組んでまいります。引き続き、金融・資本市場の安定とさらなる拡大および発展に尽力するとともに、より一層、社会に必要とされ、お客様に信頼される金融サービス・グループを目指してまいります。

2【事業等のリスク】

 投資判断をされる前に以下に述べるリスクについて十分にご検討ください。以下に述べるリスクのいずれかが実際に生じた場合、野村のビジネスや財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。その場合、野村の株式の市場価格が下落し、投資家の皆さまが投資額の全部または一部を失う可能性があります。また、以下に述べられたリスク以外にも、現時点では確認できていない追加的なリスクや現在は重要でないと考えられているリスクも野村に影響を与え、皆さまの投資に影響を与える可能性があります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

 野村のビジネスは日本経済および世界経済の情勢および金融市場の動向により重大な影響を受ける可能性があります

 野村のビジネスや収益は、日本経済および世界経済の情勢ならびに金融市場の動向により影響を受ける可能性があります。また、各国の経済情勢や金融市場の動向は、経済的要因だけではなく、戦争、テロ行為、経済・政治制裁、世界的流行病、地政学的リスクの見通しまたは実際に発生した地政学的イベント、あるいは自然災害などによっても影響を受ける可能性があります。仮に、このような事象が生じた場合、金融市場や経済の低迷が長期化し、野村のビジネスに影響が及ぶとともに、大きな損失が発生する可能性があります。特に、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後も、世界的な混乱および経済活動の縮小が継続した場合、野村のビジネスに悪影響を与える可能性があります。このような状況が長期化した場合、ビジネスの継続や収益にどの程度の影響が生じてくるのかは極めて不確実で予測の難しい状況にあります。さらに、日本が直面する人口高齢化や人口減少の長期的傾向等は、野村の事業分野、特にリテールビジネスの分野において、需要を継続的に圧迫する可能性があります。また、金融市場や経済の低迷が長期化しない場合でも、市場のボラティリティの変化など、環境の変化が野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。

 なお、野村のビジネス・業務運営に影響を与える金融市場や経済情勢に関するリスクには以下のものが含まれます。

 

 野村がビジネスを行う国・地域における政府・金融当局による政策の変更が、野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります

 野村は、国内外の拠点網を通じて、グローバルにビジネスを展開しています。したがって、野村がビジネスを行う国・地域において、政府・金融当局が財政および金融その他の政策を変更した場合、野村のビジネス、財政状態または経営成績に影響を与える可能性があります。また、日本を含む多くの主要各国の中央銀行による金融政策が変更され、それにともなう金利や利回りの変動等が進んだ場合、顧客向け運用商品の提供やトレーディング活動または投資活動等に影響を及ぼす可能性があります。例えば、日本の低金利環境が継続することによるフィクスト・インカム収入の低下などが挙げられます。

 

新型コロナウイルスの流行が、野村のビジネス、顧客および従業員に悪影響を及ぼしており、今後も継続する可能性があります

 2020年の新型コロナウイルスの世界的流行とそれに伴う各国政府による感染拡大防止策により、株価の急落・金利の乱高下・ボラティリティの高まり・クレジット・スプレッドの急拡大等の混乱など、不確実性の高い状況が継続することが予想される金融資本市場を中心に、野村を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。

 

 英国による欧州連合離脱の移行期間後の状況は、野村のビジネスに各種の影響を与える可能性があります

 2020年1月31日、英国は英国および欧州連合間(以下「EU」)の離脱協定に基づき、EUを離脱(以下「Brexit」)しました。離脱後もEU法および諸規定が英国に適用される移行期間(以下「移行期間」)が2020年12月31日までと設定されていますが、その期間を延長するか否かを英国およびEUにより合意するための法的期限は2020年6月30日と定められています。仮に英国およびEU間で自由貿易協定等の各種協定を締結できずに移行期間が終了を迎えた場合、野村が提供するサービスを含む当該二者間の貿易において関税や各種制限が直ちに発生する可能性があります。

 

 野村は、ロンドンを地域本部として、欧州において大規模なビジネスを展開しているため、Brexit後の交渉結果は野村のビジネスに対し各種の影響を与える可能性があります。現在、野村の規制ビジネス活動は、クロスボーダー・サービスの提供を通じ、EU単一市場法制に基づく欧州経済領域(以下「EEA」)へのアクセス(以下「パスポート権利」)を有するロンドンに設立の証券会社であるノムラ・インターナショナルPLC(以下「NIP」)を中心に行われています。もし、英国およびEU間において、パスポート権利を含む金融サービスにかかるアクセスの継続に関し、なんらの合意なく移行期間が終了となる場合、NIPはEEAへのアクセスを失い、結果として、NIPに残される欧州地域ビジネスにおける収入および収益性が影響を受ける可能性があります。当該状況は、その他の欧州地域のグループ各社にも同様に当てはまるものです。

 

 このようなBrexitがもたらす可能性のある諸問題に対処するため、野村は許認可証券会社であるノムラ・ファイナンシャル・プロダクツ・ヨーロッパGmbH(以下「NFPE」)をドイツ連邦共和国に設立しており、ドイツを拠点として、

NFPEはなんらの合意なく移行期間が終了した場合にもパスポート権利を継続的に保有します。しかしながら、NFPEへの欧州顧客の移管が円滑に進まない可能性や、NFPEがNIPと同水準のサービス提供を行うことができない可能性が存在します。また、以下に記載するとおり、欧州地域には野村のビジネスに影響を及ぼし得る不確実性が多く残っています。

 

 例えば、英国およびEU間での移行期間終了後の金融サービスへのアクセスにかかる協定等の内容によっては、野村の欧州地域のビジネスは影響を受ける可能性があります。さらに、なんらの協定も締結されない場合、英国および広く欧州地域の金融安定に影響を与える可能性があります。この場合、市場の混乱および増加したボラティリティは、とりわけ短期的に野村の財政状態の管理に対し、潜在的に厳しい流動性および業務遂行上の圧力を伴い、野村のビジネスに影響を与える可能性があります。また、将来協定の発効まで現状の英国およびEU間の制度を維持するため、移行期間の延長が合意された場合でも、市場参加者の行動に影響を与える可能性があります。例えば、このような状況を受けて市場参加者が取引・活動を延期またはキャンセルする可能性があり、その場合、結果として野村の収入および収益性も影響を受ける可能性があります。

 

 英国およびEU間の将来協定の内容により、広く金融システムおよび欧州地域の規制・監督制度が大幅に変更される可能性があり、結果として野村のビジネスも影響を受ける可能性があります。移行期間後の新しい制度は、現在、ロンドンにおいて中心的に取引されているユーロ通貨建て金融取引につき、金融市場インフラストラクチャーのロケーションや流動性供給、プライシングの各側面において影響を与える可能性があります。また、新しい規制・監督制度の内容次第では、金融機関および金融市場インフラストラクチャーにかかる事業活動要件が、すべての市場参加者にとってより厳しいものとなる可能性があります。

 

 このような、より広範な金融システムにおける関連規制・監督制度にかかる変更は、金融市場の分断化を加速させ、結果として、事業コストの増加を招き、野村の収益性も影響を受ける可能性があります。そのような事業コストの増加は、規制資本、流動性、ガバナンス、リスク管理およびエンティティ設計のような規制要件の導入または改正を含む多くの要件に起因し発生する可能性があります。

 

 全体的に、Brexitの最終的な形態は、主に英国およびEUに対し、政治・経済の両面において長期化する多くの不確実性をもたらします。また、地域外の市場に対しても一定程度の影響を及ぼします。これらの不確実性は、場合により貿易摩擦等の他の環境変化とも合わせて、世界経済の成長およびグローバルな金融安定にさらなる下降圧力を加える可能性があり、結果として、金融市場における流動性の低下、さまざまな資産クラスにおける予期せぬボラティリティの高まり、資金調達コストの上昇、投資活動のリスク回避傾向の助長およびマイナスの企業マインドをもたらすことが予測されますが、これらすべてが野村のビジネスに影響を与える可能性があります。

 

 野村の仲介手数料やアセット・マネジメント業務からの収入が減少する可能性があります

 金融市場や経済情勢が低迷すると、野村が顧客のために仲介する証券取引の取扱高が減少するため、仲介業務にかかる収入が減少する可能性があります。また、アセット・マネジメント業務については、多くの場合、野村は顧客のポートフォリオを管理することで手数料を得ており、その手数料額はポートフォリオの価値に基づいています。したがって、市場の低迷によって、顧客のポートフォリオの価値が下がり、解約等の増加や新規投資の減少が生じることによって、野村がアセット・マネジメント業務から得ている収入も減少する可能性があります。また、顧客の資産運用の趣向が変化し、預金などの安定運用や、相対的に低手数料率であるパッシブファンドなどへシフトすることで、これらの収入は減少する可能性があります。

