1年高値6,932 円
1年安値2,687 円
出来高15 百万株
市場東証1
業種情報・通信業
会計IFRS
EV/EBITDAN/A
PBR2.3 倍
PSR・会予N/A
ROAN/A
ROICN/A
β1.30
決算3月末
設立日1981/9/3
上場日1994/7/22
配当・会予0 円
配当性向-9.5 %
PEGレシオN/A
売上高(百万円)&収益性(%)
売上 CAGR・実績:N/A %
利益(百万円)
営利 CAGR・実績:N/A %
純利 CAGR・実績:N/A %
EPS(円) BPS(円)
配当(円)
健全性(%、倍)
セグメント別売上
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
セグメント別営業利益
セグメント別利益率
単一セグメント、もしくはIFRS / USGAAPのため、データがありません。
会社の詳細

3【事業の内容】

 当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当第1四半期から、ソフトバンク㈱がヤフー㈱を子会社化したことに伴ってセグメント管理区分を見直し、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、および「ブライトスター事業」の4つを報告セグメントとしています。なお、当期において、スプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類したため、「スプリント事業」を報告セグメントから除いています。

 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」においては、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルの新設と、当該ビークルによる投資の実行に伴い、当第3四半期から名称を「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」から「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」に変更し、当該ビークルを同セグメントに含めています。なお、当期末現在、デルタ・ファンドが保有する投資はありません。

 

セグメント名称

主な事業の内容

主な会社

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資事業

SB Investment Advisers (UK) Limited

SoftBank Vision Fund L.P.

ソフトバンク事業

・日本国内での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供

・インターネット広告やイーコマースサービスの提供

ソフトバンク㈱

Zホールディングス㈱

アーム事業

・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン

・ソフトウエアツールの販売、ソフトウエアサービスの提供

Arm Limited

ブライトスター事業

・海外での携帯端末の流通事業

Brightstar Corp.

その他

・スマートフォン決済事業

・オルタナティブ投資の資産運用事業

・ラテンアメリカにおけるファンド事業

・福岡ソフトバンクホークス関連事業

PayPay㈱

Fortress Investment Group LLC

福岡ソフトバンクホークス㈱

 

 なお、ソフトバンクグループ㈱は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準および重要基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。

 

(1)経営成績

1.業績ハイライト

営業損失1.4兆円(前期比3.4兆円悪化)

-ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業損失が1.9兆円:このうちソフトバンク・ビジョン・ファンドが当期末において保有する投資の未実現評価損失(純額)1.9兆円。Uber、WeWorkおよびその関係会社3社1の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い当第4四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅減少

-ソフトバンク事業の営業利益は前期比7.4%増と好調

 

親会社所有者に帰属する純損失9,616億円(前期比2.4兆円悪化)

-持分法による投資利益6,387億円:アリババによるAnt Financial株式取得に伴う利益2,865億円を含む

-持分変動利益3,398億円:アリババの香港上場時の新株発行などに伴い計上

-アリババ株式先渡売買契約決済益1兆2,185億円:繰延税金資産取崩しによる法人所得税への影響額3,618億円*を加味した利益影響額は8,568億円

-ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家持分の増減額5,409億円

-財務費用3,009億円*

-当社100%子会社からWeWorkへの投資関係で合計7,208億円*の損失を計上(FVTPLの金融商品から生じる損失や損失評価引当金繰入額などとして計上)

(*:費用の当期計上額)

 

2.事業ハイライト

2020年3月13日、上限5,000億円の自己株式取得を決定

2020年3月23日、自己株式取得と負債削減のために最大4.5兆円の資産の売却または資金化に関する方針を決定

当期末以降の2020年4月1日、スプリントがTモバイルと合併完了

合併後の新Tモバイルは持分法適用関連会社に

-当期からスプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループへ分類

 

為替換算レート

期中平均レート

 

2019年3月期

2020年3月期

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

1米ドル

108.71円

111.55円

112.83円

110.46円

110.00

107.70

108.98

109.22

 

期末日レート

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

1米ドル

110.99円

108.83円

1英ポンド

144.98円

133.32円

 

IFRS第16号の適用について

 当第1四半期からIFRS第16号「リース」を適用しています。IFRS第16号の適用に当たっては、本基準の適用開始による累積的影響額を適用開始日(2019年4月1日)の利益剰余金期首残高の修正として認識しており、前期の情報は修正再表示していません。また、無形資産のリース取引に対してはIFRS第16号を適用していません。詳細は「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照ください。

 

IFRS第16号適用による主な影響:

連結財政状態計算書

 適用開始日に、資産合計が1,336,695百万円、負債合計が1,324,055百万円、資本合計が12,640百万円、それぞれ増加しました。主に、従来賃借処理していたオペレーティング・リースを使用権資産とリース負債として計上したことによるものです。

 

連結損益計算書

 適用開始日に使用権資産とリース負債として計上したオペレーティング・リースに係る費用については、従来の賃借料ではなく、減価償却費と支払利息として計上しています。

 

最大4.5兆円の資産の売却または資金化の方針決定について

 当社は2020年3月23日、取締役会において、自己株式取得と負債削減のために最大4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を決定しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けます。当該自己株式取得プログラムは、当社が2020年3月13日に発表した5,000億円のプログラムに追加して行われるものです。

 

スプリントとTモバイルの合併完了について

 当社米国子会社であるスプリントとTモバイルの全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本取引」)が、2020年4月1日(米国東部時間)、完了しました。同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるT-Mobile US, Inc.(以下「新Tモバイル」)が、株式の約24%(完全希薄化ベース)を当社が保有する持分法適用関連会社となりました。

 2020年3月31日時点において、当社は、本取引の完了の可能性が非常に高いと判断したため、当期の連結損益計算書におけるスプリントの純損益は、継続事業と区分して「非継続事業からの純損益」として表示し、前期における同社の純損益についても遡及修正が行われ、「非継続事業からの純損益」として表示しています。また、スプリントの資産および負債は、当期の連結財政状態計算書において、売却目的保有に分類された資産および負債として表示されています。

 また当社は、本取引の完了に伴い、2021年3月期第1四半期の連結損益計算書において、取得した新Tモバイル株式304,606,049株と一定の条件を満たした際に取得する48,751,557株の2020年4月1日時点の公正価値合計と、当社におけるスプリントの連結簿価との差額を支配喪失利益として「非継続事業からの純損益」に計上する見込みです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響について

 近時、世界各国で新型コロナウイルスの感染が広がる中、多くの国が都市封鎖や外出制限、出入国制限を実施しており、こうした動きは人・モノの流れを停滞させ、世界経済に大きな影を落としています。2020年4月には、国際通貨基金(IMF)が2020年の世界経済の成長率見通しを前年比3.0%減に引き下げました。こうした中、世界の株式相場は2020年2月ごろから急落し、各国の金融当局が矢継ぎ早に対策を打ち出したにもかかわらず、その後も不安定な動きに歯止めはかかっていません。

 新型コロナウイルスの感染拡大は収束の時期がなお見えず、当社の事業や業績に与える中期的な影響を具体的に見通すことが困難な状況が続いています。ただ、足元ではすでにソフトバンク・ビジョン・ファンドを中心とする投資事業に悪影響が出ており、中でもソフトバンク・ビジョン・ファンドは当第4四半期に投資先の公正価値の減少に伴い1.1兆円の投資損失を計上しました。感染拡大の収束が遅れれば、来期も投資事業は先行きの不透明感が拭えない状況が長引くと見込んでいます。

 ソフトバンク㈱においては、現段階では通信事業への影響は軽微と見込んでいます。Zホールディングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込まれる一方で、広告出稿や宿泊・飲食予約サービスの利用が減少すると見込んでいます。

 アームにおいては、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷が減少すればテクノロジー・ロイヤルティー収入に、またライセンシーが新規ライセンス契約締結を延期すればテクノロジー・ライセンス収入にそれぞれ影響が及ぶ可能性があると見込んでいます。

a.経営成績の概況

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

 

継続事業

 

 

 

 

 

売上高

6,093,548

6,185,093

91,545

1.5

A

営業利益(ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益を除く)

816,995

566,712

△250,283

△30.6

B

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益

1,256,641

△1,931,345

△3,187,986

C

営業利益

2,073,636

△1,364,633

△3,438,269

 

財務費用

△341,937

△300,948

40,989

△12.0%

D

持分法による投資損益

320,101

638,717

318,616

99.5%

E

持分変動利益

44,068

339,842

295,774

671.2%

F

為替差損益

10,894

△11,107

△22,001

 

デリバティブ関連損益

158,423

△71,811

△230,234

G

アリババ株式先渡売買契約決済益

1,218,527

1,218,527

H

FVTPLの金融商品から生じる損益(注1)

36,832

△668,463

△705,295

I

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの

運営するファンドにおける外部投資家持分の

増減額(注2)

△586,152

540,930

1,127,082

 

その他の営業外損益

△33,192

△285,562

△252,370

760.4%

J

税引前利益

1,682,673

35,492

△1,647,181

△97.9

 

法人所得税

△237,023

△797,697

△560,674

236.5%

K

継続事業からの純利益

1,445,650

△762,205

△2,207,855

 

非継続事業

 

 

 

 

 

非継続事業からの純利益

8,968

△38,555

△47,523

L

純利益

1,454,618

△800,760

△2,255,378

 

親会社の所有者に帰属する純利益

1,411,199

△961,576

△2,372,775

 

 

 

 

 

 

 

包括利益合計

1,502,295

△1,290,339

△2,792,634

 

親会社の所有者に帰属する包括利益

1,440,235

△1,425,587

△2,865,822

 

 

(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド以外で当社が保有する投資の公正価値の変動により発生する損益です。

 

(注2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの投資損益から当社英国100%子会社SBIAに支払われる管理報酬および成功報酬、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドの営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて外部投資家に分配した固定分配額および成果分配額の合計です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 8.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外部投資家持分」をご参照ください。

 

 

 以下、主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。

 

A 売上高

 ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となったものの、ブライトスター事業は減収となりました。

 

B 営業利益(ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益を除く)

 ソフトバンク事業で63,505百万円、ブライトスター事業で18,068百万円、それぞれのセグメント利益が改善したものの、アーム事業で176,785百万円、その他で159,496百万円、それぞれのセグメント利益が悪化しました。なお、アーム事業の前期のセグメント利益には中国子会社の合弁事業化に伴い子会社の支配喪失に伴う利益176,261百万円が含まれていました。

 

C ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益

 Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)やWeWorkおよびその関係会社3社1への投資の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などを受けて当第4四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅に減少したことに伴い、当期末においてソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する投資の未実現評価損失が1,869,283百万円となりました。詳細は「b.セグメントの経営成績(a)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。

 

 B~Cの結果、営業利益は前期比3,438,269百万円悪化の1,364,633百万円の損失となりました。

 

D 財務費用

 ソフトバンク㈱の支払利息が17,313百万円増加した一方、ソフトバンクグループ㈱の支払利息2が51,826百万円減少しました。これは主に、ソフトバンク㈱の株式上場実現に向けた準備の一環として、2018年8月にソフトバンク㈱が1兆6,000億円の借入れを行い、全額をソフトバンクグループ㈱からの借入金の返済に充当するとともに、ソフトバンクグループ㈱はその全額を借入金の返済に充当したことによるものです。この借入金の期限前返済に伴い借入関連費用24,051百万円を一括償却処理したことも、ソフトバンクグループ㈱の前期の支払利息を押し上げていました。

 

E 持分法による投資損益

アリババの持分法投資利益が321,458百万円(94.9%)増の660,141百万円となりました。アリババは、Ant Small and Micro Financial Services Group Co., Ltd.(以下「Ant Financial」、電子決済サービス「Alipay」を運営)などとの間で2014年に締結した契約(その後の変更を含む)に基づき、2019年9月に保有する知的財産の一部をAnt Financialおよびその子会社へ譲渡し、その対価をもって、Ant Financialの新規発行株式(33%の持分)を取得しました。これによりアリババは、①Ant Financialおよびその子会社への当該知的財産の譲渡益と、②Ant Financial株式の取得価額とAnt Financialの時価純資産のアリババ持分との差額(税効果影響控除後)の、合計716億中国人民元を利益として認識しました。この影響で当社におけるアリババの持分法投資利益が286,473百万円増加しています。

 

F 持分変動利益

 2019年11月26日、アリババは香港証券取引所に上場し、その後のオーバーアロットメントを含めて575百万株の新株を発行しました。この影響などで当社は持分変動利益339,374百万円を計上しました。なお、当社および当社100%子会社の保有株式数(合計5,390百万普通株)に変動はありません。

 

G デリバティブ関連損益

 以下「WeWorkへの投資」に記載のとおり、当社は1株当たり0.01米ドルでWeWorkの優先株式に転換可能なワラントを保有しています。当該ワラントについて、契約時から当期末までの公正価値の変動額76,259百万円をデリバティブ関連損失として計上しました。なお、前期には、2019年1月にNVIDIA Corporation株式に係るカラー取引を決済するまでに発生したデリバティブ関連利益177,373百万円を計上していました。

 

H アリババ株式先渡売買契約決済益

 アリババ株式の一部資金化による資金調達の一環として、当社100%子会社のWest Raptor Holdings, LLCが2016年6月にMandatory Exchangeable Trust(以下「Trust」)との間で締結したアリババ株式の先渡売買契約について、2019年6月、当社がアリババの米国預託株式73百万株をTrustへ譲渡し、本契約を決済しました。これに伴い、アリババ株式先渡売買契約決済益を計上しました。

 

 

I FVTPLの金融商品から生じる損益

 当社100%子会社が保有するWeWorkへの投資の公正価値の減少により488,479百万円の損失を計上しました。詳細は以下「WeWorkへの投資」をご参照ください。

 

J その他の営業外損益

 以下「WeWorkへの投資」の「(3)クレジットサポートおよび債券の買い受け」に記載されている、(a)当社による金融機関からWeWorkへの支払保証枠に対するクレジットサポート、および(c)当社100%子会社によるWeWorkの無担保債券の買い受けについて、いずれも予想信用損失が当初認識額から償却累計額を控除した金額を上回ったため、それぞれ52,349百万円、90,210百万円の損失評価引当金繰入額を計上しました。

 また、2020年3月に当社の持分法適用関連会社であるOneWeb Global Limited(以下「OneWeb」)が米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請したため、同社への投資について持分法投資の減損損失49,198百万円を、同社への貸付金について貸倒引当金65,913百万円を計上しました。

 詳細は以下「WeWorkへの投資」および「OneWebへの投融資」をそれぞれご参照ください。

 

 主にB~Jの結果、税引前利益は前期比1,647,181百万円(97.9%)減少の35,492百万円の利益となりました。

 

K 法人所得税

 法人所得税の実際負担税率は日本の法定実効税率の31.5%を大幅に上回りました。これは、主に、ソフトバンク㈱やヤフー㈱では法人所得税を計上しているものの、投資事業を行うエンティティーで計上された損失に対して繰延税金資産を認識していないことによるものです。

 

L 非継続事業からの純利益

 2019年4月1日から2020年3月31日までの期間におけるスプリントの純損失を計上しました。

 

 主にB~Lの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比2,372,775百万円悪化の961,576百万円の損失となりました。

 

WeWorkへの投資

 コワーキングスペースビジネス「WeWork」を手がけるWeWorkに対しては、ソフトバンク・ビジョン・ファンド以外の当社100%子会社(以下「WeWorkへの投資」において、WeWorkへの投資またはWeWorkとの契約の当事者である当社100%子会社を総称して「WeWork投資用100%子会社」と呼びます。)が投資を行っているほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが同社および同社の関係会社3社(WeWork Greater China Holding Company B.V(以下「WeWork China」)、WeWork Asia Holding Company B.V(以下「WeWork Asia」)、WeWork Japan合同会社(以下「WeWork Japan」))に投資を行っています。2020年3月末現在、これらのWeWorkへの投資の累計額は103億米ドル、その帳簿価額は24億米ドルです。

 当社評価におけるWeWork株式全体の公正価値は、WeWorkが2019年9月30日に株式上場計画を撤回するとともに事業計画の大幅な見直しを行ったことに加え、当社と同社が2019年10月22日に合意した以下(1)~(4)の事項の影響もあり、2019年9月末に78億米ドルまで下落しました。WeWork株式全体の公正価値は、インカム・アプローチ(割引キャッシュ・フロー法)で計算した結果、2019年12月末時点で73億米ドル、2020年3月末時点で29億米ドルでした。2019年12月末から2020年3月末にかけての大幅な下落は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、①類似公開企業の株価下落を考慮し、継続価値(Terminal Value)を算出する際に用いるマルチプルを大幅に引き下げたこと、および②上場されているWeWorkのSenior Unsecured Noteの価格変動を考慮し、割引率を引き上げたことによるものです。

 なお、2019年10月30日にWeWorkのガバナンスが変更され、同社取締役会を構成する10名の取締役のうち5名の指名権が当社に与えられたことから(うち1名はソフトバンク・ビジョン・ファンドが指名します)、同社は当社の関連会社となりました。

 

 2019年10月22日に当社とWeWorkが合意した内容とその進捗は以下のとおりです。(1)~(3)はWeWork投資用100%子会社に関するものであり、(4)はソフトバンク・ビジョン・ファンドに関するものです。

 

(1)既存コミットメントの行使価格の引き下げおよび早期支払い

 WeWork投資用100%子会社が当初2020年4月に払い込みを予定していた15億米ドル分の既存コミットメントについて、行使価格を1株当たり110.00米ドルから11.60米ドルに引き下げた上で、2019年10月30日に全額を払い込みました。この投資の前払い金のうち、2億米ドル分は2019年11月に、残りの13億米ドル分は2020年4月に、それぞれWeWork優先株式に転換済みです。

 

(2)公開買付け

 WeWork投資用100%子会社が、当社以外の株主を対象として1株当たり19.19米ドルで最大30億米ドル分の普通株式および優先株式の公開買付け(以下「本公開買付け」)を開始することで合意しました。当社は2019年11月に本公開買付けを開始したものの、当該合意に基づく期限である2020年4月1日までに完了に必要な条件のうち複数が充足されなかったため、当該時点で本公開買付けを取りやめました。

 

(3)クレジットサポートおよび債券の買い受け

 当社が(a)金融機関によるWeWorkへの17億5千万米ドルの支払保証枠(レターオブクレジットファシリティー)に対するクレジットサポートを行ったほか、WeWork投資用100%子会社がWeWorkの発行する(b)最大11億米ドルの担保付シニア債券および(c)最大22億米ドルの無担保債券の買い受け、またはアレンジを行うことで合意しました。

 このうち、当社と金融機関は(a)に関する契約を2019年12月に締結しました。当該契約においては、当社はWeWorkと連帯して債務を負担しますが、当社が返済を行った場合にはWeWorkへ求償可能となる契約を別途締結しています。また、WeWork投資用100%子会社とWeWorkは(c)に関する契約を2019年12月に締結しました。2020年3月末日現在、発行実績はありません。