 

 野村の投資銀行業務からの収入が減少する可能性があります

 金融市場や経済情勢の変動によって、野村の行う引受業務や財務アドバイザリー業務などの投資銀行業務における案件の数や規模が変化する可能性があります。これらの業務の手数料をはじめとして、投資銀行業務からの収入は、野村が取り扱う案件の数や規模により直接影響を受けるため、野村の投資銀行業務および当該業務における顧客等に好ましくない形で経済または市場が変動した場合には、これらの収入が減少する可能性があります。

 

 2020年の新型コロナウイルスの世界的流行を契機として、投資銀行業務の市場環境は厳しさを増しており、投資銀行収益は大きな影響を受けています。将来的にはM&A案件やその他の投資銀行業務の大幅な減少による収益への影響が予想されます。

 

 野村の電子取引業務からの収入が減少する可能性があります

 電子取引システムは、野村のビジネスにとって、少ないリソースで効率的に迅速な取引を執行するために必要不可欠なシステムです。これらのシステムを利用することにより、取引所またはその他の電子取引市場を介して効率的な執行プラットフォームおよびオンライン・コンテンツやツールを顧客に提供することが可能となります。電子取引における競争は激化しており、競合他社における大幅な手数料の引き下げや無手数料取引の導入は、当社の電子取引収益だけでなく収益全体を圧迫する可能性があります。取引手数料やスプレッド等を含むこれらの電子取引業務からの収入は、野村が取り扱う案件の数や規模により直接影響を受けるため、金融市場や経済情勢が変動した結果、顧客の取引頻度の低下または取引額の低下が生じた場合にはこれらの収入が減少することが予想されます。電子取引の利便性により取引量は今後増加する可能性がありますが、取引手数料の低下を補填するほど十分でない場合は、野村の収入が減少する可能性があります。野村は今後も効率的な取引プラットフォームの提供に関する技術開発投資を続けていく予定ですが、電子取引の手数料の値下げ圧力が高まった場合には、当該投資から生み出される収益を最大限に確保できない可能性があります。

 

 トレーディングや投資活動から大きな損失を被る可能性があります

 野村は自己売買および顧客取引のために、債券市場や株式市場等でトレーディング・ポジションと投資ポジションを保有しております。野村のポジションはさまざまな種類の資産によって構成されており、その中には株式、金利、通貨、クレジットなどのデリバティブ取引、さらに貸付債権、リバース・レポも含まれます。これらの資産が取引される市場の変動は、当該資産のポジションの価値に影響を与える場合があり、それぞれ下落はロング・ポジションに、上昇はショート・ポジションに影響を及ぼす可能性があります。そのため、野村はさまざまなヘッジ手法を用いてポジションリスクの軽減に努めていますが、それでも資産の価格変動により、また、金融市場や経済情勢が急激に変化するような場合には、金融システム全体に過度のストレスがかかり、市場が野村の予測していない動きをすることにより、野村は損失を被る可能性があります。

 

 野村のビジネスは市場のボラティリティ水準の変化の影響を既に受けているか、または、将来、受ける可能性があります。野村のトレーディングビジネスの一部であるトレーディングや裁定取引の機会は市場のボラティリティの変化により作り出されます。したがって、ボラティリティが低下した場合、取引機会が減少し、これらのビジネスの結果に影響を与える可能性があります。一方、ボラティリティが上昇した場合は、トレーディング量やスプレッドを増加させることがありますが、これによりバリュー・アット・リスク(以下「VaR」)で計測されるリスク量が上昇し、野村はマーケットメイキングや自己勘定投資にともなって高いリスクに晒され、またはVaRの増加を避けるためにこれらのビジネスのポジションまたは取引量を減らすことがあります。

 

 さらに野村は、資本市場における取引を円滑に進めるために、引受業務やトレーディング業務にともない比較的大きなポジションを保有することがあります。また、野村が投資商品の開発を目的としてパイロット・ファンドを設定してポジションを保有し、投資商品の設定・維持を目的としてシード・マネーに出資を行うことがあります。野村は市場価格の変動によりこれらのポジションから大きな損失を被る可能性があります。

 

 加えて、野村が担保を提供する取引においては、担保資産の価値の大幅な下落や、野村の格付の低下をはじめとした信用力の低下が発生した場合は、追加担保を必要とするなど取引コストの上昇および収益性の低下を招く可能性があります。一方、担保の提供を受ける取引においては、資産価値の下落が顧客取引の減少につながり、それにともなう収益性の低下を招く可能性があります。2020年3月31日現在、1ノッチないし2ノッチの格下げがあり、それ以外の変化はなかったと想定した場合、当社が、デリバティブ契約に関連して、追加担保提供を求められる見積もり合計額は、それぞれ約55億円と約643億円です。

 

 LIBORから代替金利指標への移行等が、野村のビジネスに不利に影響する可能性があります

 野村は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)などの銀行間取引金利(IBORs)を変動金利として参照する金利スワップをはじめとしたデリバティブ取引や、債券等の引受・販売を行っています。LIBORを不正に操作する事件が2012年に発生したことを受け、2017年7月27日、LIBORを規制する英国金融行為規制機構(以下「FCA」)の長官は、2022年以降、FCAは銀行に対して、LIBOR算定のための金利を呈示する依頼や強制を行わないと発言し、LIBORの2022年以降の存続が保証されないことを示唆しました。その後、日本をはじめとした他の各国当局からも、LIBORを参照する金融取引について、代替金利指標への移行や、LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応を求める意向が示されています。そのため、LIBORを参照する契約のほとんどは2021年末までに置き換えられるか、恒久的な公表停止に備えた条項が契約に盛り込まれることが予想されています。しかし、代替金利指標の詳細な仕様については各国で議論が続けられている状態であることに加え、移行にともなって適用される金利指標の計算方法の変更や、締結される契約や適用される会計処理の変更等により、システムの改修やオペレーションの変更、顧客への情報開示等への対応にかかる追加的な費用やリスクの

発生、LIBORを変動金利として参照するデリバティブ取引や債券等の価格や価格変動性、市場流動性に影響を与える可能性があり、その結果、野村のビジネス、財政状態および経営成績に重大な影響を与える可能性または取引の相手方や取引関係者との紛争や訴訟等が発生する可能性があります。

 

 野村は、LIBORを参照する取引を円滑に移行させるため、全社でのLIBOR移行プログラムを開始しました。しかしながら、代替金利指標の詳細が定まっておらず、それを参照する取引が市場に普及・定着していないため、今後の動向には不確実性があり、野村のビジネスに起こりうる混乱を回避できない可能性があります。

 

 証券やその他の資産に大口かつ集中的なポジションを保有することによって、野村は大きな損失を被る可能性があります

 マーケット・メイク、ブロックトレード、引受業務、証券化商品の組成、第三者割当による新株予約権付社債等の買い取り業務、または、顧客ニーズに対応した各種ソリューション・ビジネス等においては、特定の資産を大口かつ集中的に保有することがあり、大きな損失を被る可能性があります。野村は多額の資金をこれらのビジネスに投じており、その結果、しばしば特定の発行者または特定の業界、国もしくは地域の発行者が発行する証券または資産に大口のポジションを保有することがあります。野村は、一般に、商業銀行、ブローカー・ディーラー、清算機関、取引所および投資会社といった金融サービス業に携わる発行者に対するエクスポージャーが大きくなる傾向があります。また、顧客や取引先とのビジネスにより、特定の国や地域の発行者が発行する証券を保有する場合があります。加えて、住宅および商業用不動産ローン担保証券などの資産担保証券についても、市場価格が変動すると、野村は損失を被る可能性があります。

 

 市場低迷の長期化や市場参加者の減少が流動性を低下させ、大きな損失が生じる可能性があります

 市場低迷が長期化すると、野村の業務に関連する市場において取引量が減少し、流動性が低下します。また、規制強化を背景とする金融機関の市場関連業務の縮小も市場の流動性に影響を与えます。この結果、市場において、野村は、自己の保有する資産を売却またはヘッジすることが困難になるほか、当該資産の市場価格が形成されず、自己の保有する資産の時価を認識できない可能性があります。特に店頭デリバティブ等においてはポジションのすべてを適切に解消し、またはヘッジすることができない場合に大きな損失を被る可能性があります。さらに、市場の流動性が低下し、自己の保有するポジションの市場価格が形成されない場合、予期しない損失を生じることがあります。

 