 (a)と(c)に関する契約の締結により、その対価として当社は1株当たり0.01米ドルで優先株式に行使可能なワラントを取得しています。当該ワラントについては、必要な規制当局の承認を得て、すでに行使可能な状態ですが、2020年6月25日現在、行使していません。

 なお、(b)については、公開買付けの完了を前提および条件としていたため、公開買付の取りやめに伴い、係る債券の買い受けまたはアレンジを行う義務がなくなりました。

 

(4)WeWork ChinaおよびWeWork Asia株式のWeWork優先株式への交換

 最終契約の締結およびクロージング要件の充足を前提として、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有するWeWork ChinaおよびWeWork Asiaの全株式をWeWorkの優先株式に交換することで合意しました。このうち、WeWork Asia株式を1株当たり11.60米ドルでWeWork優先株式に交換することは2020年4月に完了しました。一方、2020年3月31日現在、ソフトバンク・ビジョン・ファンドとその他当事者は、WeWork China株式のWeWork優先株式への交換について協議を継続しています。

 

 

 2019年10月22日の当社とWeWorkの合意に基づくこれらの取引(取りやめた公開買付けを除く)の完了後、当社のWeWork株式に対する経済的持分比率(完全希薄化後;ソフトバンク・ビジョン・ファンドの持分を含む)は50%以上となります。しかし、WeWorkの定款の規定および株主間契約により、当社はWeWorkのいずれの株主総会および取締役会においても議決権の過半数を保有せず同社を支配できないため、同社は当社の子会社ではありません。また、当社の事実上の代理人として行動している他の当事者は存在しません。

 

 WeWork投資用100%子会社からWeWorkへの投資は、普通株式、優先株式および15億米ドル分の支払い済コミットメントから成ります。このほかに、当社はクレジットサポートおよび無担保債券の買い受けコミットメントの対価として取得した1株当たり0.01米ドルで優先株式に行使可能なワラントを保有しています。2019年10月30日にWeWorkが当社の関連会社となったことから、普通株式は同日から持分法で処理していますが、優先株式と投資の前払い金、1株当たり0.01米ドルで優先株式に行使可能なワラントは公正価値を測定し、その変動を損益として計上しています。その詳細は「WeWork投資用100%子会社からWeWorkへの投資(2020年3月末現在)」をご参照ください。

 上記「(3)クレジットサポートおよび債券の買い受け」の(a)の金融機関によるWeWorkへの17.5億米ドルの支払保証枠に対するクレジットサポートは金融保証契約に該当します。また、(c)の最大22億米ドルの無担保債券の買い受けは、市場金利を下回る金利で貸付金を提供するコミットメント(以下「ローンコミットメント」)に該当します。契約時において、当該金融保証契約およびローンコミットメントにかかる予想信用損失に対する損失評価引当金を、連結財政状態計算書の「その他の金融負債(流動)」にそれぞれ360百万米ドル(39,107百万円)、508百万米ドル(55,088百万円)計上しました。2020年3月31日において、金融保証契約およびローンコミットメントの予想信用損失が当初認識額から償却累計額を控除した金額を上回ったため、それぞれ479百万米ドル(52,349百万円)、826百万米ドル(90,210百万円)の損失評価引当金繰入額を計上しました。2020年3月31日において、金融保証契約およびローンコミットメントにかかる損失評価引当金を、連結財政状態計算書上「その他の金融負債(流動)」にそれぞれ819百万米ドル(89,202百万円)、1,334百万米ドル(145,133百万円)計上しています。

 一方、ソフトバンク・ビジョン・ファンドからWeWorkおよび同社の関係会社3社(WeWork China、WeWork Asia、WeWork Japan)への投資については、普通株式および優先株式のいずれも公正価値を測定し、その変動を損益として計上しています。2020年3月末現在、これらの投資の累計額は43億米ドル、その公正価値は9億米ドルです。

 

(画像は省略されました)

 

(画像は省略されました)

 

(画像は省略されました)

 

b.セグメントの経営成績

 当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当第1四半期から、ソフトバンク㈱がヤフー㈱を子会社化したことに伴ってセグメント管理区分を見直し、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、および「ブライトスター事業」の4つを報告セグメントとしています。なお、当期において、スプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類したため、「スプリント事業」を報告セグメントから除いています。

 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」においては、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルの新設と、当該ビークルによる投資の実行に伴い、当第3四半期から名称を「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」から「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」に変更し、当該ビークルを同セグメントに含めています。なお、当期末現在、デルタ・ファンドが保有する投資はありません。

 

 報告セグメントの概要は以下のとおりです。

 

セグメント名称

主な事業の内容

主な会社

報告セグメント

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資事業

 

SB Investment Advisers (UK) Limited

SoftBank Vision Fund L.P.

 

ソフトバンク事業

・日本国内での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供

・インターネット広告やイーコマースサービスの提供

ソフトバンク㈱

Zホールディングス㈱

 

アーム事業

・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン

・ソフトウエアツールの販売、ソフトウエアサービスの提供

Arm Limited

 

ブライトスター事業

・海外での携帯端末の流通事業

Brightstar Corp.

その他

・スマートフォン決済事業

PayPay㈱

 

・オルタナティブ投資の資産運用事業

Fortress Investment Group LLC

 

・ラテンアメリカにおけるファンド事業

・福岡ソフトバンクホークス関連事業

福岡ソフトバンクホークス㈱

 

(注)報告セグメントの利益は、以下のように算出されます。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業:

セグメント利益=ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益
-営業費用

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業以外:

セグメント利益=各セグメントの(売上高-営業費用(売上原価+販売費及び一般管理費)
±その他の営業損益)

 

(a)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業

1.投資損失(純額)1.8兆円の計上により、セグメント損失が1.9兆円に

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(注1)

-当期末保有する投資の未実現評価損失(純額)1.9兆円:Uber、WeWorkおよびその関係会社3社1の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い当第4四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅減少

-投資の売却による実現益583億円:4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却

 

2.ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資および運営の状況

当期末現在、88銘柄を保有(エグジットした銘柄を除く):投資額合計750億米ドルに対し、公正価値合計696億米ドル。エグジットした銘柄を含めた、設立来の累計実現益(グロス)は48億米ドルに(注2)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響による投資先の業績悪化や手元流動性の低下に備え、事業運営の支援や戦略への指導を提供

 

(注1)「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルによる投資成果は含みません。

(注2)営業外損益に計上されたNVIDIA Corporation株式に関連する利益(NVIDIA Corporation株式を対象としたカラー取引によるデリバティブ関連利益等)を含みます。累計実現益(グロス)は外部投資家持分および税金等の控除前の金額です。

 

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営する

ファンドからの投資損益

1,302,838

△1,844,867

△3,147,705

営業費用

△46,197

△86,478

△40,281

87.2

セグメント利益

1,256,641

△1,931,345

△3,187,986

 

<事業概要>

 当事業の業績には、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた当社の英国100%子会社SBIAが運営する、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびその他のファンド(主にデルタ・ファンド)などの投資および事業活動の結果が含まれています。

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドは2017年に活動を開始しました。同ファンドは、「ユニコーン(企業価値が10億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AIを活用した成長可能性の大きな企業に対し大規模な投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。同ファンドの投資期間は2019年9月12日に終了しましたが、存続期間は原則として2029年11月20日までです。

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける分配の性質や、SBIAが受領する管理報酬および投資の成果に応じて受領する成果報酬の性質の詳細は「第5 経理の状況.1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 8.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外部投資家持分、および(3)SBIAの管理報酬および成功報酬」をご参照ください。

 

当事業における主なファンドの概要

2020年3月31日現在

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

デルタ・ファンド

主なリミテッド・

パートナーシップ

SoftBank Vision Fund L.P.

SB Delta Fund (Jersey) L.P.

出資コミットメント総額

986億米ドル(注1)

44億米ドル(注1)

当社:331億米ドル(注2)

当社:44億米ドル

外部投資家:655億米ドル(注1)

外部投資家:-(注1)

ジェネラル・パートナー

SVF GP (Jersey) Limited

(当社海外100%子会社)

SB Delta Fund GP (Jersey) Limited

(当社海外100%子会社)

投資期間

2019年9月12日に終了(注3)

2019年9月12日に終了(注3)

存続期間

2029年11月20日まで(原則)

2029年9月27日まで(原則)

 

(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外部投資家の出資コミットメントは、両ファンドの合計額で定められているため、それぞれのファンドの出資コミットメント総額およびコミットメント残額は、もう一方のファンドにおける外部投資家の支払義務の履行状況により変動します。当第2四半期において、Xiaoju Kuaizhi Inc.(以下「DiDi」)への投資についてデルタ・ファンドからソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却が決済され、デルタ・ファンドは当該売却収入を同ファンドのリミテッド・パートナーに分配し、支払義務履行額の返還を行いました。これに伴い、デルタ・ファンドにおける外部投資家の出資コミットメント総額16億米ドルはソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資コミットメントとして返上されました。

(注2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(前期末までに全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。

(注3)ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資期間は、2022年11月20日または累計投資額(リミテッド・パートナーによる支払義務履行済みかつ投資実行済みの金額と投資のための留保額の合計)が出資コミットメント総額の85%相当に達した後SBIAがマネージャーとしての裁量によって投資期間の終了を決定するまでのいずれか早いほうまでと定められています。2019年9月12日、同日までに累計投資額が出資コミットメント総額の85%相当に達したことに伴い、SBIAの決定によりソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資期間が終了しました。出資コミットメント総額の残りの15%相当額は、合弁会社への投資を含む既存投資先への追加投資や固定分配、財務関連費用への充当を目的に留保されています。なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資期間の終了に伴いデルタ・ファンドの投資期間も2019年9月12日に終了しました。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドの資金の状況

2020年3月31日現在

(単位:十億米ドル)

 

 

合計

当社

 

 

外部

投資家

 

 

出資コミットメント(A)

 

 

 

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

98.6

33.1

(注1)

65.5

 

デルタ・ファンド

4.4

4.4

 

(注2)

 

 

 

 

 

 

リミテッド・パートナーによる支払義務履行額合計3(B)

 

 

 

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

78.3

28.6

 

49.7

 

デルタ・ファンド

3.8

3.8

4

(注2)

 

 

 

 

 

 

 

(B)のうちリミテッド・パートナーへの返還額

(再コール不可)

 

 

 

 

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド5

△5.5

△0.9

 

△4.6

 

 

デルタ・ファンド6

△3.5

△3.5

 

(注2)

 

 

 

 

 

 

コミットメント残額(C)=(A)-(B)

 

 

 

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

20.3

4.5

 

15.8

 

デルタ・ファンド

0.6

0.6

 

(注2)

 

(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(前期末までに全該当株式を拠出済み)のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。

(注2)当第2四半期において、DiDiへの投資についてデルタ・ファンドからソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却が決済され、デルタ・ファンドは当該売却収入を同ファンドのリミテッド・パートナーに分配し、支払義務履行額の返還を行いました。これに伴い、デルタ・ファンドにおける外部投資家の出資コミットメント総額16億米ドルはソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資コミットメントとして返上されました。

 

<業績全般>

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営する

ファンドからの投資損益

1,302,838

△1,844,867

△3,147,705

 

投資の売却による実現損益

296,531

58,340

△238,191

△80.3%

 

投資の未実現評価損益

1,013,228

△1,917,694

△2,930,922

 

当期計上額

1,378,553

△1,877,682

△3,256,235

 

過年度計上額のうち実現損益への振替額(注)

△365,325

△40,012

325,313

 

投資先からの利息配当収益

4,522

12,848

8,326

184.1%

 

デリバティブ関連損益

145

145

 

為替換算影響額

△11,443

1,494

12,937

営業費用

△46,197

△86,478

△40,281

87.2%

セグメント利益

1,256,641

△1,931,345

△3,187,986

財務費用(支払利息)

△33,141

△22,459

10,682

△32.2%

為替差損益

68

321

253

372.1%

デリバティブ関連損益

177,373

△177,373

外部投資家持分の増減額

△586,152

540,930

1,127,082

その他の営業外損益

△232

1,067

1,299

税引前利益

814,557

△1,411,486

△2,226,043

(注)当期に4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却したことに伴い、これら売却した投資について過年度に計上していた未実現評価益40,012百万円(純額)を「投資の売却による実現損益」に振り替えました。

 

セグメント利益

 セグメント損失は1,931,345百万円(前期は1,256,641百万円の利益)となりました。このうち、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが当期末に保有する投資88件の未実現評価損益は1,869,283百万円(17,263百万米ドル)の損失となりました。これは、株価下落に伴いUberについて5,179百万米ドルの損失、WeWorkおよびその関係会社3社について4,582百万米ドルの損失(詳細は「a.経営成績の概況「WeWorkへの投資」」をご参照ください)、当第4四半期の新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う大幅な公正価値減少などにより、その他の投資先について合計7,502百万米ドルの損失を計上したことによるものです(下表参照)。

 

(ソフトバンク・ビジョン・ファンドが当期末に保有する投資の未実現評価損益の内訳)

(単位:百万米ドル)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

当期

Uber

△1,076

△3,536

△162

△405

△5,179

WeWorkおよび関係会社3社

△55

△3,438

△24

△1,065

△4,582

その他の投資先

4,877

△1,845

△1,552

△8,982

△7,502

合計

3,746

△8,819

△1,738

△10,452

△17,263

 

 その他の投資先については、当第4四半期に合計8,982百万米ドルの評価損失を計上しました。2020年初頭からの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、イーコマースやヘルスケアなどの事業を営む一部の投資先は堅調な業績となったことにより公正価値が上昇したものの、多くの投資先において、各国における経済活動の停滞や外出規制などの影響で事業活動上の支障が生じキャッシュ・フローの見通しが悪化したことなどにより、公正価値が減少したことによるものです。とりわけ、Consumerセクターで合計3,257百万米ドル、Transportation & Logisticsセクター(Uberを除く)で合計2,381百万米ドル、Real Estate & Constructionセクター(WeWorkおよび関係会社3社を除く)で合計2,196百万米ドル、それぞれ公正価値が減少したため、同減少額を損失として計上しました。

 

(再掲)ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する投資の当期の公正価値変動内訳

米ドルベース;期首帳簿価額(当期に取得した場合は取得価額)と当期末公正価値との比較

 

当期の公正価値変動

銘柄数

当期計上した未実現評価損益

増加

19

3,473百万米ドル

減少

50

△20,736百万米ドル

変動なし

19

合計

88

△17,263百万米ドル

 

 また、4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却したことにより、投資の売却による実現益58,340百万円を計上しました。

 

 投資先の公正価値は、公開会社の場合は、取引相場価格を用いて測定しています。未公開会社の場合は、直近の第三者間取引、あるいはマーケット・アプローチやコスト・アプローチまたはインカム・アプローチを用いて公正価値を測定しています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国における経済活動の停滞や外出規制、株式市場の混乱は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先の事業活動および公正価値評価に大きな影響をもたらしており、この影響は今後も継続することが見込まれます。イーコマースやヘルスケアなどの事業を営む一部の投資先には好影響を与える一方、多くの投資先の事業活動に支障をもたらし、各社の業績、ひいては当社連結財務諸表において評価される公正価値が悪化する要因となっています。当期末における投資先の公正価値評価は、新型コロナウイルスによる投資先固有の影響の現時点での見込みや各社の手元流動性、市場および類似企業の状況、上昇した市場ボラティリティーなどの要素に基づいて行われています。

 投資先の事業への支援として、SBIAは、投資先企業と緊密に連携しながら、収益の減少や流動性の低下など、事業環境のさらなる悪化に備えるための事業運営の支援や戦略の指導を行い、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化局面における事業への悪影響の低減を図っています。また、投資先に対し、手元資金を活用した精緻なキャッシュ・フロー計画を立てることによりコスト構造を最適化し、事業の継続と柔軟性を確保するよう促しているほか、現金準備残高および各投資先のセクターおよびビジネスモデルに基づく新型コロナウイルスの感染拡大への感応度を評価した上で、①手元資金の保全、②コスト削減、③事業継続のための応急措置、④短期的な善後策、⑤在宅勤務に基づくオフィススペースの最適化、⑥利用可能な政府補助策の確認、に関する助言を行っています。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドの投資の状況

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

2020年3月31日現在;売却した投資を除く

(単位:十億米ドル)

 

セクター

銘柄数

取得価額

公正価値

増減

Consumer

15

11.5

12.8

1.3

Enterprise

8

2.3

3.4

1.1

Fintech

11

4.9

4.8

△0.1

Frontier Tech

10

10.8

10.4

△0.4

Health Tech

10

2.5

4.8

2.3

Real Estate & Construction

11

9.9

4.6

△5.3

Transportation & Logistics

23

33.1

28.8

△4.3

合計

88

75.0

69.6

△5.4

 

当期における新規投資

 当期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、合計156億米ドルの投資を行いました(既存投資先への追加投資を含みます)。

 このうち、当社からの売却により、ANI Technologies Private Limited(Ola)への投資およびWeWork Chinaへの投資を合計950百万米ドル(当社が売却を決定した際の公正価値)で取得しました。なお、これらの投資の当社の当初取得額は合計696百万米ドルでした。

 

当社からの売却によりソフトバンク・ビジョン・ファンドが取得する投資

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の中には、同ファンドが直接取得するもののほか、その投資対象に合致する場合に限り、当社からの売却により取得するものがあります。当社から売却されうる投資は、①当社でソフトバンク・ビジョン・ファンドへの紹介を前提として取得し、かつ、その取得時点でソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資対象に合致していた投資(以下「ブリッジ投資」)のほか、②それ以外の投資(例えば、当社による取得時点ではソフトバンク・ビジョン・ファンドへの紹介を前提としていない、または紹介を前提として取得したものの、その取得時点でソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資対象に合致していなかったため、ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却には新たにリミテッド・パートナーによる合意が必要な投資を含みます。)があります。

 このような投資について、当社は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資委員会などによる合意(および必要に応じてリミテッド・パートナーからの合意)や関係規制当局の承認が得られた時点で、移管が決定されたと認識します。売却は、当社が移管の提案を機関決定した時点の公正価値を基礎とした価格で行われ、当該価格がファンドにとっての取得額となります。また、連結財務諸表上の表示においては、当該投資は、当社による移管決定の認識を起因として、ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資として表示されます。

 なお、期中で移管された投資について、期首帳簿価額(または当期中の取得価額)とソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却額との差額は連結損益計算書上の営業外利益に計上される一方、売却額(ソフトバンク・ビジョン・ファンドにとっての取得額)からの公正価値の変動はソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業のセグメント利益として計上されます。当該移管はグループ内取引のため、当社連結財務諸表上、相殺・消去されています。

 

デルタ・ファンド

 当期末現在、デルタ・ファンドが保有する投資はありません。

 

(b)ソフトバンク事業(旧ヤフー事業含む)

1.通信サービスの顧客基盤が順調に拡大し、増収増益を達成

2.2019年6月、ソフトバンク㈱がヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)を子会社化

3.2019年12月、Zホールディングス㈱がLINE㈱との経営統合に関する最終契約を締結

 

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

売上高

4,652,116

4,862,484

210,368

4.5

セグメント利益

859,809

923,314

63,505

7.4

(注)ソフトバンク㈱によるヤフー㈱の子会社化に伴い、2018年4月1日より、同社の業績をソフトバンク事業の一部として遡及して表示しています。

 

<業績全般>

 コンシューマ向けサービスを中心とする通信事業が牽引し増収増益を達成しました。「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の3ブランドを擁するスマートフォンの累計契約数が前期末比205万件増の2,413万件、光回線サービス「SoftBank 光」の累計契約数が前期末比47万件増の639万件となるなど顧客基盤が順調に拡大した結果、コンシューマ向けサービスの通信サービス売上が伸長し増収となりました。この増収が利益に結び付いた結果、セグメント利益は増益となりました。

 なお、2019年6月27日付でヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)はソフトバンク㈱の子会社となりました。これに伴い、2018年4月1日より、同社の業績をソフトバンク事業の一部として遡及して表示しています。同事業におけるZホールディングス㈱の営業利益は前期比11.8%増加しました。主に㈱ZOZOの子会社化や既存のイーコマース事業、広告事業の増収によるものです。

 

Zホールディングス㈱による㈱ZOZOの子会社化

 2019年11月13日、Zホールディングス㈱は、イーコマース事業の強化を目的に、衣料品通販サイトを運営する㈱ZOZOの普通株式152,952,900株(議決権割合50.1%)を400,737百万円で取得しました。これに伴い、同日付で㈱ZOZOは当社、ソフトバンク㈱およびZホールディングス㈱の子会社となりました。同日から当期末までの㈱ZOZOの業績をソフトバンク事業に含めて表示しています。㈱ZOZOの子会社化の詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 9.企業結合」をご参照ください。

 

Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合

 2019年12月、Zホールディングス㈱とLINE㈱は、日本・アジアから世界をリードする「AI(人工知能)テックカンパニー」になることを目指して、それぞれの親会社であるソフトバンク㈱とNAVER Corporationを含む4社間で経営統合(以下「本経営統合」)に関する最終契約を締結しました。ソフトバンク㈱とNAVER Corporationは、本経営統合を実現するための取引の一環として、2020年5~6月に両社が共同してLINE㈱株式を対象に公開買付けを開始することを目指しています。本経営統合後の上場統合会社であるZホールディングス㈱は、当社およびソフトバンク㈱の子会社となる予定です。なお、本経営統合は、競争法、外為法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了することを前提としています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響

 ソフトバンク㈱においては、通信サービス契約者は引き続き安定的に推移し、外出自粛の影響で通信サービス契約者のデータ使用量が増加すると見込んでいるものの、店舗へ来店する顧客数が減少すると見込んでいます。また、法人顧客からのテレワーク需要が増大すると見込んでいる一方で、対面販売の機会の減少などによる悪影響も見込んでいます。このほか、Zホールディングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込んでいるものの、広告出稿や宿泊・飲食予約サービスの利用の減少を見込んでいます。

 

(c)アーム事業

1.売上高は前期比2.0%増。セグメント利益は前期の一時益影響により大幅減

ライセンス収入が前期比6.4%増(米ドルベース):ライセンシーへの新テクノロジーの納入が増収に大きく寄与

半導体業界の景況悪化の影響を受けるも、ロイヤルティー収入は前期比1.5%減にとどまる(米ドルベース)

セグメント利益は、中国事業の合弁化に伴い前期に1,763億円の一時益を計上した影響により減少

 

2.研究開発強化が徐々に結実

新テクノロジーのライセンス契約締結は引き続き好調。未発表のプロセッサーのライセンス契約を当第4四半期に6件締結

当第4四半期に次世代アームプロセッサーを含む複数の新テクノロジーの納入を開始し、収益の計上を開始

 

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

売上高

202,699

206,652

3,953

2.0

セグメント利益

133,966

△42,819

△176,785

(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は50,544百万円、前期は56,535百万円含まれています。

 

<事業概要>

 アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。当社による買収後、アームは、技術関連人員を増強し、研究開発への投資を加速しています。技術力の強化により、既存市場でのシェア維持・獲得および新規市場の開拓に向けた新技術開発を図っています。

 

市場の動向とその影響

 アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあり、アームの事業が関連する半導体市場の売上高は、2018年後半から減少し始め、2018年11月から前年同月比マイナス7が続いていましたが、2019年10月には前年同月比1.0%7のプラスに転じました。半導体市場には回復の兆しが見られるものの、足元で起きている貿易摩擦や特定企業への制裁の影響にさらされています。このほか、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり、来期については、今後、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が減少すればロイヤルティー収入の減少要因となるほか、半導体企業が売上減少を受けて新規ライセンス契約締結を延期すればライセンス収入の減少要因となります。しかしながら、現時点で半導体業界全体、またはアームへの悪影響を見通すことは時期尚早と考えています。

 足元でこうしたリスクは残るものの、今後半導体市場が回復するにつれ、アームは再度成長軌道に転じるものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。

 

<業績全般>

売上高(米ドルベース)

 アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。

(単位:百万米ドル)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

 

Q1

Q2

Q3

Q4

合計

Q1

Q2

Q3

Q4

合計

増減

増減率

テクノロジー・

ライセンス収入

85

124

125

213

547

125

87

130

240

582

35

6.4%

テクノロジー・

ロイヤルティー収入

261

285

305

247

1,098

240

254

312

275

1,081

△17

△1.5%

ソフトウエア

およびサービス収入

35

47

56

53

191

53

55

63

64

235

44

23.0%

売上高合計

381

456

486

513

1,836

418

396

505

579

1,898

62

3.4%

 

 当期の売上高は米ドルベースで前期から3.4%増加しました。半導体市場減速の影響でテクノロジー・ロイヤルティー収入が減少したものの、ソフトウエアおよびサービス収入とテクノロジー・ライセンス収入が前期を上回りました。

 

テクノロジー・ライセンス収入

 テクノロジー・ライセンス収入は前期から6.4%増加しました。これは主に、当期にかけてライセンス契約の締結を進めてきた新テクノロジーの一部を、当第4四半期にライセンシーへ納入したことによるものです。新テクノロジーの中には、スマートフォン、サーバー、自動車などのあらゆる最終製品市場に特化した新プロセッサーや、モバイルコンピューティングやIoTアプリケーション向けのAIアクセレレーターの新シリーズなどがあります。アームは、当社による買収直後から、これらの新テクノロジーの開発に取り組んできました。

 新テクノロジーのライセンス契約の締結は、当第1四半期から行ってきましたが、テクノロジーがライセンシーへ納入されるタイミングで、ライセンス収入として計上されます。当第4四半期に、新テクノロジーの一部がライセンシーへ納入され、同四半期のライセンス収入はアーム史上最高額となりました。当期アームは、来期以降に納入予定の新テクノロジーのライセンス契約も順調に締結し、これらは来期以降のライセンス収入の底上げに寄与することが見込まれます。また、これらの新テクノロジーの多くは既存テクノロジーよりも機能性に優れていることから、ロイヤルティー単価の上乗せにつながり、今後長期にわたりアームのテクノロジー・ロイヤルティー収入に貢献することが期待されます。

 

テクノロジー・ロイヤルティー収入

 テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から1.5%減少しました。これは主に、世界的なスマートフォン需要の鈍化とチップの出荷減速の影響によるものです。一方、当第4四半期のテクノロジー・ロイヤルティー収入は、5G対応スマートフォンの出荷数増加と市場の回復により、前年同期から11.3%増加しました。

 

ソフトウエアおよびサービス収入

 ソフトウエアおよびサービス収入は前期比23.0%増となりました。これは主に2018年8月のTreasure Data, Inc.の買収以降にサービスの提供を開始した、アームのデータマネジメント事業が順調に拡大を続けていることによるものです。

 

セグメント利益

 前期においてアーム事業のセグメント利益にはアームの中国子会社が合弁事業化により持分法適用関連会社となったことに伴い計上した子会社の支配喪失に伴う利益176,261百万円が含まれていたことにより、セグメント利益は減益となりました。

 なお、当期末の従業員数は前期末から751人(12.5%)増加しました。アームは今後も、収益性を考慮しながら研究開発プロジェクト構成や開発拠点を最適化することにより、ROIの最大化に取り組んでまいります。

 

<営業概況>

ライセンス

(単位:件)

 

 

当第4四半期

締結分

当期末

累計契約数

プロセッサー・ファミリー別内訳

 

 

クラシック(Arm7、Arm9、Arm11)

1

451

Cortex-A

14

405

Cortex-R

112

Cortex-M

10

595

Mali

9

204

プロセッサー・ライセンス契約数

34

1,767

(注)プロセッサー・ライセンスの累計契約数は、ロイヤルティー収入の発生が将来的に見込まれるライセンス契約のみを含みます。

 

 当第4四半期のプロセッサー・ライセンス契約締結数は、未発表の高度な新テクノロジーに対する6件のライセンスを含め、34件となりました。当第4四半期に締結されたライセンス契約では、スマートフォン、ネットワーク機器、スポーツ用品に組み込まれる通信チップやセンサーなどのIoT機器向けの高度なマイクロ・コントローラーなど、広範囲な最終製品市場でアームのテクノロジーの使用が予定されています。

 

ロイヤルティー・ユニット8

 

 

2018年

 

 

 

2019年

 

10~12月期

1~3月期

4~6月期

7~9月期

10~12月期

ロイヤルティー・ユニット出荷数

(ライセンシーからの報告に基づく実績ベース)

 

 

 

54億個

48億個

56億個

64億個

60億個

成長率

(前年同期比)

△6.9%

△9.4%

0.2%

3.2%

11.1%

 

 2019年10~12月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は60億個となり、同期間の半導体業界のチップ出荷数が前年同期から0.6%の微増7となる中、前年同期から11.1%増加しました。一方、上記「市場の動向とその影響」にて記述のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大により、来期のロイヤルティー・ユニット出荷数は減少影響を受ける可能性があります。この影響を受けつつも、アームは引き続き、ターゲットとなる最終製品市場におけるシェアを維持・拡大することを見込んでいます。

 

技術開発

 アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業におけるテクノロジーの開発に取り組んでいます。

 

重点投資分野と主な進捗:

モバイルコンピューティング

オポチュニティー

モバイル端末用メインチップのシェアは既に95%超

ロイヤルティー単価が長年にわたり上昇傾向

当第1四半期

AIや5Gなどの新技術への対応を強化した次世代スマートフォン向けプロセッサーを発表(2020年に上市予定)

当第2四半期

モバイル端末やコンシューマー機器の性能と安全性を向上させる、IP開発用のプラットフォーム型新アプローチ「Total Compute」を発表

当第3四半期

モバイルやゲーム端末など、幅広いコンシューマー機器にAI対応アプリケーションを搭載可能となる新プロセッサーを発表

インフラ

オポチュニティー

ネットワーク・インフラ市場シェアが拡大中

データセンター用サーバー市場シェアも確立途上

当第1四半期

クラウド分野におけるアームベースサーバーの技術開発加速に向けた、Marvell Technology Group Ltd.との戦略的パートナーシップを発表

当第3四半期

・Amazon Web Service Inc.が同社Graviton2 サーバーチップへの「Neoverse」第1世代テクノロジーの採用を発表。従来のサーバーと比較して、同社の顧客にとって最大40%のコスト削減が可能

・理化学研究所と富士通㈱が共同開発した、アームベースのハイパフォーマンスチップ搭載のスーパーコンピューター富岳が、スーパーコンピューターの消費電力性能のランキングGreen500において、世界1位を獲得

当第4四半期

Marvell Technology Group Ltd.とMellanox Technologies, Ltd.がSmartNICsの新シリーズを発表。データーセンターにおける、メインサーバーチップからのあらゆるタスク処理の負荷が軽減

自動車

オポチュニティー

自動車のスマート化に伴い高度処理能力需要が上昇する中、アームのテクノロジーは省電力性で好位置に付け、多くの自動車向けチップ開発企業とライセンス契約を締結済み

当第2四半期

自動運転車の実用化促進に向けた技術標準化を目指し自動車業界のパートナーと「Autonomous Vehicle Compute Consortium(AVCC)」を設立

IoT

オポチュニティー

IoTの真価発揮に不可欠な安全性や耐久性を追求し、IoT機器ネットワーク内での安全なデータ管理用テクノロジーを開発

当第1四半期

Samsung Electronics Co., Ltd.とIoTチップの新製造プロセスのデモを実施

当第2四半期

IoTアプリケーションなどで特定用途へのアームCPUの最適化が可能となる新機能「Arm Custom Instructions」を発表

当第4四半期

・Bayer AGが、アームとVodafone Groupが共同開発したスマートラベルの使用を発表。通信接続を活用したIoTで、サプライチェーンにおける商品管理の強化が可能に

・新CPUと機械学習アクセレレーターを発表。IoT機器へAIテクノロジーの搭載が可能に

 

(d)ブライトスター事業

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

売上高

1,082,669

955,415

△127,254

△11.8%

セグメント利益

△23,396

△5,328

18,068

 

 

(e)その他

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

売上高

193,742

196,186

2,444

1.3%

セグメント利益

△90,053

△249,549

△159,496

 

 

 日本でスマートフォン決済サービスを手掛けるPayPay㈱が82,234百万円の営業損失を計上しました。主に、ユーザー獲得と利用促進を目的とした大規模なキャンペーンを実施したことや、サービス利用可能店舗の拡大に引き続き積極的に取り組んだことによるものです。

 また、ラテンアメリカのファンド事業において、ブラジルレアルなどの投資通貨の価値下落や投資の公正価値の減少により62,212百万円の営業損失を計上しました。

 

「その他」に含まれるPayPay㈱の業績

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

 

 

2019年

2020年

増減

増減率

売上高

595

9,159

8,564

営業利益

△36,559

△82,234

△45,675

 

 

(2)財政状態

1.投資の状況

ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の帳簿価額は6.7兆円(前期末比4,340億円減)(注1)

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが新規投資を実行した一方、Uber、WeWorkおよびその関係会社3社1の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い当第4四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅減少

WeWorkおよびその関係会社への投資の帳簿価額は合計2,620億円(前期末比6,033億円減)

-当社100%子会社からの投資の帳簿価額は1,599億円(前期末比1,155億円減)(注2)

-ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の帳簿価額は1,021億円(前期末比4,878億円減)

 

2.スプリント事業を当期末に売却目的保有に分類された処分グループに分類し、区分表示(注3)

資産:「売却目的保有に分類された資産」として表示

負債:「売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債」として表示

同社の有利子負債およびリース負債合計4.7兆円(当期末時点)を連結有利子負債およびリース負債から

除外

資本:「売却目的保有に分類された資産に直接関連するその他の包括利益累計額」として表示

 

3.財務活動

-ソフトバンクグループ㈱の資金調達を行う100%子会社

アリババ株式やソフトバンク㈱株式を活用し合計1.1兆円を調達

-ソフトバンク・ビジョン・ファンド

保有株式の一部を活用した借入れにより36.5億米ドルを調達(当第4四半期に元本の一部を返済)のほか、投資の資本効率向上などのために設定した借入枠を利用した借入れを実施

(注1)アームは当社の子会社のため、同社への投資はソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資に含まれませ

ん。

(注2)詳細は「(1)経営成績 a.経営成績の概況「WeWorkへの投資」」をご参照ください。

(注3)当期末において区分表示された各科目の主な種類別の内訳については、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 6.非継続事業」をご参照下さい。

 

(単位:百万円)

 

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

 

増減

 

増減率

資産合計

36,096,476

37,257,292

1,160,816

3.2

負債合計

27,087,272

29,884,375

2,797,103

10.3

資本合計

9,009,204

7,372,917

△1,636,287

△18.2

(注)IFRS第16号の適用に伴い、当期首において、資産合計が1,336,695百万円、負債合計が1,324,055百万円、資本合計が12,640百万円、それぞれ増加しました。

 

 

(a)資産

(単位:百万円)

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

増減

 

現金及び現金同等物

3,858,518

3,369,015

△489,503

 

営業債権及びその他の債権

2,339,977

2,072,326

△267,651

A

その他の金融資産

203,476

313,487

110,011

 

棚卸資産

365,260

185,097

△180,163

A

その他の流動資産

766,556

460,970

△305,586

B

売却目的保有に分類された資産

224,201

9,236,048

9,011,847

C

流動資産合計

7,757,988

15,636,943

7,878,955

 

有形固定資産

4,070,704

1,264,516

△2,806,188

D

使用権資産

1,293,692

1,293,692

E

のれん

4,321,467

3,998,167

△323,300

F

無形資産

6,892,195

1,985,972

△4,906,223

G

契約獲得コスト

384,076

212,036

△172,040

 

持分法で会計処理されている投資

2,641,045

3,240,361

599,316

H

FVTPLで会計処理されているソフトバンク・

ビジョン・ファンド等SBIAの運営する

ファンドからの投資

7,115,629

6,892,232

△223,397

I

(うち)ソフトバンク・ビジョン・ファンド

およびデルタ・ファンド

7,115,629

6,681,671

△433,958

 

投資有価証券

924,614

1,211,511

286,897

J

その他の金融資産

1,185,856

1,159,972

△25,884

 

繰延税金資産

586,943

221,371

△365,572

K

その他の非流動資産

215,959

140,519

△75,440

 

非流動資産合計

28,338,488

21,620,349

△6,718,139

 

資産合計

36,096,476

37,257,292

1,160,816

 

 

主な科目別の増減理由

科目

前期末からの主な増減理由

流動資産

 

A 営業債権及びその他の債権

 棚卸資産

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の営業債権およびその他の債権と棚卸資産の合計483,223百万円を売却目的保有に分類された資産へ振り替えました。

 

B その他の流動資産

前期にソフトバンクグループジャパン㈱(以下「SBGJ」)が行ったソフトバンクグループ㈱への配当から生じた源泉所得税が2019年7月に還付されたため、422,648百万円減少しました。

 

C 売却目的保有に分類された資産

・2016年に締結したアリババ株式を活用した株式先渡売買契約を2019年6月に決済した結果、224,201百万円減少しました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の資産9,236,048百万円を区分して表示しています。

 

 

科目

前期末からの主な増減理由

非流動資産

 