 2020年は新型コロナウイルスの世界的流行とそれに伴う各国の感染拡大対策は世界経済の急速な縮小を招いた一方で、株式市場や金利の乱高下、安全資産への逃避を背景に顧客アクティビティが増加したことでトレーディングビジネスは活況となりましたが、この傾向がどの程度継続するのかは不透明です。

 

 ヘッジ戦略により損失を回避できない場合があります

 野村はさまざまな方法や戦略を用い、多様な種類のリスクに対するエクスポージャーをヘッジしています。ヘッジ戦略が効果的に機能しない場合、野村は損失を被る可能性があります。野村のヘッジ戦略の多くは過去の取引パターンや相関性に根拠を置いています。例えば、ある資産を保有する場合は、それまでその資産の価値の変化を相殺する方向に価格が動いていた資産を保有することでヘッジを行っています。しかし野村は、さまざまな市場環境においてあらゆる種類のリスクに晒されており、過去の金融危機の際に見られたように、過去の取引パターンや相関性が維持されず、これらのヘッジ戦略が必ずしも十分に効果を発揮しない可能性があります。

 

 野村のリスク管理方針や手続きが市場リスクの管理において十分に効果を発揮しない場合があります

 リスクの特定、モニターおよび管理を行うための野村の方針や手続きが十分な効果を発揮しない場合があります。例えば、野村のリスク管理方法の一部は過去の金融市場におけるデータの動きに基づいて設計、構築されていますが、将来の金融市場における個々のデータの振る舞いは、過去に観察されたものと同じであるとは限りません。その結果、将来のリスク・エクスポージャーが想定を超えて、大きな損失を被る可能性があります。また、野村が使用しているリスク管理方法は、市場、顧客等に関する公表情報または野村が入手可能な情報の評価をよりどころとしています。これらの情報が正確、完全、最新なものではなく、あるいは正しく評価されていない場合には、野村は、リスクを適切に評価できず、大きな損失を被る可能性があります。加えて、市場の変動などにより野村の評価モデルが市場と整合しなくなり、適正な評価やリスク管理が行えなくなる可能性があります。

 

 

 市場リスクによって、その他のリスクが増加する可能性があります

 前述の野村のビジネスに影響を与えうる可能性に加え、市場リスクがその他のリスクを増幅させる可能性があります。例えば、金融工学や金融イノベーションを用いて開発された金融商品に内在する諸リスクは市場リスクによって増幅されることがあります。

 また、野村が市場リスクによりトレーディングで大きな損失を被った場合、野村の流動性ニーズが急激に高まる可能性があり、一方で、野村の信用リスクが市場で警戒され、資金の調達が困難になる可能性があります。

 さらに、市場環境が悪化している場合に、野村の顧客や取引相手が大きな損失を被り、その財政状態が悪化した場合には、これらの顧客や取引相手に対する信用リスクが増加する可能性があります。

 

 連結財務諸表に計上されているのれんおよび有形・無形資産にかかる減損が認識される可能性があります

 野村は、事業の拡大等のため、企業の株式などを取得し、または企業グループの一部の事業を承継しており、野村が適切と判断した場合にはこれらを継続して行う見込みです。このような取得や承継は、米国会計原則に基づき、野村の連結財務諸表において、企業結合として認識され、取得価額は資産と負債に配分され、差額はのれんとしています。また、その他にも有形・無形資産を所有しております。

 

 これらの企業結合などにより認識されたのれんおよび有形・無形資産に対して減損損失やその後の取引にともなう損益が認識される可能性があります。その場合、野村の経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。例えば、野村は、2019年3月期において、ホールセール部門での過去の海外での買収に関連して、81,372百万円ののれんの減損を認識しております。

 

 資金流動性リスクの顕在化によって野村の資金調達能力が損なわれ、野村の財政状態が悪化する可能性があります

 資金流動性、すなわち必要な資金の確保は、野村のビジネスにとって極めて重要です。野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。即時に利用できるキャッシュ・ポジションを確保しておくことに加え、野村は、レポ取引や有価証券貸借取引、長期借入金の利用や長期社債の発行、コマーシャル・ペーパーのような短期資金調達先の分散、流動性の高いポートフォリオの構築などの方法によって十分な資金流動性の確保に努めています。しかし、野村は一定の環境の下で資金流動性の低下に晒されるリスクを負っています。

 

 その内容は以下のとおりです。

 

 野村が無担保あるいは有担保での資金調達ができなくなる場合があります

 野村は、借り換えも含めた日常の資金調達において、短期金融市場や債券発行市場での債券発行、銀行からの借入といった無担保資金調達を継続的に行っています。また、トレーディング業務のための資金調達活動として、レポ取引や有価証券貸借取引といった有担保資金調達を行っています。これらの資金調達ができない場合、あるいは通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる場合、野村の資金流動性は大きく損なわれる可能性があります。例えば、野村の短期または中長期の財政状態に対する評価を理由に、資金の出し手が資金提供を拒絶する可能性があるのは、次のような場合です。

 

・多額のトレーディング損失

・市場の低迷にともなう野村の営業活動水準の低下

・規制当局による行政処分

・信用格付けの低下

 

 上記に加え、資金の出し手側の貸付余力の低下、金融市場やクレジット市場における混乱、投資銀行業や証券ブローカレッジ業、その他広く金融サービス業全般に対する否定的な見通し、日本の国家財政の健全性に対する市場の否定的な見方など、野村に固有でない要因によって、野村の資金調達が困難になることもあります。

 

 野村が資産を売却できなくなる可能性があります

 野村が資金を調達できない、もしくは資金流動性残高が大幅に減少するなどの場合、野村は期限が到来する債務を履行するために資産を売却するなどの手段を講じなければなりません。市場環境が不安定で不透明な場合には、市場全体の流動性が低下している可能性があります。このような場合、野村は資産を売却することができなくなる可能性や資産を低い価格で売却しなければならなくなる可能性があり、結果的に野村の経営成績や財政状態に影響を与える場合があります。また、他の市場参加者が同種の資産を同時期に市場で売却しようとしている場合には、野村の資産売却に影響を及ぼすことがあります。

 信用格付の低下により、野村の資金調達能力が損なわれる可能性があります

 野村の資金調達は、信用格付に大きく左右されます。格付機関は野村の格付けの引下げや取消しを行い、または格下げの可能性ありとして「クレジット・ウォッチ」に掲載することがあります。将来格下げがあった場合、野村の資金調達コストが上昇する可能性や、資金調達自体が制約される可能性があります。その結果、野村の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 さらに、日本の国家財政の健全性に対する市場の否定的な見方といった、野村に固有でない要因によっても、野村の資金調達が困難になることもあります。

 

 市場リスクや資金流動性リスクだけではなく、イベント・リスクも野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせる可能性があります

 イベント・リスクとは、事前に予測が困難な出来事(例えば、自然災害、人災、流行病、テロ行為、武力紛争、政情不安、その他野村のビジネスや取引相手等に影響を与える出来事)によりマーケットに急激な変動がもたらされた場合に発生する潜在的な損失をいいます。これらには、2011年3月の東日本大震災、2017年の北朝鮮による核実験実施等にともなう朝鮮半島情勢の緊張の高まり、2018年から2019年にかけての米中通商摩擦、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大のような突然かつ想定外の貿易環境や安全保障政策の急変などの社会的に重大な事象のほか、より個別具体的に野村のトレーディング資産や投資資産に損失を生じさせるおそれのある、次のような出来事が含まれます。

 

・主要格付機関による、野村のトレーディング資産や投資資産に関する信用格付の突然かつ大幅な格下げ

・野村のトレーディング戦略を陳腐化させ、競争力を低下させ、または実行不能にするような、トレーディング、税務、会計、金融規制、法律その他関連規則の突然の変更

・野村が関与する取引が予測不能な事由により遂行されないために野村が受取るべき対価を受取れないこと、または野村がトレーディングもしくは投資資産として保有する有価証券の発行会社の倒産や詐欺的行為もしくはこれらに対する行政処分等

 

 野村に債務を負担する第三者がその債務を履行しない結果、損失を被る可能性があります

 野村の取引先は、ローンやローン・コミットメントに加え、その他偶発債務、デリバティブなどの取引や契約により、野村に対して債務を負担することがあります。これら取引先が法的整理手続きの申請、信用力の低下、流動性の欠如、人為的な事務手続き上の過誤、政治的・経済的事象による制約など、さまざまな理由で債務不履行に陥った場合、野村は大きな損失を被る可能性があります。特に昨今では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響や、それに伴う政府の対応を受けて、取引先の債務不履行が増加する可能性があります。貸倒引当金の準備と維持は行っていますが、当該引当金は、入手可能な限りの情報に基づく経営者の判断および仮定に基づいています。例えば、2020年3月31日現在の引当金は、取引先の野村に対する支払義務の履行能力が新型コロナウイルスの感染拡大による短期および長期的影響をどの程度受けるかに関する一定の仮定を反映したものです。しかしながら、これらの判断および仮定は、不正確であることが判明する可能性があります。

 

 信用リスクは、次のような場合からも生じます。

 

・第三者が発行する証券の保有

・証券、先物、通貨またはデリバティブの取引において、クレジット・デフォルト・スワップの取引相手である金融機関やヘッジファンドなど野村の取引相手に債務不履行が生じた場合や、決済機関、取引所、清算機関その他金融インフラストラクチャーのシステム障害により所定の期日に決済ができない場合

 

 第三者の信用リスクに関連した問題には次のものが含まれます。

 

 大手金融機関の破綻が金融市場全般に影響を与え、野村に影響を及ぼす可能性があります

 多くの金融機関の経営健全性は、与信、トレーディング、清算・決済など、金融機関間の取引を通じて密接に連関しています。その結果、ある特定の金融機関に関する信用懸念や債務不履行が、他の金融機関の重大な流動性問題や損失、債務不履行を引き起こし、決済・清算機関、銀行、証券会社、取引所といった、野村が日々取引を行っている金融仲介機関にも影響を及ぼす可能性があります。また将来発生しうる債務不履行や債務不履行懸念の高まり、その他類似の事象が、金融市場や野村に影響を及ぼす可能性があります。国内外を問わず、主要な金融機関が流動性の問題や支払能力の危機に直面した場合、野村の資金調達にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 野村の信用リスクに関する情報の正確性や信用リスクの軽減のために受け入れている担保が十分であるという保証はありません

 野村は信用に懸念のある顧客や取引相手、特定の国や地域に対するクレジットエクスポージャーを定期的に見直しています。しかし、債務不履行が発生するリスクは、粉飾決算や詐欺行為のように発見が難しい事象や状況から生じる場合があります。また、野村が取引相手のリスクに関し、すべての情報を手に入れることができない可能性があります。さらに、野村が担保提供を条件として与信をしている場合に、当該担保の市場価格が急激に下落すると、担保価値が減少し、担保不足に陥る可能性があります。

 

 野村の顧客や取引相手が政治的・経済的理由から野村に対する債務を履行できない可能性があります

 カントリー・リスクや地域特有のリスク、政治的リスクは、市場リスクのみならず、信用リスクに影響を与える可能性があります。現地市場における混乱や通貨危機のように、ある国または地域における政治的・経済的問題はその国や地域の顧客・取引相手の信用力や外貨調達力に影響を与え、結果として野村に対する債務の履行に影響を与える可能性があります。

 

 気候変動やそれに関わる各国の政策変更などを含む、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の要素が当社の事業に影響を及ぼす可能性があります

 

 企業経営における環境、社会、ガバナンス(以下「 ESG 」)の側面に注目が高まる中、野村はこれらの分野における取組みを継続的に発展させ、株主、顧客、および社会全体を含むステークホルダーの観点からも、積極的にその態勢を整えることが必要となっています。ESGへの配慮が充分でない事業活動は、野村の持続可能なビジネスモデルの構築を妨げるばかりでなく、中長期的には、気候変動などESG関連のリスクに対する脆弱性を高める可能性があります。

 気候変動がもたらす直接的な影響と、それに伴うビジネス環境の変化により野村は損失を被る可能性があります。気候変動リスクは物理的リスクと移行リスクの二つに大別されます。

 

 物理的リスク:自然災害や自然火災、海面上昇に伴う洪水といった気候変動を要因として、野村グループ、顧客、および取引先の資産や事業基盤が毀損したり、運用能力が損なわれたりするリスクを指します。

 

‐ 移行リスク:低炭素社会への移行に伴う法規制の強化や外部環境の変化が、野村グループの事業環境に与える影響を指します。これには、各国政府の政策変更や、産業政策、炭素税導入や急速な技術革新により、変化に対応できないビジネスや資産が毀損されるリスクを含みます。

 

 金融業界は激しい競争に晒されています

 野村のビジネスは激しい競争に晒されており、この状況は今後も続くことが予想されます。野村は、取引執行能力や商品・サービス、イノベーション、評判(レピュテーション)、価格など多くの要因において競争しており、特に、仲介業務、引受業務などで激しい価格競争に直面しています。

 

 商業銀行、大手銀行の系列証券会社や外資系証券会社、オンライン証券会社との競争が激化しています

 1990年代後半から、日本の金融業界では規制緩和が進みました。2004年には銀行およびその他の金融機関がブローカレッジ業務に参入可能となり、2009年には商業銀行と証券会社間のファイアーウォール規制が緩和され、競合他社は関係のある商業銀行とより密接に協業することができるようになりました。競争力を増した日本の大手商業銀行の系列証券会社や外資系証券会社は、セールス・トレーディング、投資銀行業務、リテールビジネスの分野において、野村のシェアに影響を及ぼしています。上記に加え、近年はオンライン証券会社の台頭により、競争が一層激化しています。野村はこうした競争環境の変化に対応するべく、既にいくつかの取組みを行っており、ソーシャルネットワーキングやメッセージサービスプロバイダーを手掛ける会社との事業提携もその1つです。しかしながら、激化する競争環境において、このような取組みが野村のシェアの維持拡大に効果を発揮できない場合、ビジネス獲得の競争力が低下し、野村のビジネスおよび経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 金融グループの統合・再編、各種業務提携や連携の進展により競争が激化しています

 金融業界において、金融機関同士の統合・再編が進んでいます。特に、大手の商業銀行、その他幅広い業容を持つ大手金融グループは、その傘下における証券業の設置および獲得ならびに他金融機関との連携に取り組んでいます。近年ではこれら大手金融グループが、総合的な金融サービスをワンストップで顧客に提供すべく、グループ内での事業連携を一層強化しています。具体的には、ローン、預金、保険、証券ブローカレッジ業務、資産運用業務、投資銀行業務など、グループ内での幅広い種類の商品・サービスの提供を進めており、この結果として金融グループの競争力が野村に対し相対的に高まる可能性があります。また、金融グループは、市場シェアを獲得するために、商業銀行業務その他金融サービスの収入により投資銀行業務や証券ブローカレッジ業務を補う可能性があります。また、グループの垣根を越えた商業銀行と証券業との提携や、昨今では新興企業を含む事業会社との提携等、業態・業界を超えた連携へと広がる傾向も見られ、これらの大手金融グループの事業拡大や提携等による収益力の向上などにより、野村の市場シェアが低下する可能性があります。

 

 野村の海外ビジネスは想定以上に厳しい環境に立たされており、今後、ビジネス・モデルの再構築が成功しない可能性があります

 海外には多くのビジネスの機会およびそれにともなう競争が存在します。野村は、これらのビジネス機会を有効に活用するため、米国、欧州、アジアなどの重要な海外市場において競合金融機関と競争しています。このような競争に向けて、野村は海外ビジネスの強化のため、2008年にリーマン・ブラザーズの欧州、中東の一部の事業およびアジアの事業を承継し、またそれらの地域および米国において業務の再構築と拡大を行うために多大な経営資源を投資してきました。一方で、欧州金融機関による市場関連業務からの撤退や各国中央銀行による金融緩和政策等を背景に、市場構造が大きく変化しており、市場全体の流動性も低下しています。野村は、このような厳しい環境に対応するため、経営資源配分の適正化および効率性を追求し、収益性の向上に努めましたが、2019年3月期においては、ホールセールセグメント全体のビジネスにおいて厳しい事業環境に直面したことにより、想定を下回る業績となり、それらを受けて81,372百万円ののれん減損を計上することとなりました。

 

 2019年4月、野村は、オペレーティングモデルのシンプル化、ビジネスポートフォリオの見直し、および顧客ビジネスと成長地域への注力を行うべく、ビジネスプラットフォームの再構築を発表しました。しかしながら、この戦略が功を奏しなかった場合、またはこの戦略が功を奏した場合であっても戦略を実行するうえで想定以上の費用がかさんだり、財務、経営その他の資源を想定以上に投じることとなった場合などには、野村のビジネスおよび経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、この戦略の土台となる想定が正しくなかった場合、得られる利益が想定以上に落ち込むなど、結果として野村のビジネスおよび経営成績に影響を与える可能性があります。例えば、正しくビジネスラインの合理化を進められなかった場合、野村は潜在的なビジネス機会を失う可能性があります。さらに、戦略の実行にともなう人員数や報酬の削減により、野村のビジネスの成功に必要な従業員の獲得および維持に悪影響が及ぶ可能性があります。また、経営体制の合理化が適切に行われなかった場合、野村がグローバルに展開するビジネスを適切に管理監督するための機能に影響を及ぼす可能性があります。