D 有形固定資産

・IFRS第16号の適用に伴い、当期首において、従来ファイナンス・リースに分類され有形固定資産として計上されていたリース資産1,157,008百万円を使用権資産へ振り替えました。これは主にソフトバンク㈱の通信設備に関するリース資産を使用権資産へ振り替えたことによるものです。

・ソフトバンク㈱で通信設備の規則的な償却が進みました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の有形固定資産1,890,600百万円を売却目的保有に分類された資産へ振り替えました。

 

E 使用権資産

・IFRS第16号の適用に伴い、当期首において、新たに使用権資産1,368,144百万円を計上しました。これは主にスプリントおよびソフトバンクが、通信設備や事業用不動産に関する従来のオペレーティング・リースについて、新規に使用権資産を計上したことによるものです。

・従来有形固定資産として計上されていたリース資産を使用権資産に振り替えました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の使用権資産763,529百万円を売却目的保有に分類された資産へ振り替えました。

 

F のれん

・㈱ZOZOの子会社化に伴い、支配獲得日に同社に係るのれんを新たに認識しました。詳細は「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 9.企業結合」をご参照ください。

・英ポンドの為替換算レートが前期末から円高となったことにより、アームののれんが223,377百万円減少しました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社に係るのれん322,978百万円を売却目的保有に分類された資産へ振り替えました。

 

G 無形資産

・㈱ZOZOの子会社化に伴い、支配獲得日に顧客基盤および商標権などの無形資産を新たに認識しました。詳細は「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 9.企業結合」をご参照ください。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の無形資産5,082,956百万円を売却目的保有に分類された資産へ振り替えました。

 

H 持分法で会計処理されている投資

持分法投資利益および持分変動利益の計上によりアリババの連結簿価が増加しました。

I FVTPLで会計処理されているソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資

ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおいて、156億米ドルの投資を行った一方、Uber、WeWorkおよびその関係会社3社1への投資の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い当第4四半期にその他の投資先の合計公正価値が大幅に減少しました。詳細は「(1)経営成績 b.セグメントの経営成績(a)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」をご参照ください。

 

J 投資有価証券

・WeWorkへの投資の詳細は「(1)経営成績 a.経営成績の概況「WeWorkへの投資」」をご参照ください。

・当社100%子会社が、ラテンアメリカにおけるファンド事業として13億米ドルの新規投資を行いました。

 

 

科目

前期末からの主な増減理由

K 繰延税金資産

2016年に締結したアリババ株式を活用した株式先渡売買契約を決済したことに伴い、対応する繰延税金資産を取り崩しました。

 

 

(b)負債

(単位:百万円)

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

増減

 

有利子負債(注1)

3,480,960

3,845,153

364,193

 

リース負債(注1)

378,383

378,383

 

銀行業の預金

745,943

873,087

127,144

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営する

ファンドにおける外部投資家持分(注2)

29,677

24,691

△4,986

 

営業債務及びその他の債務

1,909,608

1,585,326

△324,282

A

デリバティブ金融負債

767,714

9,267

△758,447

B

その他の金融負債

10,849

248,010

237,161

C

未払法人所得税

534,906

164,298

△370,608

D

引当金

43,685

11,448

△32,237

 

その他の流動負債

1,158,355

596,499

△561,856

E

売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債

6,454,971

6,454,971

F

流動負債合計

8,681,697

14,191,133

5,509,436

 

有利子負債(注1)

12,204,146

9,286,729

△2,917,417

 

リース負債(注1)

761,943

761,943

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営する

ファンドにおける外部投資家持分(注2)

4,107,288

4,559,728

452,440

 

デリバティブ金融負債

130,545

128,075

△2,470

 

その他の金融負債

57,115

77,207

20,092

 

引当金

157,478

88,791

△68,687

 

繰延税金負債

1,391,072

711,216

△679,856

G

その他の非流動負債

357,931

79,553

△278,378

H

非流動負債合計

18,405,575

15,693,242

△2,712,333

 

負債合計

27,087,272

29,884,375

2,797,103

 

 

(注1)IFRS第16号の適用に伴い、当期首において、従来賃借処理されていたオペレーティング・リースについてリース負債1,449,326百万円を新たに計上しました。また、従来有利子負債に含めていたファイナンス・リースに係るリース債務892,472百万円をリース負債に振り替えました。

(注2)詳細は「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 8.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外部投資家持分」をご参照ください。

 

主な科目別の増減理由

科目

前期末からの主な増減理由

流動負債

 

A 営業債務および

その他の債務

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の営業債務およびその他の債務395,415百万円を売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債へ振り替えました。

 

B デリバティブ金融負債

2016年に締結したアリババ株式を活用した株式先渡売買契約の決済の完了に伴い、当該契約に含まれていたカラー取引に関するデリバティブ金融負債が749,846百万円減少しました。

 

C その他の金融負債

WeWorkに関する金融保証契約およびローンコミットメントについて、予想信用損失に対する損失評価引当金を認識した結果、当期末において上記に係る損失評価引当金234,335百万円を計上しています。詳細については「(1)経営成績 a.経営成績の概況「WeWorkへの投資」」をご参照ください。

 

D 未払法人所得税

 

SBGJが、前期に生じたソフトバンク㈱株式売却益などに対する法人税321,290百万円を納付しました。

 

E その他の流動負債

前期にSBGJが行ったソフトバンクグループ㈱への配当から生じた源泉所得税422,648百万円を納付しました。

 

F 売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の負債6,454,971百万円を区分して表示しています。

 

非流動負債

 

G 繰延税金負債

・㈱ZOZOの子会社化に伴い、支配獲得日に新たに無形資産を認識した結果、当期末において当該無形資産に対する繰延税金負債を148,439百万円計上しました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の繰延税金負債746,834百万円を売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債へ振り替えました。

 

H その他の非流動負債

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の確定給付負債など209,515百万円を売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債へ振り替えました。

 

 

(別掲)連結有利子負債およびリース負債(流動負債および非流動負債の合計)

(単位:百万円)

 

2019年
3月31日

2020年
3月31日

増減

 

ソフトバンクグループ㈱および

資金調達を行う100%子会社(注1)

 

7,445,551

 

8,247,063

 

801,512

 

 

ソフトバンクグループ㈱

6,157,798

6,528,734

370,936

 

 

 借入金

1,339,409

1,388,240

48,831

 

 

 社債

4,776,389

5,034,494

258,105

 

 

 その他

42,000

106,000

64,000

 

 

資金調達を行う100%子会社(注1)

1,287,753

1,718,329

430,576

 

 

 借入金

557,152

1,522,228

965,076

 

 

 株式先渡契約金融負債

730,601

196,101

△534,500

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業

 

 

 

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

36,571

581,543

544,972

 

 

借入金

36,571

581,543

544,972

 

 

SBIA

535

535

 

 

リース負債

535

535

 

ソフトバンク事業

 

 

 

 

 

ソフトバンク㈱

3,186,618

3,828,904

642,286

 

 

 借入金

2,392,843

2,856,027

463,184

 

 

 社債

40,000

40,000

 

 

 リース債務

786,174

△786,174

 

 

 リース負債

832,877

832,877

 

 

 その他

7,601

100,000

92,399

 

 

Zホールディングス㈱(注2)

130,099

839,042

708,943

 

 

 借入金

463,598

463,598

 

 

 社債

130,000

354,327

224,327

 

 

リース債務

99

△99

 

 

リース負債

21,117

21,117

 

 

その他の子会社

184,737

413,127

228,390

 

その他

 

 

 

 

 

その他の有利子負債

273,152

259,801

△13,351

 

 

リース負債

102,193

102,193

 

売却目的保有に分類された処分グループ

 

 

 

 

 スプリント

4,428,378

△4,428,378

 

合計

15,685,106

14,272,208

△1,412,898

 

 

(注1)アリババ株式を活用した借入れを行うスカイウォークファイナンス合同会社、アリババ株式の先渡売買契約を締結しているWest Raptor Holdings, LLC、およびソフトバンク㈱株式を活用した借入れを行うムーンライトファイナンス合同会社(旧日の出1号合同会社)の有利子負債を記載しています。これらの有利子負債はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。

(注2)ヤフー㈱の有利子負債およびリース負債を含めて記載しています。

 

前期末からの主な会社別の増減理由

ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社

ソフトバンクグループ㈱

・2019年および2020年以降に満期を迎える社債のリファイナンスの一環として、国内普通社債を合計1兆円発行し、7,000億円を償還しました。

・640億円(純額)のコマーシャル・ペーパーを発行しました。当該取引による有利子負債は、「その他」に含めて記載しています。

 

(資金調達を行う100%子会社)

スカイウォークファイナンス合同会社

アリババ株式を活用した43.7億米ドル(468,859百万円)の追加借入れを行いました。

West Raptor Holdings, LLC

2016年に締結したアリババ株式の先渡売買契約を決済したことにより、株式先渡契約金融負債が730,601百万円減少しました。また、2019年11月に新たにアリババ株式の先渡売買契約を締結したことに伴い、当期末において株式先渡契約金融負債196,101百万円を計上しました。

ムーンライトファイナンス合同会社(旧日の出1号合同会社)

2020年2月にソフトバンク㈱株式を活用した5,000億円の借入れを行いました。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、保有株式の一部の資金化を目的とした36.5億米ドルの借入れ(以下「ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティー」)を2019年7月に行いました。このうち11億米ドルについて、2020年3月、市場環境の悪化およびそれに伴う同ファシリティーの担保に供した上場株式の株価の大幅下落を受け、当社を含む全てのリミテッド・パートナーへのキャピタル・コールによる調達資金を原資として返済を行いました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 24.有利子負債(4)担保差入資産」をご参照ください。

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、投資の資本効率向上などのために設定した借入枠(以下「ファンド・レベル・ファシリティー」)を利用した借入れを行いました。

 

ソフトバンク事業

ソフトバンク㈱

・ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)株式の取得資金および減少した運転資金に充当するための借入れを行いました。

・国内普通社債を合計400億円発行しました。

・IFRS第16号適用による影響(期首時点)

-従来賃借処理されていたオペレーティング・リースについて、リース負債384,103百万円を新たに計上しました。

-従来有利子負債に含めていたファイナンス・リースについて、786,174百万円をリース負債へ振り替えました。

・従来リース債務としていた通信設備に関連するソフトウエアのリース取引に係る負債について、当社は無形資産のリース取引にIFRS第16号を適用しないことから、当該負債をIFRS第9号に基づく金融負債として借入金に含めて計上し、前期末の残高について修正再表示を行っています。当期末の借入金には、当該取引にかかる借入金が218,986百万円(前期末には277,157百万円)含まれています。

Zホールディングス㈱

・㈱ZOZO株式の取得資金への充当を目的として、4,000億円を借入れました。

・国内普通社債を合計2,300億円発行しました。

 

売却目的保有に分類された処分グループ

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社の有利子負債およびリース負債4,709,749百万円を売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債へ振り替え、連結有利子負債およびリース負債から除外しています。

 

(c)資本

(単位:百万円)

 

2019年

3月31日

2020年

3月31日

増減

 

資本金

238,772

238,772

 

資本剰余金

1,467,762

1,490,325

22,563

A

その他の資本性金融商品

496,876

496,876

 

利益剰余金

5,571,285

3,945,820

△1,625,465

B

自己株式

△443,482

△101,616

341,866

C

その他の包括利益累計額

290,268

△362,259

△652,527

D

売却目的保有に分類された資産に直接関連する

その他の包括利益累計額

205,695

205,695

E

親会社の所有者に帰属する持分合計

7,621,481

5,913,613

△1,707,868

 

非支配持分

1,387,723

1,459,304

71,581

 

資本合計

9,009,204

7,372,917

△1,636,287

 

 

主な科目別の増減理由

科目

前期末からの主な増減理由

A 資本剰余金

主に当社のヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)に対する経済的持分比率が減少したことに伴い、増加しました。

 

B 利益剰余金

親会社の所有者に帰属する純損失961,576百万円を計上したことにくわえ、2019年6月に自己株式55,753千株(消却前の発行済株式総数に対する割合5.07%)を消却したことに伴い558,136百万円(注1)を減額したほか、合計68,752百万円の配当を実施しました。なお、IFRS第16号適用に伴う累積的影響額13,997百万円を利益剰余金の増加として2019年4月1日に計上しています。

 

C 自己株式

・取得総額6,000億円を上限とする自己株式取得に関する2019年2月6日の取締役会決議に基づき、前期に3,841億円で36,709千株を、当期に2,159億円で19,044千株を取得しました。

・2019年6月に上記自己株式の消却を実施しました。

・取得総額5,000億円を上限とする自己株式取得に関する2020年3月13日の取締役会決議に基づき、当期に160億円で4,720千株を取得しました。

 

D その他の包括利益累計額

 

・海外を拠点とする子会社・関連会社を円換算する際に生じる在外営業活動体の為替換算差額が、主要な通貨の為替換算レートが円高となったことにより、501,064百万円減少しました。

・当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社のその他の包括利益累計額205,695百万円を振り替えました。

 

E 売却目的保有に分類された資産に直接関連するその他の包括利益累計額

当期末において、スプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループに分類したことに伴い、同社のその他の包括利益累計額205,695百万円を区分して表示しています。

 

 

(注1)消却された株式数は、2019年2月6日の取締役会決議に基づく自己株式の取得(以下「本自己株式取得」)により取得された株式数と同一ですが、消却額は本自己株式取得より前に取得され保有されていた株式も含めた帳簿価額に基づいて算出されるため、本自己株式取得の取得総額とは異なっています。

(3)キャッシュ・フロー

1.ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドの投資活動(注1)

収入:投資の売却による収入1,298億円(投資活動によるキャッシュ・フロー)

借入れによる収入1兆1,329億円(財務活動によるキャッシュ・フロー)

外部投資家からの払込収入1兆8,437億円(財務活動によるキャッシュ・フロー)

支出:投資の取得支出1兆5,970億円(投資活動によるキャッシュ・フロー)
借入れの返済5,941億円(財務活動によるキャッシュ・フロー)
外部投資家に対する分配額・返還額7,713億円(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 

2.当社の投資・財務活動

WeWorkへ合計35億米ドルを投資

手元資金を拡充:アリババ株式を活用し6,480億円、ソフトバンク株式を活用し5,000億円を調達

 

(注1)「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルのキャッシュ・フローは含みません。なお、同投資ビークルは当期に20億米ドルの投資の取得を行っています。

 

(単位:百万円)

 

 

3月31日に終了した1年間

 

2019年

2020年

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,171,864

1,117,879

△53,985

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,908,016

△4,286,921

△1,378,905

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,202,291

2,920,863

718,572

 

(注1)継続事業からのキャッシュ・フローおよび非継続事業からのキャッシュ・フローが含まれています。非継続事業からのキャッシュ・フローについては、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 6.非継続事業」をご参照ください。

(注2)IFRS第16号の適用に伴い、当期より従来のオペレーティング・リースについて新規にリース負債を計上しているため、当該取引に係るリース料(従来は営業活動によるキャッシュ・フローに計上)のうち、利息の支払に関する支出を「利息の支払額(営業活動によるキャッシュ・フロー)」、負債元本の返済に関する支出を「リース負債の返済による支出(財務活動によるキャッシュ・フロー)」に計上しています。

 

(a)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローの減少は、主に、前期にSBGJにおいて発生したソフトバンク㈱株式売却益などに対する法人税321,290百万円を納付したことによるものです。

 

(b)投資活動によるキャッシュ・フロー

主な科目別の内容

科目

主な内容

有形固定資産及び無形資産の

取得による支出

△1,232,551百万円

スプリントが、リース携帯端末および5G向け通信設備を取得したほか、ソフトバンク㈱が5G向けを含む通信設備を取得しました。

 

 

投資の取得による支出

△1,098,640百万円

・当社100%子会社が、WeWorkの優先株式および普通株式を合計20億米ドルで取得したほか、WeWorkの既存コミットメントに係る15億米ドルの払込みを行いました。

・当社100%子会社が、ラテンアメリカにおけるファンド事業として13億米ドルの新規投資を行いました。

 

 

科目

主な内容

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドによる投資の取得による支出

△1,816,291百万円

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資を行ったほか、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルが20億米ドルの投資を行いました。

 

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドによる投資の売却による収入

129,832百万円

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却しました。

子会社の支配獲得による支出

△388,259百万円

Zホールディングス㈱が、㈱ZOZOの普通株式152,952,900株(議決権割合50.1%)を400,737百万円で取得しました。なお、子会社の支配獲得による支出は、支配獲得日に㈱ZOZOが保有していた現金及び現金同等物22,876百万円を取得対価から差し引いています。

 

 

(c)財務活動によるキャッシュ・フロー

主な科目別の内容

科目

主な内容

短期有利子負債の収支(純額)

133,173百万円

ソフトバンクグループ㈱が490億円(純額)、ソフトバンク㈱が480億円(純額)のコマーシャル・ペーパーをそれぞれ発行しました。

 

有利子負債の収入
8,601,926百万円

 

借入れによる収入

7,043,561百万円(注)

・ソフトバンクグループ㈱が1兆9,101億円の短期借入れを行ったほか、資金調達を行う当社100%子会社であるスカイウォークファイナンス合同会社がアリババ株式を活用して43.7億米ドル、ムーンライトファイナンス合同会社がソフトバンク㈱株式を活用して5,000億円をそれぞれ借入れました。

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ファンド・レベル・ファシリティーにより68.1億米ドルを借入れました。なお、同ファシリティーは融資極度額を33.8億米ドルと設定し、その範囲内での借入れを可能とする融資形態であり、当期においてソフトバンク・ビジョン・ファンドは同ファシリティーから複数回の借入れおよび返済を行っています(下記「借入金の返済による支出」参照)。

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーにより36.5億米ドルを2019年7月に借入れました。このうち11億米ドルについて、2020年3月、市場環境の悪化およびそれに伴う同ファシリティーの担保に供した上場株式の株価の大幅下落を受け、当社を含む全てのリミテッド・パートナーへのキャピタル・コールによる調達資金を原資として返済を行いました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 24.有利子負債(4)担保差入資産」をご参照ください。

・ソフトバンク㈱が、ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)株式の取得資金として1,505億円を借入れ、さらに同借入れの長期資金への借換えなどを目的として3,250億円を借入れました。また、割賦債権の売却および通信設備のセール・アンド・リースバックにより8,576億円を借入れました。

・Zホールディングス㈱が、㈱ZOZO株式の取得資金への充当を目的として、4,000億円を借入れました。

・スプリントが、債権流動化やタームローンにより合計47億米ドルを借入れました。

 

 

科目

主な内容

 

社債発行による収入

1,379,220百万円

・ソフトバンクグループ㈱が、リファイナンスを目的として合計1兆円の国内普通社債を発行しました。

・Zホールディングス㈱が合計2,300億円の国内普通社債を発行しました。

・ソフトバンク㈱が合計400億円の国内普通社債を発行しました。

・スプリントが10億米ドルの普通社債を発行しました。

 