 

 役職員または第三者による不正行為や詐欺により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります

 野村は、役職員または第三者による不正行為というリスクに晒されています。野村の役職員が、上限額を超えた取引、限度を超えたリスクの負担、権限外の取引や損失の生じた取引の隠蔽等の不正行為を行うことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります。また、不正行為には、インサイダー取引、情報伝達行為や取引推奨行為等の役職員または第三者による当社やその顧客の非公開情報の不適切な使用・漏洩その他の犯罪も含まれ、その結果、野村が行政処分を受け、もしくは法的責任を負う可能性、または野村のレピュテーションや財政状態に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 例えば、2019年3月5日、東京証券取引所(以下「東証」)が設置した「市場構造の在り方等に関する懇談会」の委員を務める、株式会社野村総合研究所の研究員(以下「NRI研究員」)から、野村證券のリサーチ部門に所属するチーフストラテジスト(以下「ストラテジスト」)に対し、東証で議論されている市場区分の見直しについて、上位市場の指定基準および退出基準が時価総額250億円以上とされる可能性が高くなっている旨の情報が伝達され、さらに、当該情報は、同日および翌日に、ストラテジストから、野村證券およびノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITEDの日本株営業担当の社員等に伝達されました。また、当該情報を受領した一部の社員は、顧客である一部の機関投資家に対して当該情報を提供しました。当該情報提供は、法令違反ではありませんでしたが、当社および野村證券やその役職員に対する市場参加者からの信頼を損なう行為で不適切な情報伝達であったといえます。外部有識者による特別調査を経て、2019年5月24日、当社は、上記の不適切な情報伝達が発生したことを踏まえ、再発防止策ならびに当社および野村證券の関係役員の役員報酬の一部返上を公表しました。さらに、2019年5月28日、当社および野村證券は、上記の不適切な情報伝達事案が発生したことにより、金融庁から、責任の所在の明確化、詳細な改善計画策定およびその提出、再発防止策の実施状況

の定期的報告ならびにその実効性を定期的に検証して検証結果の報告を求めること等を内容とする業務改善命令を受け、2019年8月28日には、株式会社東京証券取引所より過怠金1,000万円の処分を受けました。

 

 野村は、「野村グループ行動規範2020」を2019年12月3日に策定、その浸透と遵守を徹底することをはじめとする不正行為を防止または発見するための対策を講じていますが、これらの対策により役職員による不正行為を常に防止または発見できるとは限らず、また、不正行為の防止・発見のために取っている予防措置がすべての場合に効果を発揮するとは限りません。そのような不正行為の結果として野村に対する行政上の処分または司法上の決定・判決等が行われれば、野村は一定期間、ビジネスの機会を喪失する可能性があり、また、顧客、特に公的機関が野村との取引を行わない決定をした場合は、たとえ処分等が解除された後であっても、ビジネスの機会を喪失する可能性があります。

 

 また、野村は、第三者が行う詐欺的行為に直接または間接に巻き込まれる可能性があります。野村は、投資、融資、保証、その他あらゆる種類のコミットメントを含め、幅広いビジネス分野で多くの第三者と日々取引を行っているため、こうした第三者による詐欺や不正行為を防止し、発見することが困難な場合があります。

 

 これらによる損失が多額になる可能性があり、また野村に対する信頼が損なわれるおそれもあります。

 

 利益相反を特定し適切に対処することができないことにより、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります

 野村は、多様な商品およびサービスを個人、企業、他の金融機関および政府機関を含む幅広い顧客に対して提供するグローバルな金融機関です。それにともない、野村の日々の業務において利益相反が発生するおそれがあります。利益相反は、特定の顧客へのサービスの提供が野村の利益と競合・対立する、または競合・対立するとみなされることにより発生します。また、適切な非公開情報の遮断措置または共有がされていない場合、特定の顧客との取引とグループ各社の取引または他の顧客との取引が競合・対立する、または競合・対立するとみなされることにより利益相反が発生するおそれがあります。野村は利益相反を特定し対処するための野村グループ利益相反管理方針に基づく利益相反管理体制を整備していますが、利益相反を特定、開示し、適切に対処することができなかった場合、またはできていないとみなされた場合には、野村のレピュテーションが悪化し、現在または将来の顧客を失う可能性があります。また、利益相反の発生により行政処分、または訴訟の提起を受ける可能性があります。

 

 野村のビジネスは、重大なリーガル・リスク、レギュラトリー・リスクおよびレピュテーション・リスクに影響される可能性があります

 野村が重大な法的責任を負うことまたは野村に対する行政処分がなされることにより、重大な財務上の影響を受け、または野村のレピュテーションが低下し、その結果、ビジネスの見通し、財務状況や経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、野村や野村が業務を行う市場に適用される規制に重大な変更がなされた場合、これが野村のビジネスに悪影響を与える可能性があります。野村に対する主な訴訟その他の法的手続きについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 コミットメント、偶発事象および債務保証」をご参照ください。

 

 野村はさまざまな法的責任を負う可能性があります

 野村は、ビジネスにおいてさまざまなリーガル・リスクに晒されています。これらのリスクには、金融商品取引法およびその他の法令における有価証券の引受けおよび勧誘に関する責任、有価証券その他金融商品の売買から生じる責任、複雑な取引条件に関する紛争、野村との取引にかかる契約の有効性をめぐる紛争、業務提携先との間の紛争ならびにその他の業務に関する法的賠償請求等が含まれます。

 

 市場の低迷の長期化または市場に重大な影響を与えるイベントの発生により、野村に対する賠償請求等が増加することが予想され、また、重大な訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟費用は高額にのぼる可能性もあり、訴訟を提起されることにより野村のレピュテーションが悪化する可能性もあります。さらに、適法な取引であったとしても、その取引手法によっては社会的非難の対象となってしまう場合もあります。これらのリスクの査定や数量化は困難であり、リスクの存在およびその規模が認識されない状況が相当期間続く可能性もあります。

 

 野村に適用のあるさまざまな規制により業務が制限され、また行政処分等や損失を受ける可能性があります

 金融業界は広範な規制を受けています。野村は、国内において政府機関や自主規制機関の規制を受けるとともに、海外においては業務を行っているそれぞれの国の規制を受けています。また、野村のビジネスの拡大とともに、適用される政府機関や自主規制機関の規制も増加する可能性や、法改正によって、これらの規制が強化される可能性があります。さらに、金融規制の体系の複雑化が進み、ある一国の規制が、当該国以外の活動に域外適用される可能性も増加しています。

これらの規制は、広く金融システムの安定や金融市場・金融機関の健全性の確保、野村の顧客および野村と取引を行う第三者の保護等を目的としており、自己資本規制、顧客保護規制、市場行動規範などを通じて野村の活動を制限し、野村の収益に影響を与えることがあります。この他、従来の金融関連法制に加え、広く国際的な政治経済環境や政府当局の規制・法執行方針等によっても、野村のビジネスに適用・影響する法令諸規制の範囲が拡大する可能性があります。とりわけ、金融業界に対する各国の政府機関や自主規制機関による調査手続きや執行については、近年件数が増加し、また、それらによる影響はより重大なものになっており、野村もそのような調査手続きや執行の対象となるリスクに晒されています。例えば、米国司法省は、2009年以前に当社の米国子会社の一部が取り扱った住宅ローン担保証券について調査を実施しました。2018年10月15日、これらの当社米国子会社は、調査に関して米国司法省と和解し、480百万ドルを支払うことに同意しました。この点、野村は、法令諸規制を遵守するための対策を講じてはおりますが、法令諸規制に抵触することを完全には防ぐことができない可能性があり、仮に法令違反等が発生した場合には、罰金、一部の業務の停止、社内管理体制の改善等にかかる命令、もしくは営業認可の取消しなどの処分を受ける可能性があります。野村が行政上の処分または司法上の決定・判決等を受けた場合、野村のレピュテーションが悪化し、ビジネス機会の喪失や人材確保が困難になるといった悪影響を受ける可能性があります。また、それらの処分により、顧客(とりわけ公的機関)が野村との金融取引を行わない決定をした場合は、たとえ命令等の処分が解除された後であっても、一定期間、野村がビジネスの機会を喪失する可能性があります。さらに、野村が国際的な制裁の対象地域で事業活動を行う場合には、当該事業活動が制裁規制に違反していなくても、一部の市場関係者が野村への投資や野村との取引を控える可能性があります。

 