 

株式先渡売買契約に基づく資金調達による収入

179,145百万円

当社100%子会社のWest Raptor Holdings, LLCが、2019年11月にアリババ株式の先渡売買契約を締結し、1,791億円を調達しました。

 

 

有利子負債の支出

△5,646,727百万円

 

 

借入金の返済による支出

△4,599,878百万円(注)

・ソフトバンクグループ㈱が、短期借入金1兆7,848億円を返済しました。

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ファンド・レベル・ファシリティーによる借入金40.6億米ドルを返済したほか、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーのうち2020年3月に返済した11億米ドルを含む合計14.1億米ドルを返済しました。詳細は第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 24.有利子負債(4)担保差入資産」をご参照ください。

・ソフトバンク㈱とスプリントが、借入金を返済しました。

 

 

社債の償還による支出

△1,036,765百万円

・ソフトバンクグループ㈱が、国内普通社債7,000億円を満期償還しました。

・スプリントが社債を総額30億米ドル償還しました。

 

リース負債の返済による支出

△695,370百万円

ソフトバンク㈱およびスプリントが、通信設備に関連するリース負債を返済しました。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家からの払込による収入
1,843,660百万円

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、キャピタル・コールに対する資金を外部投資家から受領しました。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドにおける外部投資家に対する分配額・返還額

△771,282百万円

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーにより得られた資金を使って、2019年8月に外部投資家に33億米ドル(357,302百万円)の分配および投資元本返還を行いました。それを含め、当期において外部投資家に合計611,375百万円の分配および投資元本返還を行いました。

・デルタ・ファンドが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドへのDiDi株式の売却収入などを使って、外部投資家に合計159,907百万円の分配および投資元本返還を行いました。

 

自己株式の取得による支出

△231,980百万円

ソフトバンクグループ㈱が自己株式を当第1四半期に2,159億円、当第4四半期に160億円それぞれ取得しました。

 

(注)借入れによる収入および借入金の返済による支出には、契約上の借入期間が1年以内の借入金に係る収入が4,060,150百万円、支出が△2,851,336百万円、それぞれ含まれています。

 

(d)当社の資本の財源および資金の流動性に係る情報

i.ソフトバンクグループ㈱における資本の財源

 ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、子会社・関連会社への投資を含む直接投資(100%子会社を通じた投資を含みます。)またはソフトバンク・ビジョン・ファンドなど投資ファンドを通じて多数の企業に投資を行っています。また、適切なタイミングでそれらの株式資産を売却または資金化することで回収した資金や投資先からの配当、投資ファンドからの分配金などを、成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や負債返済にも振り向けています。このほか、金融機関からの借入れや社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金や負債の返済原資として資金調達をしています。

 

当期における主な投資・回収

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドに対し111億米ドルのコミットメントを履行しました(当期末におけるソフトバンク・ビジョン・ファンドに対するコミットメント残高は45億米ドル)。一方で、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドから分配金および投資元本の返還を受けました。

 

当期における主な資金調達

・手元資金の拡充を目的として、資金調達を行う複数の100%子会社を通じ、アリババ株式やソフトバンク㈱株式を活用し合計1.1兆円を調達しました。

・当期に満期償還した7,000億円の社債および来期以降に満期を迎える社債のリファイナンスの一環として、国内普通社債を合計1兆円発行しました。

 

iv自己株式の取得

・取得総額6,000億円を上限とする自己株式取得に関する2019年2月6日の取締役会決議に基づき、当期に2,159億円で19,044千株を取得しました(前期末までに3,841億円で36,709千株を取得)。

・取得総額5,000億円を上限とする自己株式取得に関する2020年3月13日の取締役会の決議に基づき、当期に160億円で4,720千株を取得しました。

 

v最大4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針

 ソフトバンクグループ㈱は、2020年3月23日の取締役会において、最大4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針(以下「本プログラム」)を決定しました。本プログラムにおいて得られた資金は、最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けます。

 本プログラムの一環として、2020年4月以降に、資金調達を行う当社100%子会社を通じて、アリババ株式を利用した複数の先渡売買契約を金融機関との間で締結し、総額137億米ドルを調達したほか、100%子会社であるソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有するソフトバンク㈱株式の一部を3,102億円で譲渡しました。また、ソフトバンクグループ㈱は、本プログラムにおける最大2兆円の自社株取得の一環として、2020年5月15日の取締役会において取得総額5,000億円を上限とする自己株式取得を決定しました。

 

(再掲)主な会社の投資活動および財務活動による主なキャッシュ・フローの内容

ソフトバンクグループ㈱および資金調達を行う100%子会社

ソフトバンクグループ㈱

財務活動によるキャッシュ・フロー

短期有利子負債の収支(純額)

49,000百万円

コマーシャル・ペーパーにより資金を調達しました。

借入れによる収入

1,925,050百万円

借入れを行いました。

借入金の返済による支出

△1,864,638百万円

借入金を返済しました。

社債発行による収入
1,000,000百万円

リファイナンスを目的として国内普通社債を発行しました。

社債償還による支出

△700,000百万円

国内普通社債を満期償還しました。

自己株式取得による支出

△231,980百万円

自己株式を当第1四半期に2,159億円、当第4四半期に160億円それぞれ取得しました。

 

資金調達を行う100%子会社(スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLCおよびムーンライトファイナンス合同会社)

財務活動によるキャッシュ・フロー

借入れによる収入

968,859百万円

・スカイウォークファイナンス合同会社が、アリババ株式を活用して43.7億米ドルを借入れました。

・ムーンライトファイナンス合同会社が、ソフトバンク㈱株式を活用して5,000億円を借入れました

株式先渡売買契約に基づく
資金調達による収入

179,145百万円

West Raptor Holdings, LLCが、2019年11月にアリババ株式の先渡売買契約を締結し、1,791億円を調達しました。

 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド(注1)

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資の取得による支出

△1,596,991百万円

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資を行いました。

投資の売却による収入

129,832百万円

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却しました。

 

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

借入れによる収入

1,132,873百万円

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ファンド・レベル・ファシリティーにより68.1億米ドルを借入れました。なお、同ファシリティーは融資極度額を33.8億米ドルと設定し、その範囲内での借入れを可能とする融資形態であり、当期においてソフトバンク・ビジョン・ファンドは同ファシリティーから複数回の借入れおよび返済を行っています(下記「借入金の返済による支出」参照)。

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーにより36.5億米ドルを2019年7月に借入れました。このうち11億米ドルについて、2020年3月、市場環境の悪化およびそれに伴う同ファシリティーの担保に供した上場株式の株価の大幅下落を受け、当社を含む全てのリミテッド・パートナーへのキャピタル・コールによる調達資金を原資として返済を行いました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 24.有利子負債(4)担保差入資産」をご参照ください。

借入金の返済による支出

△594,067百万円

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ファンド・レベル・ファシリティーによる借入金40.6億米ドルを返済したほか、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーのうち2020年3月に返済した11億米ドルを含む合計14.1億米ドルを返済しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 24.有利子負債(4)担保差入資産」をご参照ください。

外部投資家からの払込による収入
1,843,660百万円

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、キャピタル・コールに対する資金を外部投資家から受領しました。

外部投資家に対する分配額・返還額

△771,282百万円

・ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、ポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーにより得られた資金を使って、2019年8月に外部投資家に33億米ドル(357,302百万円)の分配および投資元本返還を行いました。それを含め、当期において外部投資家に合計611,375百万円の分配および投資元本返還を行いました。

・デルタ・ファンドが、DiDi株式のソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却収入などを使って、外部投資家に合計159,907百万円の分配および投資元本返還を行いました。

 

(注1)「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資を保有する予定の投資ビークルのキャッシュ・フローは含みません。

 

 

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における注記事項

 

1 ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先名は、別段の記載がある場合を除き、原則として業績への影響が大きいものを、その影響の大きさの順で掲載しています。

2 ソフトバンクグループ㈱の財務費用は、資金調達を行う100%子会社(スカイウォークファイナンス合同会社、West Raptor Holdings, LLCおよびムーンライトファイナンス合同会社)の有利子負債に係る支払利息を含めて表示しています。なお、これらの有利子負債にはソフトバンクグループ㈱による保証は付されておらず、ソフトバンクグループ㈱に対してはノンリコースです。

3 ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおけるリミテッド・パートナーによる支払義務履行額合計は、支払義務履行後に投資計画の変更等によりリミテッド・パートナーへ返還された金額を差し引いています。

4 当社のデルタ・ファンドへの支払義務履行額は、当社が取得した後デルタ・ファンドへ売却したDiDiへの投資の売却時の対価と相殺されています。

5 ソフトバンク・ビジョン・ファンドにおけるリミテッド・パートナーへの返還額は、Flipkart Private Limitedの売却およびポートフォリオ・ファイナンシング・ファシリティーにより得られた資金を使って返還した投資元本です。

6 デルタ・ファンドにおけるリミテッド・パートナーへの返還額は、DiDiへの投資をソフトバンク・ビジョン・ファンドへ売却した後に返還した、同投資の元本です。

7 World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)、2020年2月時点。プロセッサー技術を含まないメモリーおよびアナログチップを除く。同データはWSTS Inc.のヒアリングに協力をした半導体企業からの情報を元に作成されています。

8 ロイヤルティー・ユニット(アームのテクノロジーを含んだチップ)の出荷実績は、出荷の発生から1四半期遅れでライセンシーから報告を受けるため、本項におけるロイヤルティー・ユニットは、2019年10~12月期までの出荷実績を掲載しています。一方、ロイヤルティー収入は、出荷が発生する四半期に見積りに基づいて計上しています。

 

(4)生産、受注および販売の状況

 当社グループのサービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない事業も多いため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

 なお、販売の状況については、「(1)経営成績、b.セグメントの経営成績」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要な会計方針および見積りについては、「第5.経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 5.重要な判断および見積り」をご参照ください。

 

7.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定しています。

 

 2019年3月31日に終了した1年間までは、「ソフトバンク事業」、「スプリント事業」、「ヤフー事業」、「アーム事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」、「ブライトスター事業」の6つを報告セグメントとしていましたが、2019年6月にソフトバンク㈱がヤフー㈱を子会社化したことにより、取締役会が定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントが変更になったことに伴い、2019年6月30日に終了した3カ月間よりセグメント管理区分を見直し、「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「スプリント事業」、「アーム事業」、「ブライトスター事業」の5つを報告セグメントとしました。なお、2019年12月31日に終了した3カ月間より、報告セグメント名称を「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」から「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」に変更しています。また、2020年3月31日に終了した3カ月間において、スプリントがTモバイルとの統合により当社の子会社ではなくなる可能性が非常に高まり、同社を非継続事業に分類したことに伴い、「スプリント事業」を報告セグメントから除外しています。

 以上の結果、2020年3月31日における当社の報告セグメントは「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」「ソフトバンク事業」「アーム事業」「ブライトスター事業」の4つとなりました。

 

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」においては、主にソフトバンク・ビジョン・ファンドが、広い範囲のテクノロジー分野で投資活動を行っています。ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業におけるセグメント利益は、主にソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資損益と、当該ファンドおよびSBIAの営業費用により構成されています。投資損益は、主に子会社株式を含めたソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する投資およびソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管が決定された投資からの投資損益(ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの投資損益)により構成されています。

 「ソフトバンク事業」においては主に、ソフトバンク㈱が日本国内における移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供、ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)がインターネット広告やイーコマースサービスの提供を行っています。なお、ヤフー㈱は、2019年10月1日に持株会社体制に移行し、商号を「ヤフー株式会社」から「Zホールディングス株式会社」へ変更しました。

 「アーム事業」においては、アームがマイクロプロセッサーに係るIPおよび関連テクノロジーのデザイン、ソフトウエアツールの販売、ソフトウエアサービスの提供を行っています。

 「ブライトスター事業」においては、ブライトスターが海外における携帯端末の流通事業を行っています。

 「その他」には、報告セグメントに含まれない事業セグメントに関する情報が集約されています。主なものとして、PayPay㈱やフォートレス、ラテンアメリカにおけるファンド事業、福岡ソフトバンクホークス関連事業などが含まれています。

 「調整額」には、セグメント間取引の消去、各報告セグメントに配分していない全社費用が含まれています。全社費用にはソフトバンクグループ㈱や、海外におけるインターネット、通信およびメディア分野への投資活動に関する管理・監督を行うSB Group US, Inc.などの負担する費用が含まれています。

 なお、2019年3月31日に終了した1年間のセグメント情報は、変更後の報告セグメントに組み替えて表示しています。

 

(2)報告セグメントの売上高および利益

 報告セグメントの利益は、「営業利益」です。セグメント間の取引価格は、独立第三者間取引における価格に基づいています。

 当社は目標とする経営指標として、戦略的持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、グループ会社を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制のもと、株主価値(保有株式価値-純有利子負債で算出)を中長期的に最大化することを目指し、保有株式価値の増大を図っています。このため、従来記載していたEBITDAおよび調整後EBITDAについては、マネジメントへの定期的な報告において提供する主要な経営指標に該当しなくなったことから、2019年6月30日に終了した3カ月間より記載していません。

 なお、財務費用、持分法による投資損益などの営業損益に帰属しない損益は報告セグメントごとに管理していないため、これらの収益または費用はセグメントの業績から除外しています。

 また、非継続事業は含めていません。非継続事業の詳細は「注記6.非継続事業」をご参照ください。

2019年3月31日に終了した1年間

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

 

ソフトバンク・

ビジョン・

ファンド等

SBIAの運営する

ファンド事業

 

ソフトバンク

事業

 

アーム

事業

 

ブライト

スター

事業

 

合計

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

 

4,626,597

 

202,616

 

1,082,669

 

5,911,882

セグメント間の内部

売上高または振替高

 

25,519

 

83

 

 

25,602

合計

 

4,652,116

 

202,699

 

1,082,669

 

5,937,484

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

1,256,641

 

859,809

 

133,966

 

23,396

 

2,227,020

減価償却費及び償却費

89

 

543,006

 

66,730

 

5,929

 

615,754

子会社の支配喪失に伴う利益

 

 

176,261

 

 

176,261

 

 

 

 

 

 

 

 

その他

 

調整額

 

連結

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

181,666

 

 

6,093,548

セグメント間の内部

売上高または振替高

12,076

 

37,678

 

合計

193,742

 

37,678

 

6,093,548

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

90,053

 

63,331

 

2,073,636

減価償却費及び償却費

36,776

 

699

 

653,229

子会社の支配喪失に伴う利益

 

 

176,261

 

 

2020年3月31日に終了した1年間

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

 

ソフトバンク・

ビジョン・

ファンド等

SBIAの運営する

ファンド事業

 

ソフトバンク

事業

 

アーム

事業

 

ブライト

スター

事業

 

合計

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

 

4,843,657

 

206,277

 

955,415

 

6,005,349

セグメント間の内部

売上高または振替高

 

18,827

 

375

 

 

19,202

合計

 

4,862,484

 

206,652

 

955,415

 

6,024,551

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

1,931,345

 

923,314

 

42,819

 

5,328

 

1,056,178

減価償却費及び償却費

402

 

701,984

 

74,095

 

7,442

 

783,923

子会社の支配喪失に伴う利益

 

11,879

 

 

 

11,879

 

 

 

 

 

 

 

 

その他

 

調整額

 

連結

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

179,744

 

 

6,185,093

セグメント間の内部

売上高または振替高

16,442

 

35,644

 

合計

196,186

 

35,644

 

6,185,093

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

249,549

 

58,906

 

1,364,633

減価償却費及び償却費

46,961

 

1,133

 

832,017

子会社の支配喪失に伴う利益

 

 

11,879

 

(3)地域ごとの情報

a.外部顧客への売上高

(単位:百万円)

 

 

2019年3月31日に

終了した1年間

 

2020年3月31日に

終了した1年間

日本

4,658,433

 

4,882,590

米国

718,610

 

629,988

その他

716,505

 

672,515

合計

6,093,548

 

6,185,093

 

 売上高は外部顧客の所在地に基づき分類しています。

 

b.非流動資産(金融資産および繰延税金資産を除く)

 2020年3月31日において、スプリントの非流動資産を売却目的保有に分類された処分グループに分類しています。詳細は「注記6.非継続事業」をご参照ください。

 

(単位:百万円)

 

 

2019年3月31日

 

2020年3月31日

日本

4,151,534

 

5,337,087

英国

3,406,626

 

3,119,675

米国

8,220,717

 

289,850

その他

105,524

 

148,290

合計

15,884,401

 

8,894,902

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。

 

(2)重視する経営指標

 当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、グループ会社を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制のもと、株主価値(保有株式価値-純有利子負債で算出)を中長期的に最大化することを目指し、保有株式価値の増大を図っています。

 なお、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value、保有資産に対する負債の割合。調整後純有利子負債(注1)÷保有株式価値で算出)を重要視しており、金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するよう努めているほか、最低2年分の社債の償還資金に備えた潤沢な現預金を確保し安全性を維持できるよう努めています。

 

(注1)当社グループのうち、上場子会社および関連会社であるソフトバンク㈱、Zホールディングス㈱、アリババ、T-Mobile US, Inc.のほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、アーム、ブライトスターなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債を除く

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実にとらえ、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早くとらえ、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。現在、人工知能(AI)がさまざまなビジネスモデルに組み込まれることにより、価値創造のあり方が塗り替えられ、多くの産業が根本から再定義されようとしています。当社は、AIの活用による市場の拡大と新産業の創出という大きなチャンスを確実にとらえるため、「群戦略」という独自の組織戦略に取り組むとともに、2017年に活動を開始した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を中心に、投資活動を行っています。

 

「群戦略」とは

「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。

 

(4)経営環境および対処すべき課題

重要な子会社別

 当社の経営陣は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、アームおよびソフトバンク㈱を、当社による投資金額の規模および当社連結収益への影響が極めて大きい、最重要子会社と認識しています。各子会社における、経営上の課題は以下のとおりです。

 

①ソフトバンク・ビジョン・ファンドの成功

 2017年に活動を開始したソフトバンク・ビジョン・ファンドは、AIを活用した成長可能性の大きな企業に対し大規模な投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、ソフトバンクグループ㈱からリミテッド・パートナーとして出資を受けているほか、英国金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)による認可および規制を受けた当社100%子会社SBIAにより運営されており、SBIAはソフトバンク・ビジョン・ファンドの事業活動に応じてソフトバンク・ビジョン・ファンドから管理報酬および成功報酬を受け取っています。

 当社が戦略的投資持株会社としてのビジネスモデルを遂行するうえで同ファンドの成功は極めて重要です。SBIAは、以下の取り組みを通じてソフトバンク・ビジョン・ファンドの利益を中長期的に最大化していくことを目指しています。

 

a.大型資金を中長期的に運用

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、986億米ドル(2020年3月31日現在)という多額の出資コミットメントに加え、存続期間が原則2029年11月20日までの長期にわたる私募ファンドという特色を有しています。こうした特色を生かし、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、投資時点で企業価値が10億米ドルを超えると試算される非上場企業(いわゆる「ユニコーン」)を中心に構成される、ユニークな投資ポートフォリオを有しています。さらに、多種多様な業界やテクノロジー分野においてプレゼンスを確立した企業に対して投資を行い、地理的・戦略的な多様性を一定程度に保ちながら、中長期的なリターンの最大化を図っています。

 2020年3月31日現在、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先88社(エグジットした投資を除く)のうち上場企業が8社、未上場企業が80社です。現在、パブリックおよびプライベート市場はいずれも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりボラティリティーが高まっています。多くの投資先の公正価値の減少を受け、ソフトバンクグループ㈱の2020年3月期の連結業績におけるソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業からの営業損失は1.9兆円にのぼりました。このような状況において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、長期にわたる存続期間において中長期的なリターンの最大化を追求する戦略の下で、市場の変動期においてもその影響を緩和するための対策を講じながら、投資先をサポートし、その価値を最適な形で具現化させるための戦略を描くことを目指しています。また、資金余力(未払込資金)も残していることで、市場サイクルに左右されることなく、マクロ経済環境の混乱期に生じた投資先株式の追加買付の機会を活用することが可能です。

 

b.投資先価値向上の追求

 ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、2019年9月12日に投資期間を終えました。今後は、様々な助言を通じて投資先の健全な成長と発展を促すことにより、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの保有株式価値の最大化を追求していきます。具体的には、SBIAは当社グループの子会社および関連会社、投資先、取引先を含むエコシステムとのパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。投資先の経営層に対して、専任のオペレーティング・グループが知見に基づく助言を行い後ろ盾となることにより、成長を後押ししています。また、投資先の事業活動の支援に加え、収益性およびガバナンス体制のモニタリングを行うことによって、持続的な成長を促しています。

 

c.適切な運用体制の維持

 SBIAは、ソフトバンググループ㈱の取締役であるラジーブ・ミスラがCEOを務めるほか、投資銀行やベンチャー・キャピタル、テクノロジー企業など多様な経歴を持つシニア・リーダーたちが運営にあたっています。これまで、運用資産とグローバル展開のニーズと規模に合わせた投資、運用、資本、機能およびマネジメント陣を備えた組織と仕組みを築きあげており、引き続きその維持に努めています。世界10カ国の拠点を合わせた従業員数は、2020年3月31日現在474名に達しています。

 

②アームの新規市場での事業成長

 プロセッサーの設計を手がけるアームのテクノロジーは、省電力性に優れており、スマートフォン用メインチップのほぼ全てに採用されています。アームの技術を用いた製品・サービスが属する世界の半導体市場は、AIやコンピューター・ビジョンなどの新たなテクノロジーが自律走行車やIoTなどの成長市場で活用され、より多くの電子機器が通信機能を持つことにより、長期にわたり着実な成長が見込まれています。アームのテクノロジーは、スマートフォン用メインチップの他にも、ディスクドライブやドローン、デジタルテレビ、車のダッシュボードのメインチップなどに高い割合で搭載されています。今後は、コンシューマー・エレクトロニクスや産業用IoT、自動車、ネットワーク・インフラや、データセンターなどの様々な注目市場におけるアームのシェアも拡大していくと期待しています。

 現在、アームは研究開発投資の加速フェーズにあり、研究開発に従事する従業員数を、2016年の当社による買収時から2020年3月31日までに36%増加させるなど、収益のほぼ全てを事業に再投資しています。この研究開発投資の加速フェーズは今後数年にわたり続く見込みである一方、現在開発が進む新テクノロジーから生まれる収益が今後の収益性を底上げしていくと見込んでいます。

 

a.重点投資分野および長期戦略

 アームが開発を行うのは、将来長年にわたって必要とされるテクノロジーです。半導体業界の景気減速期においても研究開発を強化し続けることで、以下に掲げる長期戦略の実現を目指しています。

 

 

重点投資分野

 

モバイルコンピューティング

ネットワーク・

インフラ

自動車

IoT

市場シェア(2019年度)(注2)

90%

32%

75%

90%

長期戦略

市場の維持

市場シェアの拡大

チップ1枚当たりロイヤルティー単価の向上

新商流の導入

新規収益源の確立

 

b.半導体市場の動向とその影響

 アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあります。2019年度、スマートフォン売上高の減少や世界的な貿易摩擦、一部企業への規制により半導体市場は前年度比7.8%(注2)縮小しました。2019年度下半期に景気は回復の兆しを見せ始めたものの、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、2020年の同市場売上高は再び前年割れが予想されています(注3)

 足元でこうしたリスクは残るものの、今後半導体市場が回復するにつれ、アームは再度成長軌道に転じるものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテクノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。

 

世界の半導体市場(注2)

 

(金額ベース:十億米ドル)

 

2017年4月

~2018年3月

2018年4月

~2019年3月

2019年4月

~2020年3月

市場全体

 

 

 

市場規模

431

455

419

年間成長率

22.1%

5.5%

△7.8%

アームが関連する市場

 

 

 

市場規模

229

236

238

年間成長率

15.9%

3.3%

0.6%

 

(注2)World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)、2020年5月時点。同データはWSTS Inc.のヒアリングに協力をした半導体企業からの情報を元に作成されています。アームが関連する市場の数値は、プロセッサー技術を含まないメモリーおよびアナログチップを除く。

(注3)IHSおよびGartner、2020年4月時点

 

 

③ソフトバンク㈱グループの継続的な企業価値の向上

 日本の通信市場では、政府による競争促進政策の強化、MVNOによる格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、アメリカ・中国を中心とした海外企業の優勢が続いており、特にイーコマースや金融・決済の分野で競争が激化しています。このような中、ソフトバンク事業では、変化の激しい情報通信業界においてソフトバンク㈱グループの継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。

 事業戦略としては、①通信事業のさらなる成長、②ヤフー事業の成長、③新規事業の創出・拡大に取り組んでいます。

 財務戦略としては、ソフトバンク㈱は、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。同社は今後も年間5,000億円以上の調整後フリー・キャッシュ・フロー(注4)の維持を目指しており、安定的なキャッシュ・フローの創出により、引き続き成長投資と株主還元の両立を図っています。

 

(注4)調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー±親会社であるソフトバンクグループ㈱との一時的な取引+(割賦債権の流動化による調達額―同返済額)

 

全社

①安定した財務基盤の構築

 当社では、ソフトバンクグループ㈱が、子会社を含むグループ会社を投資ポートフォリオとして統括する戦略的投資持株会社としての財務運営を行っています。株式市場の変調を含む保有株式価値の変動の影響を受けやすい同ビジネスモデルにおいて、ソフトバンクグループ㈱は、これらの影響を可能な限り抑えた安定的な財務運営を行うことにより、安全性の確保を目指しています。具体的には、ソフトバンクグループ㈱のLTVを「(2)重視する経営指標」の通り管理しながら、新規投資や投資回収、投資資産価値の状況などに応じて適切に負債をコントロールしていくことを目指しています。

 また、投資資産の売却や資金化を行うとともに、子会社を含むグループ会社からの配当収入やリミテッド・パートナーとしてソフトバンク・ビジョン・ファンドから受け取る分配金などの収入も得ることで、最低2年分の社債の償還資金に備えた潤沢な現預金を確保し安全性を維持できるよう努めています。

 2020年3月23日、ソフトバンクグループ㈱は、自己株式取得と負債削減のために最大4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化に関する方針を決定しました。売却または資金化で得られた資金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向けます。そして、このプログラムに基づき、ソフトバンクグループ㈱は、2020年5月15日、取得価額の総額の上限を5,000億円とする自己株式取得について決定しています。ソフトバンクグループ㈱は、同プログラムを通じ、バランスシートをさらに強化することを目指しています。

 

②サステナビリティの推進

 ソフトバンクグループ㈱は、社会の持続的な発展と当社グループの中長期的な成長の両立を実現するためのサステナビリティビジョンとして「考えるのは、300年後の人と地球」を策定しています。また、サステナビリティビジョンにもとづき、6つの活動テーマの設定と当社が特に取り組むべき優先度の高い重要課題(戦略マテリアルイシュー)の特定を行っています。あわせて、サステナビリティ推進体制を強化すべく、サステナビリティ推進責任者であるチーフ・サステナビリティ・オフィサーを任命するとともに、サステナビリティ委員会を新設しています。ソフトバンクグループ㈱は、この活動テーマや戦略マテリアルイシューを意識しながら事業活動を遂行することで、サステナビリティを推進していきます。

 

サステナビリティビジョン

「考えるのは、300年後の人と地球」

 

活動テーマと戦略マテリアルイシュー

 

活動テーマ

戦略マテリアルイシュー

1.知恵と知識をつなぎ、社会の成長とイノベーションを推進する

・イノベーションマネジメント

・市場機会

・持続可能な金融

2.テクノロジーの進歩に伴う新たな課題に対応し、未来への責任を果たす

・プライバシー保護/情報セキュリティー

3.すべての人が自分らしく挑戦できる環境をつくり、次世代と事業の成長を図る

・人材育成

4.最先端テクノロジーを活用し、エネルギー問題をはじめとした環境課題の解決に挑む

・気候変動

5.社会をリードする企業にふさわしい透明性の高いガバナンスとコンプライアンスを実践する

・コーポレート・ガバナンス

・贈収賄防止

6.グループの強みを活かし、世界中の人々とともに、社会のさらなる幸せに貢献する

 ―

 

 

サステナビリティ推進体制

 

(画像は省略されました)

 

2【事業等のリスク】

 ソフトバンクグループ㈱は、直接または投資ファンドを通じて多数の企業に投資を行い、その投資ポートフォリオを管理する戦略的投資持株会社です。投資ポートフォリオには、子会社・関連会社(以下「グループ会社」)とそれらに分類されない投資先が含まれます(以下、グループ会社と併せて「投資先」)。これらの投資先は、国内外において多岐にわたる事業を展開しています。ソフトバンクグループ㈱の投資活動、および投資先の事業活動の遂行にはさまざまなリスクを伴います。本有価証券報告書の提出日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。なお、これらは、ソフトバンクグループ㈱および投資先で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。

 

(1)ビジネスモデルについて

 ソフトバンクグループ㈱は、独自の組織戦略「群戦略」(「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略」を参照)の下、グループ会社(例えば、ソフトバンク㈱やアーム、アリババ)への投資を含む直接投資(100%子会社を通じた投資を含みます。)に加え、投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を通じて、情報・テクノロジー分野において多様な事業を展開する企業から成る投資ポートフォリオを構築することで、株主価値(注1)の向上に取り組んでいます。この過程において、ソフトバンクグループ㈱は投資先同士の協業を促進するなど、その幅広いネットワークやこれまで培ってきた知見を活用して投資先各社の資産価値の向上を後押しするともに、適切なタイミングでそれらの株式資産を売却し、その回収した資金を成長戦略に基づき新規投資に充当するほか、適切なタイミングで株主還元や負債返済にも振り向けています。しかし、株式相場が下落した場合や投資先の事業展開や業績がソフトバンクグループ㈱の投資決定時における想定を大幅に下回った場合、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTV(Loan to Value)(注2)が悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより、ソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態、ひいては新規投資や財務政策に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(注1)株主価値=保有株式価値-純負債

(注2)LTV=純負債÷保有株式価値。「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)重視する経営指標」をご参照ください。

 

(2)資金調達について

 ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、新規投資を継続的に行っていくために必要な資金を、株式資産の売却、投資先からの配当や投資ファンドからの分配金、保有資産を活用した資金調達(アセット・バック・ファイナンス)などでまかなうことを目指しています。しかし、新規投資のための資金が必要な時期に株式資産の売却や資金調達を行うことができない場合、投資機会を逸し、株主価値の継続的な向上に支障が生じる可能性があります。また、一部の保有株式を活用した資金調達については、株式市場の悪化などにより対象となる保有株式価値が下落した場合には、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達が困難になる可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱は、金融機関からの借入れや社債の発行などによっても、投資活動に必要な資金を調達しています。負債による資金調達については、金融政策や金融市場の変化等により金利が上昇した場合や、保有資産価値の減少や業績悪化によりソフトバンクグループ㈱の信用格付けが引き下げられるなど信用力が低下した場合には、調達コストが増加し、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、資金調達が予定した時期・規模・条件で行えない場合には、ソフトバンクグループ㈱の投資活動(投資ファンドを通じた投資を含みます。)および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱(資金調達を行う100%子会社を含みます。)は、負債の返済原資を確保するために、新たな資金調達やリファイナンス、一部保有資産の売却などを行うことがあります。市場環境を注視した上で適切と考える時期での資金調達を実施し、財務規律に基づき十分な手元流動性を安定的に維持することに努めています。しかしながら、資金調達に適さない環境が想定以上に長期化した場合、返済原資の捻出のために不利な条件での株式資産売却や予定外の株式資産売却を余儀なくされソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソフトバンクグループ㈱の金融機関からの借入れや社債などの債務には、各種コベナンツが付されていることがあります。いずれかのコベナンツに抵触する可能性が発生し、抵触を回避するための手段を取ることができない場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があるほか、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の信用力や財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営陣について

 ソフトバンクグループ㈱が投資をしている主要な投資先やファンドは、それぞれのCEOなどを中心とする経営陣の下で自律的に運営を行っています。例えば、ソフトバンク㈱の代表取締役 社長執行役員 兼 CEOは宮内 謙(ソフトバンクグループ㈱取締役)が、アームのCEOはサイモン・シガース(ソフトバンクグループ㈱取締役)がそれぞれ務めています。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営会社であるSoftBank Investment AdvisersのCEOはラジーブ・ミスラ(ソフトバンクグループ㈱取締役副社長)が務めています。

 しかし、ソフトバンクグループ㈱の重要な経営陣、特に代表取締役会長兼社長であり当社グループ代表である孫 正義に不測の事態が発生した場合、ソフトバンクグループ㈱の活動全般に支障が生じる可能性があります。

 

(4)投資活動について

 ソフトバンクグループ㈱は、企業買収、子会社・合弁会社の設立、事業会社(上場・非上場企業を含みます。)・持株会社(各種契約によって別会社を実質的に支配する会社を含みます。)・投資ファンドへの出資などの投資活動を行っています。これらの投資活動については、以下a~eのようなリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、投資先の資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、投資先の中でも、特に連結業績への影響の大きい、ソフトバンク・ビジョン・ファンドとソフトバンク㈱の特有のリスクについては、それぞれ「(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて」と「(6)ソフトバンク㈱について」をご覧ください。

 

a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向

 ソフトバンクグループ㈱は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する事業体に投資しているため、これらの国・地域における政治情勢や金融・財政政策の変化、貿易摩擦・紛争などの国際情勢の変化、自然災害の発生、感染症のまん延などの公衆衛生上の危機(「b.新型コロナウイルスの感染拡大」を参照)により、経済情勢や金融市場が悪化した場合には、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。例えば、ソフトバンクグループ㈱の投資実行や回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があるほか、投資先が提供するサービス・商品に対する需要の低下や供給の停滞により各社の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。また、流動性の低い未上場企業への投資については、市場環境が急激に悪化した場合などには、ソフトバンクグループ㈱の希望する時期・規模・条件で投資持分を売却できない可能性があります。これらの結果、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、LTV、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱による海外企業への外貨建投資においては、為替変動に伴う損失が発生する可能性があります。また、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表の作成にあたり、アームをはじめとする海外のグループ会社の現地通貨建ての収益・費用および資産・負債を日本円に換算するため、為替相場の変動がソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b.新型コロナウイルスの感染拡大

 「a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向」で言及した公衆衛生上の危機の具体例として、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの感染拡大は収束の時期がなお見えず、ソフトバンクグループ㈱の投資活動および投資先の事業活動に与える中期的な影響を具体的に見通すことが困難な状況が続いています。ただ、足元ではすでにソフトバンクグループ㈱の保有株式価値に悪影響が出ており、中でもソフトバンク・ビジョン・ファンドは投資先の公正価値の減少に伴い、当第4四半期に1.1兆円の投資損失を計上しました。感染拡大の収束までの期間が延びれば、来期も投資活動および投資先の事業活動は先行きの不透明感が拭えない状況が長引くと見込んでいます。主要な投資先であるソフトバンク㈱においては、現段階では通信事業への影響は軽微と見込んでいます。また、その傘下のZホールディングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込まれる一方で、広告出稿や宿泊・飲食予約サービスの利用が減少すると見込んでいます。もう一つの主要な投資先であるアームにおいては、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷が減少することによりテクノロジー・ロイヤルティー収入に、またライセンシーによる新規ライセンス契約締結の延期が発生することによりテクノロジー・ライセンス収入に、それぞれ悪影響が及ぶ可能性があると見込んでいます。

 多くの国が都市封鎖や外出制限、出入国制限を実施する中、ソフトバンクグループ㈱および多くの投資先はビデオ会議システムやビジネスチャットツールなどを活用して投資活動や事業活動を継続しています。しかし、そのような環境下では投資活動や事業活動に制約が生じることがあり、新型コロナウイルス感染拡大の影響が想定以上に長引いた場合、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値やLTV、連結・個別業績、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの影響については「(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて」「k.新型コロナウイルス等の感染拡大」をご参照ください。

 

c.投資に関する規制

 ソフトバンクグループ㈱が行う投資活動は、関係各国の規制当局から承認等が必要となる場合や投資先への関与に制約を受ける場合があります。また、関係各国において、投資活動に関する規制の新設や強化が行われる可能性があります。ソフトバンクグループ㈱は、その法務部門と外部のアドバイザーを含む関係者とで連携し、それぞれの規制に対応していますが、これらの必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、ソフトバンクグループ㈱の期待通りに投資を実行できない可能性があります。

 例えば、ソフトバンクグループ㈱は、一部の米国投資に関して、その投資の対象となる会社(本(c)において「対象会社」)および米国関係省庁との間で国家安全保障契約を締結しています。この国家安全保障契約に基づき、ソフトバンクグループ㈱と対象会社は、米国の国家安全保障を確保するための方策を実行することに合意しています。これら方策の実行に伴いコストが増加する、または米国内の施設、契約、人事、調達先の選定、事業運営に制約を受ける可能性があります。