 金融システム・金融セクターに対する規制強化の進行が、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 野村のビジネスに適用される規制が導入・改正・撤廃される場合、野村は、直接またはその結果生じる市場環境の変化を通じて悪影響を受けることがあります。規制の導入・改正・撤廃により、野村の全部または一部の事業を継続することの経済合理性がなくなる可能性、もしくは規制の対応に膨大な費用が生じる可能性があります。また、これらの制度改正の詳細および野村への影響は、政府・監督機関により策定される最終的な規制によります。

 

 加えて、野村に適用される会計基準や自己資本比率・流動性比率・レバレッジ比率等に関する規制の変更が、野村のビジネス、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そうした新たな規制の導入または既存の規制の改正には、バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)によるいわゆるバーゼルⅢと呼ばれる規制パッケージが含まれ、2017年12月には、バーゼルⅢの最終規則文書が公表されました。また、2012年10月、バーゼル委員会は、国内のシステム上重要な銀行(以下「D-SIBs」)に関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定し、公表しました。2015年12月、金融庁は当社をD-SIBsに指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を3年間の経過措置はありますが0.5%といたしました。さらに、FSBは、2015年11月にグローバルにシステム上重要な銀行(以下「G-SIBs」)に対して破綻時の総損失吸収力(以下「TLAC」)を一定水準以上保有することを求める最終文書を公表しました。これを受けて、金融庁は、2018年4月に、本邦G-SIBsに加え、本邦D-SIBsのうち、国際的な破綻処理対応の必要性が高く、かつ破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関についても本邦TLAC規制の適用対象とする方針とし、2019年3月に当該方針に基づきTLAC規制にかかる告示等を公表しました。野村は、現時点ではG-SIBsに選定されてはおりませんが、これにより、2021年3月末より本邦TLAC規制の適用対象に加えられることになりました。これらの規制により、野村の資金調達コストが上昇する、あるいは野村のビジネス、資金調達活動や野村の株主の利益に影響を及ぼすような資産売却、資本増強もしくは野村のビジネスの制限を行わなければならない可能性があります。

 

 経営状況、法的規制の変更などにより、繰延税金資産の計上額の見直しが行われ、野村の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 野村は、一定の条件の下で、将来における税金負担額の軽減効果を有すると見込まれる額を繰延税金資産として連結貸借対照表に計上しております。今後、経営状況の悪化、法人税率の引下げ等の税制改正、会計原則の変更などその回収可能性に変動が生じる場合には、野村の連結貸借対照表に計上する繰延税金資産を減額する可能性があります。その結果、野村の経営成績および財政状態に影響が生じる可能性があります。繰延税金資産の内訳につきましては「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 16 法人所得税等」をご参照ください。

 

 野村の保有する個人情報の漏洩により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります

 野村は業務に関連して顧客から取得する個人情報を保管、管理しています。近年、企業が保有する個人情報および記録への不正アクセスや漏洩にかかる事件や不正利用の事件が多数発生していると報じられています。

 

 野村は個人情報の保護に関する法令諸規則に基づき、個人情報の保護に留意し、適用されるポリシーや手続きを定め、

セキュリティ対策を講じておりますが、仮に個人情報の重大な不正漏洩または不正利用が生じた場合には、野村のビジネスにさまざまな点で悪影響が及ぶ可能性があります。例えば、野村は、これらの法令諸規則を万が一違反した場合、規制当局から行政処分や罰則を受ける可能性があるほか、個人情報の漏洩(業務委託先による漏洩を含む)または不正利用により顧客に損失が生じた場合には、顧客から苦情や損害賠償請求を受ける可能性があります。また、自主的に、もしくは行政上の命令その他の規制上の措置の対応として行うセキュリティ・システムの変更により、追加的な費用が発生する可能性があります。また、顧客からお預かりした個人情報の利用が制限されることにより、既存事業や新規事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、不正漏洩または不正利用の結果、野村に対するレピュテーションが悪化することによって、新規顧客が減少したり既存顧客を喪失したりするとともに、野村のブランド・イメージやレピュテーションの悪化の防止・抑制のために行う広報活動のために追加的な費用が発生する可能性があります。

 

 野村の情報システムが適切に稼働しないこと、外部からのサイバー攻撃による情報漏洩または十分なサイバーセキュリティを維持するために必要な費用負担により、野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります

 野村のビジネスは、個人および機密情報を野村のシステムにおいて安全に処理、保存、送受信できる環境に依拠しています。野村は、過去において、野村のシステム上にある情報にアクセスしこれを入手することを企図した、または野村のサービスにシステム障害その他の損害をもたらすことを企図した不正アクセス、コンピューターウイルスもしくは破壊工作ソフトその他のサイバー攻撃の標的になってきましたが、今後も再び標的になる可能性があります。例えば、2018年6月に、海外子会社において、当該子会社のデスクトップ・ネットワークにマルウェア(不正・有害な動作を行う目的で作成されたソフトウェア)による不正なアクセスがあったことが判明しました。それを受けて、野村は、直ちに内部調査を開始し、是正措置を講じるとともに、当該事案の発生を関係当局に対して報告し、また、顧客その他の個人に対してその情報が影響を受ける可能性があることを伝えております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、従業員の多くがネットワーク技術を利用してリモートワークを行っています。これにより、サイバー攻撃その他の情報セキュリティ侵害の対象となる可能性が高まる恐れがあります。これらの脅威は、人為的なミスまたは技術的不具合から発生する場合もありますが、従業員などの内部関係者または海外の非国家主体および過激派組織などの第三者の悪意もしくは不正行為により発生する場合もあります。また、野村のシステムが相互接続している外部事業者、証券取引所、決済機関またはその他の金融機関のいずれかがサイバー攻撃その他の情報セキュリティ侵害の対象となった場合、野村にもその悪影響が及ぶ可能性があります。当該事象により、野村のシステム障害、信用の失墜、顧客の不満、法的責任、法の行政処分または追加費用が生じる可能性があり、上記事象のいずれかまたはその全部の発生により、野村の財政状態および事業運営が悪影響を受ける可能性があります。

 

 野村は、システムのモニタリングおよびアップデートを行うため多大な経営資源を継続的に投入し、かつシステム保護のため情報セキュリティ対策を講じていますが、実施しているそれらの管理手段や手続きが、将来のセキュリティ侵害から野村を十分に保護できる保証はありません。サイバー上の脅威は日々進化しているため、将来的には、現在の管理手段や手続きが不十分となる可能性があり、また、システム修正または強化のため、更なる経営資源を投入しなければならなくなる可能性があります。

 

 自然災害、テロ、武力紛争、感染症等により野村のビジネスに悪影響が及ぶ可能性があります

 野村は、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しておりますが、想定を上回る規模の災害、武力紛争またはテロ行為等により、野村の施設やシステムが被災し、業務の継続が困難になる可能性があります。また、感染症等により役職員による業務遂行に支障が生じる可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症については、2020年に世界的な感染の拡大が続き、世界保健機関によるパンデミック宣言が発出されました。新型コロナウイルスの感染拡大は、日本、欧米や他の地域を含め、都市封鎖の拡大や外出禁止令等の類似の政府要請が世界的に相次ぐ事態を招きました。これらの都市封鎖の拡大等に対応するため、野村では、緊急対応措置を世界各地で実施し、遠隔での勤務環境を整備しました。その結果、遠隔での勤務による、監督上の課題を含む予期しないリスクが増大する可能性があります。このような事態の継続は、一部の地域に限定されたとしても社会・経済機能に影響し、当社のビジネスや収益の結果に影響しており、今後も影響が継続する可能性があります。

 

 当社は持株会社であり、当社の子会社からの支払に依存しています

 当社は、配当金の支払や負債の支払の資金について、当社の子会社から受領する配当金、分配金およびその他の支払に依存しています。会社法などの法規制により、子会社への資金移動または子会社からの資金移動が制限される可能性があります。特に、ブローカー・ディーラー業務を行う子会社を含め、多くの子会社は、親会社である持株会社への資金の移動を停止または減少させる、あるいは一定の状況においてそのような資金の移動を禁止するような、自己資本規制を含む法規制の適用を受けています。例えば、当社の主要なブローカー・ディーラー子会社である野村證券、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルInc、ノムラ・インターナショナルPLCおよびノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITEDは、自己資本規制の適用を受けており、当社への資金移動が制限される可能性があります。これらの法規制は当社の債務履行に必要となる資金調達の方法を制限する可能性があります。