 

d.投資判断

 ソフトバンクグループ㈱が投資ファンド(例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を経由せずに直接投資(100%子会社を通じた投資を含みます。)を行う場合、その投資判断プロセスにおいて、社内関係部門に加えて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得て、対象企業の事業内容、テクノロジー、ビジネスモデル、市場規模、事業計画、競争環境、財務内容、法令遵守状況などについてデュー・ディリジェンスを実施し、その株式価値を適切に見積るとともに、事業や財務、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、内部統制に係るリスクを把握するように努めています。また、デュー・ディリジェンスで得られた内容が適切かどうか、専門の審査部門が客観的なレビューを行っています。そうして得られた検討結果を踏まえて、取締役会または取締役会から権限を委譲された投融資委員会(「第4 提出会社の状況、コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照)で投資判断を下しています。

 特に投資先のコーポレート・ガバナンスに係るリスクについては、「ポートフォリオ会社のガバナンス・投資指針に関するポリシー」を定めることにより、ソフトバンクグループ㈱およびその子会社(原則として、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびソフトバンクグループ㈱の子会社が管理するその他の投資子会社を含みます。)が投資の検討過程において考慮するべき、投資先のコーポレート・ガバナンスに関わる基準を明確化しています。本ポリシーは、投資先の取締役会の構成、創業者・経営陣の権利、株主の権利(多議決権株式に関する事項を含みます。)、利益相反の回避などに関連するもので、広範にわたるコーポレート・ガバナンスの重要事項を網羅しています。なお、本ポリシーは一般的な原則を定めたものであり、一定の制限の下で各投資元に裁量の行使を認めています。各投資元は各投資先のコーポレート・ガバナンスを監視し、その結果をソフトバンクグループ㈱に定期的に報告することが義務づけられています。

 しかし、このような慎重な投資判断プロセスを経たとしても、対象企業の企業価値やテクノロジー、ビジネスモデル、市場規模などを実態よりも過大評価する、リスクを過小評価する、または重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質を見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。その結果、投資実行後に、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式を含む資産の評価損を計上することにより連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

e.投資先の資産価値の下落

 ソフトバンクグループ㈱は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、その結果を経営陣に報告する体制を整えています。また、監視の結果を踏まえて、投資先の経営改善のために必要な助言の提供や、役員・管理職など各種レベルの人材の派遣、協業先の紹介など、必要に応じて行っています。

 しかし、「a.政治情勢、金融・財政政策、国際情勢の動向」および「b.新型コロナウイルスの感染拡大」で言及したマクロ外部要因に加えて、テクノロジーやビジネスモデルの陳腐化や競争環境の激化などにより、ソフトバンクグループ㈱が投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が1株当たり株式価値の大幅な希薄化を伴う増資などを行う可能性があります。こうした場合、投資先の資産価値が下落し、ソフトバンクグループ㈱が、株式などの金融資産の評価損や投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失を計上する可能性、投資先から期待通りに利益分配などのリターンを得られない可能性、または、投資の回収ができない可能性があります。

 なお、ソフトバンクグループ㈱の個別決算においては、投資活動により取得した出資持分などを含む資産の価値が下落した場合、評価損が発生し、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があるほか、投資先の業績が悪化した場合には、投資先から期待通りの配当を得ることができず、キャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループ㈱の投資決定時に想定した通りに事業を展開できない場合、他の投資先などとの間で十分なシナジー(相乗効果)を創出できない場合、または事業展開のために想定以上の資金が必要となった場合など、投資先の株主価値の向上に必要と判断した場合、投資先に対し一時的に融資や債務保証などを行うことがあり、当該投資先に係るリスク資産が増加することになります。

 

(5)ソフトバンク・ビジョン・ファンドについて

 ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下「SVF」)は、英国の金融行為規制機構(the Financial Conduct Authority)の認可および規制を受けた、ソフトバンクグループ㈱の英国100%子会社であるSB Investment Advisers(UK)Limited(以下「SBIA」)が運営する投資ファンドであり、テクノロジー分野(通信やインターネット、メディアを含みます。)で株式等に投資を行っています。SVFに対し、ソフトバンクグループ㈱はリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、SBIAはSVFの投資の状況に応じて、SVFから管理報酬および成功報酬を受け取ります。

 2020年3月31日現在、SVFの出資コミットメント総額は986億米ドル(うちソフトバンクグループ㈱および子会社331億米ドル)(注1)であり、これに対するリミテッド・パートナーによる累計支払義務履行額は783億米ドル(うち同286億米ドル)、コミットメント残額は203億米ドル(うち同45億米ドル)です。

(注1)SVFに関連するインセンティブ・スキームへ活用される予定の50億米ドルを含みます。

 

 SVFおよびSBIAに存在する特有のリスクは、主として以下a~kに記載する通りです。SBIAは、リスクマネジメントフレームワーク(以下「RMF」)を定め、SBIA全体の事業プロセスと意思決定にリスク管理を組み込んでいますが、これらのリスクの顕在化を完全には回避できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、SVFの投資ポートフォリオの資産価値が下落し、SVFおよびSBIAの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。SVFの投資ポートフォリオの資産価値が下落した場合、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、保有株式の評価損を計上することによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本(5)において、「投資先」はSVFの投資先を意味します。

 

SBIAのRMFについて

 この枠組みは、事業運営および投資の両面のリスク管理を対象とし、リスクを特定、評価、および軽減するための枠組みを構築するものです。SBIAのRMFの根幹を成す原則は以下の通りです。

・取締役会がリスク管理の最終的な責任を負い、重要な意思決定にはリスクが考慮されなければならない(“経営トップの姿勢”)

・投資家の期待やSBIAの戦略目標、規制要件を充足するため、組織全体にわたる実効性の高いリスクカルチャーを確立する

・将来を見据えてリスクを特定・軽減することにより、経営陣によるリミテッド・パートナーからの預かり資産およびSBIAのレピュテーションの保護のため積極的な行動を促す

・重要な既存または新規発生リスクが能動的に特定、測定、緩和、監視、および報告されることを確実にする

・現地および当社における規制当局のリスク管理要件を充足する

 

 

a業績への影響

 SVFを構成する事業体はすべてソフトバンクグループ㈱の連結対象です。SVFからの投資は、毎四半期末に公正価値で測定されます。公正価値の変動は、投資損益(ただし、子会社株式に対する投資損益を除きます。)として、連結損益計算書上の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業利益」に含めて計上されます。公正価値の測定は、取引事例法や割引キャッシュ・フロー法、類似会社比較法など複数の評価方法を組み合わせて行われます。投資先の業績の悪化や金融市場、経済情勢の低迷などにより、投資先の公正価値が下落した場合は、SVFの業績が悪化し、その結果、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当期において、ソフトバンクグループ㈱の連結業績におけるソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンドからの営業損失は1.9兆円にのぼりました。また、ソフトバンクグループ㈱の個別決算では、SVFの業績が悪化した場合、リミテッド・パートナーとしての出資に対して評価損が発生し、業績や分配可能額に悪影響を及ぼす可能性があります。

 SVFの投資先のうち、IFRSに基づいてソフトバンクグループ㈱が支配をしていると見なされる投資先は、ソフトバンクグループ㈱の子会社として扱います。当該子会社の業績および資産・負債はソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表に反映されることから、当該子会社たる投資先の業績が悪化した場合は、ソフトバンクグループ㈱の連結業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、SVFで計上した当該子会社への投資に係る投資損益は、内部取引として連結上消去されます。

 なお、適正な公正価値評価を実現するため、SVFの評価プロセスは、SBIAの評価・財務リスク委員会(以下「VFRC」)が監督を行っています。SVFの投資先の評価を行う際、VFRCは、IFRS第13号「公正価値測定」および国際プライベート・エクイティ・ベンチャー・キャピタル評価(IPEV)ガイドラインに基づいたSVFの評価方針に従って評価を行います。これに加えて、SVFの投資家諮問委員会(IAB)に任命された独立第三者評価機関が、SVFの投資先の評価を独立性をもって半期ごとに実施しています。SBIAは、独立第三者評価機関から受領した評価を(SBIAの規制上の義務に則った適切な範囲で)すべて考慮する必要があります。

 

b.投資成果

 SVFの投資成果は、ソフトバンクグループ㈱と外部投資家で構成されるリミテッド・パートナーに配分されるほか、SBIAに成功報酬として配分されます。SVFの投資採算が悪化し計画通りの投資成果を挙げられない場合には、ソフトバンクグループ㈱はリミテッド・パートナーとして期待通りの成果分配を受けることができない、または投資回収できない可能性があるほか、SBIAは期待通りの成功報酬を受け取ることができない可能性があります。

 また、SBIAは、投資の売却や配当および株式の資金化などにより実現した投資利益に基づき成功報酬相当額を受け取ります。なお、SVFの投資期間(2019年9月12日に終了)の間に資金化された投資に対する成功報酬相当額は、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントの定めにより、SBIAへの支払が留保され、一時的にリミテッド・パートナーに支払われていましたが、投資期間終了後、留保されていた成功報酬相当額の総額が2020年3月31日までにSBIAに支払われました。ただし、投資期間終了後においても、受け取った成功報酬には、将来の投資成果に基づく一定の条件の下、クローバック条項(過去に受け取った成功報酬額を返還する条項)が設定されているため、SVFの清算時においてSVFの投資成果が一定以上でない場合、SBIAは期待通りの成功報酬を受け取ることができない可能性があるほか、それまでに受け取った成功報酬相当額が減額される、または成功報酬を受け取ることができない可能性があります。

 

c.レバレッジ

 SVFは、キャピタル・コール用のつなぎ資金やポートフォリオ・レベルでレバレッジを発生させることを目的として、借入れを行うことがあります。当該レバレッジはSVFのエクスポージャーを高める手法を意味し、直接の借入れ、債券またはメザニン証券の発行、証拠金取引、デリバティブ商品や、その他の形態による直接および間接の借入金などの形態をとることがあります。これらの利用またはレバレッジに対するエクスポージャーにより、SVFの投資は、金利の大幅な上昇、深刻な景気後退、または投資先の市場環境の悪化を含む、経済的要因の悪化からの影響を受けやすくなります。これらのレバレッジにより調達した資金を用いた投資が負債の元本および利子の支払いに十分なキャッシュ・フローを生み出せない場合、SVFの当該投資の価値は大幅に減少または消滅する可能性があり、また当該レバレッジが複数の投資に対しリコースするものである場合、対象となる他の投資価値も減少または消滅する可能性があります。借入れに付随する義務を果たすに足る利益を生み出すことができない場合、投資の早期回収を迫られることとなり、ソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配に悪影響を与える可能性があります。当期において、SVFは、保有株式の一部の資金化を目的とした36.5億米ドルの借入れを2019年7月に行いましたが、このうち11億米ドルについて、2020年3月、市場環境の悪化に伴う当該借入れの担保に供した上場株式の株価の大幅下落を受け、ソフトバンクグループ㈱を含む全てのリミテッド・パートナーへの資金拠出の要請(キャピタル・コール)による調達資金を原資として返済を行いました。

 なお、SBIAは、SVFの設立関連契約および借入契約に定められたレバレッジ制限を遵守すると同時に、既存の負債と投資のパイプラインも考慮に入れながら、SVFのレバレッジ水準および関連キャッシュ・フローを綿密にモニタリングしています。レバレッジ水準と潜在的なキャッシュ・フローに関する問題は、財務および投資リスク部門の双方から経営陣に報告され、対策が検討されます。またSVFは、借入の利払いやその他のSVFの債務へ充当する目的でリミテッド・パートナーからの未払込資金が一定程度留保されており、潤沢な流動性ポジションを有しています。SBIAは、SVFが常に適切な予備的現預金を維持し続けるように努めています。

 

d投資のエグジット機会の不足

 SVFが取得する投資は流動性が低いことが多く、SBIAは最終的にどのようなエグジット戦略をとるかについて、完全かつ確実に予定することはできません。したがって、SVFが当該投資を適時に回収できる保証はなく、その結果、リミテッド・パートナーへの現金分配のタイミングは不確実かつ予測不能です。また、経済、法規制、政治またはその他の要因により、投資開始時に可能と思われたエグジット戦略が、投資が回収段階に達するまでの間にとりえなくなる場合があります。さらに、SVFは、契約またはその他の制約により、特定の証券の売却を一定期間禁止される可能性があり、そのような場合、有利な市場価格で売却する機会を逸する可能性があります。

 なお、エグジット戦略の承認はSBIAの投資委員会の重要な検討事項であり、エグジット戦略はSBIAの投資部門が定期的に見直し、更新しています。また、エグジット戦略の事前計画のために、投資リスク部門が様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。SVFは、原則として2029年11月20日まで運用が可能な長期投資ファンドであり、複数の景気後退の可能性や、エグジットまでに時間を要する投資がありうることも考慮されて設計されています。

 

e.支配権を伴わない投資および限定的な株主権利

 SVFは、投資先において支配権を伴わない持分を有する場合、保有持分の保護や経営への影響力行使の能力が限定的となる可能性があります。またSVFは、金融、戦略、またはその他の分野における他社(グループ会社を含みます。)と共同で、合弁会社などを通じて投資を行う場合があり、当該他社が、当該合弁会社または投資先に対しSVFよりも大きな保有割合もしくは支配権を有する場合があります。このような場合、SVFは当該他社の経営陣および取締役会(SVFと利害が競合し得る他の金融投資会社の関係者が構成員に含まれる場合があります。)に大きく依存することとなります。

 

f.人材の確保・維持

 SBIAは、SVFをはじめとして、運営する投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、テクノロジーや金融市場に関する幅広い知見や投資事業の運営における専門的スキルを保有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。SBIAは、投資・運用体制を幅広く有するうえ、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを通じ、スタッフの定着を図っており、SBIAとその報酬委員会が有する、報酬を成果に連動させる総合的な報酬哲学は、市場と比べ非常に高い競争力に寄与していると自負しています。しかしながら、このような有能な人材を十分に確保・維持することができない場合(要因には、オルタナティブ・アセット投資会社や金融機関、プライベート・エクイティ、グロース・エクイティおよびベンチャー・キャピタル、投資顧問会社およびその他の市場参加者との間での、高い能力を有する投資プロフェッショナル人材の獲得および維持の競争激化を含みます。)は、運営するファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

g.リミテッド・パートナー

 SBIAは、SVFの投資の実行にあたり、参画するリミテッド・パートナーに対して、資金拠出の要請(キャピタル・コール)を行いますが、何らかの事情によりリミテッド・パートナーから資金が拠出されない場合は、SVFによる投資金額が制限されるなど、SBIAの計画通りに投資を行えない可能性があります。また、SVFの出資持分はソフトバンクグループ㈱を含む少数の大口投資家によって保有されており、このような大口投資家がキャピタル・コールに応じることができない場合、他のリミテッド・パートナーは一定の範囲内で不足額を補う責務を追うものの、持分がさらに分散して保有される場合と比して悪影響が大きくなります。さらに、出資コミットメント額の大きな外部のリミテッド・パートナーは、一定額以上の投資案件について拒否権を有しているため、当該拒否権が行使された場合は、SBIAの計画通りに投資を行うことができない可能性があります。

 

h.新たな技術やビジネスモデルへの規制

 SVFの投資先には、AIやビッグデータなどの新技術の事業への活用や研究開発を行う企業や、既存の枠組みとは異なる新たなビジネスモデルを展開する企業が多く含まれます。このような新たな技術やビジネスモデルが提供される事業領域(例えば、自動運転やライドシェアサービス)は、多くの国・地域において特定的かつ厳格な規制または許認可の対象とされる場合があります。関連する法令等の整備により、規制が設定または強化された場合は、新たな経済的負担または規制が課されたり、採用する技術やビジネスモデルまたはこれらに関する研究開発について、内容の変更や停止または終了が必要になるなど、投資先の事業展開および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、特定のテクノロジーに関連するサービスの提供に必要な許認可には様々な条件が課されるものの、SVFの投資先がこれらの条件を満たすことができる保証はありません。

 

i特定の分野への投資の集中

 SVFは、特定の事業領域における複数の企業への投資を有しており、当該事業領域に対する投資の集中度が高くなる場合があります。例えば、Uber Technologies,Inc.や、Xiaoju Kuaizhi Inc.、GRAB HOLDINGS INC.など、ライドシェアサービスを提供する企業に投資を行っています。こうした事業領域において、需要の低迷や市場競争の激化(投資先間の競合を含みます。)など事業環境の悪化により、投資先の収益性が低下するなど業績が悪化した場合や、SVFの投資時点に想定した通りに事業展開ができない場合や、当該事業領域に対する市場の評価が悪化した場合には、投資先の業績または公正価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、投資の集中度については、SBIAの投資リスク部門が測定および経営陣への報告を行い、SBIAの投資委員会および取締役会のメンバーが検討を行います。SBIAの投資委員会および必要に応じ実施されるIABによるレビューなどの投資プロセスの中で、投資を分散させるかまたはリスクを許容するかが決定されます。

 

j上場企業への投資

 SVFの投資ポートフォリオは、上場企業が発行する証券や債券が含まれる場合があり、これらの投資は、未上場企業への投資におけるリスクとは種類および程度が異なるリスクを伴う可能性があります。当該リスクには、投資の公正価値評価(バリュエーション)に市場価格が用いられることによるボラティリティー、投資先に関する情報開示義務の増加、当該証券および債券の処分におけるSVFの裁量への制限、投資先の役員および取締役(SBIAの従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟およびインサイダー取引の告発の可能性の増加、ならびにこれらのリスクを低減するためのコストの増加が含まれます。さらに、取引所で取引される証券については、上場証券の一部またはすべてについて取引を一時停止できる取引所の権限の影響下にあるため、このような取引停止または制限により保有投資の資金化に制約が生じることで、SVFに損失が生じる可能性があります。

 流動性イベントに伴ってSVFが保有する上場証券に生じる市場リスクを軽減するため、SBIAの投資活動による市場への影響を最小限に抑え収益を最大化するよう計画的にポジションを売却するなどの仕組みを設定しています。またSBIAは、カバードコール・オプションを売却するなどしてデリバティブ契約を締結することでエクスポージャーを低減することもあります。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての証券に投資している場合の為替リスクをヘッジすることも検討しています。

 また、SVFが上場証券のポジションを管理するうえで発生する運用リスクとコンプライアンスリスクは、SBIAのミドルオフィス、コンプライアンス、投資リスク部門などの運用リスク管理部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これには取引相手の確認などの取引前の承認プロセス、取引後の調整およびモニタリングが含まれます。

 

k.新型コロナウイルス等の感染拡大

 新型コロナウイルスをはじめ、その他の感染症および伝染病の蔓延への懸念から、これまでも各国において公共交通機関の利用を含む移動の制限、検疫の強化、長期にわたる事業所の閉鎖および在宅勤務の義務付けまたは要請などの感染拡大の防止策が講じられてきました。新型コロナウイルス感染症のような伝染病の世界規模での発生により、世界の資本市場のボラティリティーが高まる可能性や地域および世界経済に悪影響が生じる可能性があり、これにより多大な損害が発生するなどしてSVFの事業および業績が悪化し、ソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへのリターンが減少する可能性があります。当期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、新型コロナウイルスの感染拡大およびそれに伴う世界経済の停滞の影響による投資先の公正価値の減少などに伴い、当第4四半期に1.1兆円の投資損失を計上しました。新型コロナウイルスおよびその他の感染病・伝染病の拡大防止策やSVFの投資先の役職員の疾病を理由とする欠勤などが継続した場合、SVFの投資先の事業およびリターンに悪影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルスの感染拡大に対し、SBIAは、投資先と緊密に連携しながら、収益の減少や流動性の低下など投資先の事業環境のさらなる悪化に備えるための事業運営の支援や戦略の指導を行い、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化局面における事業への悪影響の低減を図っています。また、投資先に対し、手元資金を活用した精緻なキャッシュ・フロー計画を立てることによりコスト構造を最適化し、事業の継続と柔軟性を確保するよう促しているほか、現金準備残高ならびに各投資先のセクターおよびビジネスモデルに基づく新型コロナウイルスの感染拡大への感応度を評価した上で、①手元資金の保全、②コスト削減、③事業継続のための応急措置、④短期的な善後策、⑤在宅勤務体制下でのオフィススペースの最適化、⑥利用可能な政府補助策の確認、に関する助言を行っています。さらに、SVFは原則として2029年11月20日まで運用が可能な長期投資ファンドであり、まだ十分な残存期間があることにより、四半期ごとに起こり得る評価額の洗い替えから生じる未実現損益の変動に左右されることなく、中長期的な実現リターンの創出にフォーカスすることが可能です。しかしながら、これらの取り組みやSVFの長期ファンドという性質をもってしても、全ての投資先の事業運営およびリターンへの悪影響を完全には防ぐことができない可能性があります。

 また、これらの要因は、主要人物を含むSVFの投資先にも影響または発生する可能性があり、その場合、SBIAの事業活動、新規および既存の投資先に対するソーシング、デュー・ディリジェンスおよびモニタリング、その他SVFに関する機能の適切な実行に支障が生じる可能性があります。同様の懸念は、SVFに役務を提供する事業者にも該当する場合があり、これによりSVF、ひいてはソフトバンクグループ㈱の活動に悪影響を及ぼす可能性があります。SBIAは、事業継続戦略を策定するとともに危機管理部門を設置し、新型コロナウイルス感染症のような事業継続上の重大事象の発生によるSBIAの事業プロセスへの混乱を最小限に抑えるよう図っています。

 

(6)ソフトバンク㈱について

 主に通信事業、インターネット広告事業、イーコマース事業を営むソフトバンク㈱およびその子会社(例えば、Zホールディングス㈱)(本(6)において併せて「ソフトバンク㈱」)に存在する特有のリスクは、主として以下a~cに記載する通りです。これらのリスクが顕在化した場合、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、その資産価値、すなわちソフトバンクグループ㈱の保有株式価値が低下し、株主価値が低下、LTVが悪化するとともに、投資に伴い発生したのれん、有形固定資産、無形資産の減損損失の計上やソフトバンク㈱の業績の取り込みによりソフトバンクグループ㈱の連結業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

a安定的なサービスの提供

(a)通信ネットワークの増強

 ソフトバンク㈱は、通信サービスの品質を維持・向上させるために、将来のトラフィック(通信量)を予測し、その予測に基づいて継続的に通信ネットワークを増強(例えば、必要な周波数の確保)していく必要があります。これらの増強は計画的に行っていますが、実際のトラフィックが予測を大幅に上回った場合、または通信ネットワークの増強を適時に行えなかった場合、サービスの品質および信頼性や企業イメージの低下を招き顧客の獲得・維持に悪影響を及ぼすほか、追加の設備投資が必要となり、その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(b)システム障害などによるサービスの中断・品質低下

 ソフトバンク㈱が提供する通信ネットワークや顧客向けのシステムなどの各種サービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題、または第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生した場合、れに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。各システムの冗長化や、障害などの発生に備えた復旧手順の明確化、障害などが発生した場合の適切な復旧体制の構築などの対策にもかかわらず、サービスの中断・品質低下を回避できず、その復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)自然災害など予測困難な事情

 ソフトバンク㈱は、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しています。地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害、火災や停電・電力不足、テロ行為、感染症の流行などの予測困難な事象が発生することにより、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、ソフトバンク㈱の各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。ソフトバンク㈱においては、こうした事態が発生した場合においても安定した通信環境を確保できるようにネットワークの冗長化やネットワークセンターおよび基地局での停電対策等を導入しているほか、こうした事態による各種サービスの提供への影響の低減を図るべくネットワークセンターやデータセンター等の重要拠点を全国に分散するなどの対策を講じています。かかる対策にもかかわらず、各種サービスの提供に支障を来す場合、およびこれらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧・改修するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b.他社経営資源への依存

(a)他社設備などの利用

 ソフトバンク㈱は、通信サービスの提供に必要な通信ネットワークを構築する上で、他の事業者が保有する通信回線設備などを一部利用しています。ソフトバンク㈱は、原則として、複数の事業者の通信回線設備などを利用していますが、今後、複数の事業者の当該設備などを継続して利用することができなくなった場合、または使用料や接続料などが引き上げられるなど利用契約が不利な内容に変更された場合、ソフトバンク㈱の事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(b)「Yahoo!」ブランドの利用

 ソフトバンク㈱は、同社およびヤフー㈱の事業において、「Yahoo! JAPAN」をはじめ「Y!mobile」や「Yahoo! BB」など、サービス名称の一部に米国のVerizon Communications Inc.の子会社が保有する「Yahoo!」ブランドを使用しています。同社との関係に大きな変化が生じるなどしてこれらのブランドが使用できなくなった場合、ソフトバンク㈱の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(c)各種機器の調達

 ソフトバンク㈱は、通信機器やネットワーク関連機器など(例えば、携帯端末や基地局の無線機)を調達しています。ソフトバンク㈱では、原則として複数の取引先から機器を調達してネットワークを構築していますが、特定の会社への依存度が高い機器が残る場合があります。特定の会社への依存度が高い機器の調達において、供給停止、納入遅延、数量不足、不具合などの問題が発生し調達先や機器の切り替えが適時に多額のコストを要さずに行うことができない場合、または性能維持のために必要な保守・点検が打ち切られた場合、ソフトバンク㈱のサービスの提供に支障を来し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性や調達先の変更のために追加のコストが生じる可能性のほか、携帯端末の売上が減少する可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(d)業務の委託

 ソフトバンク㈱は、主に通信サービスに係る販売、顧客の獲得・維持、それらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク㈱は、業務委託先の選定時には与信調査を実施し、定期的に業績などの監視を行っていますが、業務委託先がソフトバンク㈱の期待通りに業務を行うことができない場合、ソフトバンク㈱の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、業務委託先はソフトバンク㈱のサービス・商品を取り扱っていることから、当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の獲得・維持に悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク㈱が監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

c.情報の流出や不適切な利用

 ソフトバンク㈱は、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク㈱においては、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティー教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っています。具体的には、顧客情報やその他の機密情報に関する作業エリアの限定、当該エリア専用の入退室管理ルールといった物理的管理のほか、役職員による業務パソコン利用や社内ネットワーク利用、社内サーバーへのアクセス状況等の監視や、社外からのサイバー攻撃による不正アクセスを監視・防御することで、セキュリティーレベルの維持・管理を行っています。

 これらの取組みにもかかわらず、ソフトバンク㈱(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者のサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失、法令や規約違反となる不適切な利用などが発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、ソフトバンク㈱の信頼性や企業イメージが低下し顧客の獲得・維持が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティーシステム改修のために多額の費用負担が発生したりする可能性があります。その結果、ソフトバンク㈱の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法令・規制・制度などについて

 ソフトバンクグループ㈱は、各国の法令・規制・制度など(以下「法令等」)の下で投資活動を行っています。また、投資先は各国の様々な分野にわたる法令等の下で事業活動を行っています。具体的には、投資に関する各種法令等から、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、エネルギー、AI、ロボット、ライドシェアリング、金融・決済などの事業やその他の企業活動に関する各種法令等(事業許認可、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)まで広範に及び、これらの影響を直接または間接的に受けます。

 法令等の改正もしくは新たな法令等の施行または解釈・適用(その変更を含みます。)により、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない、新たな投資や事業が制限される、投資の回収が遅延もしくは不可能となるなど、ソフトバンクグループ㈱の投資活動や投資先の事業活動に支障を及ぼす可能性があるほか、金銭的負担の発生・増加により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、ソフトバンクグループ㈱は、その法務部門が外部のアドバイサーからの助言を受けながら主に投資活動に関する法令等の新設または改正等に関して情報収集などを行っています。

 また、ソフトバンクグループ㈱および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じた場合、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このほか、ソフトバンクグループ㈱は法令遵守のためのグループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っていますが、このような取り組みにもかかわらずソフトバンクグループ㈱や投資先(役職員を含みます。)がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みます。)を受けたり、取引先から取引契約を解除されたりする可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱や投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の業績や投資先の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 ソフトバンクグループ㈱が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ㈱および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、アームが保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。いずれの場合も、ソフトバンクグループ㈱の保有株式価値や株主価値、LTV、連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟について

 ソフトバンクグループ㈱は、株主(投資先の現在および過去の株主を含みます。)、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、ソフトバンクグループ㈱の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担の発生により、ソフトバンクグループ㈱の連結・個別業績に悪影響を及ぼす可能性があります。本有価証券報告書の提出日現在における主な訴訟内容については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記 53.偶発事象(3)訴訟」をご参照ください。

 

 

 

2【沿革】

1981年9月

㈱日本ソフトバンク(東京都千代田区四番町)設立、パーソナルコンピューター用パッケージソフトの流通業を開始

1982年5月

月刊「Oh! PC」、月刊「Oh! MZ」創刊、出版事業に参入

1990年7月

「ソフトバンク㈱」に商号を変更

1994年7月

株式を日本証券業協会に登録

1996年1月

ヤフー㈱(現 Zホールディングス㈱)設立

5月

本店を東京都中央区日本橋箱崎町24番1号に移転

1998年1月

東京証券取引所市場第一部へ上場

1999年10月

純粋持ち株会社へ移行

2001年9月

ビー・ビー・テクノロジー㈱(後にソフトバンクBB㈱、現 ソフトバンク㈱)が「Yahoo! BB」の商用サービスを開始

2004年7月

日本テレコム㈱(後にソフトバンクテレコム㈱、現 ソフトバンク㈱)を子会社化

2005年1月

㈱福岡ダイエーホークス(現 福岡ソフトバンクホークス㈱)を子会社化

3月

本店を東京都港区東新橋一丁目9番1号に移転

2006年4月

ボーダフォン㈱(後にソフトバンクモバイル㈱、現 ソフトバンク㈱)を子会社化

2010年6月

「ソフトバンク 新30年ビジョン」を発表

2013年1月

イー・アクセス㈱(後にワイモバイル㈱、現 ソフトバンク㈱)を子会社化

7月

米国の携帯電話事業者であるスプリントを子会社化(注)

2014年9月

関連会社のアリババが米国ニューヨーク証券取引所に上場

2015年4月

ソフトバンクモバイル㈱、ソフトバンクBB㈱、ソフトバンクテレコム㈱およびワイモバイル㈱が、ソフトバンクモバイル㈱を存続会社とする吸収合併方式により合併(ソフトバンクモバイル㈱は、2015年7月「ソフトバンク㈱」に商号変更)

7月

「ソフトバンクグループ㈱」に商号を変更

2016年9月

英国の半導体設計会社であるアームを子会社化

2017年5月

主にテクノロジー企業への投資を行うソフトバンク・ビジョン・ファンドが活動を開始

2018年12

ソフトバンク㈱が東京証券取引所市場第一部に上場

2020年4月

スプリントと米国の携帯電話事業者であるTモバイルの合併が完了

 

(注)スプリントとTモバイルの合併完了に伴い、2020年4月1日(米国東部時間)から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社であるT-Mobile US, Inc.が当社の関連会社となりました。

 

(5)【所有者別状況】

 

 

 

 

 

 

 

2020年3月31日現在

区分

株式の状況(1単元の株式数100株)

単元未満

株式の状況

(株)

政府及び

地方公共

団体

金融機関

金融商品

取引業者

その他の

法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

63

71

1,576

1,167

504

215,439

218,820

所有株式数(単元)

4,945,175

443,840

1,057,276

7,984,507

99,453

6,359,296

20,889,547

859,630

所有株式数の割合(%)

23.67

2.12

5.06

38.22

0.47

30.44

100.00

(注)1 自己株式21,822,271株は、「個人その他」に218,222単元および「単元未満株式の状況」に71株を含めて記載しています。

2 上記「その他の法人」および「単元未満株式の状況」の欄には、証券保管振替機構名義の株式がそれぞれ1,563単元および84株含まれています。

 

3【配当政策】

 ソフトバンクグループ㈱は、財務体質の健全性を保ちつつ、持続的成長に向けた積極的な投資と株主への利益還元を両立させることを基本方針としています。株主への利益還元のうち、剰余金の配当については、取締役会の決議によって中間配当を行うことができる旨が定款に定められており、中間配当と期末配当の2回実施することを原則としています。

 当期の期末配当は、1株当たり22円とすることを2020年6月25日開催の定時株主総会で決議しました。中間配当(1株当たり22円)と合わせた年間配当は、2019年6月28日付で実施した普通株式1株に対して2株の株式分割後も、前期の1株当たりの年間配当と同額にしたことで、前期に比べ実質倍増の1株当たり44円(配当金総額91,063百万円)となりました。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下の通りです。

 

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2019年10月16日

45,567

22.0

取締役会決議

2020年6月25日

45,496

22.0

定時株主総会決議

 

 

 

(2)【役員の状況】

① 役員一覧

男性16名 女性1名 (役員のうち女性の比5.88%)

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数(千株)

代表取締役

会長 兼 社長

孫   正 義

1957年8月11日

 

1981年9月

㈱日本ソフトバンク(現ソフトバンクグループ㈱)設立、代表取締役社長

1996年1月

ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)代表取締役社長

2005年10月

Alibaba.com Corporation(現Alibaba Group Holding Limited), Director(現任)

2006年4月

ボーダフォン㈱(現ソフトバンク㈱)取締役会議長、代表執行役社長 兼 CEO

2015年6月

ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)取締役(現任)

2016年9月

ARM Holdings plc(現SVF HOLDCO (UK) LIMITED), Chairman and Executive Director

2017年6月

ソフトバンクグループ㈱代表取締役会長 兼 社長

(現任)

2018年3月

Arm Limited, Chairman and Director(現任)

2018年4月

ソフトバンク㈱取締役会長(現任)

 

(注3)

439,409

取締役

副会長

ロナルド・

フィッシャー

1947年11月1日

 

1984年7月

Interactive Systems Corp., President

1990年1月

Phoenix Technologies Ltd., CEO

1995年10月

SoftBank Holdings Inc.( 現 Star Bright Holdings Inc.), Director and President(現任)

1997年6月

ソフトバンク㈱(現ソフトバンクグループ㈱)取締役

2014年1月

Brightstar Global Group Inc., Director

2014年8月

同社Chairman

2016年9月

ARM Holdings plc(現SVF HOLDCO (UK) LIMITED), Director

2016年12月

SB Investment Advisers (US) Inc., Director

2017年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役副会長(現任)

2017年12月

SB Investment Advisers (US) Inc., Director and Chairman(現任)

2018年3月

Arm Limited, Director(現任)

2020年4月

T-Mobile US Inc., Director(現任)

 

(注3)

1,065

取締役

副社長 COO

マルセロ・

クラウレ

1970年12月9日

 

1995年6月

USA Wireless, Inc, Owner

1996年10月

Small World Communications, Inc., President

1997年9月

Brightstar Corp.設立、Chairman & CEO

2008年9月

Bolivar Administracion, Inversiones Y Servicios Asociados S.R.L., Owner(現任)

2014年8月

Sprint Corporation, President & CEO

2017年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役

2018年3月

Arm Limited, Director(現任)

2018年5月

Sprint Corporation, Executive Chairman

2018年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役副社長 COO

(現任)

2019年5月

Fortress Investment Group LLC, Chairman of the Board(現任)

2019年10月

The We Company, Director Executive Chairman(現任)

2020年4月

T-Mobile US Inc., Director(現任)

 

(注3)

2,050

 

 

役職名

氏名

生年月日

略歴

任期

所有株式数(千株)

取締役

副社長 CSO

佐 護 勝 紀

1967年11月1日

 

1992年4月

ゴールドマン・サックス証券会社入社

1997年5月

同社債権部門金融商品開発部長

2007年1月

ゴールドマン・サックス証券㈱取締役

パンアジア エクイティ部門、債権・為替・コモディティ部門共同統括

2011年1月

同社取締役副社長

2014年7月

同社副会長

2015年2月

金融庁参与

2015年6月

㈱ゆうちょ銀行執行役副社長

2016年6月

同行取締役兼代表執行役副社長

2018年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役副社長 CSO

(現任)

 

(注3)

1,067

取締役

副社長

ラジーブ・

ミスラ

1962年1月18日

 

1985年12月

Los Alamos National Laboratory入所

1986年7月

Realty Technologies Pty Ltd入社

1991年8月

Merrill Lynch (現Bank of America Merrill Lynch)入社

1997年5月

Deutsche Bank AG, Managing Director

2001年5月

同社Global Head of Credit, Emerging Markets

2009年4月

UBS Group AG入社

2010年1月

同社Global Co-Head of Fixed Income, Currencies and Commodities

2014年5月

Fortress Investment Group LLC, Senior Managing Director and Partner

2014年11月

ソフトバンクグループ, Head of Strategic Finance

2017年5月

SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・ビジョン・ファンドの運営会社), CEO(現任)

2017年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役

2017年12月

Fortress Investment Group LLC, Board of Director(現任)

2018年6月

ソフトバンクグループ㈱取締役副社長(現任)

 

(注3)

5,039

取締役

専務 CFO 兼 CISO

後 藤 芳 光

1963年2月15日

 

1987年4月

安田信託銀行㈱(現みずほ信託銀行㈱)入行

2000年6月

ソフトバンク㈱(現ソフトバンクグループ㈱)入社

2000年10月

同社財務部長

2006年4月

ボーダフォン㈱(現ソフトバンク㈱)取締役

2012年7月

ソフトバンク㈱(現ソフトバンクグループ㈱)常務執行役員

2013年10月

福岡ソフトバンクホークス㈱代表取締役社長 CEO 兼 オーナー代行(現任)

2014年6月

ソフトバンク㈱(現ソフトバンクグループ㈱)取締役

2015年6月

同社常務執行役員

2017年6月

同社専務執行役員