 投資持分証券・トレーディング目的以外の負債証券について野村が期待する収益を実現できない可能性があります

 野村は、プライベートエクイティ投資を含む、多額の投資持分証券・トレーディング目的以外の負債証券を保有しています。米国会計原則では、市場環境によって投資持分証券・負債証券にかかる多額の未実現損益が計上されることがあり、このことが野村の損益に大きな影響を与えます。例えば、2020年3月期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱により、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損失164億円および投資持分証券の評価損166億円を認識しました。市場の環境によっては、野村はこれらの投資持分証券・負債証券を売却したい場合にも、期待どおり迅速には、また望ましい水準では売却できない可能性があります。

 

 連結財務諸表に計上されている関連会社およびその他の持分法投資先の株価が一定期間以上大幅に下落した場合には減損が認識される可能性があります

 野村は上場している関連会社およびその他の持分法投資先の株式に投資しており、この投資は持分法で連結財務諸表に計上されています。米国会計原則では、野村が保有する関連会社の株式の公正価値(市場価格)が一定期間を超えて下落した場合において、価格の下落が一時的ではないと野村が判断したときには、野村は対応する会計年度に減損を認識しなければなりません。このことは、野村の経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

 野村が提供したキャッシュ・リザーブ・ファンドや債券に損失が生じることで顧客資産が流出する可能性があります

 野村は、リスク許容度の異なる顧客のさまざまなニーズに応えるために多くの種類の商品を提供しています。

 

 マネー・マネジメント・ファンド(MMF)やマネー・リザーブ・ファンド(MRF)といったキャッシュ・リザーブ・ファンドは低リスク商品と位置づけられています。このようなキャッシュ・リザーブ・ファンドなどは、急激な金利上昇にともなうポートフォリオに組み込まれた債券価格の下落による損失の発生、ファンドのポートフォリオに組み込まれた債券のデフォルト、マイナス金利の適用によるファンドへの手数料チャージにより、元本割れを起こす場合があります。野村は、運用による安定的な利回りが見込めないと判断した場合、これらのキャッシュ・リザーブ・ファンドなどを繰上償還、もしくは入金制限する可能性があります。例えば、当社子会社である野村アセットマネジメント株式会社は、2016年8月末にMMFの運用を終了、同年9月に資金償還いたしました。

 

 さらに、野村が提供した債券が債務不履行に陥り、利息や元本の支払が遅延する場合があります。

 

 野村が提供したこれら商品に損失、繰上償還あるいは入金制限が生じた場合、野村は顧客の信頼を失う可能性があり、ひいては野村が保管する顧客からの預かり資産の流出もしくは預かり資産増加の妨げとなる可能性があります。

2【沿革】

年月

沿革

1925年12月

株式会社大阪野村銀行の証券部を分離して、当社設立。

1926年1月

公社債専門業者として営業開始。(本店:大阪府大阪市)

1927年3月

ニューヨーク駐在員事務所を設立。

1938年6月

国内において、株式業務の認可を受ける。

1941年11月

わが国最初の投資信託業務の認可を受ける。

1946年12月

当社の本店を東京都に移転。

1948年11月

国内において、証券取引法に基づく証券業者として登録。

1949年4月

東京証券取引所正会員となる。

1951年6月

証券投資信託法に基づく委託会社の免許を受ける。

1960年4月

野村證券投資信託委託株式会社(1997年10月、野村投資顧問株式会社と合併し社名を野村アセット・マネジメント投信株式会社に変更。2000年11月、野村アセットマネジメント株式会社に社名変更)の設立に伴い、証券投資信託の委託業務を営業譲渡。

1961年4月

香港において、ノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITEDを証券業現地法人として設立。

1961年10月

当社の株式を東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所に上場。

1964年3月

ロンドン駐在員事務所を設立。

1965年4月

当社の調査部を分離独立させて、株式会社野村総合研究所を設立(1988年1月、野村コンピュータシステム株式会社と合併)。

1966年1月

当社の電子計算部を分離独立させて、株式会社野村電子計算センターを設立(1972年12月、野村コンピュータシステム株式会社に社名変更。1988年1月、株式会社野村総合研究所と合併し社名を株式会社野村総合研究所に変更)。

1968年4月

改正証券取引法に基づく総合証券会社の免許を受ける。

1969年9月

アメリカ、ニューヨーク市において、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルInc.を証券業現地法人として設立。

1981年3月

イギリス、ロンドン市において、ノムラ・インターナショナルLIMITEDを証券業現地法人として設立(1989年4月、ノムラ・インターナショナルPLCに社名変更)。

1981年7月

ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルInc.、ニューヨーク証券取引所会員となる。

1989年4月

アメリカ、ニューヨーク市において、ノムラ・ホールディング・アメリカInc.を米州持株会社として設立。

1990年2月

オランダ、アムステルダム市において、ノムラ・アジア・ホールディングN.V.をアジア持株会社として設立。

1993年8月

野村信託銀行株式会社設立。

1997年4月

株式会社野村総合研究所のリサーチ部門を当社に移管し、金融研究所設立。

1998年3月

イギリス、ロンドン市において、ノムラ・ヨーロッパ・ホールディングズPLCを欧州持株会社として設立。

1998年12月

改正証券取引法に基づく総合証券会社として登録。

2000年3月

野村アセット・マネジメント投信株式会社(2000年11月、野村アセットマネジメント株式会社に社名変更)を連結子会社とする。これに伴い株式会社野村総合研究所が持分法適用関連会社となる。

2000年7月

野村バブコックアンドブラウン株式会社を連結子会社とする。

2001年10月

会社分割により証券業その他証券取引法に基づき営む業務を野村證券分割準備株式会社に承継させ、持株会社体制に移行。これに伴い、社名を野村ホールディングス株式会社に変更(同時に野村證券分割準備株式会社は社名を野村證券株式会社に変更)。

2001年12月

当社がニューヨーク証券取引所に上場。

2001年12月

株式会社野村総合研究所が東京証券取引所に上場。

2003年6月

当社および国内子会社14社が指名委員会等設置会社へ移行。

2004年8月

野村リアルティ・キャピタル・マネジメント株式会社は、野村土地建物株式会社(以下「野村土地建物」)からファシリティ・マネジメント業務を会社分割により承継し、同時に商号を野村ファシリティーズ株式会社に変更。

2006年3月

ジョインベスト証券株式会社が証券業登録。

2006年4月

野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー株式会社設立。

 

 

年月

沿革

2007年2月

インスティネット社を連結子会社とする。

2007年10月

株式会社プライベート・エクイティ・ファンド・リサーチ・アンド・インベストメンツ設立。

2008年10月

リーマン・ブラザーズのアジア・パシフィックならびに欧州・中東地域部門の雇用等の承継。

2009年11月

野村證券株式会社がジョインベスト証券株式会社を吸収合併。

2011年5月

野村土地建物を連結子会社とする。これに伴い、野村不動産ホールディングス株式会社が連結子会社となる。

2013年3月

2017年4月

 

 

2018年1月

野村不動産ホールディングス株式会社を持分法適用会社とする。

当社の株式管理事業の一部を野村アジアパシフィック・ホールディングス株式会社へ会社分割により承継。これに伴い、ノムラ・アジア・ホールディングスN.V.に代わって、野村アジアパシフィック・ホールディングス株式会社がアジア持株会社となる。

マーチャント・バンキング部門を新設し、野村キャピタル・パートナーズ株式会社を設立。

2020年3月末現在

連結子会社等(連結子会社および連結変動持分事業体)の数は1,342社、持分法適用会社数は13社。

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満株式の状況

 (株)

政府および地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

156

71

2,893

855

276

322,724

326,975

所有株式数(単元)

7,998,513

939,212

1,456,871

10,345,794

9,998

14,169,693

34,920,081

1,554,501

所有株式数の割合

(%)

22.91

2.69

4.17

29.63

0.03

40.58

100.00

(注)1 自己株式454,625,108株のうち、4,546,251単元は「個人その他」に、8株は「単元未満株式の状況」に含まれております。

2 「その他の法人」の欄には、株式会社証券保管振替機構名義の株式が20単元含まれております。

 

3【配当政策】

 当社は、株主価値の持続的な向上を目指し、拡大する事業機会を迅速かつ確実に捉えるために必要となる十分な株主資本の水準を保持することを基本方針としております。必要となる資本の水準につきましては、以下を考慮しつつ適宜見直してまいります。

 

・事業活動にともなうリスクと比較して十分であること

・監督規制上求められる水準を充足していること

・グローバルに事業を行っていくために必要な格付けを維持すること

 

 当社は、株主の皆様への利益還元について、株主価値の持続的な向上および配当を通じて実施していくことを基本と考えています。

 

 配当につきましては、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向30%を重要な指標のひとつとします。各期の配当額については、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定してまいります。

 

 なお、配当回数については、原則として年2回(基準日:9月30日、3月31日)といたします。

 

 また自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処といたします。

 

 内部留保金については、前記規制環境の変化に万全の対応を行うとともに、株主価値の向上につなげるべく、システムや店舗などのインフラの整備も含め、高い収益性と成長性の見込める事業分野に有効投資してまいります。

 

(当期の剰余金の配当)

 上記の剰余金の配当等の決定に関する方針を踏まえ、2019年9月30日を基準日とする配当金は、1株当たり15円をお支払いいたしました。2020年3月31日を基準日とする配当金につきましては、1株当たり5円をお支払いいたしました。これにより年間での剰余金の配当は1株につき20円となります。

 

 当期にかかる剰余金の配当の明細は以下のとおりです。

決議

基準日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額(円)

2019年10月29日

取締役会

2019年9月30日

48,483

15.00

2020年5月8日

取締役会

2020年3月31日

15,195

5.00

(2)【役員の状況】

① 役員一覧

男性 11名 女性 3名(役員のうち女性の比率 21.43%)

(1)取締役の状況

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(百株)

(注4)

取締役会長

永 井 浩 二

1959年1月25日

 

1981年4月

当社入社

2003年4月

野村證券株式会社取締役

2003年6月

同社執行役

2007年4月

同社常務執行役

2008年10月

同社常務(執行役員)

2009年4月

同社執行役兼専務(執行役員)

2011年4月

同社Co-COO兼執行役副社長

2012年4月

当社執行役員

野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長

2012年8月

当社代表執行役グループCEO

野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長

2013年6月

当社取締役兼代表執行役グループCEO

野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長

2017年4月

当社取締役兼代表執行役社長グループCEO

野村證券株式会社取締役会長

2020年4月

当社取締役会長(現職)

野村證券株式会社取締役会長(現職)

 

<主要な兼職>
野村證券株式会社取締役会長

 

(注1)

3,820

取締役

奥 田 健 太 郎

1963年11月7日

 

1987年4月

当社入社

2010年4月

野村證券株式会社執行役員

2012年4月

同社常務(執行役員)

2012年8月

当社常務(執行役員)

野村證券株式会社常務(執行役員)

2013年4月

当社執行役員

野村證券株式会社常務(執行役員)

2015年4月

当社執行役員

野村證券株式会社専務(執行役員)

2016年4月

当社執行役員

野村證券株式会社執行役兼専務(執行役員)

2017年4月

当社執行役員

野村證券株式会社専務(執行役員)

2018年4月

当社執行役グループCo-COO兼米州地域ヘッド(ニューヨーク駐在)

野村證券株式会社取締役兼執行役副社長

2019年4月

当社執行役副社長グループCo-COO

2020年4月

当社代表執行役社長グループCEO

野村證券株式会社代表取締役

2020年6月

当社取締役兼代表執行役社長グループCEO(現職)

野村證券株式会社代表取締役(現職)

 

<主要な兼職>
野村證券株式会社代表取締役

 

(注1)

1,031

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(百株)

(注4)

取締役

森 田 敏 夫

1961年4月17日

 

1985年4月

当社入社

2008年4月

野村證券株式会社執行役

2008年10月

同社執行役員

2010年4月

同社常務(執行役員)

2011年4月

当社常務(執行役員)

2012年4月

当社常務(執行役員)

野村證券株式会社常務(執行役員)

2012年8月

当社執行役

野村證券株式会社専務(執行役員)

2015年4月

当社執行役

野村證券株式会社代表執行役兼専務(執行役員)

2016年4月

野村證券株式会社代表執行役副社長

2017年4月

当社執行役

野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長

2018年4月

当社執行役グループCo-COO

野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長

2019年4月

当社執行役グループCo-COO

野村證券株式会社代表取締役社長

2020年4月

当社代表執行役

野村證券株式会社代表取締役社長

2020年6月

当社取締役兼代表執行役(現職)

野村證券株式会社代表取締役社長(現職)

 

<主要な兼職>
野村證券株式会社代表取締役社長

 

(注1)

2,836

取締役

宮 下 尚 人

1958年12月26日

 

1987年7月

当社入社

1993年6月

スイス・ユニオン銀行(現、UBS)入社

1996年8月

バンカーズ・トラスト・アジア・セキュリティーズ Ltd.入社

1998年4月

クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券会社(東京支店)入社

1999年12月

日興シティグループ証券株式会社(現、シティグループ証券株式会社)入社

2005年3月

同社執行役 内部管理統括責任者

2009年7月

当社グループ・コンプライアンス部長

2012年4月

当社執行役員 ホールセール・コンプライアンス・ヘッド

2012年6月

当社執行役員 グループ・コンプライアンス統括責任者

野村證券株式会社執行役員

2013年4月

当社執行役員 グループ・コンプライアンス統括責任者

野村證券株式会社代表執行役 内部管理統括責任者

2015年4月

当社執行役員 コーポレート統括補佐兼グループ・コンプライアンス統括責任者

野村證券株式会社代表執行役兼常務(執行役員) 内部管理統括責任者

2016年4月

当社顧問

2016年6月

当社取締役(現職)

<主要な兼職>

野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ株式会社監査役

 

(注1)

842

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(百株)

(注4)

取締役

木 村  宏

1953年4月23日

 

1976年4月

日本専売公社(現、日本たばこ産業株式会社)入社

1999年6月

同社取締役

2001年6月

同社取締役退任

2005年6月

同社取締役

2006年6月

同社代表取締役社長

2012年6月

同社取締役会長

2014年6月

同社特別顧問

2015年6月

当社社外取締役(現職)

2016年7月

日本たばこ産業株式会社顧問

2018年3月

同社社友(現職)

<主要な兼職>

日本たばこ産業株式会社社友

 

(注1)

3

取締役

石 村 和 彦

1954年9月18日

 

1979年4月

旭硝子株式会社(現、AGC株式会社)入社

2006年1月

同社執行役員関西工場長

2007年1月

同社上席執行役員エレクトロニクス&エネルギー事業本部長

2008年3月

同社代表取締役兼社長執行役員COO

2010年1月

同社代表取締役兼社長執行役員CEO

2015年1月

同社代表取締役会長

2018年1月

同社取締役会長

2018年6月

当社社外取締役(現職)

2020年3月

AGC株式会社取締役(現職)

2020年4月

国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長(現職)

 

<主要な兼職>

AGC株式会社取締役

TDK株式会社社外取締役

株式会社IHI社外取締役

国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長

 

(注1)

-

取締役

島 崎 憲 明

1946年8月19日

 

1969年4月

住友商事株式会社入社

1998年6月

同社取締役

2002年4月

同社代表取締役 常務取締役

2003年1月

金融庁 企業会計審議会委員

2004年4月

住友商事株式会社代表取締役 専務執行役員

2005年4月

同社代表取締役 副社長執行役員

2009年1月

国際会計基準委員会財団(現、IFRS財団)評議員

2009年7月

住友商事株式会社特別顧問

2011年6月

公益財団法人財務会計基準機構 理事

日本証券業協会公益理事 自主規制会議議長

2013年9月

IFRS財団 アジア・オセアニア オフィス アドバイザー(現職)

日本公認会計士協会 顧問(現職)

2016年6月

当社社外取締役(現職)

野村證券株式会社取締役(現職)

<主要な兼職>

株式会社ロジネットジャパン社外取締役

野村證券株式会社取締役

 

(注1)

168

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数

(百株)

(注4)

取締役

園  マ リ

1952年2月20日

 

1976年10月

日新監査法人(*)入所

1979年3月

公認会計士登録

1988年11月

センチュリー監査法人(*)社員

1990年11月

大蔵省公認会計士審査会「公認会計士試験制度小委員会」委員

1992年4月

大蔵省企業会計審議会委員

1994年12月

センチュリー監査法人(*)代表社員

2002年10月

内閣府情報公開審査会(現、総務省情報公開・個人情報保護審査会)委員

2005年4月

東京都包括外部監査人

2008年7月

新日本有限責任監査法人(*)シニアパートナー

2012年8月

同監査法人退所

2013年12月

証券取引等監視委員会委員

2017年6月

当社社外取締役(現職)

(*)いずれも、現、EY新日本有限責任監査法人

 

(注1)

-

取締役

Michael Lim

Choo San

〔マイケル・

リム〕

1946年9月10日

 

1972年8月

Price Waterhouse, Singapore入所

1992年1月

同所マネージング・パートナー

1998年10月

The Singapore Public Service Commissionメンバー(現職)

1999年7月

PricewaterhouseCoopers, Singapore エグゼクティブ・チェアマン

2002年9月

Land Transport Authority of Singapore チェアマン

2004年9月

Olam International Limited インディペンデント・ディレクター

2011年6月

当社社外取締役(現職)

2011年11月